危険ドラッグを使用して女性をナイフで切りつけ、取り調べで「しぇしぇしぇのしぇー」と奇声を発したことで話題になった田中勝彦。
今回は「危険ドラッグ刺傷事件」の概要、田中勝彦の生い立ち、裁判や判決、現在をまとめました。
この記事の目次
しぇしぇしぇのしぇー男・田中勝彦とは
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田中勝彦は、2014年12月の犯行当時、世田谷区在住の無職で、危険ドラッグを使用した状態で隣の部屋に侵入し、住人の女性をナイフで切りつけ、住居侵入と傷害罪で逮捕されました。
逮捕後の取り調べで「しぇしぇしぇのしぇー」と奇声を発し、弁護士との接見時に踊りながら入室、さらに送検時には報道陣にピースサインをするなど、数々の異常行動が話題になりました。
そんな田中勝彦が起こした事件の概要、裁判での様子と判決、生い立ちから現在までをまとめます。
異常行動は危険ドラッグのせいだったのか、なぜ隣人女性を襲ったのか、これらのポイントにも注目してみました。
しぇしぇしぇのしぇー男・田中勝彦が起こした「危険ドラッグ刺傷事件」とは
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事件は2014年12月3日、朝7時頃に発生しました。
女性が玄関のインターホンが鳴ったためドアを開けると、隣の部屋に住む田中勝彦が立っており、そのまま部屋に押し入って台所にあったナイフで切りつけました。
犯行の最中にも田中勝彦は奇声を発し、女性の頭や顔を計11箇所も切りつけました。
その後、田中勝彦は自室に戻ったようで、被害者女性は自力で「隣に住む男にいきなり刺された」と110番通報をしています。
通報により警視庁成城署員が駆けつけたところ、田中勝彦は「俺が刺したんだよ〜」と犯行を認め、足下にあった危険ドラッグの袋を問いただすと「薬やっちゃった〜」と使用を認めました。
警察に連行される際は手足を振り回して暴れていたようですが、警察での取り調べとなると態度を一変し、「覚えていない」と主張します。
さらに、取り調べで「しぇしぇしぇのしぇー」と意味不明な奇声を発し、奇行が目立つように。
ほとんど取り調べの意味を成さなかったようですが、田中勝彦の尿や空のパッケージから指定薬物が検出されたことで危険ドラッグの使用が確定しました。
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そもそも、被害者女性と田中勝彦はアパートに引っ越してきた時に挨拶を交わした程度の関係で、特に個人的なトラブルはなかったといいます。
ただ、田中勝彦の供述によると「女性の体臭がひどく、どうにかしてもらいたかった。疎ましく思うようになった」というのが犯行の動機のようです。
ですが世間的には、危険ドラッグを使用したことによる無差別的な犯行と見る向きが多かったようです。
被害者女性は調書で、
「玄関のチャイムが鳴ったので外を見ると田中被告が立っていた。部屋に入ってきて台所からナイフを取り出してきた。急いでユニットバスに逃げて「やめて」と叫んだが切りつけてきた」
「殺されると思った。できれば長く刑務所に入ってほしい」
と犯行当時の状況を説明するのと同時に、心境を語りました。
送検時、田中勝彦は車の中から報道陣のカメラに向かって、狂気的な笑顔とピースサインを見せました。
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これが報道されるとその異常性に世間が注目し、同時に危険ドラッグの危険性にも注目が集まりました。
常軌を逸した奇行と「しぇしぇしぇのしぇー」という意味不明な奇声を残し、危険ドラッグの恐ろしさを世に知らしめた田中勝彦の事件。
以降では田中勝彦の生い立ち、事件の裁判と判決、現在をまとめました。
しぇしぇしぇのしぇー男・田中勝彦の生い立ち
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田中勝彦の生い立ちを紹介します。どのような生い立ちの末に犯行に及んだのか、注目してご覧ください。
田中勝彦は、15歳から大麻や覚せい剤などの違法薬物を使用していました。嫌なことを忘れるために自慰行為をする時、薬物を使用していたそうです。
その後、覚せい剤よりも入手しやすい危険ドラッグに手を出し、常用するようになっていきました。
その結果、前科4犯。人生の約半分を刑務所で過ごすことになりました。
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田中勝彦は薬物使用について「いつか捕まると思っていたが、ずるずると使ってしまった」と話しています。
使用するうちに感情が抑制できなくなり、「理性がぶっ飛んで感情が爆発する」というコントロール不能の状態になることも自覚していたようです。
人生の半分を服役して過ごす生い立ちを経験した田中勝彦は、犯行当時は生活保護を受けていました。
少ないお金の中でも危険ドラッグに手を出し、犯行前夜も通常よりも多量の危険ドラッグを吸引していたといいます。
その結果、「ドラゴンボールの孫悟飯になって、一旗揚げてやろう」という意味不明な思考に陥り、犯行に及んだことが語られました。
田中勝彦の部屋の修理を担当した業者の男性は、田中勝彦について「礼儀を知らない感じ。ありがとうの一言もなかった」と語りました。
15歳という年齢で違法薬物に手を出し、人生の半分を服役して過ごした田中勝彦。
最終的に危険ドラッグを使用して人を切りつける、という犯行に及んだ彼にどんな罰が下るのか、そして今後どう立ち直るのか、裁判に注目が集まりました。
しぇしぇしぇのしぇー男・田中勝彦の裁判と判決
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自宅アパートの隣の部屋に侵入し、住人の女性をナイフで切りつけたとして住居侵入・傷害の罪に問われた田中勝彦。
捜査段階では田中勝彦の自宅へ家宅捜索が行われ、複数の危険ドラッグの空き袋、覚せい剤と見られる粉末が入った容器、アルミ片やストローが押収されました。
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裁判には長い髪を切って坊主頭で現れました。
被告人質問では「ドラッグを使用して頭の回路がおかしくなった」と語り、「ドラッグをやってなかったら犯行に及んでいなかった。だからドラッグはやめる」という旨の発言をしました。
取り調べでの「しぇしぇしぇのしぇー」という奇声や、送検時の笑顔のピースサインなど奇行が目立っていた田中勝彦ですが、裁判ではうな垂れ、大人しかったといいます。
しかし検察官から、「幻覚や幻聴の経験はあるのか?」と聞かれると途端に饒舌になり、「天井に影が見えた。幽霊みたいなお化けではなく、人が見ているようだった」と答えました。
さらに「危険ドラッグを使っていない時でも幻覚を見ることはあるのか?」と聞くと、「事件直前の昨年11月に幻覚が見えたので入院した」と答えました。
続けて検察官が「感情が爆発して人を殺してしまおうと思うことは」と問いますが、これには「頭がおかしくなって殺してやろうとは思うけど、実行はしない」と否定しています。
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検察側は供述調書を読み上げ、「ドラゴンボールの孫悟飯になって、一旗揚げてやろうと思った」「被害者女性の体臭が気になり、疎ましく思っていた」と犯行動機を明らかにしました。
裁判で検察官から被害者女性への反省の意思、今後どうやって薬物をやめるのかに質問が及ぶと、突然「加害者なのに被害者の立場なんて分かる訳ないじゃん」と声を荒げた田中勝彦。
さらに「お前、汚ねえよ。更生とか言うなら薬物の売人全員捕まえて来いよ、ふざけんなよ、いい加減にしろ!」などと噛み付き、法廷は一時騒然としました。
弁護側は、犯行当時は薬物中毒によって心神喪失状態だったとして無罪を主張しました。
しかし、検察側は「薬物を摂取すると暴力的になることを知りながら危険ドラッグを使用した」「犯行は日頃の鬱憤を晴らすためだった」として、懲役2年6ヶ月を求刑しました。
裁判長は、危険ドラッグで判断能力が著しく低下していたことを認めた上で、それでも被害者宅のチャイムを鳴らしてドアを開けさせたこと、疎ましかった隣人に狙いを定めたことを重視。
「合理的な犯行で心神喪失状態だったとまでは言えない」として、求刑通り、懲役2年6ヶ月の判決を下しました。
しぇしぇしぇのしぇー男・田中勝彦の現在
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田中勝彦は、判決が下る前の時点で被害者女性に詫び状を送り、親族からの相続で得た30万円を被害弁償の一部として支払っていたようです。
実刑判決が下った田中勝彦は出所後の展望について、「高校に行きたい」と語りました。
再び薬物に手を出しそうになったら、病院や薬物依存者の回復支援施設であるダルクに行くとも語り、また「スポーツの趣味も見つけたい」と答えています。
判決が言い渡されたのは2015年9月、懲役2年6ヶ月なので、2020年現在はすでに出所しています。
しかし、出所後の田中勝彦についての報道や情報はなく、現在どうしているかは不明です。
服役前に語った「出所後は高校に行きたい」「スポーツの趣味を見つけたい」が実現されたかは分かりません。
ただ、事件をきっかけに更生し、危険ドラッグや薬物からも足を洗って真面目に生活を送っていることを祈るばかりです。
まとめ
「しぇしぇしぇのしぇー」の奇声で話題となった田中勝彦についてまとめました。
現在は懲役を終えて出所したと思われますが、現在の住居や職業などは明らかになっていません。
今後は犯罪を犯すことなく、まっとうな人生を歩んでいってほしいものです。