エスエス製薬の咳止め薬「ブロン」は用法用量を守れば安全な薬ですが、過剰摂取して中毒になる若者が続出しています。
今回はブロン中毒の症状や特徴、副作用・離脱症状、後遺症と死亡リスク、ブロン中毒の芸能人や有名人をまとめました。
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ブロン中毒とは
ブロン中毒とは、ブロンという咳止めの市販薬を大量に摂取することで、依存性が生まれ、中毒になってしまうこと、または中毒になった人のことを指します。
ブロンは咳止めの薬
出典:amazon.co.jp
ブロンとは、大手製薬メーカーのエスエス製薬が販売している咳止め薬です。2021年時点で4種類が販売されています。
・エスエスブロン液L
・新エスエスブロン錠エース
・エスエスブロン錠
成分が違法薬物に似ている
このブロンは次の成分が入っていることが特徴です。
・dl-メチルエフェドリン塩酸塩
この他の有効成分として、クロルフェニラミンマレイン酸塩や無水カフェインも含まれています。
ジヒドロコデインリン酸塩は延髄にある咳の中枢に作用し、咳の発生を抑える働きがあります。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩は気管支筋の緊張を和らげ、咳を鎮めて、痰の排出を促す効果があります。
ただ、このジヒドロコデインリン酸塩とdl-メチルエフェドリン塩酸塩は過剰摂取すると、違法薬物と似たような効果が現れてしまうのです。
・dl-メチルエフェドリン塩酸塩:覚せい剤に似た覚醒作用
もちろん、この2つの有効成分は適量であれば、咳止めにとても効果があります。そのため、適量を配合しているエスエス製薬のブロンには何の問題もありません。
ただ、ブロンを過剰摂取すると、実際の違法薬物よりは効果が低いものの、モルヒネ・覚せい剤に似た症状が現れてくるのです。
若者を中心にブロン中毒者が続出
ブロンを過剰摂取すると、覚せい剤に似たような症状が現れることが口コミを中心に広まるようになると、1980年代ごろから若者を中心にブロン中毒者が続出するようになりました。
吉祥寺駅のトイレにすっげぇ量の薬の空き瓶あった。
— Koichi Kushida (@kou1_ksd43) November 10, 2017
ブロン錠っていって咳止め薬らしんだけどたくさん飲むと覚せい剤に似た症状でるし依存性がものすごく高いらしい、、
25本あったから2100錠、一度に飲んだのかと思うと怖すぎる… pic.twitter.com/R8gKnuoKJC
ブロン中毒が広まった理由には、次の3つが考えられます。
・入手しやすい
・違法薬物よりも安い
違法ではないから取り締まりが難しい
ブロン中毒は若者を中心に広まっていますが、実態はきちんと把握できていません。なぜなら、ブロン中毒だからと言って、逮捕・検挙することはできないからです。
ブロンはあくまでも市販薬ですから、ブロンを所持していても罪にはなりません。大量に飲んだからといって、逮捕することもできないんです。
そのため、ブロン中毒は病院で治療を受けた場合やダルクなどの自助会に参加した場合以外は、どのくらいブロン中毒者がいるかどうか、把握が難しいのです。
ブロン中毒の症状
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ブロン中毒の症状は、モルヒネ(コデイン)系と覚せい剤(エフェドリン)系の2つに分かれます。
・ふわふわしたような気分
・幸せな気持ち
・不安がなくなり、気分が落ち着く
・だるさがなくなり、元気が出る
・やる気が出る
・眠気がなくなる
・疲労を感じなくなる
・頭が冴えた感覚になる
・活動的になる
ブロン飲み食欲不振になったおかげで痩せてきてる最高
— ゴミチャン (@menherakozou1) April 10, 2020
デブにはちょうどいいダイエットだ
https://twitter.com/ksksks_kasu/status/1351904092117901315
簡単に&確実にダイエットできるという理由で、ブロンダイエットをする人がいるようです。
ただ、ブロンを過剰摂取すると恐ろしいことになることは知っておかなくてはいけません。
ブロン中毒の特徴
ブロン中毒の最大の特徴は依存性が強いことです。
一般的に薬物依存は身体的な依存と精神的な依存の2つがありますが、ブロンは身体的な依存と精神的な依存のどちらも強いんです。
・モルヒネ=精神的依存が強い
ブロン中毒の副作用や離脱症状
ブロン中毒の副作用や離脱症状を見ていきましょう。
ブロン中毒の副作用
ブロン中毒の副作用は次のようなものがあります。
・幻覚
・妄想
・抑うつ
・苛立ち
・不安
・精神的な依存
ブロンを過剰摂取し続けると、幻覚や妄想が出たり、抑うつ・苛立ち・不安などの気分障害が現れるようになります。
また、精神的な依存も大きくなります。
「ブロンを飲まずにはいられない」「ブロンが頭から離れない」「いつでもブロンのことを考えてしまう」などの症状が現れるので、これらも重篤な副作用と言えるでしょう。
ブロン中毒の離脱症状
ブロン中毒者は、ブロンの効果が切れると離脱症状が出てきます。
・不安
・寒気
・震え
・発汗
・微熱
・吐き気
・鼻水
・下痢
・咳
・倦怠感
ブロン中毒の離脱症状と言われるものは上記のものが挙げられますが、どのような症状がどの程度出るのかは、個人差があります。
また、どのくらいの期間ブロン中毒だったのか、どのくらいの量を飲んでいたのかによっても変わってきます。
ただあ、ブロン中毒の離脱症状は本当にキツイという声が多いです。
元ブロン中毒なんですが、やめた時の苦しみがすごくて未だにトラウマです。
— れな (@LvHtWRRAde2PwcN) December 11, 2020
4日くらい、寒気と震えと謎のムシャクシャする感じが止まらなかった。正直アイスよりキツかったから5年以上経った今でも覚えてます。
ブロン中毒の後遺症
ブロン中毒になって、そのまま治療をせずにブロンをどんどん飲み続けた場合、たとえ将来的にブロンを止めたとしても、後遺症が残ります。
ブロン中毒の後遺症は、無動機症候群です。
私たちが何か行動を起こす時は、ドーパミンが生成され、それを脳が受容することによってやる気が湧いてきます。
しかし、ブロンを長期間にわたり過剰に服用し続けると、脳が長年過剰な刺激を受け続けるため、普通のドーパミンでは反応しなくなるのです。
ドーパミンで反応しなくなると、やる気は出てこなくなります。常にやる気がなくて虚脱状態になります。
そのような状態になれば、通常の社会生活を営むことは無理になりますよね。
・自発的な活動がなくなる
・思考の消える
・注意力や集中力が低下する
・無気力になる
・疲れやすい
このような状態に陥ります。無動機症候群はブロンを服用するのを止めて、離脱症状が終わった後も、続くことが少なくありません。
ブロン中毒はODで死亡することも…
ブロンを気軽に過剰摂取する人の中には、「市販薬だし、きちんとした製薬メーカーが製造・販売しているのだから、危険はないし安心!」と思っている人が多いようです。
確かに、ブロンは簡単に入手できるし、市販薬で法律で認められている咳止め薬です。ただ、それはエスエス製薬が提示している用法用量をきちんと守った場合のみです。
ブロンを過剰摂取し、ブロン中毒になれば、死亡することもあります。
ブロンに含まれるジヒドロコデインの致死量は0.5gです。ブロン1錠にはジヒドロコデインリン酸塩が30mg入っています。
120錠以上を服用すると、致死量に達し、呼吸抑制が起こって死亡すると言われています。
また、ブロン中毒になると、抑うつ症状が強く出ることがあります。
抑うつ症状から自殺を考えることもあります。うつ病患者の自殺が多いことはよく知られていることですよね。
・ブロン中毒で抑うつ症状から自殺に至り死亡する。
この2つのケースが考えられます。これ以外にもブロンを代謝するために肝臓や腎臓に負担がかかりますので、そこから体調を崩して死亡する可能性もゼロではないでしょう。
市販薬だからといって、用法用量を守らない限り、ブロンは危険な薬なのです。
ブロン中毒の芸能人・有名人8名
ブロン中毒は1980年代半ばから、「簡単にトリップできる」「合法的にキメることができる」として、若者を中心に広まっていきました。
そして、それは今でも変わりません。ブロン中毒になった芸能人・有名人もいるのです。
中島らもさん
出典:amazon.co.jp
中島らも
本名:中島裕之
生年月日:1952年4月3日
没年月日:2004年7月26日
出身:兵庫県尼崎市
活動:小説家、劇作家、広告プランナー、俳優など
小説やエッセイなど多数の著作を残した中島らもさんは、ブロン中毒だったと言われています。
灘中学に150人中8番目の成績で合格した秀才の中島らもさんは、灘高校時代に非行に走り、テストも授業も受けないまま、もちろん大学に進学することもなく、卒業することになりました。
予備校生になった中島らもさんはアルコール、シンナー、鎮静剤、睡眠薬、大麻などに溺れていきます。
また、気軽に入手できるブロンにも手を出し、ブロン中毒になりました。ブロン中毒に関することは、1995年に出版したエッセイ「アマニタ・パンセリナ」の中で詳しく記述しています。
著書の中で、「実は、アル中でラリ中でしかもブロン中毒だったんですよ、私は。しかも、十年間毎日飲んでいたんだから、えらいでしょ。」と書かれています。
中島らもさんは重度のブロン中毒で、快楽のためではなく、禁断症状を抑えるために飲んでいたとのこと。
また、中島らもさんが言うには、ブロンへの依存は酒やたばこの比ではないそうです。
中島らもさんはブロン中毒になっただけでなく、アルコール依存症にもなり、さらに大麻で逮捕され、マジックマッシュルームもやっています。
そんな中島らもさんが十年間ブロンを毎日飲み、ブロン中毒になっていたというのは、ブロンへの依存がいかに強いかがわかりますね。
中島らもが忌野清志郎に冷たい目で「ブロン中毒だったんですか」って言われて恥ずかしくなってブロンやめた話は好き おもしろいから
— 現象 (@phenomena_san) December 10, 2020
中島らもさんは忌野清志郎さんに、ブロン中毒のことを鼻で笑われたことがあるようです。
高須克也さん
出典:twitter.com
高須克也
生年月日:1945年1月22日
出身:愛知県幡豆郡一色町
所属:オールアウト
活動:医師(整形外科、美容整形外科)
高須病院を運営する法人の理事長であり、高須クリニックの院長である高須克也氏は、ブロン中毒の可能性があります。
若い人たちのように、ブロンをラリるために飲むことはないようですが、過剰摂取していることは間違いないようです。
自身のTwitterで、シロップのブロンを一気飲みしていることを告白していました。
咳がとまらん。
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) May 25, 2018
ブロン一気飲み。
体によくないからよいこは真似してはいけません。なう pic.twitter.com/sAe2PC1uX8
ブロンシロップは、成人の場合1回10mlを1日3回食後に服用します。一気飲みするものではありません。
ブロンシロップは1瓶120mlです。12回分(4日分)をいくら咳が出るからといって、一気飲みするのはちょっとやばいです。
しかも、高須克也さんのブロン一気飲みはこの時だけではなく、2012年にもやっていました。
咳が止まらない。昭和大学空手部方式で治すぞ。ブロン液を一気飲み。騎馬立ちして歌を歌いながら、正拳三百本突き。♪いしゃいしゃがっぽがっぽがっぽがっぽがっぽっぽ♪ pic.twitter.com/qCaThT68
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) January 22, 2012
ブロン一気飲みは昭和大学空手部方式なのでしょうか…。
もちろん犯罪ではありませんし、高須氏は医師ですから、そのあたりは自己責任です。
しかし、影響力を持つ高須院長が「ブロン一気飲み」をTwitterで公表するのは、知識が浅い若者に対して、ブロン一気飲みを促すことになりかねません。
佐藤満春さん
佐藤満春
生年月日:1978年2月17日
出身:東京都町田市
身長:170cm
所属:ケイダッシュステージ
血液型:O型
活動:お笑いタレント、放送作家
どきどきキャンプの「サトミツ」こと佐藤満春さんは、ブロンではないものの、同じような成分が入っていて、ブロン中毒と同様の状態になるパブロンを常飲していたことを明かしています。
フリスク感覚でパブロンを飲んでいたようで、売れる前から親しかったオードリーの若林正恭さんが、パブロンを飲むのを止めさせたそうです。
飲んでいる薬の名前が違うだけで、サトミツさんもほぼ「ブロン中毒」のような状態だったんです。ちなみに、パブロンゴールドで中毒になることを「金パブ中毒」と言います。
野中良浩さん
野中良浩
活動:ベーシスト
石橋凌さんがメインボーカルをしていたロックバンド「ARB」のベーシストだったサンジこと野中良浩さんも、ブロン中毒だったと言われています。
1980年代後半に、野中良浩さんはメンバーの斉藤光浩さんらのギターを勝手に質に入れていたことがありました。
ピンドラっつーアニメでARBを続々カバーしてるよーだが、初期メンバーのベース、サンジがシャブ、ブロンでイカれてメンバーのギター質に入れて脱退になったのは知らんだろう。なぜなら俺はオッサンだからだ。
— 川瀬陽太 (@YOHTAK) December 6, 2011
野中良浩さんはブロン中毒になり、さらに覚せい剤などにも手を出していたと言われていて、それでお金が必要になり、メンバーのギターを質に入れていたのかもしれません。
野中良浩さんはバンドを脱退(解雇)して、KEITHの親友のジャン=ジャック・バーネルが一時的にベーシストとして参加し、その後もARBのベーシストは変わっていきました。
ただ、ARBのファンは野中’サンジ’良浩さんがいた時の初期メンバー(第1期メンバー)が最高という意見が多いですね。
アイカワタケシさん
出典:yealo.jp
アイカワタケシ
生年月日:1965年
活動:イラストレーター、ライター
イラストレーターのアイカワタケシさんは、たくさんの印象的なイラストを発表していますし、最近はPerfumeの大ファンとしても知られています。
そんなアイカワタケシさんは自伝的小説「虫けら艦隊」の中で、ブロン中毒だったことを告白しています。
あ、アイカワタケシ生きとったんか…ブロン中毒で死んだと思い込んでた…
— 渚カツヲ(最後の石幾 里予) (@qtgh) August 31, 2018
2017年の時点では、ブロンを止めることができているようです。
叶美香さん
出典:lineblog.me
叶美香
身長:170cm
活動:タレント
叶姉妹の叶美香さんは、2015年にアナフィラキシーショックで救急搬送され、入院したことが明らかになりました。
この時のアナフィラキシーショックを起こした原因は、咳止めシロップを大量に飲んだためと一部で報道されています。
大量服用する可能性がある咳止めシロップと言えば、やっぱりブロンシロップですよね。
このことから、叶美香さんはブロン中毒だったのではないかと言われています。
ゆりにゃさん
出典:twitter.com
ゆりにゃ
生年月日:1999年11月28日
出身:東京都
身長:162cm
活動:YouTuber
人気YouTuberのゆりにゃさんは、元カレで韓国人YouTuberのジョンファンさんから、薬物使用を暴露されました。
これにYouTuberのコレコレさんが反応し、自分のツイキャスで生配信中、ゆりにゃさんと通話して、本当に薬物を使用しているのかを追求しました。
ゆりにゃさんは「普通にやってないし」と否定しますが、「ブロンOD(オーバードーズ=過剰摂取)して(ジョンファンに)愛してるとか送っちゃった」とブロンの過剰摂取は認めました。
かまってほしくてブロンを飲みすぎてしまったというのは、完全にブロン中毒と言って良いでしょう。
うごくちゃんさん
うごくちゃん
生年月日:2月11日
所属:Studio Coup
活動:YouTuber
登録者数75万人超えの人気YouTuber・うごくちゃんは、2020年12月31日に亡くなったことが事務所から発表されました。
うごくちゃんの死因は明らかにはされていませんが、5ちゃんねるの情報によると、ブロン中毒者だったとの事です。
>>94
鬱って言うかブロン中毒のガチメンヘラだよ
引用:人気カワボYouTuber「うごくちゃん」、12月31日にお亡くなりになっていたことが発覚。こんなにかわいい女の子がなぜ…
ブロン中毒が死因に関係あるかは分かりませんが、生前は精神的に不安定な状態だったようです。
ブロン中毒のまとめ
ブロン中毒の症状や特徴、副作用や離脱症状、後遺症、死亡するリスク、ブロン中毒の芸能人・有名人をまとめました。
ブロンは用法用量を守れば安全で有効な薬です。ただ、過剰摂取するのはとても危険です。
ブロンはなかなかやめられない薬ですので、もし咳が止まらなくて服用する時は必ず用法用量を守るようにしましょう。