2013年12月に発生した「アクリフーズ農薬混入事件」の犯人の阿部利樹が話題です。
この記事では、阿部利樹の起こしたアクリフーズ農薬混入事件の概要、この男の生い立ちや家族、犯行の動機や裁判での判決、出所後の現在の様子などについてまとめました。
この記事の目次
阿部利樹はアクリフーズ農薬混入事件の犯人
阿部利樹は、2013年12月に発覚した「アクリフーズ農薬混入事件」の犯人として2014年1月に逮捕された男です。
阿部利樹は、自身が契約社員として勤務していた、アクリフーズ群馬工場で生産された冷凍食品に、農薬マラチオンを混入しました。
この阿部利樹の犯行動機は一方的に会社に不満を募らせた事によるものでしたが、その事とは無関係な不特定多数の人間が被害に遭う農薬混入という身勝手すぎる犯行内容を厳しく批判する声が、事件から約8年が経過した現在も根強く上がっています。
今回はこの「アクリフーズ農薬混入事件」の犯人である阿部利樹についてまとめていきます。
阿部利樹の起こしたアクリフーズ農薬混入事件の概要
まず最初に、阿部利樹の起こした「アクリフーズ農薬混入事件」の概要を振り返っていきます。
「アクリフーズ農薬混入事件」は、2013年11月13日に、株式会社アクリフーズ(現在はマルハニチロに吸収合併)の群馬工場で生産された冷凍ピザを購入した一般消費者から「(商品から)石油臭い異臭がする」とのクレームが寄せられた事からはじまりました。
アクリフーズは、この消費者から問題の商品を郵送で受け取って対応していますが、その時点では大規模な調査は行われませんでした。
しかし、同年12月29日までの間に、同様の苦情が全国各地から約20件寄せられ、本格的な調査へと移行、その結果、同工場で生産された商品から、殺虫剤の一種であるマラチオン系の農薬が検出されました。
アクリフーズはこれを受けて、群馬工場の操業と出荷を直ちに停止し、これまでに出荷された全商品の回収(リコール)を実施するとの発表を行なっています。
この翌日、行政による工場への立入検査が実施され、「通常の製造工程上で汚染された可能性は低い」との見解が示され、何者かによって有害な農薬が意図的に混入された可能性が高いとして、警察による捜査が始まりました。
そして、2014年1月から、アクリフーズにより、同工場で勤務する全従業員への聞き取り調査が開始され、同25日、当時49歳だった契約社員の男・阿部利樹が犯人として浮上しました。
阿部利樹は偽計業務妨害罪容疑で群馬県警に逮捕され、その後の取り調べで、2013年10月に少なくとも9回以上にわたり、同工場で生産された冷凍食品12製品に、農薬を吹きかけていた事がわかり、2014年2月16日に器物損壊の容疑で再逮捕されました。
以上が、阿部利樹が起こした「アクリフーズ農薬混入事件」の簡単な概要となります。
阿部利樹の生い立ち① 小学校から中学校時代はいじめられていた
無差別に多数の被害者を出し、社会全体にも大きな影響を及ぼした「アクリフーズ農薬混入事件」を引き起こした反社会的人間である阿部利樹の生い立ちにも興味が集まっています。
阿部利樹は、アクリフーズ農薬混入事件を起こして逮捕された後、拘置所内で週刊誌記者と面会してインタビューを受けており、その際に自身の子供時代の生い立ちについても語っています。
それによると、阿部利樹は、子供の頃からチック症の症状があり、それが原因で小学生から中学生頃までいじめられていたそうです。
阿部被告は人生の転機となる幼少期の体験も語った。
「小さい頃からビートたけしさんと同じでチック症なんで、(それが原因で)いじめられていました。小学生から中学生ぐらいまで。でも本が売れて映画とかになれば、たけしさんの番組に出れるかもしれないですよ」
この子供時代のいじめが原因になって人生で反発の原因になったのかとの記者の質問に対して、阿部利樹は「それは結構あった」と答えているので、この子供時代の経験も「アクリフーズ農薬混入事件」を起こす動機の1つとなった可能性もありそうです。
──いじめられたことが人生で反発の原因となった?
「それは結構ありましたね。なんだこんなのって。悔しいって気持ちや見返してやろうっていうことはありました」
阿部利樹の生い立ち② 私立高校卒業後問題を起こして解雇などで職を転々
週刊誌「アサヒ芸能」の徳間書店が運営する大手ウェブメディア「アサ芸プラス」は、阿部利樹の生い立ちについての記事を発表していました。
それによれば、阿部利樹は中学を卒業後は私立高校へと進学したようです。
高校卒業後については、職を転々としたようですが、「アクリフーズ農薬混入事件」からみて10年前に勤めていたという自動車部品の工場でも、完成品に不良品を混ぜる事件を起こし、これが原因で解雇された過去があったそうです。
栃木県内の私立高校卒業後は、職を転々とするが、10年ほど前に勤めていた自動車関連の部品工場では、今回と似たような“事件”を起こしていたのだ。
「会社の上司とトラブルを起こして、完成品に不良品を混ぜたことがありました。他の従業員が見ていたことで発覚し、解雇されました」(全国紙社会部記者)
なお、阿部利樹は自身のフェイスブックで、出身高校を栃木県足利市にある私立「足利学園高等学校」としているので、上で紹介された私立高校はこの高校の可能性が高いです。(現在は白鴎大学足利高校)
阿部利樹の生い立ち③ アクリフーズ工場に勤め始めたのは2005年
阿部利樹は高校卒業後職を点々としたとのことですが、「アクリフーズ農薬混入事件」を起こす事になる、アクリフーズの群馬工場には、2005年頃に契約社員として入社しているようです。
ただ、8年以上勤務しても正社員になれずに、さらに給料も上昇するどころか減る傾向にあったため、その不満が「アクリフーズ農薬混入事件」の動機になったと阿部利樹本人は主張しています。
05年からはアクリフーズで働き始める。だが、8年たっても正社員にはなれず、給料は増えるどころか、減る一方で、その不満が犯行の動機につながったと見られている。
阿部利樹の家族① 母親
阿部利樹の家族についてもみていきます。
「アクリフーズ農薬混入事件」が起きた2014年当時、阿部利樹の実家には70代の母親が住んでいました。
事件が発覚した直後の2014年1月、阿部利樹の母親は産経ニュースの取材に応じて、息子の阿部利樹が起こした反社会的事件に対しての謝罪をされていました。
アクリフーズ群馬工場(群馬県大泉町)の冷凍食品農薬混入事件で、偽計業務妨害容疑で逮捕された工場契約社員、阿部利樹容疑者(49)の母親が29日、群馬県内の自宅で、インターホン越しに「もし本当ならば、たくさんの人にご迷惑をかけて誠に申し訳ありません」と話した。
この阿部利樹の母親によれば、阿部利樹は子供時代から漫画が好きで、やんちゃな子供だったそうです。
また、その後の2014年2月には、「アサ芸プラス」の記者がこの阿部利樹の母親を取材に訪れたようですが、息子の起こした事件にショックを受けた母親は寝込んでしまい、記者の取材を受けることはできなかったようです。
阿部容疑者の実家を訪ねると、50歳間近の息子の犯行に、母親はショックのあまり体調を崩して寝込んでしまい、記者の質問にも、もはや答えることはなかった。
阿部利樹の母親についてはその後は情報が出ておらず不明です。
阿部利樹の家族② なんと結婚していて嫁と子供がいた
驚くべきことに、阿部利樹は結婚しており嫁と子供がいた事も判明しています。
「アサ芸プラス」によれば、阿部利樹は結婚していて子供がおり、1995年頃には群馬県の大泉町に2階建ての新築の家を建てていたようです。
阿部利樹は嫁とは若い頃に働いていた工場で出会って結婚したという事で、子供は「アクリフーズ農薬混入事件」が起きた当時20代だったとの事でした。
阿部容疑者は1995年に群馬県大泉町に2階建の家を新築。妻と息子と一緒に暮らしていた。
「奥さんとは若い頃に働いていた工場で出会って結婚したそうです。息子は現在20代中頃で、以前は父親と同じアクリフーズで働いていたと聞いたことがあります」(近隣住民)
ただ、事件発生後、阿部利樹が1995年に新築したという自宅から嫁と子供ら家族は姿を消しており、ただ、阿部利樹が100万円を投入したという改造バイクだけが残されていたそうです。
妻と息子の3人暮らしだが、大泉町にある2階建て木造一軒家に人の気配はない。主不在の家には、一躍有名になった青いカスタムバイクが置かれていた。月の手取り12万円(推定)から、なんとか工面した100万円を投入した愛車だ。
阿部利樹が「アクリフーズ農薬混入事件」を起こした後の嫁と子供ら家族の行方についてはわかっていません。
阿部利樹が「アクリフーズ農薬混入事件」を起こした動機
阿部利樹は「アクリフーズ農薬混入事件」を起こした動機について、長く勤めているのに正社員になれない事や、給与体系が変わって給料が目減りした事から、会社に対して不満を募らせた事などを主張していました。
ただ、どうやら直接的な動機となったのは、働いていた群馬工場の工場長から、自身の乗っている改造バイクについて嫌味を言われた事だったようです。
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そうしたら会社の工場長が会うたびに、『阿部ちゃん、いいバイク乗っているね』って。そこまではいいんだけれど、嫌みで『カネあるねー』っていうんですよ。嫌みですよ、カネなんかないのに。まぁ、そういう辛いこともありまして」
なんと、「カネあるね」と嫌みをいわれたというただそれだけのことが、不満の正体だったのである。
阿部利樹のアクリフーズ農薬混入事件での判決は懲役3年6ヶ月の実刑
阿部利樹は「アクリフーズ農薬混入事件」で、偽計業務妨害や器物損壊で起訴され、「懲役3年6ヶ月」の実刑判決を受けています。
群馬県大泉町のアクリフーズ(現マルハニチロ)群馬工場製造の冷凍食品に農薬が混入された事件で、偽計業務妨害や器物損壊などの罪に問われた工場の元契約社員、阿部利樹被告(49)の判決が8日、前橋地裁であり、野口佳子裁判長は、懲役3年6カ月(求刑懲役4年6カ月)を言い渡した。
証拠不十分で傷害罪で起訴できずあまりにも軽い判決に
阿部利樹の起こした「アクリフーズ農薬混入事件」は、不特定多数の人が被害に遭った無差別テロといっても良い凶悪事件ですが、その判決は懲役3年6ヶ月とあまりに軽い印象受けます。
これは会社側が、事件が起きた事を公表するのを遅らせた結果、被害にあった方の身体から混入された農薬を検出することができなくなり、阿部利樹の混入させた農薬によって多くの人々が体調を悪化させたのを立証する事ができず、より刑罰の重い、傷害罪で起訴する事が出来なかったためでした。
今回、マルハ側が事態の公表を遅らせたため、毒物が混入した商品で体調を崩したのか立証するのが難しく、偽計業務妨害(3年以下の懲役、または50万円以下の罰金)の疑いで逮捕された阿部容疑者。
阿部利樹には商品回収にかかった費用の内1億円の損害賠償を支払う判決も
刑事裁判ではあまりに軽い判決となった阿部利樹でしたが、その後のアクリフーズ側が損害賠償を求めた民事裁判では、阿部利樹に1億円の損害賠償の支払いを命じる判決が下されています。
群馬県大泉町のアクリフーズ(現マルハニチロ)の工場で冷凍食品に農薬が混入された事件で、同社が元契約社員の阿部利樹受刑者(49)=偽計業務妨害などの罪で実刑が確定=に1億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(足立堅太裁判官)は25日、全額の支払いを命じる判決を言い渡した。
阿部利樹の現在…既に刑期を終え出所している
阿部利樹は2021年11月の現在は既に刑期を終えて出所しているはずです。
ただ、阿部利樹が出所後から現在までどのように過ごしているのかについては情報がなく不明です。
また、阿部利樹は逮捕された当時、メディアの取材に対して「事件についての本を出したい」と訴えていましたが、2021年の現在までにそうした書籍が発表されたとの情報も出ていません。
まとめ
今回は、2013年12月に発覚した「アクリフーズ農薬混入事件」の犯人の阿部利樹についてまとめてみました。
阿部利樹は会社へ一方的に不満を募らせた挙句、自身が働いていた工場で生産された冷凍食品に農薬を吹きかけるなどし、無関係な多くの人々に被害をもたらしました。
そんな阿部利樹の生い立ちについては、小学校から中学にかけてはチック症が原因でいじめられ、その後は私立高校(足利学園高等学校だとみられている)を卒業した事がわかっています。
また、家族については事件当時70代の母親と、1995年以前に結婚した嫁、事件当時20代だった子供の存在が判明しています。
阿部利樹は事件を起こした動機としては、いつまでも契約社員から正社員になれない事や、給料が上がるどころか下がっていく事に、会社に対して不満を募らせた事だと主張しています。
阿部利樹はこの事件では、器物損壊と偽計業務妨害で起訴され、懲役3年6ヶ月の判決を受けています。また、アクリフーズが損害賠償を求めた民事裁判では1億円の損害賠償を支払う事を命じる判決が下されています。
現在、阿部利樹は既に出所しているはずですが、その後どのように過ごしているのかの情報は出ていません。