京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人とその後!中学生の保護者への賠償金・場所と原因・現在まとめ

中学生による線路上への置石が原因となった「京阪電気鉄道置石脱線事故」が話題です。

 

この記事では京阪電気鉄道置石脱線事故の詳細や発生場所、原因となった犯人の中学生と犯行までの経緯、犯人の中学生らと保護者への賠償金やその後や現在などについてまとめました。 

京阪電気鉄道置石脱線事故は中学生の悪戯が原因で起きた列車脱線事故

 

出典:https://pbs.twimg.com/

 

「京阪電気鉄道置石脱線事故」は、1980年2月21日の20時59分に大阪府枚方市磯島茶屋町で発生した京阪電鉄京阪本線で発生した列車の脱線事故です。

 

中学生5人グループが、線路上にケーブルトラフの蓋(コンクリート製U字型溝の蓋)を置き、そこへ走行してきた淀屋橋発三条行きの急行電車(7両編成、乗客約400名)が衝突して先頭車輌から3両が脱線しました。

 

先頭車輌は線路沿いの民家に突っ込み、2両目も脱線する大事故となって、104名もの負傷者を出しました。(不幸中の幸いで死者は出なかった)

 

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の発生場所

 

出典:https://www.hira2.jp/

 

京阪電気鉄道置石脱線事故が発生した場所は、枚方市と御殿山間の磯島茶屋町を通る、京阪電鉄京阪本線上の通称「磯島曲線」と呼ばれるカーブでした。

 

詳細な場所は下の地図の赤い点線で囲まれた地域の線路がカーブしている地点です。

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の発生場所周辺は現在も住宅が集中した地域ですが、当時も同じように住宅が建ち並んでいました。民家に脱線した先頭車輌が突っ込むも死者が出なかったのは奇跡的でした。犯人の中学生らが行なった行為は非常に悪質であったと言えます。

 

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の原因の詳細

 

出典:https://pbs.twimg.com/

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の原因となったのは、地元の中学生の5人グループが、京阪電鉄の京阪本線の線路上にケーブルトラフの蓋(コンクリート製U字型溝の蓋)を悪戯目的で置いた事です。

 

事件名では「置石」とされていますが、犯人の中学生らが設置したのは、よく道路横などにあるコンクリート製のU字型の側溝にはめられている蓋でかなり大きく重量もある物体でした。

 

出典:https://lh3.googleusercontent.com/

 

犯人の中学生グループが犯行に使用したのは、線路脇に設置されていたケーブルトラフの蓋で、これは、通信や信号、配電、送電のためのケーブルを通し保護するためのものでした。犯人らは線路内に不法侵入した後にこれを見つけて、線路に置いてみようと話し合って実行に移しました。

 

犯人の中学生らは以前から素行が悪かったようで、子供の無邪気な好奇心などといったものではなく、仲間内での度胸試しとしてこのような危険な行動が取られたようです。

 

したがって、京阪電気鉄道置石脱線事故は、中学生らの悪戯が原因となって何らかの不運が重なったといったレベルではなく、もはやテロ行為、殺人行為(運よく死者は出なかったものの可能性は十分にあった)に近いものがあります。

 

中学生の年齢ともなれば、線路上に大きな障害物を置けば重大な事故につながる事は十分に予見できたはずであり、本当は「悪戯が原因となった」などと生易しい表現をするような事ではありません。

 

未成年の中学生による事件である事から、未成年保護の目的でこのような表現となったのでしょうが子供だからといって許されるような事ではありません。

 

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人の中学生は枚方市立第一中学校の5人組

 

出典:https://upload.wikimedia.org/

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人は中学生5人グループですが、5人ともが、事故発生場所から直線距離で北東に1.5キロメートルほどの場所にある「枚方市立第一中学校」に通う生徒だった事がわかっています。

 

ただ、犯人の中学生らの実名は公開されておらず、当時何年生であったのかも不明です。

 

現在も重大事件であっても犯人が未成年であれば実名公開される事はまずありませんが、インターネットにタレコミなどがあって犯人の実名が割れるケースも見られます。

 

しかし京阪電気鉄道置石脱線事故の当時はインターネットは全く普及しておらず、犯人らの実名が割れる事はありませんでした。

 

当時中学生だった犯人らは2024年の現在は50代後半になっているはずですが、どこでどのように暮らしているのかはわかっていません。

 

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人の中学生と保護者の賠償額は840万円

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人は、未成年の中学生5人だったため刑事責任には問われていません。

 

ただ、被害者側の京阪電気鉄道は犯人の中学生5人とその保護者に対して損害賠償を求める民事訴訟を起こしています。

 

犯人の中学生5人中4人は、示談金として1人あたり「840万円」を支払うという内容で和解が成立しましたが、残る1人とは示談が成立せず、1億1000万円の賠償金の支払いを求める民事裁判へと発展しています。この残る1人の裁判とその顛末については次の見出しで紹介します。

 

犯人の中学生とその保護者が支払った賠償金額は1人あたり「840万円」でしたが、京阪電気鉄道置石脱線事故により、京阪電鉄側が受けた損害金額は当時の報道によると「2億8000万円」に上ったようです。

 

これを5人で割ると、1人あたりの損害賠償額は本来5600万円になるはずですが、不足分のうち5000万円ほどは京阪電気鉄道が加入していた保険によって賄われ、残る1億円以上は京阪電気鉄道がそのまま損失としてかぶっています。

 

なお、京阪電鉄側の損害の内訳は、全損した先頭車輌の代替車輌の新規生産費用、2両目と3両目の修理費用、線路及び周辺施設の修理費用、先頭車輌が突っ込んで破壊された民家への補償金、事故による怪我人への補償金などでした。

 

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人の中学生のうち1人は示談不成立で裁判に

 

出典:https://pbs.twimg.com/

 

既に紹介したように、京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人の中学生5人のうち4人とその保護者は、示談金として「840万円」を支払う事で合意し和解が成立しています。

 

しかし、残る1人の中学生とその保護者は、犯行への関与を否定して示談金の支払いに応じませんでした。

 

そのため、京阪電気鉄道はこの中学生と保護者に約1億1000万円の損害賠償金の支払いを求める民事裁判を起こしました。

 

 

損害賠償支払いを拒否した犯人の中学生と保護者の言い分

 

損害賠償金の支払いを拒否した犯人の中学生のうち1人とその保護者は、自分(当該中学生、以下中学生A)が事件に直接的に関わっていない根拠として、(自分は)線路内には侵入していない事や置石行為もしていない事、直接的な事故原因となったケーブルトラフの蓋の設置は目撃しておらず知らなかった事、事前に置石をやめるように注意をしていた事などを主張しました。

 

続けて、裁判記録(最高裁の判決主文)を引用しながらその内容を詳細に見ていきます。

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の発端は犯人の中学生らの雑談

 

裁判記録によると、中学生Aは京阪電気鉄道置石脱線事故のあった当日(1980年2月20日)の20時40分頃、枚方市立第一中学校の友人である4人(以下の引用文ではD、E、F、G)と、線路脇の一般道路上で雑談をしていたところ、線路上に物を置く事に話が及び、各自の経験などを言い合っていたようです。

 

 (三) 本件事故当日の午後八時四〇分ころ、本件道路上において、被上告人が中 学校の友人であるD、E、F及びG(以下、この五名を「本件グループ」という。) と雑談している間に、右電車軌道のレール上に物を置くことに話が及び、各自の経 験を話したりなどして興じているうち、

 

引用:京阪電気鉄道置石脱線事故の民事裁判最高裁の判決主文より(事件番号は昭和60(オ)322)

 

詳しい雑談の内容は不明ですが、それぞれが過去に自分は線路上に物を置いた事があるなどと、悪事を武勇伝のように話してマウントの取り合いをしていたのかも知れません。

 

 

犯人の中学生らのうち3人が線路敷地内に侵入し置石行為

 

この話が盛り上がった結果、中学生らのうち3人が金網フェンスを乗り越えて線路敷地内へと侵入し、線路上にガムや拳大の石を置くなどしたという事です。

 

中学生Aは、線路敷地内には入らずに一般道路上から3人が置石などをするのを見ていたものの、事件の直接的な原因となったケーブルトラフの蓋を置くところは見ていないと主張しています。(裁判の主文では置石と濁されているが実際はケーブルトラフの蓋)

 

(四) 被上告人は、Dと共に、軌道敷内には入らず本件道路上にいたが、右のと – 1 – おりF、E及びGが軌道敷内に入り、かつ、Gが大阪行軌道上に置石行為をするの を見ていた。もつとも、被上告人は、京都行軌道上の置石(以下「本件置石」とい う。)については認識していなかつた。

 

引用:京阪電気鉄道置石脱線事故の民事裁判最高裁の判決主文より(事件番号は昭和60(オ)322)

 

 

損害賠償金支払いを拒んだ中学生Aは置石を注意したと主張

 

中学生Aは、もう1人道路上に残っていた中学生と2人で、線路内に侵入した3人に置石をやめるように注意をしたと主張しています。

 

 (五) Gは、被上告人あるいはDから置石行為をやめるように言われたが、置石 をそのまま放置したため、Fが、大阪行軌道上の置石を見て危険を感じ、これを取 り除いたものの、京都行軌道上の本件置石には気が付かず、これを除去しなかつた ところ、その直後に本件列車が進行して来て本件置石を踏み、前記のとおり本件事 故が発生するに至つた。

 

引用:京阪電気鉄道置石脱線事故の民事裁判最高裁の判決主文より(事件番号は昭和60(オ)322)

 

 

大阪高等裁判所は中学生Aの主張を認めた

 

引用している主文からは時系列が遡りますが、大阪高裁(規定により一審が高裁で行われている)は中学生Aの主張を認めて賠償責任はないとの判決(損害賠償請求の棄却)が下されています。

 

しかし京阪電鉄側はこの判決に不服申し立てをし最高裁へと持ち込まれています。

 

 

最高裁は中学生Aにも賠償責任が発生するとして差し戻しの判決

 

最高裁判所は大阪高裁の判決を破棄し高裁への差し戻しの判決を言い渡しています。

 

最高裁は、中学生Aにも損害賠償責任があるとした理由について、置石行為を実行する前の犯人らの雑談(置石をする謀議)に中学生Aも加わっている事や、事前に実行犯らが線路内に侵入して置石をするのを視認(事故の直接原因となったケーブルトラフの蓋とは別の置石行為)していた事などを挙げた上で、事故の発生を予見する事が十分に可能であったとし、事故回避のための措置を講ずる事が可能であったと述べています。

 

高裁に差し戻された事で、中学生Aとその保護者もついに諦め、他の犯人ら4人と同額の損害賠償「840万円」を支払う事で和解が成立しています。

 

 

京阪電気鉄道置石脱線事故のその後と現在

 

京阪電気鉄道置石脱線事故のその後や現在についてですが、まず、京阪電鉄側の対応として、各鉄道事業者が沿線から線路への侵入を防ぐための対策(フェンスや有刺鉄線の設置)を講じています。また、先頭車輌への排障器の設置、先頭台車への補助的な排障器具の設置なども進められました。

 

一方、京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人の中学生やその保護者のその後や現在は噂話程度の情報しか確認できません。

 

そうした噂話によると、この事件後、犯人の中学生の保護者らは損害賠償金を支払うために自宅を売却したという事です。

 

また、中学生らの実名は報道されなかったものの、地元ではすぐに誰がやったのかが特定され、地域には住めなくなり全員がよその地域に引っ越しをしたとの噂話も確認できます。

 

 

 

まとめ

 

今回は、1980年2月20日に大阪府枚方市で発生した「京阪電気鉄道置石脱線事故」についてまとめてみました。

 

京阪電気鉄道置石脱線事故は地元の中学生5人が、京阪本線の線路上にケーブルトラフの蓋を置き走行してきた急行列車が衝突して脱線したものです。先頭車輌は民家へ突っ込み、2両目も横転するなどして104名もの負傷者が出ました。

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の発生場所は枚方市と御殿山間の磯島茶屋町を通る、京阪電鉄京阪本線上の通称「磯島曲線」と呼ばれるカーブでした。

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の原因は中学生5人が線路上にケーブルトラフの蓋を置いた事ですが、犯人らは度胸試しのようにしてこのような危険行為をして大事故を起こしており、下手をすれば死者が大勢出かねないテロ行為でした。

 

京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人の中学生とその保護者に対しては、1人あたり840万円の賠償金支払いが言い渡されています。

 

その後や現在については、京阪電気鉄道置石脱線事故の犯人とその家族らは自宅を売って引っ越したとも言われていますがあくまでも噂話で真相は不明です。

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