2022年1月に那須サファリパークでトラに飼育員が襲われる事故があり、同園で1977年に起きた内山泰希さんの事故も再び注目を集めています。
今回は内山泰希さんのライオン事故の経緯や原因、その後の類似事故、現在を紹介します。
この記事の目次
内山泰希さんは那須サファリパークの元飼育員でライオンに襲われた被害者
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2022年1月、那須サファリパークで飼育しているトラが、3人の若い飼育員を襲うという事故が発生しました。
ただ、那須サファリパークでは今回の事故が初めてではなく、実は過去にも同様の事故が起きており、1997年11月に内山泰希さんという青年飼育員が被害に遭っています。
証拠として動画も残っている、内山泰希さんの悲惨な事故の概要を振り返ってみましょう。
内山泰希さんは那須サファリパークの元ライオン飼育係
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1997年11月、当時21歳だった内山泰希さんは那須サファリパークの飼育員で、担当していたライオンの檻を清掃中にライオンに襲われました。
内山泰希さんを襲ったライオンは、内山泰希さんが3年間に渡り手塩にかけて育ててきたというアフリカライオンのメスでした。
ライオンの爪は内山泰希さんの肺にまで達し、重症の状態で救急搬送された内山泰希さんですが、医師の治療の甲斐あって一命を取り留め、全治2か月でした。
飼育員が生きたまま食べられそうになったという事故のニュースはたちまち日本中を駆け抜け、人々に衝撃を与えました。
ショッキングな動画が拡散された
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内山泰希さんがライオンに襲われている時に、通りかかった家族連れが偶然回していたホームビデオに事故現場が記録されていました。
この事故動画がネットで拡散されたことで、ますます世の中は震え上がりました。
内山泰希さんの「あーあー痛い」という悲痛な叫び声が入っているので、この手のタイプの動画が苦手な方にはおすすめできません。
5ちゃんねるの「【crazy】衝撃動画スレ36【shocking】」に現在でも動画のURLが残っていますので、興味のある方は自己責任で閲覧してみてください。
内山泰希さんのライオン事故が起きた原因とは?
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ライオンは百獣の王と呼ばれているほど獰猛な動物であることは一般常識ですし、飼育員ならライオンの特性も熟知していたはずです。
それなのに、内山泰希さんのライオン事故はなぜ起きたのでしょうか。ここでは事故原因について調査しました。
飼育員にちょっとしたスキがあった
那須サファリパークでは、猛獣の檻を掃除する際は二人一組でペアになって行うというルールがあります。
政争の手順は、最初に飼育員2人でライオンを誘導して、檻から繋がっている別の部屋へと移動させ、鍵を掛けてライオンが檻の中に入れないようにしてから清掃をする、という流れです。
もちろん1997年当時もこのルールで清掃は行われていましたが、運が悪いことに事故当日は内山泰希さん以外のもう1人の飼育員は、実習生に説明中でした。
そのため、1人で清掃している内山泰希さんの檻の中に、ライオンが入ってきてしまったようです。
事故後、那須サファリパークは労働安全衛生規則に違反した疑いで、経営者が検察当局に書類送検されました。
結局、詳しい原因は同園から明かされておらず、肉食動物を扱う際の飼育員マニュアルを見直したことを発表しています。
内山泰希さんのライオン事故のその後① 2003年・大分県「アフリカンサファリ」
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1997年の那須サファリパークの事故以降も、人間が動物に襲われる類似事故は全国で起きています。
まずは、2003年に大分県で起きた事故について見ていきましょう。
アフリカンサファリでの事故
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大分県宇佐市に所在する九州自然動物公園アフリカンサファリは、広大な土地に大きな柵を設けて放し飼いのように動物を飼育していて、より自然に近い動物を見られると人気の動物園です。
事故が起きたのは2003年4月23日、60歳の飼育員がライオンに噛まれたと110番が入りました。
飼育員は病院に搬送されるも何か所も噛まれており、ほぼ即死でした。
会見を行った園長によると、被害に遭った飼育員は閉園後、ライオンを獣舎に戻すために同僚達と一緒に車でライオンを追い立てる業務をしていたそうです。
しかし、午後16時45分ごろに同僚が見回りをしたところ、ライオン複数頭が1か所に群がっているのが見えたので追い払ってみたところ、60歳の飼育員が全身噛まれて倒れていました。
事故の原因は?
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事故現場には死亡した飼育員が乗っていた4WDのドアが開いた状態で停車していたそうです。
アフリカンサファリのマニュアルでは動物を追い立てる業務中に車外に出ることは禁止されており、降りる必要がある時には無線で連絡を取って1人で行動しないというルールがありました。
しかし、事故当日は誰も連絡を受けていませんでした。
県も乗り出して調査するも、結局、事故原因は不明なままで、アフリカンサファリは「再発防止策に取り組みたい」と曖昧なコメントを発表しています。
内山泰希さんのライオン事故のその後② 2005年・静岡県「富士サファリパーク」
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2005年には複数の園で事故が起こりました。富士サファリパークと京都市動物園です。
まずは、富士サファリパークの事故の詳細について見ていきましょう。
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静岡県裾野市にある日本有数のサファリパーク「富士サファリパーク」で事故が起きたのは、2005年10月25日のこと。
飼育員の田村知弘さん(事故当時34歳)が、サファリパーク内のヒグマに噛まれて死亡するという事故が起こりました。
田村知弘さんは開園準備のために、夜間ヒグマが過ごす小屋からパークのエリアに向けて4WDを使って追い込む作業を行っていたそうです。
当時、田村知弘さんの嫁は出産のために実家に帰省しており、これから子供が誕生するという幸せの絶頂で起きた痛ましい事故として、ニュースで大きく取り上げられました。
内山泰希さんのライオン事故のその後③ 2005年・京都府「京都市動物園」
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京都府京都市左京区に所在する京都市立の「京都市動物園」は、大正天皇の結婚を記念して1903年に開園したという歴史ある動物園です。
戦後、動物たちの食糧調達が困難になり閉園の危機を迎えましたが、アメリカ軍の第58通信大隊の残飯をもらい受けるなど工夫をこらして見事復興しました。
そんな老舗の動物園で事故が起きたのは、2005年1月5日でした。
当時46歳の飼育員・柳本博さんが、オスのホッキョクグマに押さえられている状態で発見されました。
鉄棒や竹棒を使って職員が総出で追い払うと、柳本博さんは頭や腕を噛まれて負傷していたものの、一命は取り留めました。
柳本博さんはシマウマやゾウの担当でしたが、この日はホッキョクグマの担当者が休みを取っていたので、代打で世話をしていたとのことでした。
ただ、代打とはいえマニュアルは存在していたはずです。詳しい事故原因について、京都市動物園は言及していません。
内山泰希さんのライオン事故のその後④ 2008年・京都府「京都市動物園」
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京都市動物園では、2005年にホッキョクグマが飼育員を噛むという事故が起きた3年後の2008年にも、飼育されている動物が飼育員を殺傷する事故が起こっています。
3年前の事故の教訓が生かされなかったのでしょうか。
京都市動物園として初の死亡例
2008年6月7日、40歳の飼育員男性が11歳のアムールトラに襲われて負傷し死亡するという事故が起きました。
飼育室を清掃しようとした際にトラを扉続きの別室に誘導したものの、仕切りの扉の鍵がきちんとかかっていなかった、と園は発表しています。
園のルールでは、鍵がきちんと閉まっているのを確認してから清掃を始めるでしたが、飼育員の確認が不十分だったことが事故の直接の原因のようです。
これまで、動物に噛まれて怪我をすることはあっても、100年を超える歴史を持つ京都市動物園で死者が出たのはこの事故が初めてでした。
事故を受けて園は、仕切りの扉が完全に閉まっていない場合、猛獣の部屋には入れないシステム(電子錠)を導入したことを明らかにしました。
内山泰希さんのライオン事故のその後⑤ 2022年・栃木県「那須サファリパーク」
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2022年1月、那須サファリパークで再び痛ましい事故が起こり、若い飼育員3人が怪我を負っています。
内山泰希さんが現在、再度脚光を浴びているのは、この事故が起きたことが発端です。
事故の概要や原因を紹介します。
若い飼育員3人がトラに襲われる
2022年1月5日午前8時頃、開園準備をしていた那須サファリパーク内で、「ボルタ―!わあーっ!」という26歳の女性飼育員の悲鳴が響き渡りました。
悲鳴を聞きつけて、別の場所にいた20代の飼育員2人も加わり、3人がかりで暴れるトラを取り押さえようとしましたが、飼育員は3人とも負傷し、ドクターヘリで搬送されています。
特に、26歳の飼育員を助けるために飛び込んだ22歳の女性飼育員は、右の手首をトラに噛まれて失ったと発表されました。
事故原因は?
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事故後、那須サファリパークの発表によると、どうやら前日夜にトラのボルタを獣舎に誘導するも、きちんと入るところを確認しておらず、獣舎にはエサが手つかずで置かれていたそうです。
このため、ボルタは獣舎と昼に滞在する柵の中を繋ぐ通路に取り残されてしまったことで一晩中エサにありつけず空腹状態で、翌朝に通路に来た飼育員に襲いかかったと考えられています。
栃木県警は、他に原因がなかったかを特定するために園に家宅捜索に入り、現在も調査が続いています。
内山泰希さん(那須サファリパーク飼育員)の現在
運送会社で勤務している?
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内山泰希さんはライオン事故での怪我の治療を終えた後、どうしているのでしょうか。
1997年の事故の時点で21歳だったので、2022年現在は46歳になる計算です。ツイッターやインスタなどを調査したのですが、該当アカウントは見当たりませんでした。
ネットの情報では、運送会社で運転手として勤務しているともささやかれていますが、ソースも開示されていないので、噂の域を出ていないのが現状です。
ただ、一般的に動物に襲われた飼育員はその後、動物と接するのが怖くなってしまうそうですので、内山泰希さんが畑違いの業種に就いていたとしても不思議ではありません。
まとめ
出典:https://www3.nhk.or.jp/
2022年1月5日に、那須サファリパークで飼われているトラが飼育員3人を襲った事故が起こったことで、同園で起きた1997年の内山泰希さんの事故も現在注目を集めています。
ライオンに襲われた内山泰希さんは、傷が肺にまで達する重傷を負いましたが、九死に一生を得て、46歳になっている現在は、動物園を辞めて運送業者で働いているという噂があります。
那須サファリパークでの内山泰希さんの事故以降も、日本全国で飼育員が動物に襲われるという事故は何件も起きています。
事故の原因は詳細に明かされていない事例がほとんどですが、ルールをきちんと守られていなかったり、確認不足やオペレーションミスだったりと人災が多い印象です。
これまでに何度も起きている事故の原因をはっきりさせ、教訓を生かさなければ、これからも痛ましい事故が起こり続けることが予想されます。
子供たちはもちろん大人にとっても癒しの場所である動物園に今後、このような悲惨な事故が起こらないよう、十分対策をとっていただけることを祈ります。