大手住宅メーカー積水ハウスが地面師グループに55億円を騙し取られた「積水ハウス地面師事件」が話題です。
この記事では積水ハウス地面師事件の真相や犯人、クビや自殺が噂される担当者、何故事件が起きたのかの真相、その後の展開や現在などについてまとめました。
この記事の目次
- 積水ハウス地面師事件とは
- 積水ハウス地面師事件の真相① 担当者が地面師と知り合いで信用した
- 積水ハウス地面師事件の真相② 当時の社長が取引を強行させた説
- 積水ハウス地面師事件の犯人① 主犯格は内田マイク、カミンスカス操、土井淑雄
- 積水ハウス地面師事件の犯人② 地主役は羽毛田正美
- 積水ハウス地面師事件の犯人③ 偽造書類調達役、口座の準備役など他にも共犯者多数
- 積水ハウス地面師事件の担当者が自殺したとの噂やクビになったとの噂も
- 積水ハウス地面師事件のその後と現在① 社長をクビにしようとした会長が返り討ちに
- 積水ハウス地面師事件のその後と現在② 犯人の地面師グループは逮捕され裁判中
- 積水ハウス地面師事件のその後と現在③ 事件現場の土地にはタワーマンション建設が決定
- まとめ
積水ハウス地面師事件とは
「積水ハウス地面師事件」とは、2017年4月から6月にかけて発生した巨額詐欺事件です。
大手住宅メーカーの積水ハウスは、東京都品川区のJR五反田駅から徒歩数分の約600坪の土地の購入を土地の所有者から持ちかけられました。
この土地は都内の一等地に残されたひとまとまりの土地で、東京オリンピック開催に向けて今後さらに価値が上昇する事が見込まれ注目されていた案件でした。積水ハウスはこの取引に飛びつき2017年4月に契約締結、6月には売買代金のうち63億円を支払いました。
しかしその後、この取引は「地面師」と呼ばれる土地の所有者に成り済ましてその代金を騙し取る詐欺師集団によって偽装されたものだった事が発覚。積水ハウスは支払った代金のうち55億6千万円をこの詐欺集団に騙し取られたのでした。
積水ハウスは国内トップの不動産会社のひとつだけに、なぜこのような大規模詐欺にまんまと引っ掛かったのかという事でも注目されました。
積水ハウス地面師事件の真相① 担当者が地面師と知り合いで信用した
「積水ハウス地面師事件」は、なぜ積水ハウスという大手企業が、あっさりとこのような明らかに怪しい典型的な地面師詐欺に引っ掛かったのかという点でも注目されています。
その真相についても色々と語られていますが、この取引の担当者が、この地面師グループ1人と以前から知り合いだっために信用してしまったのが真相だとの情報が出ています。
通常、これだけでの大規模取引であれば、所有者を名乗る人物が本物かどうかを必ず調査するそうですが、この担当者は知り合いから持ちかけられた取引という事でそうした調査を行わなかったそうです。
周囲からこの取引は怪しいという警告もあったそうですが、条件の良い大規模取引に対する「やっかみ」だと判断して相手にせず、取引を強行したのが真相だという事でした。
この担当者の知り合いというのは、事件の仲介役として逮捕された会社役員の生田剛容疑者(取引の窓口となったIKUTA HOLDINGS株式会社の事実上の経営者とされる)の事を指しているようです。
生田容疑者はアパレル業など複数の会社を実質的に運営しており、数億円を運転資金に充てていたとみられる。生田容疑者は積水ハウスの担当者と事件前からの知り合いだったという。
警察発表によれば、生田剛容疑者はこの取引による転売益10億円に加えて、報酬として数千万円を地面師グループから受け取っているという事です。
あくまでも推測ですが、最初、地面師グループがこの生田剛容疑者が積水ハウスの担当者との知り合いである事に目をつけて詐欺話を持ちかけ、仲介役になる事でその担当者を信用させたというのが真相かもしれません。
また、以前から知り合いだったとの情報が出た事で、ネット上ではこの担当者も実は共犯であり、取引が成立するように動いていたというのが真相ではないかとの見方も出ているようです。
積水ハウス地面師事件の真相② 当時の社長が取引を強行させた説
出典:https://www.dailyshincho.com/
2020年4月に発売された「週刊文春」によれば、当時、取引相手の信用性などを調査する「不動産部」の部長だった黒田章という人物は「この取引はおかしい」と警告し続けていたそうです。
しかも、取引成立直前の2017年5月には、本物の地主から積水ハウス本社の法務部宛に内容証明郵便が届いており、それには、「売買契約はしていないので、仮登記は無効である」という内容が記されていたという事です。
こうした本当の土地所有者からの内容証明郵便は合計で4通も届いたという事ですが、なぜか法務部と東京マンション事業部はこれを怪文書だとみなし、不動産部には報告しなかったそうです。
さらに驚くべき事に、当時の積水ハウス代表取締役社長だった阿部俊則社長(事件後会長に就任)は、この内容証明郵便の存在を知っていたそうなのです。
にも関わらず、何故かこの阿部社長はこの取引を強行したという事でした。
この内容証明郵便について、黒田氏は驚くべき新事実を明かした。
「阿部社長は、契約相手が偽の地主であることを示す内容証明付きの告発文の存在を、決済日の前から知っていました。その事実を不動産部には隠して、強引に取引を進めたのです」
つまり、積水ハウスの調査を担当する部署はこの取引を怪しいと見ていたが、どういうわけか社長が乗り気になって取引を強行させたため、まんまと騙されてしまったというのが真相だと言われています。
ただし、週刊文春の質問に対して積水ハウスの広報部は以下のように回答したという事です。
「2017年6月1日時点では、阿部は内容証明郵便の存在を知らなかったことが判明しております。阿部が『詐欺の恐れがあることを知りながら売買契約をおこなった』という事実はありません。弊社は、阿部に取締役としての善管注意義務違反等はないものと判断いたしております」
積水ハウス地面師事件の犯人① 主犯格は内田マイク、カミンスカス操、土井淑雄
「積水ハウス地面師事件」の犯人として既に何人も逮捕者が出ています。
この事件に関わった犯人の数は多く、その関係性も非常に複雑でわかりづらいのですが、順番に見ていきます。
積水ハウス地面師事件の主犯格、指導役とされているのが、土井淑雄(事件当時61歳)、内田マイク(事件当時64歳)、カミンスカス操(みさお・事件当時58歳)の3人です。
土井淑雄
土井淑雄は積水ハウス地面師事件の犯人グループの指導役だったとして逮捕されています。細かく役割分担した犯人らに指示を出し、詐取した金の分配も担当していたと見られています。
内田マイク
内田マイクは国内の地面師詐欺師の頂点に立つ大物だとされ、積水ハウス地面師事件のグループのリーダー格だったとみられています。
積水ハウス地面師事件の当時は別の地面師詐欺事件で実刑判決を受けて網走刑務所に服役中でしたが、以前から事件のあった土地に目をつけており、計画の立案に関与したと見られています。
土井淑雄に計画を持ちかけたのがこの内田マイクだったようです。マイクと名乗っていますが日本国籍です。
カミンスカス操
カミンスカス操は、財務担当の小山武と名乗って、現場で積水ハウス担当者との交渉役を担っていました。地主を演じた羽毛田(はけた)正美を指導し、信憑性を高めるために弁護士を雇って交渉に同行させるなど、現場での指導役、リーダー役だったと見られています。
事件後にフィリピンに逃亡していましたが、その後逮捕されています。この男も外国人との結婚で名前を変えていますが、国籍は日本です。
積水ハウス地面師事件の犯人② 地主役は羽毛田正美
「積水ハウス地面師事件」の犯人のうち、舞台となった土地の所有者に成り済ます偽地主役を担当したのが羽毛田(はけた)正美(事件当時62歳)です。
週刊誌などの報道によれば、子供が4〜5人おり、過去に離婚してシングルマザーだという事です。生保レディとして働いていていたとの情報も出ています。
この羽毛田正美の内縁の夫役として、積水ハウスとの交渉などにも参加していた常世田吉弘という男も犯人として逮捕されています。
積水ハウス地面師事件の犯人③ 偽造書類調達役、口座の準備役など他にも共犯者多数
上で紹介した4人の犯人の他にも、「積水ハウス地面師事件」では、偽造パスポートなどの偽造書類の調達役や詐取した金を入金させる口座の準備役など、役割が細分化されており、多くの共犯者が逮捕されています。
これまでに逮捕されているだけでも、北田文明、三木勝博、佐々木利勝、生田剛、近藤久美、小林護、佐藤隆、永田浩資、秋葉紘子、岡本吉弘ら10人以上に上っています。
積水ハウス地面師事件の担当者が自殺したとの噂やクビになったとの噂も
積水ハウス地面師事件での取引の担当者がその後、この件の責任を感じて自殺したとの噂も出ているようです。
積水ハウスの担当者が、この件に責任を感じてか自殺をしたなどの説も出てくるなど、解明はこれからだ。
また、この時の現場の担当者が事件の責任を問われてクビになったとの噂もあるようです。
ただ、この積水ハウス地面師事件の取引に乗り気になっていたのは、当時の阿部俊則社長をはじめ部長や常務などのお偉方だったと言われており、そうであれば現場の担当者がその方針に違を唱えるということは難しかったと思われます。
積水ハウス地面師事件のその後と現在① 社長をクビにしようとした会長が返り討ちに
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「積水ハウス地面師事件」のその後についても見てきます。
この事件で55億円もの多額の損失を出した積水ハウスではその後、当時の会長と社長の間でお家騒動が発生しています。
積水ハウス地面師事件では、当時の社長・阿部俊則さんが早々に社長決済をした事が調査委員会によって明らかになったため、当時の代表取締役会長・和田勇さんが取締役会で、その責任をめぐって阿部俊則さんに対する社長解職動議を提案しますが、取締役の賛否が5対5に割れて決議されず、逆に和田勇さんに対する解任動議が6対4で可決されて、返り討ちに合う形で和田勇さんが会長を退任するという結果になっています。
こうした内部でのゴタゴタもあり、積水ハウス地面師事件の後遺症によって積水ハウスはその後も業績が芳しくないようです。
こうした経緯から現在の積水ハウス会長の阿部俊則さんの責任を追及する声も上がっていますが、積水ハウスは2021年3月に、2021年4月で阿部俊則さんが会長を退任し、非常勤・無報酬の特別顧問に就任する事を発表しました。
積水ハウスは4日、阿部俊則会長が4月27日の定時株主総会をもって退任し、特別顧問に就くと発表した。阿部氏は2017年に起きた東京・五反田の土地取引に関連し約55億円をだまし取られた地面師詐欺事件当時の社長だった。
積水ハウス地面師事件のその後と現在② 犯人の地面師グループは逮捕され裁判中
「積水ハウス地面師事件」ではその後、犯人達が次々と逮捕され、現在裁判が行われています。
主犯格とされる土井淑雄は2018年11月に逮捕され、その後一審判決で懲役11年の実刑判決が下されています。
また、もう1人の主犯格の内田マイクは、懲役12年の一審判決を不服として控訴していましたが、2021年1月に東京高裁が一審判決を支持し控訴を棄却する判断を下しています。
同じく、カミンスカス操も一審の懲役11年を不服として控訴していましたが、こちらも東京高裁は一審判決を支持し、控訴を棄却しています。
積水ハウス地面師事件のその後と現在③ 事件現場の土地にはタワーマンション建設が決定
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「積水ハウス地面師事件」の現場となった東京都五反田の土地ですが、その後、旭化成不動産レジデンスが本物の地主から購入し、タワーマンションの建設が決定しています。
このタワーマンションは2021年4月に着工予定で、2024年3月完成予定である事が発表されています。
まとめ
今回は2017年に発生した大規模地面師詐欺事件「積水ハウス地面師」事件についてまとめて見ました。
積水ハウス地面師事件は、住宅メーカー大手の積水ハウスが、詐欺グループの仕立てた偽の地主と東京都五反田の一等地の売買契約を結び、55億円以上を騙し取られた事件です。
何故、不動産のプロである積水ハウスがこのような典型的な詐欺事件に引っ掛かってしまったのかの真相としては、地面師グループの1人と担当者が以前から知り合いだったため信用してしまった説や、積水ハウス内部に協力者がいた説、当時の社長が強引に取引を進めたため調査もせずに取引に進んでしまった説などが囁かれています。
積水ハウス地面師事件の犯人はこれまでに10人以上が逮捕されており、主犯格とされているのは、土井淑雄、内田マイク、カミンスカス操の3人で、偽の地主の役を演じたのは羽毛田正美という女でした。
積水ハウス地面師事件のその後としては、当時の社長に責任を問うてクビにしようとした会長が逆に解任に追い込まれるというお家騒動が起こって注目されました。また、犯人らの裁判は現在も続いており、主犯格の3人には既に実刑判決が下されています。