豊川信用金庫事件の犯人は女子高生?事件の概要・その後や現在までの影響も徹底解説

1973年12月に起きた「豊川信用金庫事件」は、女子高生の何気ない会話から生まれたデマが社会に大きな影響を与えた事件です。

 

今回は「豊川信用金庫事件」の経緯や犯人など詳細、その後の対応、現在までの影響をまとめてみました。

「豊川信用金庫事件」の概要~女子高生3人の何気ない雑談が発端だった

 

「豊川信用金庫事件」とは、1973年(昭和48年)12月、愛知県宝飯郡小坂井町(現・豊川市)において、2週間弱で約14億円もの顧客の預貯金が引き出されるという取り付け騒ぎです。

 

当初署警察は信用毀損業務妨害の容疑で犯人を探していましたが、その後、女子高生3人の何気ない雑談が発端だったことが判明しました。

 

そのため、犯罪性がないことから犯人不在の事件です。 

 

この「豊川信用金庫事件」は、信憑性のないデマが瞬く間に社会パニックを引き起こした珍しい事例であり、現在までに心理学や社会学の材料として取り上げられることが多々あります。

 

 

デマの発端は女子高生の冗談だった

 

「取り付け騒ぎ」とは、金融機関の信用低下から、顧客が倒産を恐れて急いで預貯金を引き出そうとするパニックのことを指します。

 

この事件のきっかけとなった女子高生らは、豊中信用金庫に就職が決まっていた友人をからかって、「信用金庫は(銀行強盗に襲われるから)危ないよ」と冗談を言ったそうです。

 

これを真に受けた女子高生が知人に話してしまい、その後、人から人へと拡散されるうちにどんどん誇張されていき、最終的には豊中信用金庫がまもなく倒産するという話に発展しました。

 

一度信じられてしまうと、当事者がそれを否定しても効果がありません。「悪い話は広がってほしくないだろうから、それは否定するだろう」と思われてしまうので、なかなか信じてもらえないのです。  また、このような大規模な事件になると「交差ネットワークによる二度聞き効果」という現象も、当事者側に不利に働きます。  この心理効果は、別々の人から同じ噂を聞くと信じやすくなるというものです。SNSなどでフェイクニュースが広まりやすいのは、この心理効果の影響が大きいと言えるでしょう。

 

引用:「女子高生の冗談」が招いた信用金庫破綻の危険

 

拡散されたデマを、人々が真実として疑わなくなってしまう風潮は、現在のコロナパンデミックにも通じる部分があるかもしれません。

 

周囲がパニック状態になっていると、情報を冷静に客観視して判断できる人はほとんどいないのかもしれません。

 

 

「豊川信用金庫事件」の詳細を時系列に紹介

「豊川信用金庫事件」1日目

 

1973年12月8日(土)、国鉄飯田線の列車内で登校中の女子高生ら2人が、豊中信用金庫に就職が決まった友人に対して「信用金庫は危ないよ」とからかいました。

 

この2人の女子高生の冗談は、豊中信用金庫が財政難により倒産するというニュアンスではなく、強盗が入るから危ないという発想から出たものでした。

 

この冗談を言われた女子校生は、2人に言われた冗談を信じてしまい、その日の夜に豊中信用金庫の就職先の本店近くに住んでいた親戚に「豊中信用金庫は危ないのか」と電話で尋ねました。

 

 

「豊川信用金庫事件」2日目

1973年12月9日(日)、女子高生から電話相談を受けた親戚は、知人の美容院経営者に豊中信用金庫が危ないと話しています。 

 

 

「豊川信用金庫事件」3日目

 

1973年12月10日(月)、女子高生が親戚に電話相談した際、居合わせていたクリーニング業者も会話を聞いており、業者は自分の妻に豊中信用金庫が危ないと話をしました。 

 

 

「豊川信用金庫事件」4日目

 

1973年12月11日(火)、クリーニング業者の妻が主婦間の井戸端会議で豊中信用金庫が危ないと話題にしており、それを通りがかりの住民が聞いていて、噂はさらに広まりました。

 

 

「豊川信用金庫事件」6日目

1973年12月13日(木)、クリーニング業者の店で電話を借りた人が、豊中信用金庫から120万円を引き出すように電話の相手に指示をしていました。

 

この人は豊中信用金庫が危ないという噂を知らず、ただ仕事の支払い用のお金として引き出す指示をしていただけでした。

 

しかし、この電話の会話を耳にしたクリーニング業者の妻は、いよいよ豊中信用金庫が危ないのだと勘違いしてしまい、倒産を恐れて慌てて180万円を引き出しました。

 

さらに、クリーニング業者とその妻は、このエピソードを知人に広めています。

 

そして、この話された人の中にアマチュア無線の愛好家がおり、 無線を使ってさらに豊中信用金庫が倒産するという噂を広めました

 

これにより、豊中信用金庫小坂井支店の窓口には、噂を信じた59人もの顧客が殺到し、短期間に約5000万円もの大金が引き出されました。

 

小坂井支店に取り付け騒ぎの客を運んだタクシー運転手の証言によれば、昼頃に乗せた客は「信用金庫が危ないらしい」という程度だったそう。

 

しかし、夕方頃に乗せた客は「豊中信用金庫は潰れる」と語り、さらに夜に乗せた客は「 豊中信用金庫のシャッターは明日の朝上がらないだろう」と完全に話が膨らんでいたとのことです。

 

 

「豊川信用金庫事件」7日目

 

1973年12月14日(金)には、 豊中信用金庫側は取り付け騒ぎを収拾させるために声明を出しましたが、それが裏目に出てしまい、事態は悪化の一途を辿ることとなります。

 

また、払い戻しの処理を迅速化するために出した「1万円以下は切り捨てる」という措置が、 預金者に利息も払えないほど財政が逼迫していると受け取られました。

 

さらに、小坂井支店近くを警備していた警察官の姿を見た人が「豊中信用金庫を捜査している」とデマを流したり、 「倒産整理の説明会があると聞いた」と問い合わせてくる人もいました。

 

 

デマがエスカレートしていった 

取り付け騒ぎはエスカレートし、「豊川信用金庫の社員が使い込みをした」「5億円を持ち逃げした」という噂や、「 同金庫の理事長が自殺した」などのデマが次々と拡散されました。

 

豊川信用金庫は事態を収拾させるために、マスコミ各社に依頼をして、14日夕方から15日朝にかけて倒産の危機を煽っている話はデマだとを報じました。

 

朝日新聞には「5000人、デマに踊る」、毎日新聞には「デマにつられて走る」、読売新聞には「デマに踊らされ信金、取り付け騒ぎ」などの見出しが並びました。

 

倒産はただのデマだと安心する人がいる一方、これらの騒動をメディアで報じられて初めて知った人が慌てて預金を引き出しにくるケースもあったようです。

 

事態を重く見た日本銀行は、考査局長が会見を開いて豊川信用金庫の財政状況に問題はないことを伝えました。

 

また、混乱の拡大を防ぐために、日本銀行名古屋支店より豊川信用金庫に対して損失の補てんを行ったことを明らかにしました。

 

そして、取り付け騒ぎに踊らされている顧客等にアピールするため、日本銀行から受け取った現金を窓口から見える位置に積み上げました

 

その現金は高さ1メートル、幅5メートルに達していたそうです。

 

 

「豊川信用金庫事件」8日目

 

1973年12月15日(土)には、全国信用金庫連合会、全国信用金庫協会の連名で豊川信用金庫の店頭にビラが貼り出され、預金者に対して常務理事からの地道な説得活動が行われました。

 

こうした対策により次第に取り付け騒ぎは沈静化していきましたが、まだまだ預金を引き出しに来る人は少なくなかったようです。

 

 

「豊川信用金庫事件」9日目

 

1973年12月16日(日)、警察は豊川信用金庫を倒産危機に追い込んだデマの発生源を突き止め、発表しました。

 

また、それを受けて同日夜には NHK が警察の発表を報道し、ようやく豊川信用金庫の取り付け騒ぎは収束に向かいました。 

 

 

「豊川信用金庫事件」10日目

1973年12月17日(月)、新聞各社の朝刊でも前日の警察の発表を報道しました。

 

しかし、同月22日まで消費者は疑心暗鬼を拭えなかったようです。

 

豊川信用金庫は既に倒産したと言う人や、女子高生の雑談からここまで発展するわけがないと、組織的な犯罪の可能性を指摘する人なども現れ、完全な収束までには時間がかかりました。

 

 

「豊川信用金庫事件」のその後

 

 

この「豊川信用金庫事件」は、対応を一歩間違えると他の銀行にまで影響が飛び火してしまう可能性があったため、関係者等の対応は慎重に慎重を重ねられました。

 

そして、以下のような対応を徹底したことで取り付け騒ぎは無事収束を迎えました。 

 

大量の現金をカウンターからよく見えるところに置かせた

 

・「豊川信用金庫には親機関の全国信用金庫連合会がついております。お金がご入用なら、いくら払い戻しても構いません。ご遠慮なくお申し出ください」という張り紙を豊川信用金庫の本支店(十か所)の店頭や店内に出させた。

 

・執拗に説明を求める客には「そんなにご心配なら、大蔵省なり、日銀なりにご自分で聞いてみてください」と言い、東海財務局を電話で呼び出し、実際に確かめてもらった。また、そのやりとりを録音し店内に流させた。

 

・午後3時の閉店時間を過ぎてもまだ残っている客のために「一人でもお客様が残ってる限り、絶対に店を閉めないように。閉めると現金が底をついたと思われるから」と指示した。

 

女子職員に金庫の中を見せ、こんなにお金があるということを認識させた。そうした女子職員が帰ったあとに近所の人が「本当はどうなの」と尋ねるのは分かり切ったことであったので、その際には「十分あります」と自信をもって言えるようにした。

 

・マスコミの協力によるPR

 

引用:豊川信用金庫事件

 

日本銀行が豊川信用金庫の損失を補填したところからも、この「豊川信用金庫事件」は銀行業界全体においてとても深刻な事態だと見られていたことが分かります。

 

 

 

「豊川信用金庫事件」の現在への影響

出典:https://www.amazon.co.jp/

 

女子高生3人の冗談から始まり、偶然に偶然が重なって拡散された噂から起きた取り付け騒動は、現在にも影響を与え続けています。

 

何気ない噂話が実際に大きなパニックを引き起こすとても珍しい事案として、社会学や心理学の材料として取り上げられてきました。

 

この事件を受けて出版された著書や番組には、以下のようなものがあります。

 

・1987年出版「この道わが道―信用金庫ひと筋に生きて(小原鉄五郎著)」東京新聞出版局

・1998年12月6日放送 特命リサーチ200X「デマ・パニックの正体を追え!」

・2011年5月17日出版 『風評被害 そのメカニズムを考える(関谷直也著)』光文社〈光文社新書〉

 

 

まとめ

 

女子高生3人の雑談から始まり、噂に尾ひれや背びれがついて豊川信用金庫を倒産危機にまで追い込んだ「 豊川信用金庫事件」についてまとめてきました。

 

この事件は発端がただの雑談でしたが、別の事件では、ライバル会社を蹴落とすためにわざと風評被害を引き起こすようなデマを流して倒産に追い込む事例もあるようです。

 

特に現在のようなSNS時代においては、影響力を持つインフルエンサーの発言ひとつで会社の売上は大きく左右され、ステルスマーケティングも巧妙化しています。

 

安易に噂やニュースを信じたりせず、自分の目できちんと確かめたり、冷静に判断する力を養いたいものです。

 

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