栗原勇一郎の子供への壮絶な虐待が注目を集めた「心愛ちゃん虐待死事件」では、裁判での犯人の主張や家族の証言も話題です。
今回は事件の経緯、栗原勇一郎の生い立ちや実家の家族(両親・妹)、嫁へのDV、判決など現在を紹介します。
この記事の目次
「心愛ちゃん虐待死事件」とは?父親・栗原勇一郎が子供を虐待死させた事件
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お父さんにぼう力を受けています。
夜中に起こされたり、起きているときにけられたり
たたかれたりされています
先生、どうにかできませんか。
これは、千葉県野田市のまだ小学4年生の女児・心愛(みあ)ちゃんが、実の父親から日常的に受けている虐待に耐えかね、決死の思いで担任の先生に伝えたものです。
このアンケートを受けた関連機関は、即座に心愛ちゃんが虐待により危険な状況にあることを認識し、一時保護措置が取られました。
が、しかし…。この一時保護に不満を持った父親の栗原勇一郎は、心愛ちゃんへの虐待を否定し、学校や教育委員会にアンケートの開示を要求します。
心愛さんに無理やり書かせたとみられる、開示を認める同意書を武器に、再三に渡って教育委員会に詰め寄った栗原勇一郎。
なんと、市教委はこのアンケートのコピーを、虐待が疑われる栗原勇一郎本人に渡してしまうんですよね。
これにより、心愛ちゃんに対する虐待はさらにエスカレートしていくことに…。
そして2019年1月、栗原心愛ちゃんが両親から壮絶な虐待を受けた末に亡くなりました。
その後、両親である栗原勇一郎と栗原なぎさが逮捕されています。
栗原勇一郎による壮絶な虐待の末に亡くなった心愛ちゃんの死因は?
その後の検死の結果、発表された心愛さんの死因は次の通り。
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医師は死因について、溺死と強い飢餓状態やストレスによる不整脈だと証言しました。さらに、「相当の水量のシャワーで意識障害が起きていた」「考えが及ばないほどの飢餓やストレスがあったのではないか」と話しました。
また、勇一郎被告は心愛さんがあざなどを自分で付けたと主張していますが、「自己転倒では考えにくい」と否定しました。
引用:心愛さん虐待死事件 裁判で解剖医が死因巡り証言 https://news.tv-asahi.co.jp/
「心愛ちゃん虐待死事件」の犯人・栗原勇一郎は子供への虐待を否定
当時小学4年の栗原心愛ちゃんが虐待により死亡した事件の約1年の2020年2月21日、心愛ちゃんへの傷害致死や強要など、6つの罪に問われた父親・栗原勇一郎の初公判が開かれました。
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この裁判では、検察の起訴内容を1つ1つ時系列に沿って説明し、その都度、事実に間違いはないか被告に確認する形式により進められました。
検察が、1つ目の起訴内容を説明した後のことです。
「最初に一言申し上げてよろしいでしょうか」
「私の気持ちです」
と、栗原勇一郎は裁判長に発言を求め、事前に用意した文書を手元に置き、静かに読み始めました。
「私は事件が起きてから今日まで、娘にしてしまったことはしつけの範囲を越えてしまったものだと深く後悔しています」
「未来のみーちゃん(心愛さん)の姿を、私も家族も見るのが楽しみだったので、みーちゃんには深く謝ることしかできません」
「みーちゃん本当にごめんなさい」
引用:叫ぶように泣く心愛さん 虐待死 父親初公判の全て https://news.tv-asahi.co.jp/
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このように、涙声で心愛ちゃんへの謝罪を口にした栗原勇一郎だったのですが…
心愛ちゃんを結果的に殺害してしまったという罪は認めるものの、それはあくまでしつけの延長であり、心愛ちゃんへの虐待の事実については全て否定するんですよね。
「心愛ちゃん虐待死事件」の犯人・栗原勇一郎の家族① 実家の両親から溺愛されていた生い立ち
成田空港に勤務するJALの航空整備士の父親と、キャビンアテンダントをしていた母親の間に、1978年に誕生した栗原勇一郎は、8歳の頃に千葉県野田市の現在の実家に引っ越してきました。
栗原家の実家は、この両親と勇一郎、そして妹の4人家族でした。
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栗原勇一郎は地元の小中学校を卒業後、埼玉県内の高校に進学。その後、大学を卒業した勇一郎は父親に憧れ、日本エアシステムの子会社に就職するものの、数年で離職しています。
その後は、都内のガス会社に就職するのですが、そこでも上手くいかずに2007年には離職。
この頃1度目の結婚をし、子供ももうけるのですが…栗原勇一郎の暴力が原因で離婚しています。
それでも勇一郎を溺愛する両親は…
「沖縄に気分転換に行きたいと言っていたが、仕事もやめていたので引っ越し費用と生活費を貸し、月に15万円から20万円援助していました。総額は2000万円くらいだと思います」
引用:《野田市小4虐待死》母親・妹・妻の証言で明らかになった「鬼父」悪魔の素顔 https://www.jprime.jp/
なんと、30歳近い息子が職を転々とし、DVが原因で離婚に至るも、咎め立てすることもなく手厚い援助を続けたそうです。
栗原勇一郎の母親は公判で息子をかばい続けていた…
また、栗原勇一郎の母親は、公判の中で息子をかばう発言を繰り返しているんですよね。
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例えば…
「妻(なぎさ)が病気で子育てができず、2人の子どもの子育てをしなければならないストレスが一因だと思う」
と、悪いのは嫁のなぎさだと言わんばかり。
「息子は孫以上に可愛い。私から(虐待を)疑われるのは勇一郎がかわいそうだと思った」
孫よりも息子の方が可愛いと言ってはばからない心愛ちゃんの祖母。さらには…
「児童相談所が(心愛ちゃんのことを)要保護児童とかハイリスク児童と教えてくれていれば…(こんなことにはならなかったはず)」
と行政に責任転嫁するような発言まで…。
確かに、この事件は関係機関の対応の悪さも指摘されていましたが、少なくとも加害者の母親が言って良い言葉ではありません。
「心愛ちゃん虐待死事件」の犯人・栗原勇一郎の家族② 妹は兄の二面性に気付いていた
栗原勇一郎の妹は、心愛ちゃんへの虐待が起きていた当時、実家で自分の息子とともに居住しており、心愛さんが実家預かりになった際に一緒に暮らしていました。
栗原勇一郎の妹は、約8ヶ月に渡って一緒に暮らしていた心愛さんを、自分の娘のように可愛がっていたそうです。
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母親が勇一郎をかばう発言を繰り返す中、妹は兄について次のような証言をしています。
「自分より地位の高い人にはいい態度で接するが、低い人にはそうではない」
引用:《野田市小4虐待死》母親・妹・妻の証言で明らかになった「鬼父」悪魔の素顔 https://www.jprime.jp/
さらに、2018年9月頃には、心愛ちゃんの身体に兄・栗原勇一郎による暴行の痕があったことも証言しています。
心愛ちゃんの頭には髪が抜けた跡があり、首回りも真っ白になっていて、頬のあたりには1センチほどのアザが2か所あった。全身の状況を確認したところ、腰と尻にもいずれも3センチほどのアザがあった。理由を心愛ちゃんに尋ねると泣きながら勇一郎からの暴力を打ち明けたという。次に(暴力が)あったら通報することを約束したのが心愛ちゃんとの最後の会話になってしまった。
引用:《野田市小4虐待死》母親・妹・妻の証言で明らかになった「鬼父」悪魔の素顔 https://www.jprime.jp/
栗原勇一郎の妹は法廷で証言する中、「ごめんね」と何度も涙を流すのですが、それを聞いていた栗原勇一郎は、その間も微動だにしなかったと言います。
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「心愛ちゃん虐待死事件」の犯人・栗原勇一郎の家族③ 嫁・栗原なぎさもDVを受けていた
両親の援助により沖縄に移住してきた栗原勇一郎は、勤めていた旅行会社でなぎさと出会い、2008年2月に結婚しました。
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その後すぐに心愛ちゃんが誕生するのですが、栗原勇一郎のDVなどが原因ですぐに別居状態となり、2011年には離婚が成立。その後、なぎさは心愛ちゃんと沖縄の実家に戻っています。
しかし、2016年頃に再会した2人は2017年に再婚し、まもなく心愛ちゃんの妹となる次女が誕生しています。
その後、栗原勇一郎は家族を連れて千葉県野田市に移住するのですが…心愛ちゃんの地獄の日々はこの頃から始まったと言われています。
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と言うのも、当初、栗原勇一郎の暴力の対象だっのは嫁のなぎさでしたが、栗原勇一郎のターゲットは、家族の中でより弱い存在である心愛ちゃんへとシフトしていったからなんですよね。
栗原勇一郎の嫁・栗原なぎさも心愛ちゃんの傷害幇助罪で逮捕される
そんな心愛ちゃんの母親であり、栗原勇一郎の嫁・栗原なぎさも、心愛ちゃんへの虐待を幇助していた加害者として逮捕・起訴されています。
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栗原勇一郎に先立って、2019年5月に栗原なぎさの裁判が行われました。
そこでは、栗原勇一郎からのDVを受け、次第に心愛ちゃんへの虐待を容認していった経緯が明らかになり、2019年6月に懲役2年6ヶ月、保護観察付き執行猶予5年の判決が出ています。
執行猶予付きの判決は、栗原なぎさもまた勇一郎のDV被害者であることが考慮された結果であると見られています。
「心愛ちゃん虐待死事件」の犯人・栗原勇一郎の現在
2020年3月19日、栗原勇一郎に懲役16年の判決が下される
「従来の量刑傾向を大幅に超える比類なき重い事案である」
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2020年3月9日、千葉地裁にて開かれた裁判員裁判で、検察側はこのように断罪して、懲役18年を求刑していました。
そして2020年3月19日、千葉地裁にて開かれた判決公判にて、前田巌裁判長は栗原勇一郎被告に対して懲役16年の判決を言い渡しました。
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前田巌裁判長は、判決理由について次のように述べています。
「被告の主張は客観的整合性がなく都合のいいことをつまみ食い的に述べていて信用できない。徹底的な支配により肉体的にも精神的にも心愛さんを追い詰め、異常なほどの陰惨さとむごたらしさ、虐待の意思が浮かび上がっている」
「本来愛情を注がれるはずの父親から理不尽極まりない虐待を受け続けて絶命した悲しみや無念は察するに余りある。愛情が裏目に出たはずみで暴行したようなものではなく、独善的な考え方と支配欲から、絶対的な力の差にものを言わせ虐待を加え続けたもので、酌量の余地などみじんもない。また、謝罪のことばを述べるものの、心愛さんの人格をおとしめる不合理な弁解に終始していて、反省は見られない」
引用:小4女児虐待死事件 父親に懲役16年の判決 千葉地裁 | NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/
出典:https://www.fnn.jp/
「被告の主張は信用できない」と切り捨て、検察の主張をほぼ全面的に認めた形の判決となり、栗原勇一郎の言い分など社会では到底通らないことを明らかにしました。
ちなみに、子どもを虐待死させた同種事件の裁判では懲役10年前後の判決が多く、今回の懲役16年の判決はこれまでの傾向を大きく超え、異例に重い刑と言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
自身の実の子供である心愛ちゃんを、壮絶な虐待の末に殺害した栗原勇一郎の「心愛ちゃん虐待死事件」。
栗原勇一郎の生い立ちや、公判の中で明らかになった実家の両親や妹など家族の証言、2020年3月に懲役16年という異例に重い判決が下った栗原勇一郎の現在についてまとめてみました。
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「心愛が嘘を書いたと思う」
この記事の冒頭で紹介した心愛ちゃんのアンケートに対して、亡くなった心愛ちゃんを嘘つき呼ばわりまでして自己保身を図った栗原勇一郎。
初公判で涙ながらに口にした「みーちゃん本当にごめんなさい」という謝罪の言葉は、果たして心からの反省の言葉だったのでしょうか。
それとも前田巌裁判長が見透かした通り、少しでも心証を良くするための演技に過ぎなかったのでしょうか…。もしそうだとすると、あまりにも悲しすぎますね。
最後になりましたが、この事件でお亡くなりになった心愛ちゃんのご冥福を、心よりお祈りいたします。