高齢者がどんどん増える日本において、認知症は目を背けられない問題です。どんな人でも、将来的には認知症を発症してしまう可能性は十分にあるのです。少しずつ、大切な人のことを忘れ、身の回りのことができなくなってしまうかもしれません。
今回は認知症について、認知症の芸能人・有名人、認知症の症状や原因、寿命などをまとめました。
認知症とは
認知症とは、脳の働きが低下することで起こる低下した状態のことです。以前は「痴呆症」と呼ばれていました。現在は、「痴呆」という言葉は廃止され、認知症という呼び方で統一されています。
認知症は次の特徴があります。
・不可逆的である
認知症の芸能人・有名人:日本人9名
一昔前は認知症は隠されているもので、認知症になったことを公表する人はほぼいませんでした。しかし、最近は認知症になったことを堂々と公表する芸能人・有名人が増えてきています。
1.大山のぶ代さん
大山のぶ代
生年月日:1933年10月16日
出身:東京都渋谷区
身長:162cm
所属:アクターズ・セブン
血液型:O型
活動:声優
ドラえもん役の声優として広く知られている大山のぶ代さんは、2012年にアルツハイマー型認知症と診断されます。この時は公表されませんでしたが、2015年に夫の砂川啓介さんがラジオに出演した際に、アルツハイマー型認知症であることを公表し、闘病中であると話しています。
2016年からは老人ホームに入居し、2017年に夫の砂川さんが死去した際には喪主となっていますが、通夜・葬儀には参列していません。
2.南田洋子さん
南田洋子
生年月日:1933年3月1日
出身:東京都
身長:155cm
活動:女優
女優の南田洋子さんが認知症であることは、2008年に夫の長門裕之さんが「徹子の部屋」に出演した際に公表しています。2004年ごろから認知症の症状が現れ始め、2006年には芸能界を引退しています。長門さんが認知症を発表した2008年には、要介護状態になっていたとのことです。
『報道発 ドキュメンタリ宣言』で南田洋子さんの闘病の様子が放送された時には反響が大きく、長門さんが認知症の南田洋子さんを健気に支え、介護する姿に感動した人は多かったと思います。
3.朝丘雪路さん
朝丘雪路
生年月日:1935年7月23日
出身:東京都中央区
血液型:B型
活動:女優
朝丘雪路さんは亡くなる3年ほど前からアルツハイマー型認知症を患っていて、自宅で療養をしていたそうです。津川さんを始め、住み込みの家政婦の方が朝丘雪路さんを介護していて、なくなる日まで自宅で過ごしていたとのこと。
夫の津川雅彦さんは朝丘雪路さんが亡くなって3ヶ月後、後を追うように亡くなったところに、夫婦愛を感じますね。
4.菅井きんさん
出典:asahi.com
菅井きん
生年月日: 1926年2月28日
出身:千葉県
身長:155cm
所属:仕事
血液型:B型
活動:女優
菅井きんさんは、2010年に大河ドラマの「龍馬伝」に出演した後に大腿骨を骨折して、表舞台に出てこなくなりました。そこで、一部週刊誌が「菅井は重度の認知症を患っており、現在は特別養護老人ホームに入居している」と報じられるようになっています。
その後、1度だけ2014年に情報番組に出演しましたが、それ以降は公の場には姿を見せず、2018年に心不全でお亡くなりになっています。
5.長谷川和夫さん
長谷川和夫
生年月日:1929年2月5日
出身:愛知県
所属:認知症介護研究・研修東京センター
活動:精神科医
精神科医で認知症研究の第一人者であり、認知症かどうかの診断基準の1つである「長谷川式認知症スケール(HDS-R)」を開発した長谷川和夫さんは、2018年に自分が認知症であることを告白しています。
もともとアルツハイマー病ではないかと自分で疑っていたようですが、病院を受診した結果、嗜銀顆粒性認知症であることがわかったそうです。
認知症研究の第一人者でも、認知症になることは避けることができないことなのです。
6.芦屋小雁さん
芦屋小雁
生年月日:1933年12月4日
出身:京都府京都市
身長:155cm
所属:小雁倶楽部
活動:喜劇俳優
「裸の大将」役で知られる芦屋雁之助さんの弟であり、喜劇俳優として活躍している芦屋小雁さんは、2018年12月7日放送の『爆報! THE フライデー』で認知症を発症していることを発表しています。
本番前の舞台の袖では「ここどこや」と戸惑ったり、散歩に出たまま行方不明になったこともあったそうです。芦屋さんの認知症は血管性とアルツハイマー病との合併とのことです。
認知症発表後も仕事は続けていて、現在はさらに認知症の啓発活動にも参加しています。
7.オノ・ヨーコさん
オノ・ヨーコ
生年月日:1933年2月18日
出身:東京都
活動:芸術家、活動家
ジョン・レノンさんの妻であり、活動家としても知られているオノ・ヨーコさんは、2017年に週刊誌にレビー小体型認知症(DLB)を患っていると報道されています。
特に、この報道に対してのコメントは出ていないのでわかりませんが、年齢的には報道が出た時点で84歳ですので、認知症を発症していてもおかしくありません。
この記事はオノ・ヨーコさんの弟の証言をもとに作られていますが、その弟さんはオノ・ヨーコさんの息子さんから聞いたことを話しているようですので、若干真偽は怪しいところがあります。
8.栗田貫一さん
栗田貫一
生年月日:1958年3月3日
出身:東京都
身長:170cm
所属:三木プロダクション、オフィス南
血液型:B型
活動:ものまねタレント
栗田寛一さんは以前テレビ番組に出演した時に、奥様に対する振舞いがあまりにもひどかったので、「完全にモラハラ!」と炎上したことがありました。その後に、詳しく検査をしてみると、「前頭側頭型認知症」の疑いがあると診断されています。
この前頭側頭型認知症は、一般的な物忘れなどの症状はそれほど見られないのですが、暴力的になったり、自分の思いのままに行動するなどの症状がみられます。
そのため、栗田寛一さんのモラハラは前頭側頭型認知症から来ているのではないかと言われているんです。
9.ダンプ松本さん
出典:daily.co.jp
ダンプ松本
生年月日:1960年11月11日
出身:埼玉県熊谷市
身長:163cm
所属:えりオフィス
血液型:B型
活動:プロレスラー
女子プロレスラーのダンプ松本さんは、2016年に出演した番組で検査した際に、出血性脳梗塞が見つかり、さらに細かい脳梗塞の痕が見つかっています。このままだと、近い将来認知症になると警告されていました。
現在のところは認知症の症状は出ていないようですが、ちょっと心配ですね。
認知症の芸能人・有名人:海外4名
1.ロナルド・レーガンさん
出典:tokitank.com
ロナルド・レーガン
生年月日:1911年2月6日
出身:アメリカ
身長:185cm
所属:共和党
活動:第40代大統領
アメリカの第40代大統領のロナルド・レーガンさんは、大統領の任期が終わって5年後の1993年にアルツハイマー型認知症と診断され、1994年に国民にあてた手紙という形でアルツハイマー病を発表しています。
1990年代に元アメリカ大統領が認知症を公表するというのは、アメリカ国内だけでなく、日本でも大きなニュースとなりました。特に、レーガン元大統領な日本でも人気があったので、当時、ニュースを見て驚いた人も多いと思います。
2.グレン・キャンベルさん
グレン・キャンベル
生年月日: 1936年4月22日
出身:アメリカ
活動:歌手
アメリカのカントリー歌手として有名なグレン・キャンベルさんは、2011年に認知症を患っていることを公表しています。認知症を公表した後も歌手として活動を続けています。
2012年から13年にかけてレコーディングしていたアルバム「Adiós」を2017年に発売しましたが、発売してから1か月半後に施設で息を引き取っています。
3.ジーン・ワイルダーさん
出典:bbc.com
ジーン・ワイルダー
生年月日:1933年6月11日
出身:アメリカ
活動:俳優
アメリカの俳優で映画監督としても活躍していたジーン・ワイルダーさんは、2016年に亡くなっていますが、その3年ほど前からアルツハイマー型認知症を患っていたそうです。
亡くなった原因は、アルツハイマー型認知症の合併症とのことです。
4.チャールトン・ヘストンさん
チャールトン・ヘストン
生年月日:1923年10月4日
身長:191cm
活動:俳優
アメリカの俳優のチャールトン・ヘストンさんは、2003年にアルツハイマー型認知症を公表しています。出演した最後の作品である「MY FATHER」では、アルツハイマー型認知症の症状がすでに出ていましたが、見事に演じ切っています。
アルツハイマー型認知症を公表するのと同時に、全米ライフル協会の会長を辞任し、2008年に亡くなっています。
認知症の原因
認知症の原因は、次のようなものが関係していると考えらえています。
・家族歴=親が認知症の場合、認知症を発症する確率が高くなる
・動脈硬化=動脈硬化になると血管性認知症やアルツハイマー型のリスクが上がる
・薬剤=特定の薬剤は認知症の発症リスクを上げる
認知症、特にアルツハイマー型認知症は、まだまだ解明されていない病気ですので、原因もはっきりとは分かっていないんです。
認知症の原因になる病気
認知症になる病気、認知症と関連深い病気というものがあります。アルツハイマー病のように直接認知症を引き起こすのではなく、その病気になることで、認知症になる可能性が高くなる、認知症につながるという病気には、どんなものがあるのかを確認しておきましょう。
・限局性脳梗塞
・パーキンソン病
・クロイツフェルト・ヤコブ病
・HIV
・梅毒
・正常圧水頭症
・甲状腺機能低下症
これらの病気になると、物忘れなど認知症に似たような症状が出てきます。しかし、これらの病気では「脳の器質的な障害」ではありませんし、「不可逆的」でもありません。
つまり、認知症と似たような症状ではあるものの、きちんと治療すれば、認知症のような症状は改善されるということです。
認知症の症状
認知症の症状は、一般的に言われる「物忘れ」だけではありません。様々な症状がありますし、症状は人によって違うんです。
中核症状=脳の機能低下によって起こる症状
認知症の中核症状とは、脳の機能が低下することによって起こる症状のことです。認知症の患者さんのほとんどに起こる症状です。
・新しいことを覚えられない
・新しいルールやシステムを理解できない
・時間や人、場所などがわからない
・段取りよくできない
・正しい方を選べない
これらの中核症状は徐々に進行していきます。そして、改善することはありません。
周辺症状=性格や気質、環境によって起こる症状
認知症の症状には周辺症状というものもあります。この周辺症状は、認知症の患者さん誰にでも起こるものではなく、その人の性格や気質、環境によって起こるかどうかがわかれる症状です。
・攻撃的になる
・キレやすくなる
・自分の便を手に取る
・失禁する
・徘徊する
・食べ過ぎる、食べるのを拒否する
・食べ物ではないものを口に入れる
・昼夜逆転して、夜になると興奮する
・幻覚
・被害妄想(お金を盗まれたと思い込む)
・睡眠障害
・抑うつ
・性的羞恥心の低下(下ネタなどを平気で話す)
これらが複数出る人もいますし、1つだけその症状が顕著に出ることもあります。ほぼ全部の症状が出る人もいますね。
認知症の種類別の症状
認知症は種類によって、その症状は少しずつ違います。ここでは、四大認知症と呼ばれる次の4つの認知症の症状を説明していきます。
・レビー小体型認知症(20%)
・前頭側頭型認知症(15%)
・血管性認知症(15%)
アルツハイマー病
アルツハイマー型認知症は認知症の中で最も多いものです。記憶を担っている海馬が萎縮していくので、短期記憶障害が顕著に見られます。
症状は物忘れから始まります。症状はゆっくり進行していきます。初期の頃は体は元気ですが、徐々に脳が萎縮していきますので、寝たきり状態になります。
早く発見し治療を始めれば、症状の進行を遅らせることは可能です。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳の側頭葉と後頭葉が萎縮していくことで起こる認知症です。
幻覚・幻視が特徴的な症状で、そのほか手が震えたり、小刻み歩行になったり、表情がなくなるなど、パーキンソン病と似た症状が出てきます。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、前頭葉と側頭葉前方の萎縮がみられる認知症です。
前頭葉は人間の理性をつかさどるところですので、前頭側頭型認知症になると、暴力的になったり、反社会的な行動をしたり、自分の思い通りに行動したり、テーブルマナーや衛生観念が悪くなったりします。
血管性認知症
血管性認知症は、脳梗塞(血管が詰まる)や脳出血(血管が破れる)ことで、脳の機能が低下して起こる認知症です。
この血管性認知症は、物忘れなどの記憶障害以外に、手足が震えたり麻痺が出たりすることが特徴です。
そして、最大の特徴はまだら症状です。常に物忘れの症状が出ているわけではなく、症状が改善したように見える時(症状が消える時)があることです。まだら認知症とも呼ばれます。
認知症の寿命
認知症を発症した後の寿命についてですが、実際はその人の持病や体力、発症した認知症の種類によって寿命は変わってきます。
様々な研究によると、次のような寿命であるとされています。
かなり幅広いことがわかります。多くは7~10年とされています。
認知症は発症してからゆっくりと症状が進行し、脳が萎縮していきますので、発症してからの時間が長いのです。また、適切な治療を受ければ、症状の進行を遅らせることができるので、寿命はさらに長くなるかもしれません。
まとめ
認知症の基礎知識と認知症を公表した芸能人・有名人、認知症の原因や症状をまとめましたが、いかがでしたか?
認知症は誰にでも起こる病気です。いつ親や家族が、そしてあなたが認知症になるかは分かりません。「私は大丈夫」ということは絶対にありえないんです。
「あれ?認知症?」と少しでも思ったら、まずは医療機関を受診するようにしましょう。