「結核」というと、過去の病気、昔の病気というイメージを持っている人が多いと思います。確かに、戦前までは有効な治療法がなく、とても恐ろしい病気でした。でも、今でも結核にかかるリスクは低くありません。現に、芸能人でも結核になった人はいます。
結核の症状や原因、結核にかかったことがある芸能人・有名人をまとめました。これを見れば、あなたも「結核は禍根病気ではない」と思えるようになるはずです。
結核とは
結核とは結核菌という細菌に感染して起こる感染症です。現在は、抗生剤の投与などで完治が可能な病気となっていますが、戦前は不治の病と考えられていて、明治までは結核ではなく「労咳(ろうがい)」と呼ばれていた病気です。
そして、現在は完治可能な病気とは言っても、「簡単な病気」、「過去の病気」というわけではなく、現在でも怖い病気であることには変わりありません。
日本では現在でも毎年2万人前後の人が結核に感染し、2000人前後が結核で死亡しています。しかも、日本は先進国の中でも結核の患者数が多く、結核後進国と呼ばれています。
だから、結核は決して過去の病気というわけではなく、現在でも危機感を持っておく必要がある病気なんですね。
ちなみに、結核は感染した人全員が発症するわけではありません。ほとんどの人は自分の免疫力が勝って、結核菌を抑え込みます。そのために、感染後に発症するのはほんの一握りだけです。
ただ、ずっと体の中に結核菌がくすぶっていて、免疫力が低下した高齢者になってから、発症することがあります。
結核の芸能人・有名人25名
結核を患った芸能人・有名人をご紹介します。結核という病気の性質上、一昔前の有名人が多いですが、若い世代の芸能人もいるんです。これを見れば、結核は身近な病気であることがわかると思います。
1.JOYさん
JOY
生年月日:1985年4月15日
出身:群馬県高崎市
身長:190cm
所属:Grick
血液型:A型
活動:モデル、タレント
ハーフモデルの先駆け的な存在であり、モデルやタレントとして活躍しているJOYさんは、2011年3月に肺結核で入院生活を送っています。
肺結核を発症したのは2010年。最初は風邪だと思っていたのですが、なかなか治らないために病院を受診したのですが、その時は「風邪」と診断されたそうです。
さらに体調が悪化して精密検査をしたら、ようやく肺結核だとわかって3ヶ月間の入院をしています。退院後は、積極的に結核の啓もう活動を行っていますね。
2.箕輪はるかさん
箕輪はるか
生年月日:1980年1月1日
出身:東京都府中市
身長:160cm
所属:吉本興業
血液型:A型
活動:お笑いタレント
ハリセンボンの箕輪はるかさんは、2009年に結核で2か月間入院し、芸能活動を休止しています。2008年末ごろから結核の症状が出ていたとのことです。
箕輪はるかさんが結核を発症したことで、一般的に「結核は若い人でもかかる病気なんだ」という認識が広がり、結核に対しての危機感を持つ人が増えたと思います。
3.青島幸男さん
出典:jiji.com
青島幸男
生年月日:1932年7月17日
没年月日:2006年12月20日
出身:東京都
活動:作家、タレント、政治家
「いじわるばあさん」のキャラクターとして、また参議院議員や東京都知事として知られる青島幸男さんは、早稲田大学卒業間近に結核を発症しました。そのために就職をあきらめて、大学院に進学し、療養生活に入っています。
回復後は放送作家としてテレビ業界に入っています。
4.久米宏さん
出典:tbsradio.jp
久米宏
生年月日:1944年7月14日
出身:埼玉県さいたま市
身長:184cm
所属:オフィス・トゥー・ワン
血液型:A型
活動:フリーアナウンサー
フリーアナウンサーの久米宏さんは、早稲田大学卒業後にTBSにアナウンサーとして就職します。入社直後は激務とストレスなどで免疫力が下がったためか、結核を発症しました。
その後は2年半療養生活を送り、電話番などをして、後輩アナウンサーに出世を追い越されてしまったそうです。
5.藤子・F・不二雄さん
藤子・F・不二雄
生年月日:1933年12月1日
没年月日:1996年9月23日
出身:富山県高岡市
活動:漫画家
ドラえもんの生みの親である藤子・F・不二雄さんは、漫画家を目指して上京した直後に結核を発症したそうです。ただ、この時は気力で回復したというエピソードがあります。免疫力を高めることで、自然治癒したのかもしれませんね。
6.日野原重明さん
日野原重明
生年月日:1911年10月4日
没年月日:2017年7月18日
出身:山口県山口市
活動:医師
聖路加国際病院の名誉院長であり、生活習慣病という呼び名の生みの親、「生き方上手」の著者である日野原重明さんは、京都大学医学部在学中に結核を発症しています。1年間の闘病生活を送り、復学しています。
復学当時は体調不良だったため、楽そうな精神科医になることを考えますが、結局は循環器内科医として入局しています。
7.三浦雄一郎さん
三浦雄一郎
生年月日:1932年10月12日
出身:青森県青森市
活動:スキー選手、登山家
登山家・冒険家・スキー選手の三浦雄一郎さんは、80歳でエベレストに登頂するなどの経歴を考えると、健康そのものというイメージがありますが、小学校4~5年生の時に結核を患っています。
長期入院したことで、学校にはなかなか通えなかったという少年時代を送り、小学校浪人なども経験している苦労人なんです。
8.森光子さん
出典:jprime.jp
森光子
生年月日:1920年5月9日
没年月日:2012年11月10日
出身:京都府京都市
所属:オフィス・モリ
血液型:B型
活動:女優
往年の大女優の森光子さんは、1949年に結核を発症して3年間も闘病生活を送っています。
当時、結核の治療薬であるストレプトマイシンは非常に高価で貴重なものでしたが、闇で仕入れたものを「モルモット(実験台)」の名目で投与したことで、一命をとりとめたそうです。
9.夏目漱石さん
夏目漱石
生年月日:1867年2月9日
没年月日:1916年12月9日
出身:東京都新宿区
活動:小説家
「坊ちゃん」や「こころ」、「吾輩は猫である」などの著作で知られる夏目漱石さんは、高等師範学校の教師となった翌年の1894年に結核を発症し療養生活を送っています。
当時は不治の病とされていた結核を発症したことやその他の要因も絡んで、神経衰弱が進んでいったようです。
10.沖田総司さん
沖田総司
生年月日:1842年
没年月日:1868年
出身:東京都
活動:新選組一番隊長
新選組の一番隊長である沖田総司さんが、肺結核で亡くなったことは有名ですよね。新選組の中でも群を抜いて剣が強く、天才剣士とも言われた沖田総司さんは京都時代から結核を発症し、東京に来た後は新選組を離れ、療養生活を送っています。
11.石川啄木さん
石川啄木
生年月日:1886年2月20日
没年月日:1912年4月13日
出身:岩手県
活動:歌人、詩人
歌集「一握の砂」で知られる歌人の石川啄木さんは、1911年に結核を発症しています。ずっと発熱が続く中、翌年の1912年に結核で死去しています。
奥様の節子さんも1913年に結核で亡くなっています。お姉さんも結核で亡くしているなど、石川啄木とその家族にとっては、結核はまさに不治の病だったと言えるでしょう。
12.高村光太郎さん
高村光太郎
生年月日:1883年3月13日
没年月日:1956年4月2日
出身:東京府東京市
活動:詩人、歌人、彫刻家
「智恵子抄」の著者である高村光太郎さんは、1956年に肺結核で亡くなっています。奥様の智恵子さんも結核で亡くされていますので、奥様を看病した時に結核に感染し、高齢になってから発症したのかもしれませんね。
13.高村智恵子さん
高村智恵子
生年月日:1886年5月20日
出身:福島県
活動:洋画家
智恵子抄のモデルであり、高村光太郎さんの妻である高村智恵子さんは長年肺結核を患い、1938年に亡くなっています。高村智恵子さんは肺結核以外にも、統合失調症を患っていて、結婚前から療養生活を余儀なくされています。療養生活を送りながら、創作活動を行っていました。
14.高杉晋作さん
出典:kodomo.go.jp
高杉晋作
生年月日:1839年9月27日
没年月日:1867年5月17日
出身:山口県萩市
活動:幕末長州藩士
幕末の長州藩士であり松下村塾の門下生でカリスマ性を持っていた高杉晋作さんは、尊王攘夷の考えのもと、倒幕活動を行っていましたが、大政奉還前の1867年5月に肺結核で療養していた下関市で亡くなっています。
享年29歳。この若さで倒幕の中心人物だったことを考えると、いかに優秀な人物だったか、そして当時は若くして名をはせる人が多かったかがわかりますね。
15.中原中也さん
中原中也
生年月日:1907年4月29日
出身:山口県山口市
活動:詩人、歌人
詩人・歌人として活躍し、『山羊の歌』などの代表作で知られる中原中也さんも、結核で亡くなっています。長男の文也君を小児結核で亡くした後は、心身ともに衰弱し、1937年に結核性の脳膜炎で急逝しています。
30歳の若さで死去しましたが、350編以上の詩を残していて、死後に再評価され、中原中也全集も出版されています。
16.滝廉太郎さん
滝廉太郎
生年月日:1879年8月24日
没年月日:1903年6月29日
出身:東京都
活動:作曲家
「荒城の月」や「箱根八里」などの作曲で知られる滝廉太郎さんは、1901年にドイツに音楽留学します。しかし、わずか5ヶ月後に結核を発症し、帰国を余儀なくされました。
その後、大分県で療養を続けますが、1903年に自宅で亡くなっています。わずか23歳の若さでした。20歳前後の若者が、今でも日本人がみんな知っている曲を作曲したというのはすごいですね。
17.陸奥宗光さん
陸奥宗光
生年月日:1844年8月20日
没年月日:1897年8月24日
出身:和歌山県和歌山市
活動:政治家、外交官
外交官であり、外務大臣として日中戦争の講和条約である下関条約を日本に優位な立場で締結したことで有名な陸奥宗光さんは、肺結核で亡くなっています。
下関条約の後にロシア・ドイツ・フランスからの三国干渉があった時の閣議では、すでに東京を離れていて療養生活を送っており、兵庫県で療養していた病床で閣議が開かれるほどだったそうです。
18.小村壽太郎さん
小村壽太郎
生年月日:1855年10月26日
没年月日:1911年11月25日
出身:宮崎県日南市
活動:政治家、外交官
外務大臣を務めたこともある小村壽太郎さんは、日英同盟やポーツマス条約、関税自主権の回復などに貢献した人物です。1911年に桂内閣が総辞職したのと同時に政界を引退しますが、同年の11月に神奈川県の葉山で結核の療養中に亡くなっています。
19.樋口一葉さん
樋口一葉
生年月日:1872年5月2日
没年月日:1896年11月23日
出身:東京都
活動:小説家
小説家の樋口一葉さんは「たけくらべ」や「にごりえ」、「十三夜」などの作品で知られていて、5000円札の肖像にもなっている人ですが、肺結核を患っていました。森鴎外を通じて、当時の著名な医師にも診察を受けましたが、回復は絶望的との診断を受け、24歳の若さで亡くなっています。
24歳の若さで読み継がれる作品を残し、さらにお札にもなるような功績があるなんて、すごい才能だったのですね。
20.武田信玄
武田信玄
生年月日:1521年12月1日
没年月日:1573年5月13日
出身:甲斐
活動:戦国武将
戦国武将の武田信玄は、風林火山や上杉謙信との川中島の戦いで有名ですが、結核で亡くなったとの説があります。武田信玄の医師の記録よると、血痰(吐血・喀血?)や呼吸苦があったとのことですので、この説はかなり信ぴょう性があると思います。
もちろん、結核以外にも暗殺や毒殺、がんなどの説もありますが、もう400年以上前のことなので、本当のところは不明ですね。
21.正岡子規さん
出典:sankei.com
正岡子規
生年月日: 1867年10月14日
没年月日:1902年9月19日
出身:愛媛県松山市
活動:俳人、歌人
明治に活躍した正岡子規は俳句、短歌、新体詩、小説、評論、随筆など多方面の文芸作品を残し、野球を愛したことでも知られています。
正岡子規は少年時代から病弱で、1889年には結核と診断されます。それでも、日清戦争に従軍しましたが、大量喀血をして重篤な状態に陥り、歩行も困難な状態になりました。晩年の3年間はほぼ寝たきりのような状態になってしまい、1902年に亡くなっています。
22.二葉亭四迷さん
出典:amazon.co.jp
二葉亭四迷
生年月日:1864年4月4日
没年月日:1909年5月10日
出身:東京都
活動:小説家、翻訳家
「浮雲」で知られる二葉亭四迷さんも、結核で亡くなっています。二葉亭四迷さんは小説家や翻訳家として活動していましたが、1904年に朝日新聞社に入社しています。
朝日新聞特派員としてロシアに赴任していましたが、肺結核を発症し日本への帰国を余儀なくされています。ただ、日本の土を踏む前にベンガル湾上で息を引き取り、シンガポールで火葬されました。
23.ヴィヴィアン・リーさん
出典:ameblo.jp
ヴィヴィアン・リー
生年月日:1913年11月5日
没年月日:1967年7月8日
出身:インドのダージリン
活動:女優
イギリスの女優であり、『風と共に去りぬ』や『欲望という名の電車』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したヴィヴィアン・リーさんは、1940年代半ばごろから結核を患うようになり、慢性の結核の発作に見舞われていました。
そして、1967年に結核が原因で死去しています。ヴィヴィアンリーさんは結核以外にも双極性障害(躁うつ病)も患っていて、女優業をセーブしなければいけないこともあったようです。
24.フランツ・カフカさん
出典:amazon.co.jp
フランツ・カフカ
生年月日:1883年7月3日
没年月日:1924年6月3日
出身:チェコ
活動:小説家
チェコ出身のカフカは、「変身」や「審判」、「城」、「失踪者」などの作品で知られていて、世界的なブームも巻き起こした作家です。
1917年に肺結核を発症すると、その後は療養生活を続けていましたが、1924年に亡くなっています。享年40歳でした。
25.フレデリック・ショパンさん
出典:twitter.com
フレデリック・ショパン
生年月日:1810年3月1日
没年月日:1849年10月17日
出身:ポーランド
活動:作曲家、音楽家
「別れの曲」や「ノクターン」、「子犬のワルツ」で知られる作曲家のフレデリック・ショパンは、少年期から病弱だったようです。そして、19歳の時にはすでに結核を患っていたと推測されます。
19歳の時のショパンの肖像画を見たショパンの伝記作家は、「この若者が結核に罹っていることがわかる。彼の肌は極端に白く、喉頭隆起が見られ、頬は落ち窪んでいる。また耳も結核に典型的な消耗を呈している」と記しています。
ショパンの死因は明らかにはなっていませんが、結核が死因であるという説が濃厚です。
結核の症状
結核は結核菌に感染して発症した感染症の総称ですので、髄膜炎や心膜炎、腎結核などを起こすこともあります。ただ、やはり結核と言えば、肺結核が代表例ですので、ここでは肺結核の症状を中心に説明していきます。
・倦怠感(体がだるい)
・食欲不振
・体重減少
・微熱
・就寝時の発汗
・咳
・痰(血が混ざることもある)
これらが肺結核の特徴的な症状です。血痰が出てくるのは、症状がかなり進行してからになりますし、肺結核の患者さん全員が血痰が出るわけではありません。
そのため、結核の症状が出ても、最初は「風邪ひいたかな?」くらいにしか思わずに、病院に行くのは症状が悪化してからというケースが多いんです。
ただ、その時点ではすでに結核菌をいろいろなところでばらまいているということになるので、結核は質が悪い感染症なんですね。
結核の原因
結核の原因は結核菌に感染することです。先ほども言いましたが、結核菌に感染しても、全員が発症するわけではありません。ただ、感染すると体の中に結核菌はずっとくすぶっていて、発症するのを待っているような状態になります。
また、結核が厄介なのは、結核の感染経路にあります。結核菌は空気感染するんです。結核菌は小さくて軽いので、長時間空気中を浮遊することができるので、感染しやすいんですね。
だから、患者さんが1人いて、その人が咳をするだけで、たくさんの人が感染するリスクがあるというわけです。
そして、結核は免疫力が低下すると感染しやすくなるので、次のような人は注意が必要です。
・高齢者
・ストレスを抱えている人
・糖尿病やHIV
・ステロイド剤を使っている人
これらの人は結核菌に感染して発症しやすくなります。
まとめ
結核の症状や原因、結核の芸能人・有名人をまとめましたが、いかがでしたか?結核は確かに、戦前の方が流行していましたし、不治の病とされていましたが、現代でも感染する可能性は十分にあります。
風邪が長引くようであれば、早めに専門医を受診するようにしましょう。