山本五十六は太平洋戦争時の連合艦隊司令長官で真珠湾攻撃の立案者

山本五十六（やまもと・いそろく）は旧日本海軍の軍人で、太平洋戦争では連合艦隊司令長官（実質的に海軍の最高指揮官）として海軍を指揮し真珠湾攻撃を立案し決行しました。

山本五十六は留学や駐在武官としてアメリカに5年間滞在してアメリカの絶大な国力を熟知しており、最後までアメリカとの戦争に反対し、アメリカやイギリスとの関係を悪化させるとして日独伊三国同盟締結にも強く反対した人物として知られています。

また、航空機を用いた戦術の有効性にいち早く気がつき、他国に先駆けて空母機動部隊と航空戦力を整備するなど卓越した先見性を持っていた人物としても評価を受けています。

山本五十六は何した人か①　長岡士族の生まれで中学卒業後海軍兵学校へ

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山本五十六は1884年（明治17年）4月4日、新潟県古志郡長岡本町大字玉蔵院町の長岡士族・高野貞吉の六男として生まれました。父親の貞吉が56歳の時に生まれたために「五十六」と名付けられました。

山本五十六は高野家の生まれですが、33歳の時に長岡藩の名家・山本家の名跡を継いだため山本五十六となりました。したがってそれまでの名前は正確には高野五十六ですが、ここでは山本五十六で統一して表記します。

山本五十六は士族の子として、武道や手習い、漢籍の素読を学びながら育ち、1890年に7歳で古志郡坂之上小学校に入学。当時の山本五十六は無口で成績優秀な少年だったようです。

1896年に坂之上小学校を卒業した山本五十六は旧制長岡中学へと進学。中学も成績優秀で特に体育の成績はすこぶる良く、器械体操が得意で鉄棒で大車輪などの大技を披露すると下級生が周りに集まってくるほどでした。

山本五十六は1901年36人中5番目の成績で長岡中学を卒業し、同年7月に海軍兵学校へ2番目の成績で合格して海兵32期生として入学し1904年11月に192番中11番の成績ど卒業。海軍士官としての道を歩む事になりました。

山本五十六は何した人か②　留学と駐在武官として5年間米国で情報収集

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山本五十六は海軍士官の典型ともいえる経歴を歩みました。

各種艦艇での艦上勤務で実践経験を積みながら、1907年から1911年にかけて海軍砲術学校、海軍水雷学校、海軍大学校乙種学生、海軍砲術学校高等科で学び、1911年12月より海軍砲術学校の教官に任命されると1912年から1915年にかけて佐世保予備艦隊参謀、巡洋艦新高砲術長、横須賀鎮守府副官兼参謀などを経て、1914年12月に海軍大学校甲種学生となって戦術、戦略、統率を学んでいます。

山本五十六は、1916年11月に海軍大学を卒業後、第二艦隊参謀、1917年に海軍省軍務局第二課長に任命された後、1919年4月より当時の日本の仮想敵国であったアメリカへの駐在を命じられました。これは当時の海軍のエリートコースでした。

山本五十六はハーバード大学のイングリッシュEという外国人留学生向けの語学コースに籍を置きながらアメリカを見聞し情報収集に努めています。

この米国留学中に山本五十六は軍事における航空機の重要性に注目するようになり、また、石炭から石油への流れを肌身に感じてカリフォルニアやテキサスの油田や製油所、パイプラインなどを視察して回っています。山本五十六はこの米国留学を通じて、仮想敵国アメリカの強大な国力を実感したと言われています。

1921年7月に米国留学から帰国した山本五十六は大艦巨砲主義から航空主兵論へと転換して航空隊勤務を強く希望し、1923年に霞ヶ浦の海軍航空隊副長兼教頭に任命されます。ここで山本五十六は勤務が終わった後に深夜まで航空の知識の勉学に励み、自ら航空機の操縦も習得しています。

1925年、山本五十六は駐アメリカ大使館付駐在武官に任じられて、再びアメリカへと渡っています。

山本五十六は2度目の米国駐在でもアメリカの石油や自動車、航空機、船舶の生産、流通体制などを具に視察し研究して見識を深めています。また、英語力を向上させて米海軍士官やその妻との交流を深めています。山本五十六がアメリカの海軍士官とポーカーを楽しんだり、曲芸や書道を披露して楽しませたといったエピソードが伝えられています。

山本五十六は1927年に帰国するまで、留学と合わせて合計で5年間をアメリカで過ごし、その経験が後の太平洋戦争での戦略に影響したと言われています。

山本五十六は何した人か③　航空戦力整備の尽力とロンドン軍縮会議参加

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1928年、山本五十六は軽巡五十鈴の艦長を経て、空母赤城の艦長に任命されました。

1929年には、ロンドン軍縮会議に随員として参加しますが、ここで山本五十六は米英に対して日本の艦艇保有量が大きく制限される案に強硬に反対して、対米7割の主力間保有を主張して会議を混乱させています。この時の山本五十六の行動はその後の行動と乖離しており多くの謎があるとされていますが、最終的には山本五十六は妥協案（対英米6.975割）を呑んだ全権団の決定を擁護しています。

山本五十六はその後、1930年9月に海軍航空本部に出仕し、同年12月にその技術部長に就任。

海軍航空本部は1927年に設立されたばかりの部署で、航空兵器の企画、研究開発、教育、運用を担当する海軍の航空における中心機関でした。

当時、航空本部は航空機の国産化と新型機設計の民会会社への割り当て、競争試作に乗り出しており、軍縮会議での制限された戦力を航空機で補おうとする努力を進めていました。

山本五十六はこれに熱心に取り組み、「外国機の輸入は我航空科学技術の恥辱と思わねばならぬぞ。それは日本科学の試験台なのだ。もし国産機が外国機の単なる模倣に終ったら、欧米科学に降伏したものと思え。その代わり、それを凌駕する優秀機が作られたら、勝利は日本科学の上に輝いたと思え」と、国産で優秀な航空機を作る重要性を技術者達に強く説いています。

山本五十六は口先だけでなく、中島飛行機や三菱の工場を視察して大量生産体制の確立を奨励。また、空母をさらに重要視するようになり、当時、外国の駐日武官と歓談した際に軍艦の艦種でもっとも重要なものは何か問われて「最も重要なものは飛行機を運ぶ軍艦（空母）」と即答しています。

またこの頃に、山本五十六は地上の基地で運用され長大な航続距離を持って艦隊を支援する陸上攻撃機の開発を推進させました。

1933年10月、山本五十六は空母赤城を基幹とする第一航空戦隊司令官に任命されて実戦部隊へと戻り、猛訓練を実施して空母部隊と艦載機航空隊の練度の向上に力を注ぎました。

1934年、山本五十六は第二次ロンドン軍縮会議予備交渉の海軍側首席代表に選任されなす。第一次会議では強硬派だった山本五十六ですが、この時には考え方を転換しており軍縮を維持して国際協調を保つ決意であったと言われています。

山本五十六はこの交渉で辣腕を振るいましたが、日本国内では強硬派（艦隊派と呼ばれる）が勢力を強めていて各国の軍備を全て平等にすべしという主張を譲らずに交渉はまとまらず、1935年に第二次ロンドン会議は閉会となり山本五十六は失意のまま帰国しています。

帰国後の1935年12月、山本五十六は海軍航空本部長に任命されました。ここで山本五十六は航空機産業の調整に努力し大量生産体制を整える事に奮闘しています。

またこの頃、日本海軍は大和と武蔵という超大型の戦艦2隻の建造計画をスタートさせました。山本五十六は「不沈戦艦などあり得ない、将来の海戦では砲撃戦の前に航空機の攻撃で撃沈されてしまうのだから戦艦は無用の長物になる」として、この計画に反対しています。

山本五十六は何した人か④　自身が発案した陸攻が日中戦争で戦果

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1936年12月、山本五十六は海軍大臣に次ぐ海軍のナンバー2である海軍次官に任命されました。

それから約半年後の1937年7月には盧溝橋事件に端を発する日中戦争が勃発。山本五十六の発案により開発され量産されていた陸上攻撃機「96式陸上攻撃機」の部隊が台湾（日清戦争後に日本に割譲されていた）や九州の航空基地から海を渡り、中国の各都市を空爆する事に成功しました。

この渡航爆撃は航行距離と出撃機数、投弾数の全てにおいてそれまでの世界での航空攻撃作戦を凌駕するものであり、日本の航空技術の発展と戦力の充実ぶりを世界に知らしめる結果となりました。

山本五十六は何した人か⑤　真珠湾攻撃を決行し米国と早期講和を目指した

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1939年8月30日、山本五十六は連合艦隊司令長官に任命されました。一方、欧州では9月1日にドイツがポーランドに侵攻し第二次世界大戦の火蓋が切られました。1940年に入るとドイツはノルウェー、デンマーク、オランダ、ベルギーなどを次々と落とし、1940年6月には強国フランスも破って全土を占領しました。

これを受けて、日本ではフランスやオランダの植民地がある南方の資源地帯へ進出すべしとの声が強まり、ドイツとの関係を強化し英米やソ連に対抗すべしという声も高まりました。

一方のドイツも、フランスを屈服させたものの対英国戦が停滞し、ソ連を攻撃する戦略へと舵を切ったため日本と同盟を結ぶ事でアメリカがイギリスを助けるために参戦する事を牽制できると考えて日本に接近しました。

海軍大臣の吉田善吾はドイツとの同盟に反対し、山本五十六もドイツと結べばアメリカとイギリスとの戦争が避けられなくなるとしてこれに反対する姿勢を示しています。

しかしその後、吉田海軍大臣は体調不良により辞職。これによって防波堤はなくなり1940年9月27日に日独伊三国同盟が成立する事になりました。

これにより、アメリカとの戦争は避けられないと考えた山本五十六は、勝算があるとすれば強力な航空兵力を使って大打撃を与え短期間のうちに講和する戦略しかないと考えました。

そうして立案されたのが空母6隻の艦載機約350機によるハワイ真珠湾への奇襲攻撃でした。これにより、アメリカの太平洋艦隊を壊滅させ戦意を喪失させて早期の講和に持ち込んでアメリカとの戦争を終わらせるという戦略でした。

そして、1941年12月8日、真珠湾攻撃は実行され、アメリカの太平洋艦隊の主力である戦艦8隻のうち4隻を撃沈、残る4隻にも損害を与えるという大戦果を挙げましたが、空母は真珠湾におらず被害を与えられませんでした。

また、当初の予定では宣戦布告と同時に攻撃を行うというものでしたが、不手際によって宣戦布告がなされたのは真珠湾攻撃開始から1時間後で、アメリカ側はこれを卑怯だと宣伝した事でアメリカ国内の世論は一気に参戦へと傾き、戦意を喪失させるどころかかえってアメリカの戦意を向上させる結果を招きました。

山本五十六はなぜ人気があるのか

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山本五十六は太平洋戦争中から真珠湾攻撃を成功させた軍神だと宣伝されて国民的英雄とされ、終戦後も映画化されたりと非常に国民人気の高い人物でした。

現在では、山本五十六にこれほどなぜ人気があるのかという疑問もあるようです。

山本五十六はなぜ人気か①　日独伊三国同盟に反対し最後まで開戦に反対した

山本五十六がなぜ人気かの理由としては、太平洋戦争勃発前、軍部の多くや扇動された国民が日独伊三国同盟に賛成して戦争の道へと進んでいく中、山本五十六はそれを危険だとして最後まで反対していた事が挙げられます。

山本五十六はアメリカに5年も滞在した経験があり、圧倒的な国力のアメリカと戦争をすれば日本に勝ち目は全くない事を確信していたとされています。そのため、アメリカとの戦争に最後まで反対したとされています。

しかし、開戦が不可避となるや山本五十六は腹を括ったとばかりに自らが育てた機動部隊を使って真珠湾を攻撃してなんとか勝利する可能性を模索したとされ、そうした行動が英雄的であるとして人気を得ました。

また他にも、日中戦争勃発時に大本営を設置すべきかと元老側近から意見を聞かれた山本五十六は、「大本営に国務大臣のような文官を置いてそれに陸海軍が従う形なら良いが、仮に総理大臣を大本営に入れて傀儡化してファッショ的政治をする手段に内閣を使うというのなら海軍は絶対に反対」との趣旨の回答をしており、山本五十六が軍事政権に反対していた証拠とされています。

山本五十六はなぜ人気か②　部下を愛情を注ぐ人間味の厚さ

山本五十六は空母赤城の艦長時代の1929年の演習中。出撃した艦載機隊が母艦を見失い全機帰還できないという事故を起こしました。

この際に山本五十六は悲壮な様子となり、食事もほとんど摂らず、時々涙をボロボロと流すほどだったそうです。その後、不時着した搭乗員達（2名が亡くなったが他は全て生存）が救助されて赤城に戻ってくると、山本五十六は航空部隊指揮官の手を握って涙を流して喜んだそうです。

また、別の訓練中に赤城に着艦しようとして航空機が飛行甲板上をオーバーランして海へ転落しそうになった時には、山本五十六は周囲の制止も聞かずに真っ先に飛び出してこの機体の主翼にしがみついて止めようとしました。山本五十六はそのまま引きずられても決して離そうとせず、他の者が次々と駆けつけて一緒に飛びついたところようやく機体は飛行甲板の端ギリギリのところで止まったと言います。

こうした山本五十六の指揮官としては過剰とも言えるほどの行動は部下達を感動させて心を掴んだと言われています。

こうした部下に対する愛情の深さは山本五十六の人気の理由の1つとなっています。

山本五十六はなぜ人気か③　航空機の運用に先見の明を示した天才性

山本五十六は早くから航空機の重要性に気がつき、海軍航空本部長や海軍次官として政治に関わるようになってからは航空戦力の充実に力を注ぎました。

日本海軍初の航空母艦「鳳翔」が実用化の域に入った際に、その艦載機の搭乗員は技量極めて優秀な天才を集めた精鋭部隊であるべきとの意見が多数を占めていた中で、山本五十六はただ一人「100人の搭乗員中、いく人あるか知れぬような天才的な人間でなければ着艦できぬとすれば、帝国海軍にそんな航空母艦はいらぬ。搭乗員の大多数が着艦出来るようにせねばならぬ」として、訓練方法の改善と搭乗員達の訓練への努力が重要だと説きました。

この後の第二次世界大戦では大量の航空機同士がぶつかり合う総力戦、消耗戦となったので、山本五十六のこの主張はマトを得ており、山本五十六の先見の明を示すエピソードとして知られています。

こうした先見性も山本五十六がなぜ人気かの理由とされています。

山本五十六の名言…「やってみせ」の全文

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山本五十六の名言として「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ」という言葉がよく知られています。

この名言の意味は現在の人材育成やビジネスの場でも通用する格言だとして、リーダシップ研修などで取り上げられています。

山本五十六の名言「やってみせ…」の全文は以下の通りです。

• やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

山本五十六の嫁と結婚

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山本五十六は1917年8月31日に結婚しています。

山本五十六の嫁は元会津藩士で会津若松の牧場経営者であった三橋康守の三女である三橋礼子という女性でした。

山本五十六と嫁の礼子との出会いについては、親友である堀悌吉が海軍大佐だった四竃孝輔に山本五十六の結婚を世話してくれるように頼み込み紹介されたという説と、帝大病院の婦長になっていた姪の京子と水野という医師が紹介してくれたという説があります。

いずれにしても山本五十六は嫁の礼子を気に入って見合いを経て結婚しています。

山本五十六の子供

山本五十六は嫁の礼子と1917年に結婚した後、4人の子供を儲けています。

山本五十六は結婚してすぐにアメリカへ留学したため、最初の子供が生まれたの1922年でした。

山本五十六の1人目の子供は長男の山本義正という人物で、その後に次男・忠夫、長女・澄子、次女・正子が生まれています。

山本五十六の子供である山本義正氏は東京帝国大学農学部を卒業後に海軍に志願してパイロットを目指しましたが、そこで終戦を迎えています。その後、1969年に書籍「父　五十六」を発表しています。

山本五十六の子孫の現在…孫の源太郎氏が山本五十六記念館館長

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山本五十六の子孫は現在も存続しており、2021年には孫の源太郎さんが山本五十六記念館の艦長に就任しています。

長岡出身で旧日本海軍連合艦隊司令長官、山本五十六ゆかりの品を展示する山本五十六記念館（長岡市呉服町1丁目）の館長に孫の源太郎さん（59）が就任した。19日付。都内在住で常勤ではないが「なるべく多く訪れ、来館者と触れ合いたい」と話した。

 

引用：山本五十六の孫が館長に　新潟・長岡の記念館

山本五十六を太平洋戦争敗戦の戦犯だとする見方もある

山本五十六は真珠湾攻撃を実行した事によりアメリカの参戦を招いたばかりか、その後のミッドウェー海戦では杜撰な計画によって大敗し太平洋戦争の敗戦を決定づけた戦犯だという意見もあります。

山本五十六が戦犯とされる理由①　ギャンブル的に真珠湾攻撃をして米軍が参戦

山本五十六は真珠湾攻撃を成功させた英雄として人気を得ましたが、そもそもこの真珠湾攻撃さえなければ、米軍は参戦しなかったか、参戦を遅らせる事ができたとして、真珠湾攻撃がそもそも戦犯行為であるという見方があります。

そして、山本五十六が真珠湾攻撃に踏み切ったのは元々のギャンブル好きの性格が影響したという説があります。

山本五十六が駐在武官としてワシントンにいた頃、駆け出しの外交官であった法華津孝太は、着任早々に山本五十六に「博打はやるかね？」と尋ねられて「いいえ」と答えたところ「男で博打をしないようなやつはロクなものじゃないな」と片付けられてしまったそうです。

それから程なくして法華津孝太は将棋が得意であったため将棋で山本五十六と対戦する事になり、その際に山本五十六がいきなり中飛車に振って遮二無二攻めてきて、勢いのままに負けてしまいます。しかし、山本五十六の戦法が攻め一辺倒である事を見てとった法華津孝太は2戦目からはうまくいなして勝ち、さらに連続で3番やって全て法華津が勝利したところ、山本五十六は2度と法華津と将棋を指そうとはしなくなったそうです。

また、駐米海軍武官だった横山一郎は、山本五十六とポーカーをやった時の事を振り返って、山本五十六はポーカーで確率的に考えてトータルで勝とうとせずにいつもブラフ（はったり）をかまして相手を引かせて勝とうとしており、こっちが堅実にやれば確実に勝てたと語っています。

こうした山本五十六の博打好き、しかも後先考えずに勢いで押して勝利を得ようとする方法を好んだ性格が、博打的な真珠湾攻撃へとつながり、結果として参戦に乗り気でなかったアメリカを本気にさせてしまい、太平洋戦争の敗戦へとつながったという見方があります。

真珠湾攻撃がなければアメリカの参戦はなかったか、あるいは大幅に遅らせる事が可能で、その間に日本が南方資源地帯を抑えた上で西へ戦力を集中してイギリス軍やソ連軍をドイツ軍と挟撃していれば太平洋戦争は勝てた可能性があるという説があり、これが山本五十六戦犯説の根拠とされています。

山本五十六が戦犯とされる理由②　艦隊決戦への固執がミッドウェー海戦の敗北へ

山本五十六を戦犯だとする理由の1つにミッドウェー海戦での大敗も挙げられています。

山本五十六は米国との早期講和のためには真珠湾で撃ち漏らした空母を撃沈する事で決定的な打撃を与える必要があると考え、ミッドウェー島を攻略して米空母艦隊を誘き寄せて艦隊決戦に持ち込んで壊滅させようと考えました。

大本営海軍部はこの作戦を仮にミッドウェーを占領しても補給が困難で維持できないとして反対しましたが、山本五十六は認められなければ辞めるとまで言ってこの作戦を実行。連合艦隊のほぼ全戦力を持ってミッドウェー作戦を実行に移しました。

山本五十六も主力部隊旗艦の戦艦大和に乗り指揮をとっていましたが、ミッドウェー島付近で敵空母らしき呼び出し符号を傍受。山本五十六はこれを先行している空母部隊に伝えるように指示しましたが、参謀らは無線封鎖を破れば敵に位置を知られる恐れがある、空母部隊も傍受しているはずなどと判断して結局この事を空母部隊に伝えませんでした。

この時、アメリカ軍は日本軍の暗号を解読してミッドウェー攻撃を察知しており、できる限りの反撃体制を整えていました。そして、ミッドウェー基地航空隊と空母艦載機の波状攻撃により、日本の空母機動部隊は空母4隻が撃沈され大量の航空機と歴戦のパイロット多数を失う大敗北を喫し、これが太平洋戦争の転換点になったと言われています。

こうした経緯から、山本五十六が杜撰な作戦計画によりミッドウェーを強行した結果。日本海軍の虎の子たる空母機動部隊が壊滅しこれが太平洋戦争の敗戦を決定づけたとし、山本五十六が戦犯であるという説となっています。

山本五十六の指がない理由は日露戦争での負傷

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山本五十六は左手の2本の指がない事が知られていました。山本五十六が指を失った理由は1905年の日本海海戦での負傷でした。

山本五十六は21歳の時、少尉候補生として装甲巡洋艦日進に乗り込み日本海海戦で初陣にのぞみました。山本五十六は伝令として艦橋に配置され、艦長の命令を艦内の当該部署へ走り伝令する役割を務めました。

この海戦の時に、敵弾の砲弾が日進の主砲8インチ砲に命中した際の爆風に巻き込まれて山本五十六の指を吹き飛ばしたと言われています。ただ、これは敵弾の命中ではなく砲弾が発射される前に砲塔内で暴発した事によるものという説もあります。

いずれにしても山本五十六は艦内で応急措置を受けた後、海戦から3日後に佐世保海軍病院に収容され手術を受けました。この際に医師に「片腕を切断せねばならぬ」と言われますが、山本五十六は「片腕がなくなると軍人をやめねばならぬから、何とか切らないでくれ」と懇願したというエピソードが伝わっています。

これが、山本五十六の左手の指がない理由でした。

山本五十六の死因と遺体

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山本五十六は1943年4月18日に航空機（一式陸攻）で前線への視察に向かう途中に米軍機の襲撃を受けて撃墜されて59歳で戦死しています。

山本五十六の死因については遺体検死記録で「死因は戦闘機機銃弾がこめかみから下アゴを貫通した事、背中を貫通した事」と結論づけられています。

しかし、山本五十六の遺体を清めた安部茂元大尉らは顔面に銃創がなかったと報告していて実際の死因は「全身打撲か内臓破裂によるショック死」という説もあります。

山本五十六の遺体の状態については、最初に山本五十六が乗っていた墜落現場に到着した部隊の報告によると、山本五十六の遺体は墜落した機体の傍に放り出された座席に着座しており、右手で軍刀を握り泰然とした様子であったという事です。

まとめ

今回は、真珠湾攻撃を立案して太平洋戦争の火蓋を切った事で知られる旧日本海軍連合艦隊司令長官の山本五十六についてまとめてみました。

山本五十六が何した人かを大きくまとめると、「アメリカに5年間駐在して研究した」、「航空機の重要性に早くから着眼して日本海軍の航空部隊整備に尽力した」、「真珠湾攻撃を企画して米国との早期講和を狙った」、「ミッドウェー海戦を実施するも大敗した」といったことが挙げられます。

山本五十六は戦争中から国民的人気があり、終戦後も英雄的にみられてきた人物です。山本五十六がなぜ人気かは「航空機に着目するなど先見の明があった事」、「最後までアメリカとの戦争に反対していた事」、「部下想いで人間味のある人物であった事」などが挙げられます。

また、「やってみせ…」で始まる名言は企業研修で全文が取り上げられるほど、現在の人材育成やビジネスにも通じる格言として人気を集めています。

山本五十六は1917年に結婚しており、嫁は礼子さんという元会津藩士の家に生まれた女性でした。嫁の礼子さんとの間には4人の子供が生まれています。子孫は現在も存続しており、孫の源太郎さんが山本五十六記念館の館長を務められています。

山本五十六が太平洋戦争の戦犯とする意見もあり、その理由としてギャンブル的に真珠湾攻撃を実施していたずらにアメリカの戦意を煽った事や杜撰な計画によりミッドウェー海戦で大敗して主力空母を失った事などが挙げられます。

山本五十六は左手の指がない事も知られていましたが、これは日露戦争の日本海海戦に参加した際に受けた傷が原因でした。

山本五十六の死因は前線視察のために航空機で移動中に敵機の攻撃を受けた事でした。死因については「銃撃が頭部を貫通した説」と「全身打撲か内臓破裂によるショック死説」がありますがはっきりしていません。遺体の状態は「右手で軍刀を握り泰然とした様子」だったと伝えられています。