漫画家の卯月妙子さんは自殺未遂・自傷事故などを経験し、顔面崩壊や失明など後遺症を抱えながらも描く作品が話題です。
今回は卯月妙子さんの生い立ちや家族(結婚した元旦那や子供・再婚相手のボビーさん)、自宅や現在をまとめました。
この記事の目次
卯月妙子は『人間仮免中』の漫画家
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卯月妙子
生年月日:1971年12月30日
出身:岩手県宮古市
活動:漫画家、エッセイスト女優、元AV女優
卯月妙子さんは1991年に漫画家デビューしましたが、その後は元旦那の借金返済のために、ホステスやストリップ嬢、AV女優などを経験しています。
ただ、幼少期から悩まされていた統合失調症が悪化し、自殺未遂をしたり、寝たきりになったりして、漫画を描けなくなったこともありました。
そのような経験を自伝的漫画である『人間仮免中』として発表し、12万5000部のヒット作となっています。
卯月妙子の生い立ちや家族:統合失調症&壮絶いじめで自殺未遂
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卯月妙子さんは、統合失調症・いじめ・自殺未遂という壮絶な子供時代を送りました。
妹の死がきっかけで統合失調発症
卯月妙子さんは、1971年12月30日に岩手県宮古市で生まれ、5人家族で育ちました。
・母親
・卯月妙子さん
・妹2人
卯月妙子さんは重度の発達障害でした。落ち着きがなくて集団行動が苦手だったため、そろばん教室を辞めさせられたこともあったそうです。
卯月 私は元々、重度の発達障害を持って生まれてきて、統合失調症は二次的な発症なのです。ですから、生まれてこの方、正常だったことが一度もないのです。
卯月妙子さんの人生で大きなターニングポイントとなったのが、小学5年生(10歳)の時に統合失調症を発症したことでした。
発症のきっかけは、妹の死です。
自宅で祖母と遊んでいた妹が、祖母が少し目を離した間に洗濯物の山に顔をうずめて倒れていたのだ。死因はわからず、変死という扱いだった。
もちろん卯月さんもショックだった。だがそれ以上に、狂ったように泣き叫ぶ母の姿に、胸が引き裂かれそうになった。その直後、幻聴と幻覚がやってきたという。
引用:「妹の死後、血まみれの人々が鏡に現れて…」 歩道橋からの顔面ダイブも経験した“元AV女優漫画家”が振り返る「統合失調症という病との半生」(文春オンライン) – Yahoo!ニュース
妹の死と、泣き叫ぶ母親の姿がショックだったようで、それが引き金になったのかもしれません。
幻聴や幻覚などの異常体験に悩まされ、時には鏡の中に血まみれの人がいたり、自分の思考や意思・衝動・感情などが操られていると感じる「させられ体験」の症状もあったりしました。
いじめと自殺未遂
次のターニングポイントは、中学2年生。壮絶ないじめが始まりました。
先生もいじめを黙認している状態だったため、授業が終わるたびにいじめの主犯の子どもの家に電話をかけ続け、次のように主犯の母親に訴え続けました。
・「自殺します」
・「遺書にはお子さんの名前を書きます」
これによりいじめはなくなりましたが、それでもいじめを追及し続けたところ、教育委員会に報告され、被害者のはすの卯月妙子さんが「たちが悪い」と責められることになってしまいます。
そして中学3年生になると、統合失調症の症状が悪化し始め、自殺を図ってしまいます。
「中学3年のころ、無為自閉(※引きこもり)の症状が出はじめたんです。ひどい幻覚や幻聴・妄想が始まりました。ある時、家中にある薬を全部飲んで、手首を切って自殺未遂をしたんです」
引用:「妹の死後、血まみれの人々が鏡に現れて…」 歩道橋からの顔面ダイブも経験した“元AV女優漫画家”が振り返る「統合失調症という病との半生」(文春オンライン) – Yahoo!ニュース
この時は不幸中の幸いで「未遂」で終わりましたが、それ以降も統合失調症の症状には悩まされることになります。
また、高校生になっても「お前、いじめられていたくせに」とからかってくる生徒もいたそうです。
卯月妙子の経歴① 風俗と漫画家デビュー
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卯月妙子さんは高校に入学2日目で、煙草を吸ったことがバレて停学になりました。
停学中にヤクザの家に入り浸るようになりますが、そのヤクザが摘発された際、警察に通報したのは卯月さんではないかと疑われるようになりました。
そして、高校からは「身の安全を保障できないから退学しろ」と言われて退学し、違う高校に転校します。
転校後は美術に目覚めますが、父親のけんかをきっかけに家出をして、未成年ながら風俗でお金を稼ぐようになりました。
卒業後は上京して、美術の専門学校に進学します。そして出版社を回り、20歳頃にレディコミ誌で漫画家デビューをします。
卯月妙子の経歴② 結婚した旦那の借金返済のために風俗&AV
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卯月妙子さんは専門学校時代、友達の家に遊びに行った時に旦那となる男性に出会います。
この男性はアートコーディネーターをしていて、卯月さんの漫画を批判しました。
卯月さんは批判されたことに怒りを覚え、翌日にその批判に対して意見を述べるために彼の家に行ったのです。
そして議論をしていたら、そのまま彼の家に居ついてしまい、彼の子供を妊娠して、妊娠7ヶ月頃に「僕の死を看取ってください」とプロポーズされ、20歳で結婚することになりました。
ただ、結婚当初から、旦那さんは卯月さんに対して「僕は3年後に自殺する」と公言していたそうです。
また、結婚後すぐに旦那さんの会社が倒産して、借金が多く残ってしまいました。
この旦那の借金を返すために、卯月妙子さんはAV女優になるのです。排泄物や嘔吐物、ミミズを食べるなどの過激なAVにも出演していました。
「(AVメーカーである)『シネマユニット・ガス』の高槻彰監督、井口昇監督、平野勝之監督などに出会い、その先鋭的な才能に非常に驚かされ、憧れ、毎回体当たりでぶつからせてもらいました。監督たちから学んだことはとても大きかったです」
引用:「妹の死後、血まみれの人々が鏡に現れて…」 歩道橋からの顔面ダイブも経験した“元AV女優漫画家”が振り返る「統合失調症という病との半生」(文春オンライン) – Yahoo!ニュース
また、ホステスやストリップ嬢も経験しています。
旦那の借金を返すために、小さな子供を抱えながら、過激なAVに出演したり、ホステスやストリップ嬢もしていたなんて、すごい女性であることは間違いないでしょう。
卯月妙子の経歴③ 旦那が自殺&統合失調症が悪化
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卯月妙子さんの旦那さんは会社が倒産した後、不潔恐怖症などの精神疾患を発症し、その症状は少しずつ悪化していきました。
そして、ビルの屋上から投身自殺を図ります。旦那さんが以前宣言していたとおり、結婚から3年後のことでした。
旦那さんは一命をとりとめますが、植物状態になり、後に亡くなっています。
旦那さんは飛び降りた後、腎臓が破裂して緊急手術を受けましたが、卯月さんは摘出した腎臓を医師に見せられた時、その腎臓を食べようとしたそうです。
「覚悟はしていましたが、警察から電話が来て病院に向かい、主人の体の損傷箇所の説明を受けているうちに、あまりのショックに失神しました。その後、ICUに運ばれた主人の腎臓が破裂。摘出されたその腎臓を食べようとしてしまい、病院の精神科のサポートを受けました」
引用:「妹の死後、血まみれの人々が鏡に現れて…」 歩道橋からの顔面ダイブも経験した“元AV女優漫画家”が振り返る「統合失調症という病との半生」(文春オンライン) – Yahoo!ニュース
この旦那さんの自殺を機に、卯月さんの統合失調症の症状は悪化。
自傷行為や殺人欲求などの症状が出てきて、精神病院への入退院やオーバードーズ(薬をたくさん飲むこと)を繰り返し、手が震え、寝たきりになり、漫画家を続けられなくなりました。
卯月妙子の経歴④ 自傷事故で失明&顔面崩壊+後遺症
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旦那さんの死をきっかけに、閉鎖病棟への入退院や自殺未遂を繰り返していた卯月妙子さん。
2004年には、新宿のストリップ劇場に出演した時、舞台上で喉を刃物で切るという衝撃的な自殺未遂をしました。この時は3日間意識不明状態だったものの、一命をとりとめます。
その3年後の2007年には、歩道橋から投身自殺を図りました。
実はこの時、卯月妙子さんは舞台の誘いを受けていて、主治医に相談しました。主治医は以前よりも統合失調症の症状が重くなっているため、舞台出演の許可が下りませんでした。
何とかしようとした卯月さんはヨガを始めます。すると、精神的に安定したように感じて、勝手に薬の量を半分に減らしてしまったのです。当然、主治医は元の量に戻すよう指示します。
しかし、「私は大丈夫!」という万能感から医者の言うことを聞かなかったところ、精神のバランスを崩していき、歩道橋から突発的に顔からダイブしてしまったのです。
この時は、顔から落ちたため、顔中の骨を骨折して顔面が崩壊し、さらに片目を失明することになりました。
顔面崩壊から形成手術で戻したため、顔は全くの別人になってしまいました。
顔面崩壊前の写真はこちら。
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顔面崩壊後の写真がこちら。
確かに、顔面崩壊前と後では全然顔が変わっています。丸顔になっているのがわかりますね。
また後遺症として、口の麻痺が残ってしまい、唇が歪んでしまうそうです。
卯月妙子の現在の旦那はボビー
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2008年、卯月妙子さんが36歳の時に、行きつけだった飲み屋さんでボビーさんと出会いました。
ボビーさんは卯月さんの25歳年上の会社員の男性で、すぐに意気投合して、卯月さんから交際を申し込んで、交際をしています。
このボビーさんとは喧嘩したり、口論したりすることもありますが、ボビーさんは卯月妙子さんを深い愛で包み込みました。
卯月妙子さんが歩道橋から飛び降りて顔面崩壊した時も、ボビーは卯月さんのもとを去ることなく、卯月さんを支え続けました。
変形した卯月さんの顔を見ても、一緒に泣き、励まし、支え、愛しつづけたボビーさんの深い人間性には本当にこころを打たれます。
卯月妙子さんは一時期、北海道の障害者施設で生活していて、ボビーさんと離れていました。
離れていた期間は5年間にも及びましたが、2人の関係性・絆は崩れることはありませんでした。それどころか、ボビーさんは北海道で暮らす卯月さんに毎月送金し続けていたとのこと。
それから5年間、ボビーとは離れて暮らしていたが、2人はラブラブのまま。
まず、その点にホッとさせられた。だが、卯月の統合失調症はかつてないほどに悪化。
ボビーは67歳で退職後、再就職のメドが立たぬまま卯月に送金を続け、貯蓄を使い果たしてしまう。
貯蓄を使い果たすまで、卯月さんに送金を続けていたボビーさん。その深い愛に感動してしまいます。
ボビーさんが定年を迎えて北海道に来たことをきっかけに、2人はまた一緒に暮らすようになり、再婚しています。
帯には女優の小泉今日子さんが「愛ってすごい!愛って尊い!卯月さん、ボビーさん、ご入籍おめでとうございます!」とコメント&お祝いの言葉を寄せたことでも注目されていますが、本書は単なる年の差カップルの恋愛ドキュメンタリーではありません。
卯月妙子さんとボビーさんとの出会いや生活は、卯月妙子さんの最大のヒット作である『人間仮免中』や、その続編である『人間仮免中つづき』で詳しく知ることができます。
卯月さんはこのボビーさんと出会ったことで、統合失調症の症状に苦しみつつも、前向きに進むことができるようになったのかもしれません。
卯月妙子の自宅の場所とは?
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卯月妙子さんの自宅は北海道にあります。
以前は北海道の障害者福祉施設で生活していましたが、定年を迎えて仕事を退職したボビーさんが北海道に来てからは、函館の自宅でボビーさんと2人で生活しています。
卯月妙子の子供はシゲル:立派に成長している
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卯月妙子さんは20歳の時にできちゃった結婚をしていて、子供が1人います。
卯月さんの子供は男の子で「シゲル」さんといいます。
シゲルさんは卯月さんの作品の『実録企画モノ』の中にも登場していて、卯月さんファンにはお馴染みの子供でした。
そのシゲルさんは上京して大学を卒業後に就職し、さらにナミさんという女性と結婚して、東京本社に栄転になるなど、しっかりと地に足をつけて生活しているようです。
シゲルが試験を突破して、東京本社に栄転しました!!どんなにしんどかった時でも、ずっと笑顔でシゲルをバックアップしてくれた、ナミちゃん、本当にありがとう!!これからが本当の勝負だけど、頑張れ~!!母さんも負けねぇぜ!! pic.twitter.com/qfPrpnoW9Z
— 卯月妙子@『港町ブルース』フルカラー連載開始!! (@udukitaeko_) September 18, 2018
自分の母親がこれだけ壮絶な人生を送っていたら、自分も非行に走ったり、精神を病んだりしそうですが、シゲルさんはしっかり成長しているんですね。
卯月さんも統合失調症の症状に苦しみながらも、息子へ愛情をしっかり注いでいたのだと思います。
インタビューで、卯月さんは次のように語っていました。
卯月 もちろんそれもありますけど、子供の存在も大きいですね。子供の成長を見ているのがまぶしいというか、あの小さかった子が社会に出て右往左往しているのを遠くからみていると凄く心癒やされるところがあります。
卯月妙子の現在:ボビーの介護
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ボビーが心不全で生死の境をさまよう
卯月妙子さんは北海道で最愛のボビーさんと一緒に暮らしていましたが、ある日ボビーさんが呼吸困難に陥り、病院に救急搬送された結果、重度の心不全と診断されました。
その後、ICUで人工呼吸器につながれ、「今すぐ会わせたい人全員に連絡をしてください」と医師から告げられるほどの重症で、ボビーさんは生死の境をさまよいます。
ボビーが復活して介護&執筆
生死の境をさまよったボビーさんでしたが、卯月妙子さんの懸命の祈りが届いたのか、一命をとりとめて復活します。そして、ボビーさんの介護を卯月さんがすることになりました。
また、卯月妙子さんはこのボビーさんの病気とその後のことを『港町ブルース』というタイトルの漫画にまとめ、ビッグコミックオリジナルのデジタル版で連載しています。
この『港町ブルース』を読むと、卯月妙子さんのボビーさんへの深い愛情を感じることができますし、今の卯月さんだからこそ描ける強い愛を感じます。
卯月妙子のまとめ
卯月妙子さんのプロフィール、生い立ちや統合失調症・いじめ・自殺未遂・結婚や旦那の自殺・歩道橋からのダイブなど壮絶すぎる経歴、ボビーさんとの再婚や現在をまとめました。
卯月妙子さんの壮絶な人生を知れば知るほど、卯月妙子さんの強さを感じずにはいられません。
現在連載している「港町ブルース」や今後の作品も楽しみです。