ベーチェット病という病気を聞いたことがありますか?ベーチェット病は厚生労働省に指定されている難病で、原因は明らかになっていない病気なんです。
ベーチェット病の基礎知識やベーチェット病の芸能人・有名人、症状・原因・余命についてまとめました。世の中には、まだまだ知らない病気がたくさんあるんです。
ベーチェット病とは
ベーチェット病とは、自己免疫疾患(自分の免疫機能の異常で起こる病気)で、口内炎や皮膚の炎症症状(皮疹等)、目の炎症(ぶどう膜炎)、外陰部の潰瘍が主症状で全身に炎症が起こる難病です。
トルコ人の眼科医ベーチェットが最初に報告したことで知られるようになった病気で、厚生労働省からは難病に指定されています。
ベーチェット病は男女共に10代後半から40歳で発症する病気で、特に30代前半で発症することが多いことがわかっています。
また、ベーチェット病はシルクロード病と呼ばれていることも特徴です。シルクロードとは、中国から中近東、地中海までのエリアですよね。
そのシルクロードのエリアにベーチェット病の患者が多いのです。日本が一番ベーチェット病の患者が多く、朝鮮半島や中国、中近東、地中海沿岸に患者が多く、そのほかの地域には、ほとんど患者がいないんです。これは、興味深い事実ですよね。
厚生労働省によると、平成25年3月末時点で、日本でのベーチェット病患者数は約20000人となっています。
ベーチェット病の芸能人・有名人5名
ベーチェット病の芸能人・有名人をご紹介していきます。
1.MATSU(松本利夫)さん
出典:dews365.com
MATSU(松本利夫)
生年月日:1975年5月27日
出身:神奈川県川崎市
身長:170cm
所属:LDH JAPAN
血液型:O型
活動:ダンサー、俳優
EXILEのメンバーで、現在はパフォーマーを引退し、俳優を中心に活動しているMATSUさんこと松本利夫さんは、ベーチェット病を患っていることを2007年に公表しています。
MATSUさんの場合、高校生の頃からベーチェット病の症状が出始め、2006年ごろから症状が悪化し、2007年時点は左目がほぼ失明状態になってしまったとのことです。
ベーチェット病を抱えながらも、EXILEとして、俳優として活躍しているのは、勇気をもらえますね。
2.柴田章吾さん
出典:entrenet.jp
柴田章吾
生年月日:1989年4月13日
出身:三重県いなべ市
身長:175cm
所属:アクセンチュア株式会社
活動:元プロ野球選手
柴田章吾さんは、2011年に育成3位で読売ジャイアンツからドラフト指名された元プロ野球選手です。中学生の頃にベーチェット病と診断され、主治医からはベーチェット病を抱えながら、高いレベルで野球をするのは無理だと言われたものの、強豪校に進学し、明治大学卒業後はプロ入りを果たしました。
2014年のシーズン終了後に戦力外通告を受け、現在は経営/ITコンサルタントとして働いています。
3.真山亜子さん
真山亜子
生年月日:1958年11月15日
出身:岐阜県土岐市
身長:155cm
所属:ケンユウオフィス
血液型:A型
活動:声優
声優でたくさんのアニメ作品に参加している真山亜子さんは32歳の時にベーチェット病を発症しています。先ほど説明した通り、ベーチェット病は難病指定されていますが、真山亜子さんはもう1つクローン病という難病を患っています。
4.初代松本白鸚さん
出典:ameblo.jp
初代松本白鸚
生年月日:1910年7月7日
出身:東京都
活動:歌舞伎役者
歌舞伎役者である初代の松本白鸚さんは、晩年にベーチェット病を発症しています。ベーチェット病が進行したことで思うように動けなくなったこともあったようです。また、ベーチェット病が悪化したことによる心不全で亡くなっています。
5.郡司ななえさん
出典:mainichi.jp
郡司ななえ
出身:新潟県高田市
活動:作家
作家であり、映画化された「ベルナのしっぽ」の原作者でもある郡司ななえさんは、17歳でベーチェット病を発症しています。そして、27歳の時に失明しています。失明したことで、盲導犬と出会い、その経験を活かした作品を生みだし続けています。
ベーチェット病の症状
ベーチェット病は、次の4つの症状が主症状となります。
・皮膚症状
・眼症状
・外陰部の潰瘍
さらに副症状と呼ばれるものがあります。
・腸管病変
・神経病変
・副睾丸炎
・血管病変
主症状の4つがあれば、完全型のベーチェット病と診断されます。また、主症状が3つ、もしくは目の症状+主症状が1つ、主症状2つ+副症状2つ、目の症状+副症状2つだと、不全型のベーチェット病ですね。
ベーチェット病の症状は再発と寛解を繰り返すことが特徴です。
では、ベーチェット病の主症状について、詳しく見ていきましょう。
口内炎
ベーチェット病になると、口の中に口内炎(アフタ性口内炎)ができます。痛みが強い口内炎が口唇、頬粘膜、舌、歯肉、口蓋粘膜に口内炎ができ、しかもそれが繰り返し発生することが特徴です。
なかなか口内炎が治らない、治ったと思ったら次の口内炎ができるということが、ベーチェット病の口内炎の特徴ですが、素人には一般的な口内炎なのか、ベーチェット病による口内炎なのかは判断が難しいです。
また、ベーチェット病の患者の98%が口内炎の症状が出ますので、ベーチェット病の必発症状と言って良いでしょう。
皮膚症状
ベーチェット病になると、皮膚にも炎症症状が起こります。赤く腫れたしこりのようなもの(結節性紅斑)が腕や脚にできたり、ニキビのような皮膚炎が首や顔、胸、背中にできたりします。これらの皮膚の炎症は、痛みが伴うことが特徴です。
また、血管内で血栓ができて、静脈が炎症を起こす(血栓性静脈炎)が見られることもあります。
さらに、皮膚が刺激に対して敏感な状態になっているので、採血や注射をした後は、その部位が赤く腫れたり、膿疱(膿が溜まるできもの)が作られたりしますし、カミソリ負けを起こしやすくなっています。
目の症状
ベーチェット病の主症状の3つ目は、目の症状です。ぶどう膜炎や虹彩毛様体炎を発症し、目の中に膿がたまり、自分の目に膿が溜まっているのを視界の中で視認できることもあるほどです。この症状のせいで、視力が低下したり、視界がぼやけたり、まぶしいと感じたりすることがあります。
さらに、目の後ろ側に炎症が起こって、網膜脈絡膜炎を起こし、失明に至ることがあります。
ベーチェット病で目の症状が出るのは、男性患者の70%、女性患者の45%程度とされていて、さらに男性の方が症状が重症化しやすいことがわかっています。
外陰部の潰瘍
ベーチェット病になると、外陰部(男性:陰嚢、陰茎、亀頭、女性:大小陰唇、膣粘膜)に
潰瘍ができることも特徴です。痛みが伴う潰瘍で、外陰部の潰瘍で、病院を受診するきっかけになる人も少なくありません。
外陰部の潰瘍は男性患者の45%、女性患者の65%程度に見られるものです。
ベーチェット病の原因
ベーチェット病の原因はまだ分かってないというのが現状です。だから、厚生労働省から難病に指定されているんです。
ただ、シルクロード沿いに多いことから、遺伝要因と環境要因の2つが関係していると思われます。遺伝要因の1つは、ヒト白血球抗原(HLA)の中のHLA-B51というものです。
健康な人のHLA-B51陽性率は15%であるのに対し、ベーチェット病患者はHLA-B51陽性率が53.8%と明らかに高くなっています。
また、HLA-B51以外には、ICAM-1、Factor V、eNOS、IL10遺伝子およびIL23R、またはIL23RB2などの遺伝子が関与していると考えられています。
ベーチェット病の余命
ベーチェット病は原因不明の病気であり、完治させる治療法は見つかっていません。でも、基本的に予後は悪くありません。
症状は寛解と再燃を繰り返すことになりますが、それでも薬を使ってコントロールしながら、病気とうまく付き合っていっていきます。そして、10年くらいたつと病気の勢いは下り坂となり、20年くらいをこえるとほぼ再燃しないとされています。
でも、目の症状が出ている場合は、視力回復の予後はあまり良くなく、20%程度は目の症状の発症後2年程度で視力が0.1以下になってしまうというデータがあります。EXILEのMATSUさんは左目がほぼ失明状態になっていると公表していますし、郡司ななえさんも盲導犬が必要な視力になっていますね。
また、中枢神経病変、血管病変、腸管病変等があるベーチェット病の場合は、色々な後遺症を残す可能性があることがわかっています。初代松本白鸚さんは神経病変や血管病変があったようで、それに伴い、全身の痛みがあったり、心不全になったりしたとのことですね。
ベーチェット病の日常生活での注意点
ベーチェット病は感染症や喫煙、外界からのストレスが症状の再燃の引き金になることがわかっていますので、まずは衛生面に気を付けて、感染症にはできるだけかからないように予防するようにしましょう。手洗いうがいが基本ですね。
また、ベーチェット病であることがわかったら、すぐに禁煙することも大切です。そして、ストレスを受けないように、ストレッサーからはできるだけ離れて、ストレスが少ない生活を送ってください。
症状が出たら、まずは休息して、ゆっくり休むことも大切ですよ。
まとめ
ベーチェット病の基礎知識やベーチェット病を患っている芸能人・有名人、ベーチェット病の症状や原因、余命についてまとめましたが、いかがでしたか?
ベーチェット病は原因がわかっていない難病ですが、早めに病院を受診して、きちんとした検査を受け、最新の治療を受けることで、症状が悪化するのを止めることもできます。
「あれ?なんか口内炎が治らない」という場合は、早めに専門医療機関を受診するようにしましょう。