6代目山口組系の暴力団・栗山組事務所に押しかけ挑発した半グレを名乗る集団「前橋ブラット」が話題です。
この記事では前橋ブラットのメンバーや総長、栗山組事務所挑発騒動、その後の発砲事件などを動画を交え紹介し、現在は解散が濃厚と見られる事などについてもまとめました。
この記事の目次
前橋ブラットは群馬県前橋市の半グレを名乗る反社会集団
「前橋ブラット（BRAT）」は、独立した半グレを名乗る反社会集団で、群馬県前橋市内某所にある雑居ビル内に本部事務所を構えていました。
前橋ブラットは、2019年7月末に、群馬県太田市にある六代目山口組傘下の暴力団組織・二代目栗山組の本部事務所に集団で押しかけて、「出てこいやーゴラァ！」などと挑発する騒動を起こし、その様子を撮影した動画がネットで拡散された事で名前が知られるようになりました。
今年7月末。群馬県太田市に本拠地を置く六代目山口組系傘下組織の二代目栗山組事務所に、半グレグループを名乗る集団が押しかけ、「出てこいやー」などの怒声を浴びせる出来事があった。
前橋ブラットは2018年頃に結成されたとされ、歴史が浅い事から情報が少ないのですが、準構成員を含めるとメンバーは200名以上になるとも言われています。
最高幹部を名乗る人物によれば、前橋ブラットは高度に組織化されており、メンバーは登録制で、フルネームの本名と稼業などで名簿化され管理されているようです。また、総長、副長、本部長といった役職があるピラミッド型の組織であり、トップダウンで効果的に行動できるよう、定例会なども行われているという事です。仕組み的には暴力団組織と似ていますが、本人らは、自分達は暴力団とは関係がなく、あくまでも独立した「半グレ」であると言っています。
前橋ブラットによる栗山組事務所挑発動画
前橋ブラットの名前が知られるきっかけになった栗山組事務所へ押しかけ挑発した動画は現在もインターネット上で視聴する事が可能です。
集団で押しかけている集団のうちの1人が前橋ブラットを名乗っていますが、全員が前橋ブラットのメンバーというわけではなく、同系統の複数の組織から人員が集められて編成された集団と見る向きもあるようですがはっきりしません。
また、この事件の発端となったのは、前橋ブラットのメンバーである「まさや」という男が、栗山組の組員と揉めて暴行を受けた事で、この騒動は単純にそれの報復であったとする情報も出ています。
前橋ブラットのメンバー① 実話ナックルズで黒川と名乗った男
前橋ブラットについては情報が少なく、メンバーとして何者が参加しているのかはほとんど何もわかっていません。
上で紹介した栗山組事務所に押しかけての挑発事件の直後に、前橋ブラットの最高幹部を名乗る「黒川」という男がメディアの取材を受け、その内容が「実話ナックルズ」2019年11月号に掲載されています。
この「黒川」と名乗る男は前橋ブラットの最高幹部の1人であるという事ですが、おそらくこの「黒川」は本名ではなく偽名だとみられています。
このインタビューは群馬県前橋市の中心部にある某雑居ビルの最上階にある前橋ブラットの本部事務所で行われ、栗山組事務所におしけかけた件は「身内がやられたので大義があって行っただけ」と正当性を主張した上で、前橋ブラットがどのような組織であるかを説明し、さらに「自分達は前橋に拠点を構えて、何も怯む事なく堂々と半グレをやってる」と言っています。
また、黒川は前橋ブラットは暴力団組織とは関係ないとして、暴力団組織に所属しない理由については、「このご時世でヤクザじゃすぐ捕まる」とし、前橋ブラットは「ヤクザはやりたくないけどワルはやりたいって人間の集まり」だと説明しています。
前橋ブラットのメンバー② 強盗致傷で逮捕され総長と報じられた山本卓磨
2020年12月4日、茨城県警大宮署などは、2019年6月に茨城県常陸大宮市の住宅で発生した家族6人に対する強盗致傷事件の容疑者として、10から20歳代の男7人を逮捕したと発表しました。
警察発表によれば、この7人の中に「前橋ブラット」のメンバーが含まれており、主犯格は前橋ブラットの総長とされる山本卓磨（発表当時23歳）だという事です。
この山本卓磨という男が上で紹介した「黒川」と同一人物と見る向きもあるようですが、事実はわかりません。
なお、前橋ブラットのメンバーが起こしたとされるこの強盗致傷事件は、2019年6月5日20時頃に常陸大宮市野口の広告代理店を経営する当時43歳の自宅に7人の男が押し入り、自宅にいた男性の妻（当時41歳）と息子5人の計6人を手足を粘着テープで縛るなどした上、現金58万円や腕時計などの金品を盗み、妻と次男（当時19歳）に催涙スプレーをかけて目に怪我を負わせたという内容でした。
前橋ブラットのメンバー③ 後ろ盾は金崎たくみという男だと言われている
前橋ブラットの最高幹部・黒川を名乗る人物によると、前橋ブラットは暴力団組織とは関係がないという事ですが、インターネットの匿名掲示板などの書き込みによれば、彼らの後ろ盾（ケツモチと呼ばれる存在）は、稲川会直参七代目田中一家馬場組に所属する金崎たくみという男だと言われているようです。この男の名前については「金澤たくみ」だとする書き込みも確認されています。
この匿名の書き込みを裏付けるように、ビジネスジャーナルに掲載された今回の一連の騒動について触れた記事の中に以下の一文がありました。
七代目田中一家と関係性があるといわれる半グレグループが栗山組事務所に押し寄せ、挑発行為を繰り返したことがあり、その模様を収めた動画が拡散されたこともあったほどです。
この記事内容が正しいとすれば、前橋ブラットは結局のところ、稲川会系組織傘下の実働部隊だったのではないかとの見方が強まってきます。「実話ナックルズ」で前橋ブラットの最高幹部黒川を名乗る男が「自分達はヤクザとは関係がない」とことさら強調した理由は、上部組織の指示を受けての何らかの工作だった可能性も浮上します。
前橋ブラットによる栗山組挑発騒動のその後① 栗山組への火炎瓶投擲事件
続けて、前橋ブラットによる栗山組事務所挑発騒動のその後に発生した一連の事件について時系列順に見ていきます。
はじめに断っておきますが、これらその後の出来事と、前橋ブラットによる栗山組事務所挑発騒動との直接的な関連は不明です。しかし、この地域の暴力団や半グレの事情に詳しい人々の間で、これらは何らかの一連のトラブルだと見られているので順番に紹介していきます。
前橋ブラットによる栗山組事務所挑発騒動が起こったのは2019年7月末、それから約2ヶ月後の同年10月4日に、今度は栗山組事務所に何者かが火炎瓶を投げ込むという事件が起こり、その様子を捉えた映像（おそらく栗山組事務所の防犯カメラに記録された映像）がネットに拡散されました。
立て続けに半グレを名乗る集団から攻撃を受けている栗山組ですが、この栗山組はそもそも六代目山口組傘下の弘道会の下部組織の中で現在勢力を増しているとされる野内組のさらに下に位置する4次団体だという事で、この火炎瓶投擲騒動は山口組分裂騒動に関連しており、任侠山口組系列の団体の息がかかった半グレ集団によるものではと見る向きもあるようです。
ただ、この火炎瓶投擲騒動については単純に、前橋ブラットと栗山組の揉め事が拡大した結果であるとする見方が有力です。
前橋ブラットによる栗山組挑発騒動のその後② 栗山組幹部射殺事件発生
出典：https://cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/
2020年1月24日の夜、群馬県桐生市天神町のアパートの駐車場で、当時51歳の暴力団組員・喜原啓祐という男性が何者かに拳銃を発砲され射殺される殺人事件が発生しました。
群馬県桐生市天神町のアパート駐車場で２４日夜、住人の暴力団組員の男性が拳銃で撃たれ死亡した殺人事件で、県警桐生署捜査本部は２６日、司法解剖の結果、頭部と胸部をそれぞれ１発ずつ撃たれた負傷による外傷性ショック死だったと発表した。
死亡したのは、特定抗争指定暴力団山口組系の喜原啓祐（きはら・けいすけ）組員（５１）。
この射殺された喜原啓祐という人物ですが、栗山組初代組長の栗山幸明という人物（2020年に交通事故により死去）の舎弟分で、栗山組の幹部組員だったようです。
この栗山組幹部射殺事件の犯人は現在も捕まっていません。
前橋ブラットによる栗山組挑発騒動のその後③ 伊勢崎市で発砲事件発生
一連の栗山組を中心とした騒動は一旦収束したかに見えましたが、2021年3月4日の午前3時半頃に、群馬県伊勢崎市内の県道で発生した発砲事件で3人の暴力団組員が重傷を負い、その被害者が栗山組関係者だった事が判明して、騒動はさらなる拡大を辿っています。
この発砲事件の瞬間を捉えた動画もネット上で拡散されています。
群馬の発砲事件の pic.twitter.com/HJsKM5jPsm
— Import Gang ❁ (@THCBD420710) March 4, 2021
この発砲事件で襲撃されたのは、栗山組の二代目組長である栗山良成（初代組長の実弟）と、その息子2人で、組長は肩を撃たれ、息子の内1人が顎を撃たれたという事です。
被害者は、群馬県太田市に本拠地を置く弘道会系組織の二代目栗山組・栗山良成組長と同組組員である栗山組長の実子だったのだ。
また、栗山組の関係者1名も車両で轢かれるなどして全身打撲の重傷を負っています。
被害者らはその後病院に運ばれ大事には至っていません。
一方、別の情報筋によると、栗山組長らが銃撃されたのは上の動画の乱闘現場ではなく、本拠を置く太田市内だという情報も出ています。
栗山組長らを襲撃したのは稲川会系の前橋一家関係者と見られるとの記事も上がっています。
一方、栗山組長らを銃撃したのは、群馬県前橋市に本拠地を置く稲川会の二次団体・二代目前橋一家の関係者と見られているが、現在も逃走中だ。
前橋ブラットの現在…騒動が大きくなり既に解散か
この一連の騒動により、前橋ブラットは現在既に解散状態にあるとする見方が有力となっています。
栗山組事務所挑発騒動から栗山組事務所に対する火炎瓶投擲事件までは、単純に前橋ブラットと栗山組間の揉め事が拡大した結果だと見られていますが、その騒動が関連しているように見えるその後発生した栗山組二代目組長の息子射殺事件や伊勢崎市での発砲事件は、それぞれの背後にいる暴力団関係者の意向によって引き起こされたものだと言われています。
こうした一連の騒動拡大の経緯と、前橋ブラットの後ろ盾と見られている馬場組が稲川会系の組織である事などを考えれば、六代目山口組に対するケジメをつけなくてはならないという上部の意向も働くはずで、少なくとも今後前橋ブラットが前橋市の中心部に事務所を構え続ける事は難しく、現在は解散せざるを得ない状況に追い込まれていると見られています。
色々な状況から見て、現在、既に前橋ブラットは事実上の解散状態にあると見る向きが有力となっています。
まとめ
今回は、六代目山口組系の4次団体栗山組の事務所に集団で押しかけて挑発行為をする動画で知られるようになった半グレを名乗る集団「前橋ブラット」と、それに関連するとみられる一連の事件についてまとめてみました。
前橋ブラットのメンバーはほとんどが不明ですが、雑誌「実話ナックルズ」の取材に応じた最高幹部黒川を名乗る人物と、強盗致傷事件で逮捕され総長と報道された山本卓磨という男の存在が判明しています。
前橋ブラットは2019年7月末に、6代目山口組系の栗山組の事務所に集団で押しかけ、同年10月4日には、同事務所に火炎瓶を投げ込んだ疑いも持たれています。
また、その後の2020年1月に発生した栗山組幹部に対する射殺事件や、2021年3月に発生した群馬県伊勢崎市で発生し、栗山組組長とその息子が被害者になった発砲乱闘事件への関連も疑われています。
現在、こうした一連の騒動拡大のけじめを取らされる形で、前橋ブラットは解散しているという見方が有力となっていますが、詳細ははっきりしていません。
