関東連合と長年抗争を繰り広げた暴走族「打越スペクター」ですが、メンバーが立て続けに逮捕され、話題です。
今回は打越スペクターの概要、関東連合や木村兄弟との関係、メンバーの西村聡造などが起こした事件、現在をまとめました。
この記事の目次
打越スペクターとは?関東連合と抗争を繰り広げた暴走族
1970年、東京都町田市で国士舘高校に通う不良少年が中心となり、暴走族「スペクター」を立ち上げました。
その後、本拠を浅草に移して勢力を拡大し、関東一円に多数の支部を持つ、構成員人数日本最大とも言われる巨大暴走族へと成長していきます。
その「スペクター」の支部の中でも、東京都八王子市の打越町(うちこしまち)の不良達が中心になって結成したのが「打越(うちこし)スペクター」です。
八王子市の暴走族は当時からタチが悪い事で有名で、凶悪な犯罪行為を躊躇なく起こす事で恐れられていました。
中でもこの打越スペクターはその凶暴性で突出していたと言われ、当時から他の連合体に所属する事なく独立性を保ち続けていました。
打越スペクターと関東連合の関係とは?
その凶暴さが有名だった打越スペクターでしたが、2000年代に入るとOB達がマフィア化(半グレ化)し、数々の凶悪犯罪事件を起こして世間にその悪名を轟かせる事になります。
打越スペクターOB集団は、同じく半グレ化して関東一円で凶悪犯罪を繰り返していた関東連合OB集団とは暴走族時代からの古い因縁関係にあります。
暴走族としての打越スペクターは、「反関東連合」を掲げて集結した暴走族やチーマー集団の中心グループとして、関東連合との長年にわたる抗争を繰り広げていました。
OB世代になってもその対立関係は継続しており、その対立関係が元で数々の凶悪事件を起こす事になったのです。
次の章からは、そんな打越スペクターOBメンバーが関与したとされる数々の凶悪事件、反関東連合のリーダー格とされる伝説的不良「木村兄弟」との関係、現在の様子までを紹介します。
打越スペクターOBが準暴力団に認定された理由とは?
打越スペクターOBグループは2014年3月に警視庁によって「準暴力団」として認定されました。
これは、OBグループが「オレオレ詐欺」や、暴力団構成員や不良グループメンバーをさらって身代金を要求するなど、過激な方法で資金を集めた事で、警察が警戒を強めた結果のようです。
関東圏で「準暴力団」として認定され、かつ一般に向けて公表されているのは「打越スペクターOBグループ」の他にも、3グループあります。
言わずと知れた「関東連合OB」、中国残留孤児2世や3世の不良が中心の暴走族・怒羅権(ドラゴン)のOB「チャイニーズドラゴン」、大田区の暴走族の連合体「大田連合OB」でした。
「打越スペクターOBグループ」は、これらの知名度の高い凶悪団体の1つとして数えられているのです。
打越スペクターOBメンバー① 西村聡造が関与した事件とは?
その打越スペクターOBグループのリーダー格だと言われているのが、西村聡造という男です。
ネットの噂によれば、ジャイアン的性格で八王子界隈の不良達に恐れられていた言われています。
西村聡造はここ数年で度々事件を起こして逮捕されています。西村聡造が関連する事件を紹介します。
山口組系暴力団「一蓮会」構成員との乱闘事件
2016年3月、西村聡造は指定暴力団山口組系の暴力団「一蓮会」の構成員数名と新宿歌舞伎町で乱闘事件を起こしています。
この件が報道された時に西村聡造は35歳と報じられているため、2019年12月時点での年齢は39歳か40歳のはずです。
東京・歌舞伎町で先月発生した乱闘事件で、警視庁は15日までに、暴走族「打越スペクター」の元リーダー格の西村聡造容疑者(35)を逮捕した。事件をめぐっては既に、指定暴力団「山口組」系暴力団の幹部ら4人が逮捕されている。
この事件で、西村聡造が「一蓮会」の構成員数名に暴行されている動画がネットに流出しています。
「山口組」と「神戸山口組」との抗争が関係していると報じられていますが、この時、西村聡造を暴行したのは、山口組系暴力団「一蓮会」の篠崎という人物でした。
西村聡造は同じく「一蓮会」の武田修という人物の舎弟だったとの事なので、「一蓮会」内部でのなんらかの揉め事が原因ではないかと推測されます。
先に逮捕されていた4人の暴力団構成員も、西村聡造も警察の取り調べに口を割っておらず、この暴行事件の真相については現在も不明です。
ラーメン屋にみかじめ料を要求し逮捕される
出典:https://www.dailymotion.com
2016年6月、西村聡造は八王子市内でラーメン店を経営する知人男性(当時33歳)に対して、「ケツ持ち代で3万円払え」と要求しました。
男性が支払いを渋ると「お前くらい殺すの簡単なんだよ」などと脅したとして、恐喝未遂容疑で逮捕されています。
西新宿の金村剛弘撲殺事件にも関与の疑い
関東連合と関係が深く、当時タイマン最強とも言われた不良・金村剛弘が、2008年3月に西新宿区の路上で金属バットなどで武装した複数の男らに襲撃され殺害された「西新宿事件」。
この事件に、西村聡造が関与しているとの噂が存在します。
これは、関東連合OBで現在は作家として活動している「工藤明男」こと柴田大輔さんが、自身の公式ブログで、西村聡造の事件への関与を匂わせた事で浮上した噂です。
また、「アウトローのカリスマ」で人気作家・瓜田純士さんも自著の中で、この事件への西村聡造の兄貴分の暴力団員・武田修の関与を指摘しており、西村聡造の関与を暗に匂わせています。
この噂は、当時の関東連合やその周辺の不良達の内部事情に詳しい2人の元アウトローがほとんど同じ内容を口にしている事から、かなり信ぴょう性の高い情報だと見られています。
@muryoko22 そうだけど?
— rassistisch banane (@racist_banana) November 18, 2015
もしかして金村剛弘さんと同じ目に遭わせるつもりなの?
あの事件現場は近所だなぁ 笑 pic.twitter.com/smJk3OB12i
また、事件発生の数日前、関東連合メンバー数人と金村剛弘が、反関東連合の暴力団・秋良連合会(一蓮会の上位組織)の組員数名と渋谷区広尾のちゃんこ鍋店で鉢合わせたそうです。
店外に出たところでいがみ合いに発展し、その際に金村剛弘が組員の1人を一発でノックアウトしています。金村剛弘が襲撃を受けたのは、この一件の報復だったのでは?と囁かれています。
そして、金村剛弘がワンパンチでノックアウトした相手こそが、他でもない西村聡造という情報があるのです。
こうした情報は警察も把握しており、西村聡造が前述の恐喝未遂容疑で逮捕されたのは、本当は「西新宿事件」への関与を追求するための「別件逮捕」だったのでは?とも言われています。
その後の展開については未だ続報は出ておらず、真相は闇に包まれています。事の真相が明るみになる日は来るのでしょうか?
打越スペクターOBメンバー② 斉藤邦美が関与した事件とは?
打越スペクターOBグループのリーダー・西村聡造の後輩にあたるのが斉藤邦美です。
打越スペクターのOBグループのトップとされる西村聡造は懲役刑の期間が長く、西村聡造不在の間、打越スペクターOBグループを実質上まとめていたのがこの斉藤邦美のようです。
埼玉県本庄市死体遺棄事件の主犯として逮捕
斉藤邦美は、2011年10月17日に発覚した「埼玉県本庄市死体遺棄事件」の主犯格として、2015年1月31日に逮捕されています。
「埼玉県本庄市死体遺棄事件」は、2010年12月6日、打越スペクターOBを含む複数人が、被害者に暴行した上、数日間監禁して死亡させた後、遺体を本庄市内の霊園に埋めた事件です。
被害者の土屋彰勲さんも打越スペクターOBグループのメンバーの1人で、斉藤邦美らと共に同じ振り込め詐欺グループとして詐欺行為を行っていたようです。
そして、詐取した金の分配を巡って揉め事が起き、土屋彰勲さんの殺害に至ったようです。
さらに、犯人たちはその後、土屋彰勲さんの交際相手の女性に土屋さんの身柄を拘束していると見せかけ、身代金として2000万円を要求しだまし取っています。
土屋さんの交際相手は金を支払った後も土屋さんとの連絡が取れないことを不審に思い、警察に相談、事件が発覚しました。
警察は犯人6人を逮捕しますが、主犯格とされた斉藤邦美は逃亡し、警察からの指名手配を受けていました。
その斉藤邦美も2015年1月31日、東京都台東区で身柄を拘束され逮捕されています。
斉藤邦美はその後の裁判で第一審で無期懲役の判決を受けますが不服として控訴し、2018年4月18日に東京高裁が第一審判決を破棄し、「懲役28年」の判決を言い渡しています。
打越スペクターと伝説的不良「木村兄弟」の関係とは?
反関東連合の中心的グループとして知られる「打越スペクター」ですが、反関東連合の旗頭として祭り上げられていたのが、伝説的不良である「木村兄弟」の弟・木村孔次郎でした。
木村兄弟は元々は関東連合の勢力圏内の不良少年でしたが、関東連合からの支配を拒み、次第に反関東連合の立場を明確にしていきます。
その流れの中で木村孔次郎は、関東圏の巨大不良集団であった「打越スペクター」と結びつきを強め、実質的に反関東連合のリーダー的存在に祭り上げられていったようです。
出典:https://www.dailymotion.com
その木村孔次郎は2017年2月、「大麻取締法違反(所持)」で逮捕されています。
その時の報道で「暴走族グループ・打越スペクターの元幹部」と報じられており、近年でも打越スペクターとの結びつきは強かったと見られています。
西新宿事件で金村剛弘襲撃を命じたのは木村孔次郎?
また、この木村孔次郎の逮捕も、前述の「西新宿事件」での金村剛弘の撲殺事件への関係を疑う警察による「別件逮捕」なのではないか?との見方も存在します。
元々、木村兄弟と西新宿事件の被害者・金村剛弘は後輩と先輩の関係でしたが、その後、関東連合との対立に関連して揉め事を起こしていました。
そのため、金村剛弘の襲撃を自身の支配下にあった「打越スペクター」のメンバーらに命じたのがこの木村孔次郎なのではないか?との疑いが持たれているのです。
打越スペクターの現在~事実上の壊滅状態
OBグループが数々の凶悪事件を起こし、悪名を轟かせる「打越スペクター」。
しかし、西村聡造や斉藤邦美、木村兄弟の木村孔次郎ら、リーダー格が立て続けに逮捕されています。
また、警視庁によって「準暴力団」に認定されて締め付けが厳しくなった事で、グループとしての組織的な動きはほとんど出来なくなっています。
そのため、2019年12月時点では事実上の壊滅状態にあると見られています。
まとめ
今回は、関東最大の暴走族グループと言われた「打越スペクター」と、半グレ化して悪名を轟かせる「打越スペクターOBグループ」についてまとめてみました。
打越スペクターは東京八王子市を拠点に活動していた暴走族グループで、その凶暴性で周辺の不良達に恐れられた存在でした。
また、関東連合とは対立関係にあり、長年に渡って抗争を繰り広げていました。
2000年代に入ると、打越スペクターのOB達がマフィア化、振り込め詐欺をはじめとして凶悪犯罪にてを染めるようになり、2014年に警視庁によって「準暴力団」の認定を受けています。
しかしその後、リーダー格・西村聡造や斉藤邦美、ケツモチ的存在だった伝説的不良「木村兄弟」の弟・木村孔次郎らが立て続けに逮捕され、現在、打越スペクターは壊滅状態のようです。