世界第2位の臓器移植大国・中国では臓器売買の闇が告発され話題ですが、日本も無関係とは言えないようです。
今回は臓器売買について、中国における生きたまま臓器摘出の噂と真相、日本の法律や現状、臓器の値段をまとめました。
この記事の目次
中国の臓器売買が“オンデマンド殺人”だと言われる理由とは
中国では、健康状態や血液型などを調べ、臓器を摘出する人のリストをつくっています。
“臓器を提供する側”が待っている状態なのです。これは需要のために人を殺す、”オンデマンド殺人”です。
こう指摘するのは、約10年に渡って中国での臓器売買問題の調査に当たってきた、カナダの国際人権弁護士、デービッド・マタス氏です。
実際、一般的に臓器移植を受けるに当たっては、ドナーが見つかるまでに数年を要するのが普通です。
世界第1位の移植大国であるアメリカでも、平均して約5年もの待ち時間が必要で、早くても2~3年待つのは当たり前の状況なんですよね。
が、しかし!2000年代前半頃より臓器移植の件数が急激に増加し、今やアメリカに次ぐ世界第2位の移植大国となった中国では、その待ち時間が短すぎると話題なのです。
中国では、数日から2週間、長くても4週間と、臓器移植に要する待ち時間は驚異的に短く、早い場合は数時間で臓器移植が受けられる態勢が整っているのだとか。
マタス氏とともに、中国での臓器売買問題の調査に当たってきたイスラエルの心臓移植医、ジェイコブ・ラヴィ氏は次のように述べています。
「人がいつ死ぬのかは分かりませんから、事前に臓器移植の計画を立てることはできないはずです。しかし、中国では1~2週間で臓器移植ができることになっています。その理由は、収容所の囚人に死を宣言したその日に、臓器を取れるからです。2週間後に中国に行けば心臓手術を受けられると言われて、中国に行った患者もいました」
引用:中国で急増する臓器移植 その臓器は“無実の囚人”から摘出されている | ザ・リバティweb https://the-liberty.com/
彼らの調査によると、中国国内に169ヶ所もの移植認定病院があり、そこから推定すると中国での臓器移植は年間6~10万件行われている計算になるのだとか。
そしてこの数字は、中国政府の公式発表による年間臓器移植件数“1万件”とは大きく異なるんですよね。
マタス氏とラヴィ氏とともに、この問題の調査に当たったカナダの元国務大臣であり弁護士のデービッド・キルガー氏は、次のように語っています。
「たとえ臓器移植の件数が年間5万件だったとしても、1日に165人が殺されていることになります。臓器提供者の多くは、”無実の囚人”である法輪功の学習者です。法輪功の学習者は、強制収容所で1日16時間働かされた上、臓器検査を受けさせられます。臓器を移植できる状態か、調べるためです」
引用:中国で急増する臓器移植 その臓器は“無実の囚人”から摘出されている | ザ・リバティweb https://the-liberty.com/
そんな、にわかには信じがたい恐るべき話がバンバン飛び出したのは、「中国における臓器移植を考える会(SMG)」発足の記者会見でのことでした。
中国の臓器売買の闇と真相① 実態が内部告発で暴露され話題に
そんな中国の臓器移植手術体制の“闇”の一端が明らかになったのは、中国の元医療関係者の女性が、アメリカで衝撃的な告発をした2006年3月のことでした。
出典:https://www.youtube.com/
この女性はアニーと名乗る中国人女性で、遼寧省蘇家屯の病院に勤務する元医療事務員で、彼女には脳神経外科医の夫がいました。
彼女の夫が勤務する病院の地下には、常時5,000~6,000人の法輪功学習者が監禁されているそう。
そしてそのうち約4,000人が薬物注射で仮死状態にされ、必要に応じて心臓や肝臓、腎臓、角膜などを摘出されているのだとか。
そして、あらゆる臓器が摘出され、抜け殻になった身体は、病院近くのボイラー室で焼却されている…そんな衝撃的な告発だったのです。
出典:https://www.youtube.com/
アニーの夫自身も、3年間のうちに2,000件もの角膜摘出手術に携わってきたと言います。
しかし、とうとう良心の呵責に耐えきれなくなった夫がアニーにそのことを告白。そして、今回の告発に繋がったのだとか。
中国の臓器売買の闇と真相② 無実の法輪功学習者などがドナー(被害者)との指摘も
中国の臓器移植件数が激増したのは、2000年以降でした。
移植に供された臓器の出所について、中国政府はドナーの9割は死刑囚から摘出したと公表しています。
ですが、中国の死刑囚は年間2,000人前後で、中国当局が発表している年間1万件の臓器移植数を大きく下回るんですよね。
出典:http://smgnet.org/
しかも、中国人は伝統的な考え方から臓器提供に抵抗があるため、自発的な臓器提供はほとんどないと言います。
では、死刑囚から摘出した以外の臓器はどこから調達してきたのでしょうか?
マタス氏らの調査によると、臓器供給源となっているのは、囚人や法輪功学習者らで、ウイグル族やチベット族などの少数民族も対象になっていることが判明しています。
ここに「法輪功」とは…
法輪功は心身を向上させる中国の伝統的な修煉方法で、中国政府は1990年末までに七千万人の中国国民が修煉していると発表しました。共産党員を上回る数となったため、当時の江沢民国家主席が、法輪功学習者の拡大に脅威を覚えて、迫害し始めたのです。また、中国国内では政府の「法輪功は邪教である」というデマが流されました。
引用:人類史上最悪の「悪魔の所業」 中国の臓器狩りの実態を語る http://jp.endtransplantabuse.org/
出典:https://www.epochtimes.jp/
ちなみに、中国当局は1999年7月から、中国全土で法輪功への迫害運動を開始しており、以来、数十万人もの法輪功修煉者が逮捕、拘禁されたと言われています。
そして、中国の臓器移植件数が激増したのが…前述したように2000年以降なのです。これは単なる偶然の一致と言えるのでしょうか?
中国の臓器売買の闇と真相③ 生きたまま臓器摘出の噂と現状
これだけでも十分におぞましい話なのですが、受刑者からの臓器摘出は、“生きたまま”の状態で行われているとの内部告発もあるんですよね。
出典:https://biz-journal.jp/
2017年、韓国の調査報道番組「セブン」が、人を意図的に脳死状態にさせる「脳死マシーン」の開発が中国で秘密裏に行われているとのスクープを発表しているのです。
なんでも、ドナーを脳死状態にすることで、臓器保存液が必要なくなり、運搬時の虚血許容時間を考慮する必要がないため、より新鮮な状態を長時間保つことが可能になるのだとか…。
中国の臓器売買に対する現状① 反対の決議案が世界各国で可決
ここ数年、米国やヨーロッパ各国は中国政府に対して、法輪功学習者らからの臓器摘出を停止するよう求める決議案が、続々と採択されています。
出典:https://www.youtube.com/
中でも、イスラエル、スペイン、台湾は、自国民が中国で臓器移植を受けることを実質的に禁止する法律を制定しているんですよね。
2015年6月12日、台湾立法院は「人体臓器移植条例」修正案を可決し、台湾国民が臓器提供を受ける場合、国内外を問わず「無償贈与」方式とすることを明確に規定しました。違反者には最高で 5 年の実刑判決と 150 万元(約 480 万円)の罰金が科せられます。医師が臓器移植の仲介に関わった場合、医師免許がはく奪されます。
2012年4月、イスラエル政府は、同国民が海外で提供者が不明な臓器や、違法なルートで入手した臓器を使った移植手術を受けること(移植ツーリズム)を禁止する法律を成立させたほか、国外で臓器移植手術を受ける同国民に対し、保険会社が保険金を支払うことも禁止しました。
スペインでは2010年に「スペイン臓器移植法」を改訂し、同国民が中国で移植手術を受けることを禁止しました。
引用:中国の臓器狩りの共犯者にならないでください https://www.change.org/
出典:https://www.sankei.com/
中国の臓器売買に対する現状② 日本の法律と措置とは?
では、臓器売買問題に対する日本の法律はどのようになっているのでしょうか?
日本における臓器売買については、2009年に「臓器の移植に関する法律」が施行されており、法律により明確に禁止されています。違反者には次のような罰則が科せられることになります。
出典:https://o-ishin.jp/
日本においては2009年の改正臓器移植法(正式名称は「臓器の移植に関する法律」)により、臓器売買は禁止されています。すなわち、「臓器売買の禁止、罰則:臓器提供の対価として財産上の利益を与えたり要求してはならない。違反者は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処する。その他、書面作成などにも罰則が適用される。」とされています。
引用:臓器売買は本当に行われているのでしょうか? http://www.asas.or.jp/
とは言え、臓器移植の中でも最も多い“腎臓移植”を希望する日本の潜在的顧客は、数万人に及ぶとも言われており、とても正規ルートだけでは需要を賄い切れない深刻な状況なんですよね。
そんな中で登場したのが、中国への臓器移植ツアーなのだとか。
しかも、なんと日本政府は中国の法輪功学習者らを対象とした“臓器狩り”を止めさせるための具体的な措置は何も取っていないのだとか。
出典:http://smgnet.org/
しかし、日本がこのまま何のアクションも起こさず、見て見ぬふりを続けていくと、中国政府による非人間的な“臓器狩り”の共犯者になる恐れがあるのです。
と言うのも、実は、中国の臓器移植と日本は深い関わりがあるからなんですよね。
この点について、前述のマタス氏らは次のように指摘しています。
日本人向け移植ツーリズムの需要に応えた大規模な移植病院が中国にはいくつか存在します。また、中国の移植センターは日本の機関と共同しており、日本で移植技術を学んだ中国の移植外科医は数多いです。中国は日本から移植関連の薬剤を輸入し、日本政府が一部資金提供している中国の移植病院も一軒あります。
引用:中国の臓器狩りの共犯者にならないでください https://www.change.org/
臓器売買の闇市場での一般的な臓器の値段とは?
現在、世界では毎年数十万件に及ぶ臓器移植手術が行われていますが、ドナーの数は決定的に足りていないません。
出典:https://www.news-postseven.com/
臓器移植大国・アメリカですら、毎年約12万人が臓器移植を待っており、実際に移植を受けられる患者はその約10分の1の1.4万人しかいません。
つまり、ほとんどの患者が自分の順番が来る前に亡くなっていくのが現状なのです。
そのため、臓器移植の需要は非常に高く、現在でも秘密裏に臓器売買を行う闇市場は確かに存在します。
最後に、その闇市場において臓器がどれくらいの値段で売買されているのかについて調べてみました。
骨髄 : 約230万円/g
皮ふ : 約150円/cm2
腎臓 : 約620万円(中国)、2,620万円(米国)
肝臓 : 約150万円
心臓 : 約120万円
血液 : 約7万円/リットル
小腸 : 約25万円
眼球(1組) : 約15万円
冠状動脈 : 約15万円
頭蓋(歯付き) : 約12万円
胆嚢 : 約12万円
前腕&手(1組) : 約8万円
頭皮 : 約6万円
胃 : 約5万円
脾臓 : 約5万円
肩部 : 約5万円
引用:闇市場で取引される臓器の値段(高い順) | ailovei https://ailovei.com/
やはり腎臓が最も需要が高く、臓器取引の75%を占めるとも言われています。特に腎臓に関しては、中国と米国で大きな値段の開きがあることが分かります。
臓器売買の闇市場での各臓器の値段
クリックすると大きな画像で見ることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今や世界第2位の臓器移植大国となっている中国では、2006年の内部告発騒動により、臓器売買の闇が明らかとなり、現在、国際的な非難を浴びています。
ドナーから生きたまま臓器を摘出しているとも言われる中国の臓器狩りの現状と、現在の日本における臓器売買に関する法律、そして中国に対する日本政府の措置についてまとめてみました。
これまで我々日本人にとって、「臓器売買」と聞いてもピンとこない話でしたが、このまま見て見ぬ振りを続ければ中国の共犯者になりかねないことを、まずは知る必要があると感じました。
マタス氏が抱えているのは、中国の臓器移植をイメージさせるために作られたパンダのぬいぐるみです。このパンダの体には傷が縫合されており、その糸は人の髪の毛が使われています…。
最後に、そんな中国の蛮行を痛烈に批判したマタス氏の言葉を引用しておきます。
中国の臓器移植はホロコーストよりも性質が悪い、人類史上最悪の虐殺だと思います。ホロコーストには、ユダヤ人への妬み、憎しみ、嫌悪などの人間的な感情がありました。しかし、中国の臓器移植は単に金儲けのために殺人が行われているのです。人間的な感情が全くない、国家的な犯罪なのです。
引用:人類史上最悪の「悪魔の所業」 中国の臓器狩りの実態を語る http://jp.endtransplantabuse.org/