2017年夏の甲子園で1塁を駆け抜ける際、1塁手の脚を意図的にキックした疑惑を持たれ炎上した仙台育英高校・渡部夏史さんのその後や現在が話題です。
今回は渡部夏史さんが炎上するきっかけになった蹴ったシーンの動画や、大学推薦が取り消されたという衝撃のその後、現在などについてまとめました。
この記事の目次
渡部夏史は仙台育英高校野球部キック騒動の当事者
2017年夏の甲子園大会で8月19日に開催された「仙台育英高校」と「大阪桐蔭高校」の強豪校対決で、仙台育英高校のバッターランナーの渡部夏史さんが1塁を駆け抜けるタイミングで、大阪桐蔭の1塁手の脚を蹴り上げ負傷させるというトラブルが起きました。
このトラブル後も、脚を蹴り上げられた1塁手は治療して試合出場を続行しますが、9回ツーアウトの場面でこの1塁手がベースを踏めなかったエラーがきっかけとなって試合の流れ傾き、そのまま仙台育英高校に逆転されて大阪桐蔭高校はサヨナラ負けを喫してしまいました。
結果、大阪桐蔭高校の1塁手が、ベースを踏めなかったのは再びバッターランナーに足を蹴り上げられる事を警戒したために起きたミスだという見方をする者が出始め、大阪桐蔭が敗退したのは、1塁手の太ももを蹴り上げた渡部夏史さんのせいだとする批判の声へとつながっていきました。
さらに、ネット上では、渡部夏史さんが意図的に1塁手の脚を蹴り上げたのではないか?という疑惑までもが浮上し、渡部夏史さんを責める声は増え続けて瞬く間に炎上騒動へと発展していったのです。
今回はこの仙台育英高校の大阪桐蔭選手蹴り上げ騒動の当事者・渡部夏史さんに焦点を当てます。
渡部夏史のプロフィール
名前 :渡部夏史(わたべなつひと)
生年 :1999年
出身地 :宮城県仙台市
身長 :163cm(甲子園出場時のデータ)
体重 :61kg(甲子園出場時のデータ)
渡部夏史さんは、小柄ながら練習熱心な選手で、2017年夏の甲子園では、レギュラー捕手だった尾崎拓海さんが怪我をした事からスターティングメンバーに抜擢されました。
仙台育英高校野球部の監督・須江航さんは、渡部夏史さんを以下のように評しています。
先輩が引退した後、中学2年の時に「少しでも試合に出たい」と捕手への転向を須江航(わたる)監督に申し出た。
須江監督は「かつて自分から転向を言い出した子はいない。これだと決めたら努力する純粋な野球少年」と評する。その言葉通り、その後は捕手としての努力を積み重ねる。
「これだと決めたら努力する純粋な野球少年」という事で、とても意図的に相手選手をキックして怪我させてやろうと考えるような人格の人物だとは思えません。
しかし、現在でもネット上には、この渡部夏史さんが意図的に1塁手をキックしたと決めつけて批判するようなコメントが溢れているのです。
渡部夏史が大阪桐蔭の選手を蹴ったシーンの動画
仙台育英高校・渡部夏史さんが大阪桐蔭の1塁手の脚を蹴ったシーンの動画は現在もインターネット上に多数上がっているのでまずは見てみましょう。
渡部夏史さんが1塁ベースを駆け抜ける際に、走ってきた勢いのまま左脚で、大阪桐蔭の1塁手のベースについた右脚太ももあたりをキックしています。
スローモーションで一連の動きを見ると、確かに渡部夏史さんの体が不自然に外側に傾いており、左脚を意図的に1塁手の太ももに向かって蹴り上げているように見えてしまいます。
確かに、この渡部夏史さんの走塁は1塁を駆け抜ける際の動きとしては非常に危険で、やってはいけない動きだと言えます。しかし、大阪桐蔭の1塁手のほうもベースの上に若干足を乗せすぎていて渡部夏史さんはこの足を避けるために咄嗟に不自然な動きになってしまった可能性も考えられます。
少なくともこの蹴ったシーンの動画だけでは、渡部夏史さんが意図的に1塁手の脚を蹴り上げたという証拠にはならないでしょう。
渡部夏史のキックが意図的だったかについては意見が分かれている
渡部夏史さんが意図的に1塁手をキックしたかどうかについては意見が分かれ、「全力プレーの末の事故だった」とする意見と「あんな不自然な動きになる事はありえない、意図的にやっている」とする意見の両方が出ました。
ただ、野球経験者の多くは「あの動きは意図的にやっていると思う」という意見を出しています。
また、渡部夏史さんはこの甲子園の2回戦の日本文理戦でも少々危険な走塁での交錯プレーをしていた事も「意図的に違いない」という意見を後押ししました。
そうして、渡部夏史さんが意図的に1塁手をキックしたという声の方が強くなっていったのです。
高校生をよってたかって批判する事を疑問視する声も
渡部夏史さんが意図的にキックをしたのかについては意見が分かれていますが、1人の高校生を寄ってたかって批判する騒動が起こっている事自体を疑問視する声も多く出ています。
あくまでも高校生に対し、プロや芸能人さながらの批判をぶつけるのはやはり間違いだ。「真偽はともかく、大阪桐蔭側に謝罪すべき」という声もあるが、影響を考慮して学校間でやり取りをしている可能性もあるだろう。だからこそ、鬼の首を取ったがごとく某大手ポータルや掲示板内で罵詈雑言を繰り返す一部ネットユーザーの醜さは異常だ。大人が思慮なく高校生を追い落とそうとする様はあまりにも醜い。
確かに、もはや渡部夏史さんが意図的にキックしたかどうかよりも、1人の高校生をまるでリンチするかのように攻撃するインターネットのあり方に疑問を感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
渡部夏史のキックは仙台育英高校の監督の指示という噂も
また、渡部夏史さんがキックしたのは本人の意思ではなく、仙台育英高校の監督の指示に従ったためではないか?とする噂もあるようです。
これは、監督が試合後に渡部夏史さんを庇ったり、渡部夏史さんが使っていたTwitterアカウントを削除させたりした事から出た噂のようです。
ただ、監督の立場として選手をかばうのは当然ですし、本人のインターネット上での被害を最小限に抑えるためにTwitterアカウントを削除させたりするのは当然の対応だと言えます。
この噂には証拠は一切ありませんが、こうした噂によって、いまだに仙台育英高校野球部自体を批判する声もネット上で見られます。
この件と、現在仙台育英高校野球部で一生懸命野球に取り組んでいる部員達とは何の関係もないので、いつまでもこの件で批判し続ける事は避けた方が良いでしょう。
渡部夏史のその後① キック騒動の影響で大学推薦を取り消されていた
渡部夏史さんのこの騒動のその後についても見ていきましょう。
渡部夏史さんはこの1塁手キック騒動が炎上した事で、決まっていた大学のスポーツ推薦が取り消されてしまったそうです。これはノンフィクションライターの柳川悠二さんが関係者への取材で得た情報なので間違い無いようです。
渡部がどうしているのか気になった私は、すぐに仙台育英の新チームが秋季大会を戦っていた仙台に向かった。現地で渡部の姿は確認できなかったが、そこで学校関係者から、炎上騒動によって決まっていた大学のスポーツ推薦の話が流れてしまったという衝撃の事実を知った。
渡部夏史のその後② 大阪桐蔭の1塁手と再会を果たしていた
出典:https://www.sponichi.co.jp/
また、この柳川悠二さんが取材で実際に渡部夏史さんの人柄に触れた上で、以下のコメントを残されています。
甲子園での問題のプレー映像を幾度も見返してみても、渡部に明確な悪意があったとは思えない。確かに、渡部は2回戦の日本文理戦でも、凡打した場面で似たような危険とも思われる走塁をしていたが、競った試合展開の中でなんとかセーフになりたいという懸命な走塁にしか、私には見えなかった。国体での取材で渡部の優しい人柄にも触れ、その思いはより強くなった。
そして、柳川悠二さんの取材では、あの事件の後、秋の国体に出場した渡部夏史さんの宿舎の部屋に、渡部夏史さんに脚を蹴られてしまった大阪桐蔭の1塁手の中川卓也さんが訪れたというエピソードも明かされました。
「中川が自分の部屋を訪ねてきてくれたんです。あの件については話していないですけど、中川がキャプテンになった大阪桐蔭の新チームの話とか、大阪桐蔭の寮生活の話とか、ずっと話していました。まあ、普通の会話です。あとはお互いのタオルを交換したり。やっぱり、嬉しかったですよ」
ネット上で炎上騒動が続いていた裏で、当事者の2人は素晴らしいスポーツマンシップを見せて交流していたことが明らかになりました。
こうしたエピソードを知れば、渡部夏史さんが意図的に1塁手をキックしたとはとても思えないのではないでしょうか。
渡部夏史は現在も仙台大学で野球を続けている
渡部夏史さんの現在についても見ていきます。渡部夏史さんは、1塁手キック騒動での炎上で、精神的に不安定になり、一時は野球をやめようと考えられたそうです。
しかし、監督から「続けた方がいい」と言われ、続ける事を決意されたという事でした。
「あの件があって以来、野球をやめようと思ったこともありましたが、監督からも『続けた方がいい』と言われて……。このメンバーで、もう一度、野球ができた。それが本当に嬉しかったです」
そして現在(2020年5月時点)渡部夏史さんは仙台大学へと進学し野球部に所属して野球を続けている事が明らかになっています。これは仙台6大学野球連盟の公式サイトに記載されているため間違いありません。
まとめ
今回は、2017年夏の甲子園で1塁手を意図的にキックした疑惑が持たれ炎上騒動に巻き込まれた仙台育英高校の元野球部員・渡部夏史さんについてまとめてみました。
不幸な事故で炎上に巻き込まれ一時は野球の道を諦めようと思ったという渡部夏史さんでしたが、現在も仙台大学の野球部に所属して野球を続けられているという事が判明しています。
渡部夏史さんが野球を続けているという事実を知り、「いまだに懲りずに野球をやってるのか」といった心無い声もネット上には見られますが、もしもあのキックが意図的であったのなら逆に野球を続ける事は出来ないのではないでしょうか?渡部夏史さんが野球を続けているという事実が、あのキックが意図的では無かった事の何よりの証明ではないかと思います。