耳慣れない病気「ゲルストマン症候群」ですが特徴的な症状がいくつかあり、芸能人や有名人にも疑いがある方がいます。
今回はゲルストマン症候群の基礎知識や症状、原因、ゲルストマン症候群の芸能人・有名人をまとめました。
ゲルストマン症候群とは
ゲルストマン症候群とは、脳の一部に病変があることで起こる脳の機能障害を指します。
オーストリア出身のアメリカの神経学者であるヨーゼフ・ゲルストマンにちなんで、この「ゲルストマン症候群」と名付けられました。
ゲルストマン症候群は諸説ありますが、脳の頭頂葉の側頭葉に近い部分に病変があることが関係していることが多いと言われています。
ゲルストマン症候群は、「今すぐ命に関わる!」というような死に直結する深刻な病気というわけではありませんが、日常生活に何らかの支障が出てくることはあります。
ゲルストマン症候群の症状
ゲルストマン症候群の症状は、次の4つになります。
・失算
・手指失認
・左右失認
この4つがゲルストマン症候群の主症状になります。耳慣れない症状だと思いますので、1つ1つ説明していきます。
失書
失書とは、字を書くことができなくなる症状のことです。
自分の考えたこと・書きたいことを文字に表すことができない、漢字を思い出すことができない、思っていることをうまく文章に組み立てることができないなどがあります。
また、相手の話をきちんと言葉で理解できない、などの症状が現れることもあります。
失算
失算は簡単に言うと、計算ができなくなるという症状です。
簡単な暗算ができない、筆算ができなくなる、こういった症状が出てくることがあります。
また、計算だけでなく、数の概念を失うこともあり、2つの数を比べて、どちらが大きいかなどが分からなくなることもあります。
手指失認
手指失認とは、自分の指に関することが分からなくなることです。
例えば、「親指を出して」と言われても、自分の親指がどれかわからない。また、細かい指先の動きが必要な動作も難しくなりますし、爪切りなどもうまくできないようになります。
目をつぶった状態で、指を触られて「今、どの指を触っている?」と尋ねられても分からない、親指と小指の区別がつかないなどの症状もあります。
左右失認
左右失認は、右・左が分からなくなる症状です。
例えば、車を運転していて、カーナビが「次の交差点を右に曲がってください」と指示したしても、とっさにはどちらに曲がればよいのかわからないのです。
「右手を挙げて」と言われても、どちらの手を挙げれば良いのかとっさには分からず、一呼吸おいて、右・左のことをよく考えた上で、ようやく右手を挙げられるような状態になります。
ゲルストマン症候群の症状は全部出るわけではない
ゲルストマン症候群の主症状は、失書・失算・手指失認・左右失認の4つです。
ただ、ゲルストマン症候群になると、この4つの症状全部が必ず出るとは限りません。むしろ、4つ全部の症状が出る患者は少なくて、4つのうちのどれかが出るというケースが多いです。
ゲルストマン症候群では、手指失認や左右失認が特に重要視される症状になります。
また、脳の機能障害による病気ですから、現れる症状はこの4つだけということではなく、他にも付随症状が出てくることもあります。
ゲルストマン症候群の原因
ゲルストマン症候群の原因は、子供が発症するか、大人が発症するかで変わってきます。
そのため、子供のゲルストマン症候群と大人のゲルストマン症候群に分けて説明していきます。
子供のゲルストマン症候群の原因
子供のゲルストマン症候群の原因は、実は分かっていません。大人のゲルストマン症候群に比べて、子供のゲルストマン症候群は少ないとされています。
子供のゲルストマン症候群は、学校に入った後、計算できない・文字が書けない・左右の違いが分からない、など問題が起こり、ようやくゲルストマン症候群だと分かることが多いんです。
大人のゲルストマン症候群の原因
大人のゲルストマン症候群の原因は、脳の病変です。
脳卒中を起こしたり、交通事故などで頭部外傷を負い、頭頂部周辺の脳の障害が起こった場合に、後遺症としてゲルストマン症候群を発症することがあります。
大人のゲルストマン症候群の場合、先ほど説明した4つの主症状の他に、失語、つまり言葉が上手く出てこなくなるという症状が出てくることもあります。
ゲルストマン症候群の噂のある芸能人・有名人3名【堺雅人など】
ゲルストマン症候群の芸能人・有名人を見ていきましょう。
ここで紹介する3人は、「ゲルストマン症候群である」と確定診断があるわけではなく、あくまでゲルストマン症候群の可能性があるというだけになります。その点は、ご了承ください。
1.堺雅人
堺雅人
生年月日:1973年10月14日
出身:兵庫県神戸市
身長:172cm
所属:田辺エージェンシー
血液型:O型
活動:俳優
俳優の堺雅人さんは2015年に日本テレビの「おしゃれイズム」に出演した際、「右と左が分からない」と告白しています。
例えば車の運転をしているときに「そこ右に行ってね」と言われるとダメだが、「こっち行ってね」と指で指示されれば分かるという。
この症状は、ゲルストマン症候群の症状の左右失認に当てはまります。
また、計算ができないことも告白しました。足し算引き算などができずに、バイトでレジをしていた時は、お釣りを多めに渡していたそうです。
これは、ゲルストマン症候群の症状の失算ですよね。
堺雅人さんは、自分から「ゲルストマン症候群です」と告白してはいませんが、このようなことを告白したため、視聴者から「ゲルストマン症候群では?」と言われるようになりました。
ただ、失算の症状は出ているようですが、中退はしたものの早稲田大学第一文学部に入学している高学歴なんです。
文系の学部ではありますが、足し算引き算ができないと、さすがに入学できないと思われます。
ですので、堺雅人さんはとっさの暗算ができないのかもしれませんね。
2.西村知美
西村知美
生年月日:1970年12月17日
出身:山口県宇部市
身長:155cm
所属:芸映
血液型:O型
活動:タレント
タレントの西村知美さんは、2007年頃にTBSの「怪傑ドクター7」に出演した時に、ゲルストマン症候群の可能性を指摘されています。
西村知美さんと言えば、天然ボケキャラで人気でしたが、実は天然ボケだと思っていた症状はゲルストマン症候群による症状の可能性が出てきたんです。
・物忘れが激しい
・地図を読むことができない
・同じことを何度も言う
・なくしものが多い
3.三森みさ
出典:amazon.co.jp
三森みさの著書
「だらしない夫じゃなくて依存症でした」という単行本で有名な漫画家の三森みささんは、ゲルストマン症候群というわけではありませんが、左右失認の症状があると告白しています。
子供の頃から、右と左の区別がつきにくく、先生に「右の絵を見てください」と指示されても、1人で逆の方を見ていたことが何度もあるとのことです。
典型的な左右失認の症状であり、ゲルストマン症候群の可能性は否定できません。
三森さんは右の手の甲にほくろがあったため、それで左右を確認していたとのことです。
また、右・左と指示されるととっさには分からないけれど、「三時の方向」のように時計の位置で指示してもらうと、すぐに分かるとのことです。
ゲルストマン症候群の対処法
左右失認や手指失認などの症状が思い当って、「私、ゲルストマン症候群かもしれない」「うちの子供はゲルストマン症候群かもしれない」と思ったら、どうすれば良いのでしょうか?
ゲルストマン症候群は命に関わる病気ではありません。
ただ、左右が分からない、暗算ができないなど日常生活に支障が出てくることはありますので、対処法を確認しておきましょう。
学習障害やアルツハイマーとの見分けがつきにくい
ゲルストマン症候群は耳慣れない病名ですよね。つまり、症例数は少ないということになります。
その症状だけでは、子供の場合は学習障害(LD)との区別がつきにくいことがあります。また、大人はアルツハイマー病との区別がつきにくいんです。
だから、素人が「4つの症状に当てはまるから、私はゲルストマン症候群に違いない!」と決めつけるのは非常に危険です。
ゲルストマン症候群にはゲルストマン症候群の対処法、学習障害は学習障害の対処法、アルツハイマー病は進行を抑える治療法があるので、素人判断では今の症状が悪化することがあります。
対症療法で補う
ゲルストマン症候群は、根本的な治療方法はありません。つまり、ゲルストマン症候群を根治させることはできないのです。
専門的な訓練によって、失書や失算などの症状を改善できることもありますし、左右失認は自分なりの解決方法を見つけることで、日常生活に支障が出ないようにすることもできます。
また、失算には電卓、失書にはパソコンのワード(ワープロ)などの道具で解決できることもあります。
まずは専門医に受診を
ゲルストマン症候群かもしれないと思ったら、まずは専門医を受診することが大切です。
普通の医師では、なかなかゲルストマン症候群の診断をつけるのは難しいかもしれません。
そのため、神経内科などの専門医を受診して相談するのが良いでしょう。
まとめ
ゲルストマン症候群の症状や原因、対処法、ゲルストマン症候群の芸能人・有名人をまとめましたが、いかがでしたか?
・ゲルストマン症候群の症状は失書・失算・左右失認・手指失認の4つ
・大人のゲルストマン症候群の原因は脳卒中など
・堺雅人や西村知美はゲルストマン症候群の可能性あり
・専門医を受診することが大切