声が出にくくなったり、声が詰まる状態を発声障害と言い、歌手や声優など声を仕事にする芸能人や有名人もかかっています。
今回は発声障害の症状や種類別の原因、発声障害の芸能人や有名人を歌手・声優・その他に分けてまとめました。
発声障害とは
発声障害とは、声が出にくくなってしまう障害のことです。
声は喉にある声帯が震えることで、空気を振動させて声が出ます。発声障害は、この声の発生源である声帯に何らかの異常が生じて、声が出なくなります。
この声帯に異常が生じる原因は1つだけではなく、様々なものがあります。
発声障害と吃音や構音障害は違う
声が出にくい・話しにくいなどの症状がある疾患・障害には、発声障害以外に、吃音や構音障害があります。発声障害は吃音・構音障害は違うものです。
吃音は言葉を円滑に話せない、スムーズに言葉が出てこない症状ですので、「声が出にくい」とは違います。
構音障害はうまく発音できない障害です。脳卒中などの後遺症に構音障害がありますが、あくまでも「うまくキレイに発音できない」のであり、声が出にくい・出ないのではありません。
だから、発声障害と吃音や構音障害は違うのです。
発声障害の症状とは
発声障害は次のような症状が現れます。
・声がかすれる
・声が出しづらくなる
・声の質が悪くなる
・声が震える
・絞り出すような声になる
・うら声になってしまう
・ささやき声になってしまう
発声障害になると、このような症状が現れます。
一般的に、緊張するとこのような発声障害と似た症状が誰にでも現れます。でも、発声障害になると、緊張していてもリラックスしている時でも、症状が現れるようになるのです。
発声障害は日常生活に支障をもたらすことが少なくありません。仕事の種類によっては、仕事を継続できなくなる可能性もあるのです。
発声障害は命にかかわる病気ではありませんが、本人にとっては非常に苦痛であり、負担が大きい病気と言えるでしょう。
発声障害の種類5つと原因
発声障害は声帯に何らかの異常が生じて、声が出しにくくなる障害です。発声障害には次のような種類があります。
・器質性発声障害(声帯に病変がある)
・器質性発声障害(声帯を動かす神経に病変がある)
・機能性発声障害
・過緊張性発声障害
大きく分けるとこの5つになります。発声障害のこの5つの種類の発声障害の詳細と原因について、詳しく説明していきます。
痙攣性発声障害
痙攣性発声障害とは、声帯の筋肉が異常な緊張を生じてしまう病気です。声帯の筋肉が過度に緊張することで、声帯が締まりすぎ、声が出にくくなります。
この痙攣型発声障害の原因は不明ですが、ジストニアの一種と言われています。
ジストニアとは、筋緊張を調節している大脳基底核という部分の働きに異常が生じることで、筋肉の緊張に異常が生じて、不随意運動などの症状が出てくる病気です。
痙攣性発声障害は、次の3つに分かれます。
・外転型:声帯が開きすぎてしまう
・混合型:内転型と外転型のどちらも見られる
内転型は痙攣性発声障害の患者の90%以上を占めます。声帯がきつく締まりすぎることで、「声が詰まる」「声が途切れる」「最初の1文字が特に言いにくい」などの症状が現れます。
外転型は声帯が開きすぎてしまいます。声帯が適切に締まらないことで、息が漏れてしまい、ささやき声になります。外転型は少なく、痙攣性発声障害の1%程度になります。
混合型は痙攣性発声障害の2%程度とされています。
器質性発声障害(声帯に病変がある)
次は器質性発声障害です。声帯に病変があることで、声が出しにくくなります。器質性発声障害の原因となる病気には、次のようなものがあります。
・声帯結節
・声帯ポリープ
声帯に炎症やポリープなどができると、声帯が正常に機能しなくなるので、声が出しにくくなったり、声がかすれたりします。
器質性発声障害(神経に病変がある)
器質性発声障害には声帯に異常はなくても、声帯を動かす神経に異常が生じることで、声が出にくくなるケースもあります。この器質性発声障害の原因には次のような病気があります。
・下咽頭がん
・甲状腺がん
・肺がん
・食道がん
・喉頭麻痺
・披裂軟骨脱臼
・甲状腺や肺、心臓などの手術後
これらの原因で、声帯を動かす神経に麻痺が生じて、声帯が動かなくなり、声が出なくなることがあります。
機能性発声障害
発声障害には機能性発声障害もあります。
機能性発声障害とは、声帯には何の問題もなく、神経も何も異常はないけれど、声帯が上手く働かないことで声が出にくくなる状態のことです。
機能性発声障害には次のようなものがあります。
・変声障害(声変わり障害)
・音声衰弱症
・仮声帯発声
心因性発声障害は精神的なストレス・ショックなどが原因で起こる発声障害です。
過緊張性発声障害
過緊張性発声障害は、声帯の周りの筋肉が過度に緊張することで、声が出しにくくなってしまう状態です。
舌やのどの筋肉が緊張しすぎると、声帯が動かなくなり、声がつまったり、いきんだような声になってしまいます。
過緊張性発声障害の原因は明らかではありませんが、舌がリラックスした状態を保つような音声トレーニングで改善することが多いです。
発声障害の芸能人・有名人① 歌手8名
発声障害の芸能人・有名人を見ていきましょう。まずは、歌手からです。
歌手は声を酷使していますので、発声障害を起こしやすいのです。
渡瀬マキさん
出典:oricon.co.jp
渡瀬マキ
生年月日:1969年2月22日
出身:三重県鳥羽市
所属:アップフロントクリエイト
血液型:O型
活動:ミュージシャン
人気バンドのLINDBERGのボーカルである渡瀬マキさんは、2018年4月11日に機能性発声障害であることを発表しました。
そして喉に違和感を感じ始め、
ふとした何気無い会話も苦痛になってしまいました。
その後も喋ろうとすればするほど声が出ない事が続き、
色んな病院で色んな診察をうけて「機能性発声障害」と診断されました。
公式ホームページでの発表によると、渡瀬マキさんは2017年ごろから体調を崩し、だんだん体が弱っていったそう。そして、次のような症状が続いていたようです。
・何も楽しくない
・眠れない
・食べられない
・頭痛
・吐き気
話そうと思えば思うほど声が出なくなるなんて、本当に辛かったと思います。
機能性発声障害なので、特別に声帯に異常はないようですが、異常がないからこそ治療法が難しいかもしれませんね。
鬼龍院翔さん
出典:townwork.net
鬼龍院翔
生年月日:1984年6月20日
出身:東京都・浅草
身長:164cm
所属:ユークリッド・エージェンシー
血液型:B型
活動:ミュージシャン
ゴールデンボンバーのボーカルである鬼龍院翔さんは、2012年8月に発声時頸部ジストニア、つまり痙攣性発声障害を発症しました。
3年半前に発症した僕の喉の病気は喉の筋肉の異常な硬直によるもの(器質的異常に基づかない発声障害・ジストニアのようなもの)なので声帯の小さな膨らみとは無関係のものです。
引用:日記とお知らせ | ゴールデンボンバー 鬼龍院翔オフィシャルブログ「キリショー☆ブログ」Powered by Ameba
鬼龍院翔さんのブログでは、喉の筋肉の異常な硬直と書かれており、内転性の痙攣性発声障害だったようです。
2012年12月にはソロ公演「ひとりよがり3」の全公演を延期しています。しかし、延期した公演は1年後に成功させています。
鬼龍院翔さんはもともと喉が弱いようで、2012年8月には上咽頭炎を患い、それが痙攣性発声障害の原因になっています。また、2016年にはポリープ除去の手術を受けました。
このポリープは、痙攣性発声障害になった時からあったとのことです。
山村隆太さん
山村隆太
生年月日:1985年1月21日
出身:大阪府松原市
身長:171cm
所属:アミューズ
血液型:A型
活動:ミュージシャン
人気バンドのflumpoolのボーカルであり、月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します』にも出演した山村隆太さん。
2017年12月6日、歌唱時機能性発声障害の診断を受け、無期限の活動休止を発表しました。
山村さんは活動休止発表前から声の調子が悪く、低音での声が裏返るようになり、通常の会話にも支障が出ていたそうです。
「歌唱時機能性発声障害」ですから、歌うことに対して何らかのストレスを抱えていたのかもしれません。
活動発表休止と同時に、ツアーやカウントダウンライブも中止になりましたが、約1年の休止を経て、2019年1月13日から活動を再開。ツアー「Command Shift Z tour」を開催しました。
活動再開直後の山村さんの声は完全ではなかったものの、ツアーが進むにつれて元の歌声に戻っていったとのことです。
小渕健太郎さん
出典:hochi.news
小渕健太郎
生年月日:1977年3月13日
出身:宮崎県宮崎市
身長:168cm
所属:ミノスケオフィスコブクロ
血液型:O型
活動:ミュージシャン
コブクロの小渕健太郎さんは、2011年8月28日に発声時頸部ジストニアを発症したと発表しています。発生時頸部ジストニアは、痙攣性発声障害のことですね。
痙攣性発声障害のために、コブクロの活動は休止になりましたが、活動休止から約8か月後の2012年4月5日には活動再開を報告しています。
しかし、2019年9月15日のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の国歌斉唱は、今までの小渕さんとは思えないくらい「声が出にくい」感じがありました。
これは、もしかしたら痙攣性発声障害が再発していたのかもしれません。
aikoさん
出典:cinra.net
aiko
生年月日:1975年11月22日
出身:大阪府吹田市
身長:152cm
所属:buddy go
血液型:AB型
活動:ミュージシャン
ミュージシャンのaikoさんは、2001年に声帯結節急性咽頭気管炎と診断され、声が出なくなり、公演の一部を延期することになりました。
声帯結節は器質性発声障害の原因になるものです。aikoさんは声帯結節を手術で除去しています。
宮本佳林さん
出典:sanspo.com
宮本佳林
生年月日:1998年12月1日
出身:千葉県
身長:154cm
所属:アップフロントプロモーション
血液型:O型
活動:歌手
Juice=Juiceの元メンバーである宮本佳林さんは、2017年に機能性発声障害と診断され、声を出す仕事は休養することを発表しました。
声が出なくなったことで、当初はダンスパートのみでライブに参加していましたが、自分の歌のパートで呼吸が乱れて苦しくなるため、ライブも全部休むことにしたようです。
休養期間は約1ヶ月だけで、ライブに復帰しています。
森友嵐士さん
出典:asahi.com
森友嵐士
生年月日:1965年10月30日
出身:広島県府中市
所属:ビーイング
活動:ミュージシャン
超人気バンドだったT-BOLANは1999年12月に解散しました。解散の理由は森友嵐士さんの心因性発声障害です。発声障害は1994年ごろからあったようです。
また、ボーカリストとして活動を再開したのは2009年ですから、発声障害は15年近く続いていたことになります。
青木美保さん
青木美保
生年月日:1966年10月13日
出身:熊本県熊本市
所属:アクアプロモーション
活動:演歌歌手
「女の夜汽車」が30万枚のヒットになった演歌歌手の青木美保さんは、2000年に痙攣性発声障害を発症しました。
青木美保さんは2000年の年明けから咳が1ヶ月ほど続き、その後に思うように声が出なくなり、「おはようございます」の「お」も言えなくなってしまったとのことです。
本格的に休養をして治療に専念していましたが、なかなかよくならず、2009年になってようやく復帰できました。
発声障害の芸能人・有名人② 声優3名
代永翼さん
出典:tmaa.ac.jp
代永翼
生年月日:1984年1月15日
出身:神奈川県
身長:163cm
所属:賢プロダクション
血液型:A型
活動:声優
「弱虫ペダル」の真波山岳役や「ちはやふる」の駒野勉役で知られる人気声優の代永翼さんは、2019年11月18日に発声障害を発症していることを発表しました。
応援してくださっている全てのファンの皆様、並びに関係者の皆様へ。
— 代永翼 (@numanumakapa) November 18, 2019
ご報告が御座います。
私、代永翼は2018年末頃から『発声障害』を抱えながら仕事をしてまいりましたが、
この度、活動を制限させていただくことになりました。
ただ、「活動を制限」しているだけで、まったくの活動休止になっているわけではなく、体調を考慮しながら、イベントや作品出演を続けています。
新田恵海さん
新田恵海
生年月日:1985年12月10
出身:長野県長野市
身長:153cm
所属:ディファレンス
血液型:B型
活動:声優
「ラブライブ!」の高坂穂乃果役で知られ、μ’sのメンバーでもある新田恵海さんは、2015年に声帯結節の手術を受けています。
2014年ごろから喉の違和感や声が出にくいなど発声障害の症状があったようです。
休養はごく短期間で、すぐに声優活動に復帰しています。
内田彩さん
出典:lisani.jp
内田彩
生年月日:1986年7月23日
出身:群馬県太田市
身長:156cm
所属:アクロスエンタテインメント
血液型:O型
活動:声優
「ラブライブ!」の南ことり役であり、μ’sのメンバーでもある内田彩さんは、2016年の春ごろから声帯結節を患い、声が出にくいなど発声障害の症状が出ていました。
そして、2016年の年末に声帯結節の除去手術を受けています。
発声障害の芸能人・有名人③ その他5名
高橋真麻さん
出典:hochi.news
高橋真麻
生年月日:1981年10月9日
出身:東京都
身長:162cm
所属:グレープカンパニー
血液型:O型
活動:フリーアナウンサー
元フジテレビアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍している高橋真麻さんは、2017年に発声障害があったことをブログで報告していました。
昨夜から声がピタッと出なくなりました。
お酒も飲んでないし、勿論タバコも吸わないし絶叫もしていないのに…。・゚・(ノД`)・゚・。今朝は病院で吸入器
病院に行ったら、過労とストレスと風邪による声帯の炎症だったそうです。器質性発声障害ですね。
西田隆人さん
西田隆人
生年月日:1989年3月25日
出身:北海道札幌市
活動:アナウンサー
福井放送のアナウンサーだった西田隆人さんは、機能性発声障害でアナウンサーを断念しました。
しかし、2016年には手話ダンスグループに参加し、2018年には広島ホームテレビにアナウンサーとして入社しました。
川崎麻世さん
川崎麻世
生年月日:1963年3月1日
出身:大阪府枚方市
身長:182cm
所属:プラチナムプロダクション
血液型:B型
活動:俳優、タレント
川崎麻世さんは、2016年に声帯萎縮症で手術を受けています。この数年前から声が出にくくなっていて、声がかすれるような発声障害の症状がありました。
病院で検査を受けたところ、ストレスによる声帯萎縮症から来る発声障害だったことが判明しています。
山口もえさん
山口もえ
生年月日:1977年6月11日
出身:東京都台東区
身長:158cm
所属:スターダストプロモーション
血液型:AB型
活動:タレント
タレントの山口もえさんは、最初の結婚で夫に尽くし過ぎて、心因性の発声障害になっています。
全力で夫に尽くし、さらにその当時は夫のIT事業が上手くいかなくなっていたことから、ストレスが溜まっていたようです。
上皇后美智子さま
出典:jisin.jp
上皇后美智子さま
生年月日:1934年10月20日
出身:東京都
活動:上皇后
上皇后美智子さまは、皇后になられて5年後に報道などによるストレスから、心因性発声障害で声を失われました。
美智子さまの心因性発声障害は、数ヶ月にわたり続いたとのことです。
発声障害のまとめ
発声障害の症状や種類・原因、発声障害の芸能人や有名人(歌手や声優など)をまとめました。
声帯結節などで発声障害になる人もいますが、痙攣性発声障害の人もいますし、心因性発声障害の人もいます。
声が出なくなることは、歌手や声優など声を仕事にする人にとっては、想像できないほど大きなストレスになることは間違いないでしょう。