硫化水素という物質を知っていますか?皆さん聞いたことはあると思います。この硫化水素は、非常に危険で、人体にとって有毒な物質なんです。
硫化水素の基礎知識や硫化水素で自殺した芸能人・有名人、硫化水素による死亡事故事例や自殺事例をまとめました。
この記事の目次
硫化水素とは
硫化水素(H2S )とは、名前から分かるように、硫黄と水素の無機化合物です。硫化水素は次のような特徴を持っています。
・水によく溶ける
・弱酸性
・空気より重い
・腐った卵の匂いがする
・可燃性ガス
・引火性がある
硫化水素はこのような気体です。
硫化水素は毒性が強い
硫化水素は人体への毒性が強い物質です。皮膚や粘膜の刺激性だけではなく、呼吸中枢を麻痺させるという作用があるのです。
高濃度の硫化水素を吸い込むと、たった数呼吸で呼吸麻痺が起こり、呼吸中枢が機能しなくなり、低酸素状態となって意識を失います。
250 ~ 500ppm で頭痛、悪心、嘔吐、下痢、めまい、仮死、無呼吸、頻脈、血圧低下、筋肉攣縮、脱力、昏睡となり、 500ppm 以上では 30 ~ 60 分で呼吸麻痺がおこり死亡となり、 800 ~ 1000ppm では一呼吸でほぼ即死します。
引用:無題ドキュメント
高濃度の硫化水素を吸い込むとほぼ即死状態になることから、硫化水素を用いて自殺を図る人もいます。また、硫化水素による事故も起こっています。
硫化水素で自殺した芸能人①:木村花さん
木村花
生年月日:1997年9月3日
没年月日: 2020年5月23日
出身:神奈川県横浜市
身長:164cm
所属:スターダム、WALK
活動:プロレスラー
硫化水素で自殺した芸能人の1人目は、女子プロレスラーの木村花さんです。
木村花さんは2020年5月23日に、江東区の自宅マンション内のベッドで倒れているところを母親に発見されました。自宅の部屋には硫化水素を発生させたと推測できる薬剤の容器が残っていたことから、硫化水素による自殺と見られています。
木村花さんは「テラスハウス」に出演していた時に、出演者に対する態度が悪いという理由で大炎上し、SNSを中心にして木村花さんへの誹謗中傷が相次ぐようになりました。木村花さんはその誹謗中傷に耐えられずに自殺してしまいます。
ただ、誹謗中傷のきっかけとなったテラスハウスでの木村花さんの振舞いは、木村花さんの意志によるものではなく、テラスハウスのスタッフの指示によるものであり、スタッフの指示でヒール役をしていたという証言があります。
硫化水素で自殺した芸能人②:清水由貴子さん
清水由貴子
生年月日:1959年9月7日
没年月日:2009年4月20日
出身:東京都台東区
所属:元芸映
血液型:A型
活動:タレント、女優
榊原郁恵さんと高田みづえさんと一緒に「フレッシュ3人娘」と呼ばれ、アイドル歌手としてデビューし、欽ちゃんファミリーの一員としても活躍していた清水由貴子さんは、2009年4月20日に硫化水素で自殺をしています。
2009年4月21日に静岡県駿東郡小山町の冨士霊園にある清水さんの父親のお墓の前で倒れているところを発見されました。清水由貴子さんは硫化水素が充満した黒いポリ袋をかぶった状態で倒れていて、その傍らには要介護で車椅子に座った状態の母親が残されていました。
母親の命に別状はありませんでしたが、清水由貴子さんは遺書が残されていたこともあり、硫化水素による自殺と判明しています。
清水由貴子さんは母親の介護のために、2007年に芸能界を引退しています。母親は回復と悪化を繰り返していましたが、2008年後半には病状が悪化し、認知症が進行して、要介護5と判断されていました。
このような状況から、清水由貴子さんは介護疲れによる自殺ではないかと言われています。
硫化水素で自殺した芸能人③:麻生美由樹さん
出典:twitter.com
麻生美由樹
生年月日:1986年1月28日
没年月日:2008年4月18日
活動:グラビアアイドル、セクシー女優
元々はグラビアアイドルとしてデビューした麻生美由樹さんは、2008年にグラビアアイドルからAV女優へと転身しました。2008年にAV女優としてデビューした時に、フライデーやアサヒ芸能に「芸人50人と体の関係を持った」と暴露しています。
その暴露に対して、インターネット上で麻生美由樹さんへの誹謗中傷が溢れるようになり、2ちゃんねるでコテハンを持っていた麻生美由樹さんは、2008年4月10日に「あと、近いうちに確実に自殺するつもりです。生まれてきてすみませんでした」、「混ぜるな危険を通販で昨日注文しました。私が死ぬのをどうぞご期待ください。」などの書き込みをしています。
そして、2008年4月18日に豊島区内にある自宅マンション内の浴室で死亡しているのを発見されました。硫化水素による自殺と見られています。
硫化水素での自殺事例
硫化水素で自殺をするのは芸能人や有名人だけではありません。インターネット上で「苦しまずに死ねる」、「硫化水素を発生させるのは簡単」という情報が流れたため、2007~2008年ごろに硫化水素による自殺が急増しているのです。
硫化水素による自殺は救助者も死亡したり、被害を受けるという二次災害が起こりやすくなります。2008年の事例では近隣住民100人以上が避難し、多くの人が避難所で一晩を過ごすことになったこともあるほどです。
硫化水素による自殺は致死率が非常に高いと言われていますが、周囲の人への被害も非常に大きいことが特徴と言えます。
2007年7月 男性の自殺(秦野市)
神奈川県秦野市で、2007年7月で21歳の男子大学生が自宅で硫化水素を発生させて自殺しました。この時、男子大学生を助けようとした兄と母も死亡し、妹は重体となっています。
2008年3月 男性の自殺(神戸市)
2008年3月には兵庫県神戸市で男性が硫化水素で自殺しています。この時、救助しようとした男性の父親は巻き添えになって硫化水素を吸い込み死亡しています。母親と兄も硫化水素を吸い込み治療を受けることになりました。
2008年4月 女性の自殺(香南市)
2008年4月には高知県香南市で14歳の女子が自宅の浴室で硫化水素で自殺をしました。この時の硫化水素が近隣に広がったために、近隣住民約120人が避難することになり、90人が病院で治療を受け、14人が入院することになっています。
2008年4月 男性の自殺(東京)
同じく2008年4月には東京の超高級ホテルであるザ・ペニンシュラ東京の10階の部屋で硫化水素を発生させ自殺しました。この時、宿泊客17人が一時避難することになりました。
2008年4月 男性の自殺(篠山市)
兵庫県篠山市では、2008年4月に30代の男性が公園の近くに駐車していた車の中で硫化水素を発生させて自殺しました。車のフロントガラスには「硫化水素発生中」という紙が貼られていたそうです。
2010年6月 男性の自殺(川崎市)
2010年6月には神奈川県川崎市で、14歳の男子中学生が硫化水素で自殺しました。この男子い中学生は自宅のトイレの中でドアには目張りをし、トイレのドアの外側には「毒ガス発生。扉を開くな」という張り紙をして、硫化水素を発生させました。
この自殺した男子中学生は学校でいじめられていて、遺書にはいじめを苦に自殺したことが書かれていました。
硫化水素での事故事例
硫化水素による被害は、自殺だけではありません。硫化水素による事故も起こっています。
硫化水素は、いわゆる「硫黄の匂い=卵が腐った匂い」がしますので、普通だったら、硫化水素が発生しているかどうかはわかります。でも、硫化水素が高濃度だと気づかないんです。
硫化水素は嗅覚を麻痺させる作用があります。だから、高濃度になると、匂いに気づく前に嗅覚が麻痺してしまって、硫化水素が発生しているかどうかが分からなくなります。そして、自覚がないままに高濃度の硫化水素を吸い込み、死亡してしまう事故が起こるんです。
温泉で硫化水素事故
硫化水素による死亡事故は温泉地で起こることがあります。2013年には北海道の温泉旅館で国の基準を大きく上回る硫化水素ガスが含まれる温泉に入浴していた客が2人死亡し、2014年には客が重体に陥る事故がありました。
また、秋田県の乳頭温泉では市の職員が源泉近くで硫化水素を吸い込んで死亡した事故もあります。温泉の源泉は、卵の腐ったような独特の匂いがしますが、あの匂いは硫化水素によるものです。そのため、いくら注意していても、温泉地では硫化水素による事故が起こるのです。
工場での硫化水素事故
硫化水素による死亡事故は、工場でも起こることがあります。
製紙工場や製肥工場などにあるタンクでは、製造過程で硫化水素が発生することがあります。その硫化水素を誤って吸い込んでしまうと、事故が起こります。
2018年には石川県の製紙工場で社員3人が硫化水素によって死亡する事故が起こりました。
マンホールでの硫化水素事故
硫化水素事故はマンホールでも起こります。マンホールの下を流れる下水には、元々硫酸塩が含まれています。洗剤やトイレからの汚水によるものです。下水の中で嫌気性の条件を満たすと、その硫酸塩は硫化水素に変化してしまうのです。
通常はマンホールによってふさがれていますので、たとえ下水の中で硫化水素が発生しても、それが外部に漏れてくることはありません。
でも、マンホールを開けて、下水管の中の汚泥を取り除くような作業をすることがあります。その時に、下水管の中に硫化水素が充満していると、マンホールを開けた時にその硫化水素が一気にあふれ出し、作業員の人が硫化水素を吸い込んで死亡するという事故が起こることがあります。
2020年には茨城県土浦市でマンホールを開けて汚泥を取り除く作業をしていた2人の男性作業員が、相次いでマンホール内に転落し、死亡するという事故がありました。現場では硫化水素と一酸化炭素が検出されたとのことです。
硫化水素による事故・自殺のまとめ
硫化水素で自殺した芸能人や有名人、硫化水素による自殺の事例、死亡事故の事例をまとめました。硫化水素は非常に危険な気体です。硫化水素による自殺は周囲の人を危険にさらす可能性があります。
硫化水素による自殺については、インターネット上でいろいろな噂が流れています。それを鵜呑みにしてはいけません。もし、あなたが硫化水素での自殺を考えたら、実行に移す前にまずは誰かに相談するようにしましょう。