頚髄損傷を起こすと手足が動かなくなり、自力で歩いたり食事を摂ることが難しくなるだけでなく、最悪の場合は死に至ることもあります。
今回は頚髄損傷の事故に遭った芸能人や有名人22人、頚髄損傷の症状や原因をまとめました。
この記事の目次
頚髄損傷とは
頚髄損傷とは、首の骨の中の神経(頚髄)が何らかの原因で損傷している状態です。
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頚髄のどの部分をどのくらい損傷したかによって、症状は変わってきますが、そのまま死亡したり、自発呼吸ができなったり、ずっと寝たきりになってしまうこともあります。
頚髄は、基本的に両上肢の運動や感覚をつかさどっている神経ですが、頚髄が損傷されると、それより下の脊髄も損傷してしまうことも多いようです。
頚髄損傷の男性芸能人・有名人① スポーツ選手11名
三沢光晴さん
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三沢光晴
生年月日:1962年6月18日
出身:北海道夕張市
身長:185cm
所属:ノア
活動:プロレスラー
プロレス団体のノアの初代会長であり、若い頃は2代目タイガーマスクとしても活躍していた三沢光晴さん。
2009年6月13日、プロレスの試合中、対戦相手から急角度でのバックドロップを受けて、頭からマットにたたきつけられました。
これにより、頚髄損傷の中でも最もひどい頚髄離断を起こして、マット上で心肺停止状態に陥り、すぐに病院に搬送されたものの死亡が確認されています。
高山善廣さん
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高山善廣
生年月日:1966年9月19日
出身:東京都墨田区
身長:196cm
所属:高山堂
活動:プロレスラー
プロレスラーの高山善廣さんは、プロレスの試合中、技をかける際に頭を強打して、すぐに病院に搬送されました。
検査の結果、頚髄損傷と変形性頚椎症と診断されます。首から下がほとんど動かない状態になり、一時は心肺停止になったり、自発呼吸ができないほどの重体だったとのことです。
現在は自力で呼吸ができるようになり、リハビリに励んでいます。
本間朋晃さん
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本間朋晃
生年月日:1976年11月18日
出身:山形県東根市
身長:181cm
所属:新日本プロレス
血液型:A型
活動:プロレスラー
プロレスラーの本間朋晃さんは、2017年に試合中の事故で救急搬送されます。
一時は四肢麻痺で体が全く動かなかったものの、リハビリと共に少しずつ回復し、中心性頚髄損傷と診断されました。
2018年6月には、プロレスラーとして試合に復帰しています。
横山典弘さん
横山典弘
生年月日:1968年2月23日
出身:東京都府中市
身長:163cm
所属:日本中央競馬会
血液型:O型
活動:騎手
JRAの騎手である横山典弘さんは、2010年9月26日に中山競馬場で落馬したことにより、頚髄損傷と頭蓋骨骨折の重傷を負い、一時は騎手生命の危機に陥ります。
しかし、事故から1ヶ月後には早くもトレーニングセンターに姿を現した横山典弘さん。
同僚の武豊さんからは、「ジャパンカップ(11月下旬)あたりでは馬に乗っていそう」とコメントされるほど順調な回復ぶりを見せました。
そして、武豊さんの予想を上回る回復ぶりを見せ、11月13日にはレースに復帰しています。
横山義行さん
横山義行
生年月日:1974年3月19日
出身:静岡県韮山町
身長:170cm
所属:日本中央競馬会
血液型:A型
活動:元騎手
競馬の騎手だった横山義行さんは、2015年1月にレース中に落馬して頚髄損傷となります。
その後はリハビリによって回復し、自力歩行が可能になるものの、騎手として復帰することは断念し、騎手を引退します。
引退後はJRAの子会社に一般社員として再就職しました。
中西学さん
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中西学
生年月日:967年1月22日
出身:京都府京都市
身長:186cm
所属:新日本プロレス
血液型:A型
活動:プロレスラー
新日本プロレスの中西学さんは、2011年6月4日にジャーマンスープレックスを頭から受けて、リング上で動けなくなり、救急搬送されています。
中心性頚髄損傷と診断され、受傷から4ヶ月後に手術を受けた中西学さんは、リハビリ後、12月24日にはリングに上がって挨拶できるまでに回復しました。
2012年10月には選手としてリングに上がり、それからはまたプロレスラーとして活躍し、2020年に引退しています。
赤星憲広さん
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赤星憲広
生年月日:1976年4月10日
出身:愛知県刈谷市
身長:170cm
所属:元阪神タイガース
活動:元プロ野球選手
プロ入りから6年連続で盗塁王を獲得していた赤星憲広さんは、2007年にダイビングキャッチをした際、「頸椎椎間板中心性ヘルニアによる脊髄損傷」の診断を受け、3週間欠場しています。
その後、2009年にまたしてもダイビングキャッチをして中心性頚髄損傷を起こし、手足が動かなくなってしまいます。
リハビリをしながら復帰することを目標にしていましたが、医師に「今度やってしまったら不随の可能性がある。最悪、命の危険もある。」と言われて、引退を決意しました。
ハヤブサさん
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ハヤブサ
生年月日:1968年11月29日
出身:熊本県八代市
身長:183cm
活動:プロレスラー
プロレスラーのハヤブサさんは、2001年10月に試合中に頚髄損傷の重傷を負います。
その後はリハビリによって、補助付きでの歩行ができるようになり、本人はプロレスラーとして試合に復帰することを目指していました。
しかし、2016年にくも膜下出血を起こし、復帰できないまま死亡しました。
福永洋一さん
福永洋一
生年月日:1948年12月18日
出身:高知県高知市
活動:元騎手
競馬の騎手の福永洋一さんは、1979年にレース中に他の騎手の落馬に巻き込まれる形で落馬します。この時、頭を強打し、さらに舌の3分の2をかみちぎるほどの重傷を負いました。
その後、すぐに救命処置が行われ、一命はとりとめたものの、騎手としては引退することになりました。
琴風さん
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琴風
生年月日:1957年4月26日
出身:三重県津市
身長:183cm
所属:尾車部屋
活動:元大相撲力士
元大関・琴風(現在の尾車親方)は引退後の2012年に巡業部長に就任しますが、春巡業中に転倒して頸椎を捻挫して、頚髄損傷を起こします。
一時は首から下が麻痺して寝たきりの状態になりましたが、リハビリの結果、自力で歩行ができる状態にまで回復し、相撲協会の理事を務めています。
坂本敏美さん
坂本敏美
生年月日:1952年1月8日
出身:北海道
所属:名古屋競馬場
活動:騎手
天才ジョッキーと呼ばれた坂本敏美さんは、1985年に名古屋でのレース中、騎乗していた馬が心臓発作を起こします。
馬がバランスを崩したことで、坂本さんは馬の右側へ落馬しますが、その馬も右側へ倒れ込んできたため、坂本さんは馬の下敷きになってしまいました。
この事故で頚髄損傷となり、首から下が動かない状態になり、騎手を引退することになりました。
坂本さんは事故前、騎乗予定の馬(心臓発作を起こした馬)の様子がおかしいことに気づき、レースは自重するよう調教師に伝えていましたが、その忠告は聞き入れられませんでした。
その結果、このようなことになってしまったのです。
頚髄損傷の男性芸能人・有名人② 俳優など5名
滝川英治さん
滝川英治
生年月日:1979年3月24日
出身:大阪府枚方市
身長:186cm
所属:えりオフィス
血液型:A型
活動:俳優
イケメン俳優として活躍していた滝川英治さんは、『弱虫ペダル Season2』の撮影中に自転車に乗っていて転倒し、全身を強く打って、頚髄損傷と診断されました。
事故直後は首から下が全く動かない状態になり、リハビリ中は血圧低下やめまい、高熱や頭痛 などの症状に苦しめられていました。
退院後は仕事に復帰し、エッセイ集を出版したりしていましたが、2020年には俳優業を引退することを発表しています。
柳田哲志さん
出典:umk.co.jp
柳田哲志
生年月日:1967年9月1日
出身:宮崎県宮崎郡佐土原町
所属:テレビ宮崎
活動:アナウンサー
テレビ宮崎のアナウンサーである柳田哲志さんは、宮崎県のローカルワイド番組「JAGAJAGA天国」で、水田で行われる尻相撲イベントのロケを行い、実際に尻相撲に参加しました。
その際、水田に用意された土俵の上から、頭から水田に飛び込んでしまい、頚髄骨折・頚髄損傷の重傷を負います。
生放送中に出演者が頚髄損傷を起こすという、とんでもないレベルの放送事故でした。
一時は全身麻痺になりましたが、リハビリの結果、少しずつ体が動くようになり、現在でも車いす生活ではありますが、アナウンサーの仕事に復帰されています。
谷垣禎一さん
出典:sankei.com
谷垣禎一
生年月日:1945年3月7日
出身:京都府福知山市
所属:自民党
活動:元政治家
元自民党総裁や幹事長を務め、自民党の大物政治家であった谷垣禎一氏は、2016年7月に趣味のサイクリング中に転倒し、頚髄損傷を起こします。
この頚髄損傷によって幹事長を辞任し、次の衆議院選挙には出馬しないことを明言します。
2018年に2年ぶりとなる公の場に姿を現した谷垣禎一氏は、豪風の断髪式で行司などに支えられながらも、立って髷にハサミを入れていました。
奥野敦士さん
出典:cinra.net
奥野敦士
生年月日:1963年6月25日
出身:群馬県前橋市
所属:TRUE TRUST RECORDS
活動:ミュージシャン
ロックバンドのROGUEのボーカルであり、ミュージシャンや俳優として活躍していた奥野敦士さんは、解体現場でのアルバイト中、屋根から転落して頚髄損傷の大けがを負います。
頚髄損傷の影響で腹筋が麻痺して力が入らないため、以前のようにしっかり歌うことができないことにショックを受けます。
ですが、腹筋を使わない歌唱法を身につけ、一度は解散していたROGUEを再結成し、活動を再開させました。
星野富弘さん
星野富弘
生年月日:1946年4月24日
出身:群馬県みどり市
活動:詩人、画家
星野富弘さんは、中学校の体育教師でしたが、クラブ活動の指導中に頚髄損傷を起こしました。
頚髄損傷の事故で入院中に、口に筆をくわえて、文章や絵を描き始めます。
その後、全国各地はもちろん、世界中で「花の詩画展」を開き、故郷の群馬県には芦北町立星野富弘美術館が開館し、さらに群馬県名誉県民にもなっています。
頚髄損傷の女性芸能人・有名人3名
田中照代さん
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田中照代
生年月日:1959年5月24日
出身:岐阜県
身長:150cm
所属:ASSA-TC
活動:車椅子陸上競技・マラソン選手
田中照代さんは1973年に交通事故で頚髄損傷を起こし、さらに1983年にも再び頚髄損傷を起こします。
その後、車いすスポーツに出会います。アトランタ・シドニー・北京パラリンピックに出場し、メダルを獲得しています。
成田真由美さん
成田真由美
生年月日:1970年8月27日
出身:神奈川県川崎市
身長:174cm
所属:横浜サクラスイミングスクール
血液型:B型
活動:水泳選手
成田真由美さんは、中学生の時に横断性脊椎炎を発症して、下半身不随になります。そして、23歳の時に、水泳大会から帰る途中に交通事故に巻き込まれ、頚髄損傷のケガを負います。
この頚髄損傷によって、左手が麻痺し、さらに温度調節ができなくなってしまいます。
その後、アトランタ、シドニー、アテネ、北京のパラリンピックに出場し、メダルを合計で20個も獲得する活躍を見せました。
山口ひかり(百合香)さん
出典:ameblo.jp
山口ひかり(百合香)
生年月日:1991年11月20日
出身:神奈川県
身長:153cm
所属:プロダクションアンカー
血液型:B型
活動:歌手、女優
山口ひかりさんは、2011年2月19日に自宅のベランダで頚髄損傷のケガを負い、左半身麻痺となりました。
一時は芸能界を引退したものの、順調に回復し、2012年7月12日には配信番組の中で元気な姿を見せています。
現在は、百合香という芸名で芸能活動をしています。
頚髄損傷の海外芸能人・有名人3名
クリストファー・リーヴさん
出典:twitter.com
クリストファー・リーヴ
生年月日:1952年9月25日
出身:アメリカのニューヨーク
身長:193cm
活動:俳優
映画のスーパーマン役で知られるクリストファー・リーヴさんは、1995年に乗馬中に落馬して、頚髄損傷のケガを負います。
この事故で首から下が麻痺してしまったために、映画界から離れ、リハビリに専念します。
しかし、1996年には車いすで公の場に登場し、さらに車椅子に乗った主人公を演じるなど、障害を感じさせない活躍を見せていました。
アベベ・ビキラさん
出典:sankei.com
アベベ・ビキラ
生年月日:1932年8月7日
出身:エチオピア
身長:177cm
活動:マラソン選手
1960年のローマオリンピック、1964年の東京オリンピックで2大会連続で金メダルを獲得したマラソン選手のアベベ・ビキラさん。
1969年、エチオピアの首都であるアディスアベバで自動車事故を起こします。
この事故で頚髄損傷となり、下半身不随になりました。そして、1973年に脳出血を起こして41歳の若さで亡くなっています。
ウェイン・レイニーさん
ウェイン・レイニー
生年月日:1960年10月23日
出身:アメリカのカリフォルニア州
活動:レーシングライダー
アメリカの伝説的なライダーであるウェイン・レイニーさんは、高いプロフェッショナル精神、全力を貫くスタイルから、「ミスター100%」「120%レイニー」と呼ばれました。
しかし、1993年のイタリアGPではレース中に転倒し、第6頸椎損傷の重傷を負い、下半身不随になり、引退を余儀なくされました。
頚髄損傷の症状とは?
頚髄損傷の症状は、頚髄のどの部分をどの程度損傷したかによって、症状は変わってきます。
神経が完全に損傷されると、完全麻痺になります。部分的に損傷されていると不完全麻痺になります。
完全麻痺になると、自分の意思ではその部分を動かすことができず、感覚もありません。
不完全麻痺の場合は、少しは動かせるものの、思ったようには動かせなかったり、感覚が鈍くなる・しびれが続くなどの症状が現れます。
運動障害
頚髄損傷を脳に近いほうで起こして完全麻痺になると、肩から下が全く動かなくなります。
そのため、自分で立ったり座ったりすることはもちろん、排泄のコントロールをすることも難しくなります。
肩から下の筋肉が麻痺するため、呼吸をするには絶対に必要な横隔膜も麻痺するため、自分で呼吸をすることができず、人工呼吸器をつけなければいけないこともあります。
感覚障害
頚髄損傷を起こすと、感覚麻痺を起こします。皮膚の感覚がなくなりますので、皮膚に傷ができたり、やけどをしても、本人は全く気づかないこともあるのです。
また、頚髄損傷の人は、四肢が麻痺して寝たきりのことも多く、自分で寝返りを打つことができません。
そのため、床ずれを起こしやすく、さらにその床ずれができていても痛みを感じないため、すぐに悪化してしまうことが多いです。
自律神経障害
頚髄損傷を起こすと、自律神経のコントロールがうまくいかなくなることが多々あります。
汗をかく機能がなくなるため、体温コントロールができず、暑さ・寒さに非常に弱くなります。
また、血圧を一定に保つことも難しくなり、ベッドから起き上がった時に、血圧が下がって「起立性低血圧」を起こすことも多いのです。
排泄障害
頚髄損傷では、頚髄から下の脊髄も機能しなくなることがあります。そうすると、排泄障害が症状として現れます。
尿意をコントロールできない、膀胱に尿を貯めておくことができない、排便をコントロールできない状態になります。
中心性頚髄損傷の場合は回復することも
頚髄の中心部が過伸展などを起こして損傷した場合、中心性頚髄損傷と言います。
この中心性頚髄損傷の場合、ケガをした当時は完全麻痺の状態でも、時間の経過と共に、下肢が動くようになり、さらに上肢も動くようになって回復することもあります。
プロレスラーの本間朋晃さんは、まさにこのケースですね。
ただ、中心性頚髄損傷だからと言って必ず回復するわけではなく、麻痺が治らなかったり、上肢には麻痺が残るケース、さらにしびれがずっと続くケースなど、いろいろなケースがあります。
頚髄損傷の原因とは
頚髄損傷の原因は、頚髄を傷つけたことです。頚髄は首の硬い骨に守られていますが、首の骨を骨折したり、脱臼したりすると、頚髄が損傷してしまうのです。
では、首の骨を骨折したり、脱臼したりする原因を見てみましょう。
・交通事故
・落下物の衝突
・ラグビーやアメフト
・器械体操
・プロレス
・スノーボードやスキー
・浅いプール・海・川での飛び込み等
これらでの事故が原因で、頚髄損傷になることがあります。また、いわゆる「打ち所が悪い」場合、ちょっとしたことで頚髄損傷を起こすことがあります。
自民党の谷垣禎一さんは、自転車で転倒して、頚髄損傷を起こしました。
まとめ
頚髄損傷を起こすと、ベッドで寝たきりになることもありますが、リハビリで回復することもあります。
ただ、頚髄の中でも脳に近い部分に損傷を起こすと、三沢光晴さんのように即死状態になってしまうこともある恐ろしいケガなのです。
まずは、頚髄損傷を起こさないように、スポーツをする時には気を付けるようにしたいですね。