東松山・井上翼くん殺人事件犯人のカラーギャング「パズル」・事件後の判決と現在・関連映画まとめ

2016年に埼玉県東松山市で発生した井上翼さん殺害事件が注目されています。

 

この記事では井上翼さんが殺害された東松山少年暴行死事件の詳しい概要、カラーギャング「パズル」に所属していた犯人の少年ら、事件後の判決や、この事件をモチーフにした映画、現在についてまとめました。

井上翼さんは東松山少年暴行死事件の被害者

 

出典:https://livedoor.blogimg.jp/

 

井上翼さん(事件当時16歳)は、2016年8月22日に埼玉県東松山市下唐子を流れる都幾川(ときがわ)の河川敷で発生した、複数の少年(14歳から17歳までの5人)による、少年殺害・死体遺棄事件(東松山少年暴行死事件)の被害者です。

 

 

東松山市少年暴行死事件被害者・井上翼さんの経歴

 

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井上翼さんは、埼玉県比企郡吉見町の当時16歳の少年で、両親と兄、双子の弟の5人家族でした。中学卒業後は埼玉県鴻巣市内の定時制の県立高校に通いバスケットボール部に所属し、文化祭でも積極的に参加、人懐っこい性格で周囲からも慕われていた事でしたが、2015年11月に何らかの理由で中退しています。

 

高校中退後は町内のコンビニでアルバイトなどをしてましたが、何らかの理由でこのアルバイトをクビになり、その事で親と口論になって家出を繰り返すようになり、別のアルバイトをしながら友人宅に身を寄せるなどして生活していたようです。井上翼さんは事件前の2016年7月半ばにも家出しており、その後に起きた友人関係のトラブルが原因となって今回の事件の被害者となったという経緯でした。

 

 

井上翼さんと犯人の少年らとの関係

 

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井上翼さんは、事件の犯人の少年らのうち、主犯格とされる東松山市の少年B(当時17歳)とは定時制高校時代の同級生で、その少年Bの中学時代の同級生だったもう1人の主犯格少年A(事件当時16歳)とは、事件直前の8月16日頃に知り合ったばかりだったという事です。

 

この少年Aと少年Bは、松山市内で活動していたカラーギャング「パズル」(不良少年グループ)のメンバーで、井上翼さんをカラーギャング「パズル」のメンバーにするために声をかけたものの、その過程で少年Bによる井上翼さんに対する理不尽な金銭要求などが原因で諍いが起こり、少年Bが身勝手に怒りを募らせた挙句に殺害を主導する結果となりました。

 

また、この犯行に加わった他の3人の犯人、少年C(当時15歳)、少年D(当時14歳)、少年E(当時15歳)とも、井上翼さんは事件のわずか数日前に知り合ったばかりでした。

 

井上翼さんが犯人らに殺害された事件の概要や犯人達の詳しい情報についてはこの後の見出しで詳しく紹介します。

 

 

 

井上翼さんが殺害された東松山暴行死事件の概要

 

出典:https://yuruneto.com/

 

井上翼さんが殺害されたこの殺人事件は、「東松山少年暴行死事件」、「東松山都幾川河川敷少年殺害事件」などと呼称されています。

 

井上翼さんが殺害されたこの東松山少年暴行死事件の経緯、概要を見ていきます。

 

 

井上翼さんが殺害された事件の背景

 

まず、上でも触れた主犯格の犯人の1人で、東松山市在住だった少年Bは、2016年春にカラーギャング「パズル」に入り、その時に中学時代の友人だった、同じく東松山市の少年Aを「パズル」に引き入れました。

 

少年Bは、2017年からカラーギャング「パズル」のリーダーになる事が決まっており、先輩らの引退でチームの人数が減ることなどを懸念して、2016年半ば頃に井上翼さんを「パズル」に引き入れようとしていたようです。

 

少年Bと少年Aは盗んだバイクを井上翼さんに無理矢理売りつけようとし、井上翼さんがそれに難色を示すと腹を立てて、ガソリン代を要求したり、万引きや自動販売機荒らしを強要したりした上、暴行を加えて金銭を巻き上げるなどしています。

 

また、井上翼さんの自宅周辺でバイクで暴走行為をし、待ち伏せをするなどの嫌がらせ行為を行なっていたという事です。

 

井上翼さんはそうした少年Bらの行動に嫌気がし、LINEや電話などの連絡を無視するようになって行ったという事です。

 

 

井上翼さんは8月17日頃から犯人の少年らと共に行動

 

事件発生5日前の2016年8月17日、井上翼さんは友人と海に行く目的で少年Bにバイクを借りに行ったようです。井上翼さんはレンタル料として5千円を支払うつもりでしたが、少年Bは井上翼さんの財布の中に入っていたほぼ全額1万6千円を抜き取っています。

 

しかし実際には天候悪化などを理由にバイクの貸し借りは行われず、井上翼さんは少年B、少年A、少年C(当時15歳、東松山市の中学生)と3人でスーパー銭湯に行ったりしています。

 

井上翼さんはこの日から少なくとも20日まで、犯人の少年らと過ごしており、この間に少年D(当時14歳、少年B弟で東松山市の中学生)、少年E(当時15歳、川越市の中学生)とも知り合ったようです。

 

 

8月18日から19日にかけて井上翼さんが少年Bから暴行を受ける

 

翌8月18日、井上翼さんが少年Bの悪口を言ったかどうかで諍いが起こり、井上翼さんが嘘をついていたとして、激昂した少年Bは東松山市内のラーメン店の駐車場で井上翼さんに殴る蹴るの暴行を加えました。この時はラーメン店の店主に止められましたが、少年Bは「これで終わりじゃないからな」などと井上翼さんに対して言い放っています。

 

さらに翌8月19日、少年Bは井上翼さんから、バイクのガソリン代として現金を巻き上げ、井上翼さんの手首部分に火のついたタバコを何度も押し付ける(根性焼き)などの暴行を加えています。

 

同日20時頃、少年Bはスマートフォンなどで指示をして井上翼さんを使い走りのようにし、東松山インター近くのコンビニ店でパンや飲料、酒類などを大量に購入させています。同日23時頃、井上翼さんは一緒にいた友人(犯人5人とは別の少年)に「帰りたいけど足がない」とこぼしていたという事です。

 

 

8月20日から21日にかけて井上翼さんが少年Bからの連絡を無視

 

8月20日、井上翼さんは少年A、少年B、同行していた友人らと別れ、少年Cの家に泊まっています。その場には少年Aの元彼女(当時の年齢は不明)、少年E、少年Eの彼女もいたようです。

 

その日の深夜、井上翼さんは少年BからのLINEメッセージを「まただよー」などと愚痴って無視しています。

 

さらに、翌8月21日の夜に少年Bからの呼び出しの電話に井上翼さんは「大宮にいるから」などと嘘を言って拒否し、それ以降の少年BからのLINEや電話などの連絡は全て無視していたようです。

 

 

8月22日深夜に井上翼さんが暴行を受け溺死させられる

 

翌22日の午前2時35分頃、井上翼さんが少年Cと共に東松山インター近くのコンビニで目撃されています。

 

その日の深夜、井上翼さんは、少年B、少年A、少年Cに、東松山市内の稲荷橋付近の都幾川の河川敷に呼び出されました。

 

少年Bは「タイマンだ」などと言って、井上翼さんを殴り、少年Aと少年Cにも殴らせています。その後、弟の少年Dと少年Eに連絡して呼び出し、「お前らも見たから共犯だ、一発ずつ殴れ」などと命令して、井上翼さんを石で殴らせるなどしています。

 

少年Bはさらに、「泳げよ」などと言って井上翼さんを全裸にして都幾川に放り込んでいます。この時に少年Aも井上翼さんの頭を持って水に漬けるなどしています。少年Cは、この暴行の一部始終をスマートフォンのカメラで動画撮影するなどしています。

 

少年Eはこのままでは危険だと判断して止めに入っていますが、逆に少年Bから暴行に加わるように命じられ、仕方なく井上翼さんを蹴るなどしています。井上翼さんは水に顔をつけられた状態で最初はもがいていたものの、次第に痙攣するようになって白目を剥いて動かなくなったため、少年Dと少年Eは怖くなってその場から逃亡しています。

 

少年Aは井上翼さんの心臓が動いていないことを確認した後、水管橋のたもとまで遺体を運んで、上から草を被せるなどして隠蔽しようとしています。

 

 

事件の発覚と犯人らの逮捕

 

翌8月23日午前8時頃、井上翼さんは事件現場付近に、釣りができるか確認しに訪れた比企郡嵐山町在住の男性によって発見されました。遺体は下半身と、上半身の半分が砂利に埋まった状態だったという事です。

 

事件現場となった都幾川は前日に大雨をもたらした台風9号の影響で増水しており、流されてきた砂利によって井上翼さんの遺体は埋まったと見られています。

 

井上翼さんの遺体は司法解剖の結果死因は溺死と確認され、それが人為的にもたらされたものだと断定された事から、埼玉県警東松山署は殺人事件として捜査を開始しました。

 

少年Cは、犯行後に知人にLINEで「暴行した相手が死んだ」と明かしていたため、その情報を掴んだ警察の事情聴取を受けています。この取り調べの際に少年Cは「俺は動画を撮っていただけ。殺したのはA」と供述し1度帰され、その後「俺が犯人って言ってる奴だれ?キモい」とTwitterに投稿してから行方をくらませています。

 

8月24日の午前1時45分、少年Aが、父親に付き添われて東松山署へ出頭しました。少年Aは「自分一人で暴行して殺した」と供述していますが、これは少年Bに「本当のことを言ったら家族がどうなるかわかってるだろうな」などと脅迫され、自分1人で罪を被るための供述だったようです。

 

その後、少年Aは事実を全て供述。8月25日に少年Aが殺人の容疑で逮捕され、翌26日までに、少年B、少年C、少年D、少年Eの4人も殺人容疑で逮捕されました。

 

 

 

井上翼さん殺害の犯人のカラーギャング「パズル」のメンバーとその仲間について

 

出典:https://www.dailyshincho.jp/

 

井上翼さんを殺害したカラーギャング「パズル」のメンバーであった少年Aと少年Bと、その仲間であった少年C、少年D、少年Eについてもわかっている事をまとめていきます。

 

少年Bはカラーギャング「パズル」メンバーで少年Dとは兄弟で家庭環境に問題

 

事件の主犯格となった少年Bは東松山市立南中学校の出身で、中学2、3年くらいの頃に本格的に不良化したようです。少年Bと少年Dは兄弟で、地元では小学生の頃から手のつけられない「悪兄弟」として有名で、他人の家に勝手に入って冷蔵庫を開けて物色していたそうです。

 

中学に上がった頃から、万引きやカツアゲ、喫煙、バイクでの暴走を繰り返すようになり、警察沙汰を度々起こし、井上翼さんを殺害した事件の以前にも少年院に送致される事件を起こしています。

 

少年Bは家庭環境に問題があり、母親は元暴走族で覚醒剤常習者で逮捕歴あり、父親は暴力団関係者だったようです。

 

この母親は何度か離婚していて、同じく逮捕された弟の少年Dと、事件当時小学生の弟1人の3人兄弟全員父親が違うという事です。両親は家にいない事も多く、今回の事件を起こした少し前にも集団でバイクを乗り回し、騒音を撒き散らしていたという近隣住人の証言も報じられています。

 

井上翼さんとこの少年Bとは定時制高校時代の同級生で、その時に知り合っています。

 

少年Aも両親が離婚し継母と義妹との関係が悪かった

 

少年Bと共に事件の主犯的立場と目されている少年Aも、家庭に問題を抱えていたようです。

 

少年Aは幼少の時に、母親の不倫が原因で両親が離婚しており、その実の母親は後にその不倫相手と結婚して家庭を築いています。

 

少年Aの父親も別の女性と再婚していますが、少年Aはこの継母とその連れ子である義妹と折り合いが悪く、継母から身体的虐待を受けていたとの報道も出ています。

 

少年Aは中学の頃まではサッカーに打ち込むなど、比較的真面目であったものの、高校に進学し少年Bと知り合った頃から一気に非行に走ったようです。

 

少年Cと少年Eについて

 

少年Cは事件当時、東松山市立南中学の3年生で、一人っ子だったものの両親は職が転々としてあまり親に構われずに成長したようです。小学生時代から問題児とみなされており、理科室から盗んだマッチで通学路に火をつけるなどの問題行動を起こしています。

 

小学生時代には少年バスケチームに参加するなどしていたようですが、中学に進学した頃から非行に拍車がかかり、教師に「学校に来るな」と言われるほどだったようです。井上翼さん殺害の事件当時は別の事件で保護観察処分を受けている最中でした。

 

少年Eは川崎市在住でしたが、2〜3ヶ月だけ東松山市にいた事があり、その頃に少年Bや少年Cと知り合いになったようです。父親が外に女を作って出て行ったため、一時施設に預けられていますが、それを不憫に思った祖母が引き取り、兄と祖母の3人で暮らしていたようです。

 

川越市では暴走族に入っていた事もあったようですが、猫を殺して解剖しているのが仲間らにバレてチームを追い出されたという事です。

 

 

井上翼さん殺害の犯人の少年達の裁判と判決

 

出典:https://up.gc-img.net/

 

井上翼さん殺害事件の犯人らの裁判は既に全ての少年に判決が下され確定しています。

 

5人の犯人らのうち、起訴され裁判を受けたのは少年Aと少年Bの2人だけでした。他の3人については少年院に送致されています。

 

それぞれの処分については、主導的立場にあった少年Bは傷害致死罪で起訴され、懲役6年から9年以下の不定期刑(求刑は懲役6年以上10年以下)の判決が確定しています。

 

同じく主導的立場にあったとみなされた少年Aも傷害致死罪で起訴され、懲役5年6ヶ月から懲役9年以下の不定期刑(求刑は懲役6年以上10年以下)の判決が確定しています。

 

少年Cは、初等・中等少年院送致処分となり、「相当長期間の収容」との処遇勧告がつけられています。

 

少年Dは、初等・中等少年院送致処分となり、「比較的長期間の収容」との処遇勧告が付けられています。

 

少年Eは、初等・中等少年院送致処分となっています。

 

少年CとDが「刑事処分も考えられる」とされたのに対し、少年Eに対しては、「暴行をやめさせようと試み、手加減も加えた」として、「刑事処分よりも矯正教育が必要」との判断が下されています。

 

 

 

井上翼さん殺害の東松山事件をモチーフにした映画「許された子どもたち」

 

出典:https://image.video.dmkt-sp.jp/

 

2020年に公開された映画「許された子どもたち」は、井上翼さんが殺害された「東松山少年暴行死事件」をモチーフにして製作された事が公表されています。

 

2016年8月に東松山市の都幾川河川敷で16歳の少年が少年5人に暴行され、死亡した事件から4年を迎えるのを前に、事件とリンクする映画「許された子どもたち」の公開が17日から、MOVIX川口、三郷でも始まった。

 

引用:少年暴行死…甘い少年法に怒った監督「調べたら過酷だった」、映画描く バッシングで反省困難になる理由

 

この映画「許された子どもたち」は、井上翼さんが殺害された少年事件だけでなく、「山形マット死事件」、「川崎市中1殺害事件」など、近年に起こった凶悪な少年事件複数に着想を受けて製作されたという事です。

 

なので、この映画が今回紹介した井上翼さん殺害の事件の内容がそのまま描かれているというわけではありません。

 

 

 

 

井上翼さんが殺害された東松山少年暴行死事件の現在

 

井上翼さんが殺害された、「東松山少年暴行死事件」のその後や現在についても見ていきます。

 

2021年8月の現在、事件からまる5年が経過していますが、犯人の少年ら5人が社会復帰しているという情報は出ていません。

 

まず、実刑判決を受けた少年A、少年Bについては現在も服役中である可能性が高いです。

 

一方、少年院送致された他の3人については、相場でいえば少年Cは2018年頃に、少年Dは2018年以前に、少年Eは2017年中に少年院を出て、それ以降は普通の生活に戻っている可能性が高いです。しかし、この少年3人らの現在の動向については不明です。

 

また、少年A、少年Bが所属していたカラーギャング「パズル」については、この事件後に消滅したと見られています。

 

カラーギャング「パズル」については、他の不良グループによるパズル狩りが行われたとの情報も出ているようですが、実際にはこの井上翼さん殺人事件が原因で自然消滅したようです。

 

 

 

まとめ

 

今回は、2016年に埼玉県東松山市で発生した井上翼さん殺害事件についてまとめてみました。

 

井上翼さんが殺害された事件は、当時14歳から17歳までの少年が、同じく当時16歳の少年であった井上翼さんを集団で暴行し、川に頭をつけるなどして溺死させた事件で、「東松山市少年暴行死事件」や「東松山都幾川河川敷少年殺害事件」などと呼ばれています。

 

井上翼さんは、カラーギャング「パズル」の時期リーダーになる予定だった当時16歳の少年Bと、事件の数日前に知り合った少年Aらと行動を共にする中で、金銭を巻き上げられたり、使い走りにさせられたりしたため、連絡を無視するなどしたところ、それに腹を立てた少年BとBの命令を受けた少年らからの集団暴行を受け死亡しました。

 

犯人ら少年5人は、主犯格の少年2人にそれぞれ懲役9年以下の不定期刑判決、他の少年3人に対しては少年院送致が決定されています。

 

その後や現在については、この事件をモチーフにした映画「許された子どもたち」が2020年に公開された他、少年Aと少年Bが所属していたカラーギャング「パズル」は事件後に消滅。

 

犯人らの現在については、少年Aと少年Bは今も服役中。他の3人はすでに少年院から退院していると思われます。

 

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