虚血性心不全とは

出典：jhf.or.jp

虚血性心不全とは、虚血性心疾患によって心不全を起こした状態のことです。ちょっと難しいので、言葉を分けて考えてみましょう。

「虚血性」とは、心臓に血液が送られない状態になったことですね。心臓の細胞に血液を届けるための血管が詰まってしまうと、虚血性心疾患になります。具体的な病名で言うと、心筋梗塞や狭心症です。心臓の細胞に血液が送られないと、その細胞は酸素不足で壊死してしまいます。

「心不全」とは心臓がきちんと働かなくなり、血液を送り出すポンプ機能が低下して、全身に必要な血液を送り出すことができなくなった状態のことです。

これから考えると、虚血性心不全とは、心臓の細胞に血液を届ける血管が詰まったことで、心臓のポンプ機能が低下してしまった状態と説明できます。

虚血性心不全の男性芸能人・有名人：1～10人目

虚血性心不全になった男性芸能人・有名人を見ていきましょう。まずは、1人目～10人目です。

1．前田健さん

松浦亜弥さんのものまねなどで知られていた前田健さんは、2016年4月24日に東京の新宿区の路上で突然倒れ、心肺停止の状態で救急搬送されました。一度は蘇生し、心拍が再開したものの、意識は戻ることなく、4月26日に搬送先の病院で虚血性心不全のために亡くなっています。

倒れた日、前田健さんはロンドンハーツの収録で50m走や高跳びをしていましたが、途中で体調不良を訴えて、医師の診察を受けていたそうです。また、不整脈の持病を抱えていて、5月には不整脈の手術を受ける予定だったとのことです。

2．滝口幸広さん

「WATER BOYS2」で俳優デビューし、テニスの王子様のミュージカルや舞台・ミュージカルを中心に活動していたイケメン俳優の滝口幸広さんは、2019年11月13日に突発性虚血性心不全で死亡しています。

亡くなる2日前までInstagramを更新したり、元気な姿を見せていましたし、心臓に持病を抱えていたという情報もありません。それでも、34歳という若さでも虚血性心不全で亡くなることもあるんです。

一部報道では、急激な温度差が突発性虚血性心不全を引き起こしたのではないかと言われていますが、それが原因かどうかは分かっていません。

3．松田直樹さん

元日本代表のDFとして活躍し、日韓ワールドカップにも出場した松田直樹さんは、2011年8月2日に松本山雅FCの練習中に突然倒れ、救急搬送されました。救急搬送された時は、心肺停止状態だったようです。

治療によって心拍は再開しますが、意識が戻ることはなく、倒れた翌々日に死亡しています。病名は心筋梗塞とのことですので、心筋梗塞による虚血性心疾患を起こしていたのだと思います。

4．田子ノ浦親方（久島海）さん

元久島海であり引退後は田子ノ浦部屋を創設した田子ノ浦親方は、2012年2月13日に家族と過ごしていた時に突然倒れ、心肺停止状態で救急搬送されています。その後、蘇生することはなく、同日に虚血性心不全で亡くなっています。

以前には心筋梗塞を起こしたことがあったようです。

5．野村克也さん

現役時代は三冠王を達成し、史上最強の捕手と言われ、現役引退後はヤクルトなどで監督を務めた野村克也さんは、2020年2月11日に自宅の浴槽でぐったりしているところを家政婦さんが発見します。

病院に搬送されたものの、虚血性心不全で死亡確認されています。

6．大塚周夫さん

ルパン三世の石川五右衛門役や美味しんぼの海原雄山役などで知られている大塚周夫さんは、2015年1月15日に所属するプロダクションの新年会に参加した後、帰宅中に地下鉄内で倒れ、虚血性心不全を起こして死亡しています。

7．宍戸錠さん

俳優の宍戸錠さんは、2020年1月21日に自宅で倒れているのを発見されています。検視の結果、発見の3日前の1月18日に虚血性心疾患で心不全を起こし、死亡したことがわかっています。

8．谷村孝さん

パナソニックパンサーズで活躍していたバレーボール選手の谷村孝さんは、全日本にも選ばれるほどの実力者でした。

2016年に現役を引退しましたが、2017年に突然心筋梗塞を起こし、虚血性心不全になって、死亡しています。35歳という若さでした。スポーツの第一線で活躍するような人でも、突然虚血性心不全を起こすことはあるんですね。

9．牟田悌三さん

俳優の牟田悌三さんは、「ケンちゃんシリーズ」などで人気になり、『3年B組金八先生』第1シリーズでは杉田かおる演じる浅井雪乃の鬼父・正太役で話題になった俳優さんです。ボランティア協会での活動にも力を入れていました。

2009年1月8日に、自宅で入浴中に突然倒れ、救急搬送されます。しかし、蘇生されることなく、同日に虚血性心不全で亡くなりました。

10．香川伸行さん

「ドカベン」の愛称で親しまれていた元プロ野球選手の香川伸行さんは、引退後は自己破産したり、体調を崩して、人工透析を導入したりと波乱万丈な生活を送っていました。

2014年9月26日に自宅で一人で倒れているところを発見されます。救急搬送されますが、心筋梗塞を起こしていて、虚血性心不全になり死亡しました。

虚血性心不全の男性有名人：11～18人目

11．森本哲郎さん

東京新聞記者や朝日新聞記者として活躍し、その後は評論家や情報番組のキャスターとして活動していた森本哲郎さんは、2014年1月5日に虚血性心不全を起こして亡くなっています。享年88歳でした。

12．松村邦洋さん

ものまねタレントとしても知られる松村邦洋さんは、2009年の東京マラソンに参加した際、15km地点付近で、急性心筋梗塞を起こし、心肺停止状態になります。この時点で、虚血性心不全を起こしました。

しかし、すぐに救急車を呼び、AEDが使用され、医師の診察を受けるなど迅速で適切な処置が行われた結果、すぐに意識を取り戻し、入院してから12日間で退院しています。

虚血性心不全を起こしながらも、後遺症なく生還できた例ですね。

13．遠藤実さん

戦後を代表する歌謡曲の作曲家であり、千昌夫さんの「星影のワルツ」や森昌子さんの「せんせい」、杉良太郎さんの「すきま風」などの有名曲を持ち、国民栄誉賞も受賞している遠藤実さんは、2008年12月8日に心筋梗塞を起こして、虚血性心不全で亡くなっています。

14．太平正芳さん

第68代・第69代内閣総理大臣の大平正芳さんは、1980年5月30日に選挙活動中に体調不良を訴え、入院します。その後は回復したものの、6月12日に突然心筋梗塞を起こし、心筋梗塞による心不全、つまり虚血性心不全をで死亡しました。

15．小林繁さん

巨人が江川卓選手との密約を交わし、ドラフト後に阪神から江川卓が巨人にトレードされた「江川事件」の当事者（江川卓とトレードされる形で巨人から阪神に移籍）である小林繁さんは、引退後は解説者になり、さらにコーチとしても活躍されていました。

しかし、2010年1月17日に自宅で「背中が痛い」と訴え、救急搬送されます。病院到着時は心肺停止状態で、蘇生を試みたものの、心拍は再開せず、心筋梗塞による心不全（虚血性心不全）で亡くなりました。

16．放駒親方（魁傑）さん

元魁傑の放駒親方は最高位は大関で、黒いダイヤや怪傑黒頭巾、クリーン大関などの異名を持っていた人気力士でした。引退後は放駒親方として、後進の指導に当たり、賭博問題の時には前理事長が引責辞任した後を受けて、相撲協会理事長を務めていました。

2014年5月18日にゴルフをしていた時に突然倒れ、救急搬送されますが、心筋梗塞から虚血性心不全を起こし、死亡しました。

17．永井一郎さん

サザエさんの波平役で永井一郎さんは、2014年1月27日に宿泊先のホテルの浴室でぐったりしているところを従業員に発見されました。病院に救急搬送されましたが、死亡が確認されました。

死因は虚血性心疾患による虚血性心不全とのことです。

18．深水三章さん

今村昌平監督作品の常連であり、名脇役だった俳優の深水三章さんは、2017年12月30日に自宅前で倒れているところを発見されました。虚血性心不全のために死亡が確認されています。

虚血性心不全の女性芸能人・有名人：1～8人目

1．野村沙知代さん

野村克也さんの奥様でタレント活動をしていた野村沙知代さんは、2017年12月8日に体調を崩し、救急搬送されましたが、虚血性心不全のために亡くなっています。

野村克也さんによると、前日はホテルで外食をするほど元気だったそうです。

2．武藤まき子さん

「おはよう!ナイスデイ」や「とくダネ！」などで名物芸能レポーターとして活躍していた武藤まき子さんは、2016年12月5日に自宅で体調不良を訴え、救急搬送されます。

しかし、虚血性心不全を起こしていて、死亡が確認されています。

3．ナンシー関さん

消しゴムでの版画絵と共にテレビ批評・芸能界批評・社会批評などを行っていて、その独自の視点が人気となったナンシー関さんは、2002年6月11日に友人と夕食を食べた後、帰りのタクシーの中で体調を崩し、意識不明の状態となります。

タクシー運転手は駅前交番に駆け込んで救急搬送されますが、虚血性心不全を起こしていて、死亡が確認されています。

4．安西マリアさん

安西マリアさんは、歌手や女優として活躍していましたが、一度は事務所とのトラブルを起こし、ハワイに移住していて、その後は芸能界に復帰しています。

2014年2月20日に心筋梗塞を起こして、救急搬送されました。1時間近く心肺停止状態だったものの、一度は蘇生し、心拍が再開しますが、脳死状態に移行してしまったようで、3月15日に心筋梗塞による虚血性心不全で亡くなっています。

5．生田悦子さん

女優の生田悦子さんは、たくさんの映画やテレビドラマに出演されていましたが、2018年7月15日に虚血性心不全を起こして亡くなっています。旦那さんが生田さんの異変に気付いたものの、間に合わなかったようです。

6．白石冬美さん

パタリロの声やあしたのジョーのサチ役で知られる白石冬美さんは、2019年3月28日に自宅で倒れているところを発見されました。この時点で死後2日が経過していたとのことです。死因は虚血性心不全だったそうです。

7．沢たまきさん

『ベッドで煙草を吸わないで』が大ヒットし、晩年は政治家に転向していた沢たまきさんは、参議院議員の任期中に議員宿舎で入浴中に倒れ、虚血性心不全で死亡しています。

8．白石奈緒美さん

たくさんの作品に出演し、勇者ヨシヒコと魔王の城にも出演していた白石奈緒美さんは、2019年8月3日に自宅で虚血性心不全を起こして死亡しています。

虚血性心不全の症状

虚血性心不全の症状は、次のような症状が現れます。

これらが起こっていると、心臓の血管が詰まって、心筋梗塞や狭心症が起こっている可能性があります。そして、それを放っておくと、虚血性心不全を起こすことになります。

虚血性心不全になってしまったら、

これらのことが起こるようになります。そして、そのまま死に至ることも珍しくありません。

虚血性心不全の原因

虚血性心不全の原因は、狭心症や心筋梗塞です。これらの虚血性心疾患が起こることで、虚血性心不全が起こります。

では、虚血性心疾患の原因は何でしょうか？虚血性心疾患の原因は、動脈硬化です。

出典：newheart.jp

動脈硬化になると、心臓の血管（冠動脈）にプラークという塊ができます。プラークは脆くて破れやすいんです。プラークが破れると、そこに血小板が集まって、血栓ができて、血管が詰まってしまいます。

そうすると、狭心症や心筋梗塞を起こし、そこから虚血性心不全を起こすことになります。さらに心筋梗塞などの虚血性心疾患の危険因子には、次のものがあるとされています。

また、心筋梗塞は動脈硬化以外の原因もあります。

虚血性心不全の前兆

虚血性心不全の前兆は、軽い胸痛です。胸痛が起こるということは、狭心症（不安定狭心症）を起こしている状態ですので、そこから進むと重度の狭心症や心筋梗塞に移行し、虚血性心不全が起こる可能性があります。

次のような胸痛が起こった場合は、虚血性心不全の前兆の可能性がありますので、注意が必要です。

胸痛はすぐに治まったとしても、動脈硬化が進み、プラークができて、もうすぐ冠動脈が詰まるかもしれませんので、できるだけ早く病院を受診して、きちんとした検査を受けるようにしてください。

早い段階で適切な治療を受ければ、虚血性心不全になる前に、冠動脈の詰まり・細くなったところを解除することができます。

まとめ

虚血性心不全の概要や虚血性心不全になった芸能人・有名人、症状や原因、前兆をまとめました。

とにかく前兆と思えるような症状が出たら、一刻も早く病院を受診しましょう。