人式に振袖を着る。これは女の子にとっては当たり前のことであり、振袖を着て成人式を祝うのを楽しみにしている人はたくさんいます。1年以上前から振袖の予約をして準備をしている人もいるほどです。
でも、成人式の日の当日、予約していた振袖が着られないことになったら?そんなことが実際に起こったのが、はれのひ事件です。
はれのひ事件の概要や発覚から倒産・逮捕までの流れ、各自治体の対応、社長の篠崎洋一郎の経歴や嫁・家族について、倒産後の現在をまとめました。
この記事の目次
はれのひ事件とは
はれのひ事件とは、2018年1月8日に振袖のレンタルや着付けを行っていた「はれのひ」の店舗が突然何の前触れの閉鎖された事件です。
2018年1月8日は、全国各地で成人式が行われた日です。そのため、新成人が振袖を着るために、はれのひに振袖のレンタルや着付けを頼んでいた人はたくさんいました。
それにも関わらず、何の連絡もなしに成人式当日に店舗が閉鎖されていたんです。当然、はれのひに振袖のレンタル・着付けを頼んでいた新成人は振袖を着ることができなかったり、成人式に出席できなくなりました。
成人式は一生に一度の大切な日です。その一生に一度の日を、「はれのひ」によって台無しにされてしまったという人が続出した。それがはれのひ事件なんです。
はれのひの概要
出典:iq-19.com
はれのひ事件を知る上で、「はれのひ」とはどんな会社だったのかを知ることは大切です。はれのひの概要を確認しておきましょう。
・資本金:150万円
・本社:神奈川県横浜市
・設立:2011年
・店舗:福岡・天神、東京・八王子、神奈川・横浜、茨城・つくばの4店舗
・業務内容:着物や振袖の販売・貸出、着付け、フォトスタジオ
はれのひは以前は振袖販売店向けのコンサルティング業を行っていましたが、2012年から着物の販売や貸出業に参入しています。
2018年時点で、はれのひの店舗は次の4店舗でした。
・横浜みなとみらい店
・八王子店
・つくば店
はれのひ事件の発生と倒産・逮捕までの流れ
はれのひ事件の発生から倒産・逮捕までの流れを説明していきます。
1.2018年の成人の日に3店舗が突然閉鎖
はれのひ事件は、2018年1月8日の成人の日に発生します。はれのひの福岡天神店を除く3店舗が何の説明もなく閉鎖され、さらに着付け会場へも振袖が届けられていないことが発覚します。
店舗はもぬけの殻で誰もおらず、さらに社長の篠崎洋一郎とも連絡がつかない状態であるため、はれのひに振袖を頼んでいた新成人は、振袖を着て成人式に出ることができなくなってしまいました。
2.通報が相次ぐ
はれのひの3店舗が突然閉鎖しまい、振袖を着られなくなったことで、警察への通報が200件ほど寄せられることになります。
はれのひの振袖は前払いで予約することになっているので、社長と連絡がつかないということは、成人式に振袖を着られないし、レンタル料も返金されないということになります。
3.社長は音信不通状態に
はれのひの社長は、篠崎洋一郎という人物でしたが、はれのひ事件発覚後、まったく連絡を取ることができず、音信不通状態になります。
社長の篠崎洋一郎が公の場に姿を現したのは、1月26日のこと。事件から2週間以上経ってからでした。
社長は1月26日に横浜市内で会見を開きましたが、1月8日の成人式当日は知人宅に滞在していたとのことです。
さらに、このような「はれのひ事件」が起こったのは、「人件費のコストが拡大して大幅な赤字となった。売り上げの減少に歯止めがかからず、成人式当日の着付け費用の支払いのメドがたたないことからこのような事態となった」と説明しています。
この説明に納得できた被害者はいないと思います。
4.はれのひの破産(倒産)
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はれのひは全店舗が閉鎖され、1月8日の時点で事実上の倒産状態となっていましたが、実際に破産手続きが行われたのは、社長の篠崎洋一郎が姿を現した1月26日になってからです。
6月に行われた第1回債権者集会では、負債が約10億8500万円であり、資産は振袖を売却した1620万円しかないことがわかっています。
2018年7月30日には、はれのひは法人格が消滅し、倒産(破産)しました。
5.社長と嫁・家族はアメリカに逃亡
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はれのひの社長である篠崎洋一郎と嫁や家族は、破産手続きが行われている間、アメリカに逃亡していたことがわかっています。
1月26日に横浜で記者会見を開いて以降、再び行方が分からなくなっていた篠崎洋一郎ですが、どうやら3月下旬に嫁・家族と一緒にアメリカに行っていたようです。
そして、6月23日にアメリカの「ビザなしで滞在できる」とされる90日が迫っていたため、日本に帰国しています。
6.詐欺容疑で逮捕
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6月23日に日本に帰国した社長の篠崎洋一郎は、成田空港で任意同行を求められ、詐欺容疑で逮捕されています。
粉飾決済をして、神奈川県の銀行から融資金3500万円をだまし取り、さらに都内の銀行からも融資金をだまし取った疑いです。
はれのひ事件で振袖が着られない被害者への各自治体の対応
はれのひ事件で振袖が着られない新成人が続出しました。成人式は一生に一度のもの。その被害者のために、各自治体や団体が被害者救済のためにいろいろな動き・対応をしています。
つくば店は前日に成人式
つくば店は成人の日の1月8日に突然閉店となりました。しかし、つくば市やその周辺の自治体は前日の1月7日に成人式を行っていたため、「成人式に振袖を着られない」という被害はありませんでした。
しかし、着付けが間に合わず、成人式への出席が遅れてしまったなどはあったようです。
そして、被害が全くなかったわけではありません。来年(2019年)の成人式のために、すでにはれのひ・つくば店で振袖を購入していた人もいて、その人たちはお金をだまし取られた形になり、振袖は戻ってきませんでした。
天神店は社員の奮闘でギリギリセーフ!
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天神店は1月8日に店舗は閉店しませんでした。役員からは「1月8日に店を開けないように」との指示があったようですが、有志の社員が店舗を開け、振袖のレンタルや着付けを行ったんです。
この天神店の奮闘は、テレビ番組の「ザ・世界仰天ニュース」で取り上げられました。本社からは閉店するように指示があり、前払いのはずの報酬が振り込まれていないからと美容師や着付け業者からも成人式当日の仕事をキャンセルされていました。
しかし、天神店の店長は新成人の門出を祝わなければならないという使命感から、自腹を切って美容室や着付け業者を手配します。そして、無事当日予約していた123人の新成人の着付けをやり遂げました。
この店長も数ヶ月間会社から給料が振り込まれていませんでしたが、それでも「顧客のため」という責任感から自腹を切って仕事をしたんです。
また、有志の社員だけでは顧客全員の着付けをするのができなかったため、派遣会社が無償でスタッフを派遣して対応しています。
この天神店は翌日の1月9日には閉店しました。
八王子市やボランティアの動き
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八王子店では1月8日に閉店し、多数の被害者が出ました。八王子市は、被害者のために成人式の会場に急遽着付けスペースを作り、着付けできる人や美容師への協力を呼びかけ、被害者が振袖を着て成人式に参加できるように対応しました。
また、1月12日には八王子市の美容師や呉服店主ら100人以上の有志による「八王子成人式プレゼント実行委員会」が2月12日にオリンパス八王子で再度成人式を行うことを発表しています。
この2月12日のやり直し成人式には八王子市も後援に回り、市長も駆けつけています。
横浜市やボランティアの動き
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横浜店でも1月8日の突然の閉鎖に、被害者が続出したため、本来なら午前の部に出席する人が間に合わないなら午後の部に出席できるように対応をしています。
また、横浜市の消費生活総合センターでは、はれのひ事件被害者のために特別相談窓口が開設されました。
そして、1月12日にはキングコングの西野亮廣さんが「リベンジ成人式」を行うことを発表しています。クラウドファンディングで資金を集め、被害者には振袖を無償で貸し出して、2月4日に横浜港での船上ディナーに招待するという企画で、もちろんと実施されました。
そのほかのボランティアの動き
ギャル雑誌の「小悪魔ageha」は、渋谷にあるスタジオで被害者に振袖を無料で貸し出して、「小悪魔ageha振袖撮影会2018」を開催することを発表しています。
また、フォトスタジオの「スタジオアリス」では、子会社の「ふりそでAlice」が被害者に無料で振袖を貸し出しと撮影を行うことを発表しました。
このはれのひ事件は人生で一度の重要な成人の日の被害であったこと、さらに連絡なしに突然成人式の当日に閉店するという悪質さが目立ったことなどから、各自治体だけでなく、ボランティアや企業が救済に積極的に動いたのだと思います。
はれのひ事件の社長・篠崎洋一郎の経歴
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はれのひ事件は、社長の篠崎洋一郎に批判が集まりました。あまりにも悪質な事件だったためです。せっかくの成人の日をなのに、何の予告もなく店舗を閉鎖してしまうというのは悪質でですよね。当日になって、振袖を着られない、成人式に出られないという人が続出するのはわかりきっていたことなのに。
しかも、この篠崎洋一郎は事件当日は知人宅に隠れて姿を現さず、ようやく姿を現したのは事件から約20日も経ってからのこと。それからまたすぐに姿をくらましてしまったのですから、ハッキリ言えば、無責任で質が悪いです。
天神店の店長とは、天と地の差ですよね。従業員で給料を貰えていないのに自腹を切って、顧客の信頼に応えた社員。自分のことしか考えていない無責任社長。せっかく素晴らしい社員がいるのに、社長がダメだと、企業自体がダメになってしまうという典型例です。
では、そんな無責任なはれのひ社長の篠崎洋一郎の経歴について見ていきましょう。
・生年月日:1962年8月11日
・出身:茨城県
・最終学歴:茨城県立日立第一高等学校(定時制)卒業
最終学歴が高卒で、しかも定時制卒業という経歴を見ると、たたき上げの社長だったことは間違いないようです。
次に篠崎洋一郎の仕事の経歴をご紹介します。
・2003年 大手の呉服会社「一蔵」に入社
・2007年 一蔵を退社
・2008年 呉服店へのコンサルティング会社を設立
・2011年 はれのひの前身となるシーン・コンサルティング株式会社を設立
・2012年 着物・振袖のレンタル業に参入
・2018年 はれのひ事件発生、はれのひ倒産
この経歴を見ると、はれのひの社長の篠崎洋一郎はアパレル系・呉服系の会社で経験を積んだ後に独立し、社長になったことがわかります。
はれのひは全国100店舗展開や、株式上場、日本国外への進出も構想していて、業務を拡大しているように見えましたが、一方でお給料未払い(遅配)が目立つようになり、社員が定着せずに、入れ替わりが激しかったということがあったようです。
はれのひ事件の社長・篠崎洋一郎の嫁や家族の情報
はれのひ事件の社長・篠崎洋一郎に批判が集中しています。これは、あまりにも事件が悪質であり、さらに雲隠れするなど社長としてはあり得ないほど無責任な対応を取っていたからです。
社長の篠崎洋一郎には嫁や家族がいます。
出典:sora-ten.com
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2015年に20代の女性と結婚して、子どもができています。ただ、この結婚は再婚であり、一蔵に入社する前に離婚したことがあったようです。
篠崎洋一郎と嫁・家族は1月26日に記者会見をした後は姿をくらまし、アメリカに滞在していたことがわかっています。この写真を見てもわかるように、アメリカから日本に帰国した社長も嫁も綺麗なものを着ていますよね。
資金繰りに困ってやむを得ず倒産したはずなのに、社長と嫁・家族はアメリカで3ヶ月間も過ごしていた。このお金はいったいどこから出ているのでしょうか?
この篠崎洋一郎は隠し財産があったのではないかとも言われています。そうでないと、アメリカで3ヶ月間も暮らすことはできません。
それにしても50代で20代の嫁と再婚というのはすごいですよね。羽振りが良かった時は、若い女性が寄ってきますが、倒産後はいったいどうなっているのか気になるところです。
はれのひ事件の社長・篠崎洋一郎の倒産後その後や現在
はれのひ事件ではれのひは倒産しましたが、現在はどうなっているのかを調べてみました。
はれのひは2019年7月30日に法人格が消滅し、倒産しています。そして、6月23日に社長の篠崎洋一郎はアメリカから日本に帰国し、銀行から合計6500万円をだまし取ったとして2件の詐欺容疑で逮捕されました。
2018年12月には横浜地裁で懲役2年6ヶ月の実刑判決が下っています。そして、2019年5月には高裁で1審の判決を支持する判決、つまり懲役2年6ヶ月の実刑判決となっています。
上告しているかどうかの情報はありません。また、保釈されているのか、拘置所で拘留されているのかも不明です。
ただ、高裁では控訴棄却となっていて、最高裁に上告するには憲法に違反していたり、憲法の解釈が誤っている場合のみに限られますので、すでに刑務所に入っている可能性が高いです。
まとめ
はれのひ事件の流れや振袖が着られなかった被害者への救済、社長の篠崎洋一郎の経歴や嫁・家族、倒産後の現在についてまとめましたが、いかがでしたか?
はれのひ事件は人命にはかかわる事件ではありませんでしたが、新成人の門出を台無しにする者であり、その後の対応も最悪で無責任なものでした。
この事件は本当に社長の篠崎洋一郎の無責任さにスポットが当たり、「はれのひ=悪徳社員」というイメージが付いていますが、役員の指示を聞かずに成人式当日に着付けを行った天神店の社員のような人もいるんです。はれのひ事件は本当にひどい事件でしたが、そのような社員がいることだけは覚えておきたいですね。