あなたはアイヌ民族についてきちんと知っていますか?「アイヌ民族」、「アイヌ」という言葉は聞いたことがあると思います。
今回はアイヌ民族の基礎知識や顔や文化的な特徴、差別を受けてきた過去と現在、アイヌの血を引く芸能人・有名人をまとめました。
アイヌ民族とは
アイヌ民族とは、北海道を中心とした地域に居住していた先住民のことです。北海道だけではなく、樺太や千島列島、本州の北端にも居住していました。
アイヌ民族は少数民族ですので、人口は多くありません。江戸時代には最大26,800人ほどいたという記録がありますが、その後は感染症などによって人口は減少しました。
2006年の北海道庁の調査によると、アイヌ民族の人口は23,782人となっています。
この時の調査では、アイヌ民族を「アイヌの血を受け継いでいると思われる」人、「もしくは「婚姻・養子縁組等によりそれらの方と同一の生計を営んでいる」人と定義していますので、たとえ本当はアイヌ民族でも、「自分はアイヌ民族ではない」と否定した場合は、調査対象外としています。
2017年の調査では13,000人となっていますが、これは個人情報保護の観点から、調査に協力する人が減ったためではないかと言われていて、正しい調査結果ではないとされていますね。
元々は、アイヌ民族は北海道やその周辺の地域に住んでいましたが、現在では北海道外に居住するアイヌ民族も増えてきています。
1988年の調査では東京に住むアイヌ民族は約2,000人だったとのことですので、現在はさらにその時よりもさらに増えていることが予想されますね。
アイヌ民族の芸能人・有名人11人
アイヌ民族の芸能人や有名人をご紹介します。アイヌ民族は北海道の調査によると24,000人程度ですので、人口は多くありません。
そのため、アイヌ民族に出自を持つ芸能人や有名人は多くありません。
特に、アイヌ民族は差別されてきた歴史がありますので、自らをアイヌ民族であることを公表せず、むしろ隠している人も少なくないと考えられますから、アイヌ民族の芸能人・有名人は少ないのです。
1.宇梶剛士さん
宇梶剛士
生年月日:1962年8月15日
出身:東京都新宿区
身長:188cm
所属:アベベネクスト
血液型:B型
活動:俳優
俳優として活躍されている宇梶剛士さんはアイヌ民族に出自を持つ芸能人です。宇梶剛士さんのお母様はアイヌ民族でアイヌの詩人や古布絵作家、さらに民族活動家として活動してい宇梶静江さんですので、宇梶剛士さんもアイヌ民族ということになります。
宇梶さんは、北海道のアイヌ民族博物館内のVTRの案内役としても登場されていますね。彫が深い顔立ちはアイヌ民族の顔の特徴と一致していると思います。
2.OKIさん
OKI(オキ)さんは樺太アイヌの伝統弦楽器トンコリ奏者ですね。北海道生まれで神奈川県育ち、現在は北海道にお住まいとのことです。
アイヌの伝統音楽をベースにした音楽を作っていますう。OKIさんを中心として結成されたバンド「OKI DUB AINU BAND」は世界各国の音楽フェスティバルにも出演されています。
北海道文化賞奨励賞受賞も受賞されていますね。
3.居壁太さん
出典:youtube.com
居壁太
活動:ミュージシャン
居壁太さんはアイヌ民族楽器の演奏者であり、先ほど紹介した「OKI DUB AINU BAND」のメンバーでもあります。バンドメンバーとしてワールドワイドに活動を行うほか、日本国内では公演活動なども行っていますね。
アイヌの伝統音楽や文化などに関する講演内容が多いようです。お顔立ちを見ると、アイヌ民族であることが良くわかります。
4.深月ユリアさん
出典:gree.jp
深月ユリア
生年月日:1984年1月7日
出身:ポーランドのワルシャワ
活動:女優、占い師
深月ユリアさんは、アイヌ民族の父とポーランド人の母の間に生まれたハーフである深月ユリアさんは、ポーランド出身のアイヌ民族です。お母様はポーランドの魔女系の家計であることから、霊感があり、女優としてだけでなく、占い師としても活動されているようですね。
5.アト゜イさん
アト゜イ
生年月日:1945年11月18日
出身:北海道釧路支庁白糠町
活動:実業家、アイヌ詞曲舞踊団モシリの代表、作詞家、作曲家
北海道のアイヌ民族が多い集落で育ったアト゜イ(アトゥイと発音する)さんは、「アイヌ詞曲舞踊団モシリ」を設立し、注目を集めます。また、アイヌ関連のことでテレビ出演や講演をされることもありますね。
小学校時代はアイヌ民族であることから差別を受けて、小学校に通うのを辞めてしまったという過去を持っています。
6.酒井美直さん
出典:kokai.jp
酒井美直
生年月日:1983年1月5日
出身:北海道帯広市
活動:歌手、アイヌ民族舞踊家
酒井美直さんはお父様がアイヌ民族である芸能人ですね。2006年にはAINU REBELSというグループを結成し活動されていました。
2011年にはゲーム音楽家として知られ、アイヌ民族のフィールドワークを行っている浜渦正志さんと「IMERUAT」(Mina名義)を結成して活動されています。
7.MAREWREW
出典:facebook.com
MAREWREW
メンバー:Rekpo、Hisae、Mayunkiki
活動:アイヌ伝統音楽のヴォーカルグループ
MAREWREW(マレウレウ)はアイヌ語で超を意味する言葉で、女性3人のアイヌ伝統音楽を奏でるヴォーカルグループです。アイヌ伝統の歌であるウポポを忠実に再現しています。
2010年にデビュー後、少しずつ活動の場を広げていっています。2016年にはEテレにも出演されていました。
8.結城幸司さん
結城幸司
生年月日:1964年4月
出身:神奈川県
活動:版画家・木彫作家・アイヌ民族運動家・ロックシンガー
結城幸司さんのお父様は、アイヌ解放運動活動家の結城庄司さんです。自らもアイヌ民族運動に参加しています。アイヌアートプロジェクトに参加したり、版画家として活動するほか、アイヌ民族運動家として全国で公演も行っている方です。
9.松前ピリカさん
松前ピリカ
生年月日:1913年
没年:1976年
出身:北海道平取町
活動:民謡歌手
松前ピリカさんは、10代で旅一座の一員として参加した後、松前ピリカ一座を立ち上げて全国を回り、一世を風靡した芸能人です。「ピリカ」とはアイヌ語で美しい、良いという意味の子音場で、松前ピリカさんはその名前の通り、とても美しい歌声を持つ女性だったとのことです。
10.安藤ウメ子さん
出典:youtube.com
安藤ウメ子
生年月日:1932年11月20日
没年月日:2004年7月15日
出身:北海道帯広市
活動:アイヌ音楽家
安東ウメ子さんはアイヌの伝統的な歌「ウポポ」や口琴「ムックリ」の名手として知られていた芸能人です。最初にご紹介したOKIさんとCDなどをリリースしています。
また、アイヌ文化の保存活動やアイヌ語講師としても活動されていた女性です。
11.チカップ恵美子さん
チカップ恵美子
生年月日:1948年9月2日
没年月日:2010年2月5日
出身:北海道釧路市
活動:アイヌ文様刺繍家、文筆家
チカップ恵美子さんは、アイヌの家庭に生まれ、アイヌ文様の刺繍やウポポ(歌)などを習って育ちました。
幼少のころに映画に出演したことがありますが、その時のことがきっかけで「アイヌ民族肖像権裁判」を起こしています。そのほか、アイヌ文様刺繍をたくさん発表したり、アイヌに関する本を出版されています。
アイヌ民族の顔や外見の特徴
アイヌ民族の顔や外見的な特徴を紹介していきます。アイヌ民族は、一般的な日本人、つまり大和民族とは少し違う顔・外見をしているんです。
・蒙古ひだはないことが多い
・鼻が高い
・顔の彫が深い
・小顔(顔高が低い)
・身長は低め
・手足は長く、胴は短い
・体毛は濃い
・蒙古斑は少ない
・耳たぶがしっかりしていて福耳タイプが多い
・耳垢は湿っている
アイヌ民族の顔・外見の特徴は、ざっとこんな感じですね。これを見ると分かるように、アイヌ民族は美男美女が多いんです。
パッチリとした二重で顔の彫が深い。もうこれだけで、美人の条件を満たしていますよね。さらに小顔で手足が長いんですから、身長は低いものの、全体のバランスは整っていて、スタイルが良いんです。
欧米人と比べると、顔が薄くて一重瞼、さらに顔が大きくて手足が短い一般的な大和民族から見ると、アイヌ民族の顔・外見の特徴は羨ましい限りですよね。
アイヌ民族の文化的な特徴
次は、アイヌ民族の文化的な特徴を見ていきましょう。アイヌ民族は独自の文化・風習を持つ先住民族なんです。
・物々交換で交易している
・狩猟民族
・独自の言葉「アイヌ語」を持つ
・宗教はアミニズム的なもの
・アミプと呼ばれる伝統衣装がある
・文字を持たないため、すべて口頭での伝承
・口承文芸としてウエペレケ(散文の昔話)やユーカラ(叙事詩)がある
・伝統的なウポポ(歌)やリムセ(輪舞)がある
・樺太アイヌはミイラを制作していた
・部族的に特徴的な入れ墨していた
これを見ると分かるように、大和民族とは全く異なる独自の文化を持っていることがわかりますね。
ただ、アイヌ民族独自の文化は薄れてきてしまい、伝統文化復興運動が起こり、アイヌの伝統文化を残していこうという動きが活発になっています。
アイヌ民族は差別を受けてきた
アイヌ民族は、差別と闘ってきた歴史を持っています。特に、明治以降は差別に苦しんできました。
明治以降、大和民族は北海道(当時は蝦夷)での開拓を本格化させましたが、同時に先住民族であるアイヌ民族を差別し、迫害してきたのです。
どこかの国のようにいきなり先住民族を虐殺したなどの事実はないようですが、次のような差別をしたとの記録があります
・伝統的な土地を取り上げる
・農耕文化を押し付ける
・農耕させる土地は大和民族よりも劣悪で狭いところを与える
・鮭やシカの猟を禁じる
・大和民族に同化するように命じる
・アイヌ民族と結婚すると差別される
伝統的な文化を否定され、さらに大和民族の文化を押し付けられ、しかも差別される。こんな歴史をアイヌ民族は持っているのです。
アイヌ民族の現在は?
アイヌ民族は差別と闘ってきた先住民族です。では、現在はどうなのでしょうか?
現在でも、残念ながらアイヌ民族への差別が完全になくなったとは言えません。以前と比べると、だいぶ差別は減ったものの、まだ完全に差別がなくなったわけではないのです。
平成25年の北海道の調査によると、アイヌ民族で直近7年間に差別を受けた経験があると答えた人は2%いました。平成23年の北海道外で行われた調査でもほぼ同様の結果だったとのことです。
また、文化面では1970年代後半から伝統文化復興運動が起こっていて、アイヌの伝統文化を残そうと各地に博物館や資料館が作られたり、アイヌの古式舞踊がユネスコの無形文化遺産に登録されています。
1997年にはアイヌ文化復興法(アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律)が成立・施行され、アイヌ民族の文化を残そう・復興させようという動きが高まってきています。
まとめ
アイヌ民族の基礎知識や顔・外見の特徴、文化の特徴、差別と現在、アイヌ民族の芸能人・有名人をまとめましたが、いかがでしたか?
アイヌ民族はずっと差別されてきた歴史を持っています。素晴らしい文化を持っている民族ですので、今後は差別が完全になくなり、その文化をベースとした芸能人がたくさん出てくるような世の中になると良いですね。