2018年8月に起きた「加古川ダム女性遺棄事件」では小西優香さんが殺害されダム湖に遺棄されましたが、犯行動機や判決が話題です。
今回は被害者と犯人(森翔馬と稲岡和彦)の生い立ちや家族、経緯、動機や判決、現在を紹介します。
この記事の目次
加古川ダム女性遺棄事件とは
2018年8月11日、兵庫県加古川市の山あいにあるダム湖にて、当時大阪市淀川区に住んでいた小西優香さん(当時20歳)の遺体が衣装ケースに入った状態で発見されました。
大阪市内の防犯カメラを確認したところ、小西優香さんは消息を絶つ直前、ある男と一緒にいるところが確認されていました。
この男は、当時大阪市西区立売堀6丁目に住んでいた森翔馬(当時20歳)で、小西優香さんはトラブルの末にこの男に首を絞められて殺害されたものとみられています。
ダム湖近くに設置された防犯カメラからは、衣装ケースを運ぶ2人の男が確認されました。
そのため、 森翔馬とともに衣装ケースを運んだ当時同市生野区巽北4丁目に住む稲岡和彦(当時42歳)も、死体遺棄の共犯者として森翔馬とともに2018年8月18日に逮捕されています。
加古川ダム女性遺棄事件の被害者・小西優香さんの生い立ちや人物像まとめ
小西優香さんは三重県松阪市の出身で、高校卒業後は歯科衛生士になるために専門学校に通っており、事件が起きる1年前の春に大阪市に引っ越してきていました。
一人暮らしをしながら、しばらく接客業のアルバイトをしていたようです。
その後、並行してパチンコ店でアルバイトを始めた小西優香さんでしたが、偶然、森翔馬にスカウトされたことをきっかけにキャバクラで働きはじめました。
街中で男性が振り返るような美人で、さらに人当たりが良かった小西優香さんは、キャバクラ嬢としてかなり人気だったようで、常に指名が途切れないような売れっ子になっています。
一方で、相手をした客などからストーカーに会うこともしばしばあったようで、 Twitter などでは度々警戒している様子を投稿していました。
https://twitter.com/yk_1009_s/status/1026435375441428480
加古川ダム女性遺棄事件の犯人・森翔馬の生い立ちや人物像まとめ
小西優香さんを殺害して遺体を遺棄した主犯格である森翔馬は、1998年頃に大阪府枚方市で生まれたと言われています。
比較的裕福な家庭で育った森翔馬でしたが、親のクレジットカードを持ち出してルイヴィトンやロレックスなどの高級ブランド品を購入して身につけるような派手な生活をしていました。
また、比較的端正なルックスをしていたため、学校時代には同級生の女子からモテていたと証言がされているようです。
学校を卒業すると森翔馬は夜の街の人間となり、ガールズバーの店長やスカウトマンとして大金を稼ぐようになりました。
犯人・森翔馬はスカウトマンだった
森翔馬はそのルックスと話術を生かし、優秀なスカウトマンだったと言われています。
街でめぼしい女の子を見かけると、ナンパをして飲みに誘い、女の子を持ち上げて話に乗せたところで風俗関連の仕事を紹介するのが、森翔馬の常套手段だったようです。
ただ、容姿の良い女の子を多く店に連れてくる一方、お酒を飲ませて盛り上がった末のスカウトだったため、酔いが冷めた女の子が我に返って拒否するトラブルも絶えなかったそう。
そんな時、森翔馬はブチギレた挙句、手がつけられないほど暴れたそうで、危険人物として見られていました。
「森容疑者はガールズバーの店長をやったり、風俗嬢のスカウト、キャッチセールスなどを掛け持ちしていた。結構、いい女の子をゲットしてくるんやけど、やり方が荒っぽい。言葉巧みに飲みに行って、酔っぱらった女の子に『いいバイトだから』という説明だけで、風俗の仕事を紹介。酔っ払い、了解した覚えのない女の子とトラブルになったことがある。すると、森容疑者は、女の子の髪の毛をひっぱり『お前、なにいうとんねん』とブチ切れ。警察に通報されたら間違いなく、逮捕されるほどの暴れっぷり。とにかく、トラブルが絶えないヤツでしたね」
森翔馬は、常軌を逸した破壊衝動を持っている爆弾のような男だったのかもしれません。
犯人・森翔馬は無類の女好きだった
森翔馬は、加古川ダム女性遺棄事件の被害者・小西優香さんも同様の手口でスカウトしましたが、周囲の人間には自分の彼女だと吹聴していました。
ただ、森翔馬は異常なほど女の子への執着心が強く、毎日のように違う女性を連れては「彼女」と紹介していたと言われています。
しかし、女性に貢ぐタイプではなく貢がせるタイプだったようで、性欲のはけ口であり財布代わりに使っていました。
森翔馬はそうした女性好きが災いして、2017年9月頃に中学3年生の女の子をナンパしたことで、女の子の強面の彼氏や友人から痛い目にあったことがあるそうです。
森翔馬は女の子には強かったものの、喧嘩は弱かったとみられています。
加古川ダム女性遺棄事件の被害者・小西優香さんと犯人・森翔馬の関係とは?
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小西優香さんは森翔馬のスカウトでキャバクラ嬢となりましたが、それ以降、頻繁に身体の関係をもっていたようです。
小西優香さんが売れっ子のキャバクラ嬢になったため、森翔馬は別のお店に移転させて、そこでも稼がせようと目論んでいたことがわかっています。
森翔馬にとって小西優香さんは、性欲のはけ口と同時に、ビジネスの道具でもあったため、自分の意向にそぐわない行動をしたことで逆上し、殺害した可能性が指摘されています。
「森容疑者のすぐに切れる性格で、優香さんとトラブルになり咄嗟に犯行に及んだんじゃないですか?森容疑者の切れ方は半端なく、いくら止めてもやめない病的なところがある。そんなキャラが犯行につながってしまったのかもしれない」
次は、このどうしようもない人物である森翔馬に、パシリのように使われていた稲岡和彦について紹介します。
加古川ダム女性遺棄事件の共犯者・稲岡和彦の生い立ちや人物像まとめ
加古川ダム女性遺棄事件で、森翔馬に加担したとして逮捕された稲岡和彦(当時42歳)は、1976年頃に事件現場でもある兵庫県加古川市で生まれました。
実家は、小西優香さんの遺体を遺棄したダム湖から6kmほど離れたところにあるそうです。
稲岡和彦は高校卒業後、夜の街にのめり込んで稼いだお金はすべてつぎ込み、それでも足りずに周囲から借金するなど夜遊びに明け暮れていました。
ただ、稲岡和彦は特に凶暴性があるわけでもなく、どこにでもいるさえない中年サラリーマンだったようです。
加古川ダム女性遺棄事件の犯人・森翔馬と稲岡和彦の関係とは
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周囲の人間からは疎まれ、職場も転々としていた稲岡和彦ですが、事件直前まで森翔馬の元でスカウトの手伝いをしていたと言われています。
森翔馬はスカウトマンとしては優秀でしたが、免許証を持っていなかったため、運転手代わりにうだつの上がらない稲岡和彦をこき使っていたようです。
稲岡和彦はだらしがない生活が続く中で良心を失っていたのか、森翔馬という異常者に関わってしまったがために、小西優香さんの遺体遺棄を手伝わされる羽目となってしまいました。
加古川ダム女性遺棄事件の詳細
小西優香さんと犯人・森翔馬は防犯カメラに映っていた
2018年8月9日早朝、大阪市北区にある歓楽街を親しそうに歩いている小西優香さんと森翔馬の姿が防犯カメラに写っていました。
その後、2人はタクシーに乗って大阪市西区にある森翔馬の自宅に向かっています。
この防犯カメラの映像の2日後、小西優香さんは兵庫県加古川市のダム湖で発見されました。
犯人・森翔馬と共犯人・稲岡和彦はレンタカーで遺体を遺棄
自宅に着いた後、小西優香さんと何らかのトラブルがあり、小西優香さんの首を絞めて殺害した森翔馬は、死体遺棄を手伝わせるために稲岡和彦に連絡をします。
森翔馬の自宅マンションに設置された防犯カメラには、稲岡和彦と森翔馬が大きな衣装ケースを運び出している姿が残っていました。
稲岡和彦は9日午前にレンタカーを借り、10日朝に返却していたことがわかっています。
これらのことから、9日~10日の間に小西優香さんの遺体をレンタカーに積み、権現ダムに遺棄したと見られています。
遺体は11日朝、ダム湖の岸から数メートル沖で釣り人が見つけた。衣装ケースにはロープのようなもので複数の土囊(どのう)がくくりつけられていたが、湖底には沈んでおらず、遺体の両足がケースからはみ出していたという。
森翔馬らは、ダムの底深くに小西優香さんの遺体を沈めることを画策したようです。
しかし、土嚢が足りなかったのか、括りつけ方が悪かったのかは不明ですが、湖底に沈まず、さらに衣装ケースから遺体の両足がはみ出していたという、ずさんな遺棄方法だったようです。
加古川ダム女性遺棄事件の犯人・森翔馬の犯行動機
この事件で最も不可解なのが、犯人・森翔馬が小西優香さんを殺害した動機です。
森翔馬はスカウトマンとして成功していたため、かなりの稼ぎがあり、毎日豪遊していたことから、人を殺害してまで得られるメリットがなかなか浮かばないのです。
森翔馬は事件当時、若いシングルマザーと交際していたとみられており、その女性が森翔馬の逮捕後にTwitterでツイートした内容が話題になりました。
大阪のキャバ嬢小西優香さんが殺害されダムに遺棄された事件で、逮捕された風俗スカウト業森翔馬。
— kazuya_802 (@james_8o2) August 23, 2018
現在交際中のシングルマザーでもある彼女が 「だーりんつかまった笑」と画像つきでツイートし話題になっている。 pic.twitter.com/09VD3U5Ya5
こうした背景から、小西優香さんに浮気がバレて(小西優香さんが浮気相手だった可能性も)トラブルになり、突発的に殺害してしまった可能性が指摘されています。
また、別の見方では性行為中に首を絞めるなどのアブノーマルなプレイをしていて、エスカレートして殺害してしまったことも考えられます。
どちらにせよ、計画性はなかったと思われます。
加古川ダム女性遺棄事件の犯人・森翔馬と稲岡和彦の判決や現在
殺人と死体遺棄の罪に問われた森翔馬は、懲役7年の実刑判決を言い渡されました。
人1人殺害しているにもかかわらず比較的軽い刑期で済んだのは、森翔馬が小西優香さんを殺害した動機が見当たらず、傷害致死罪が適用されたためでした。
事件発生直前まで、森翔馬と小西優香さんは手を繋いで仲良く歩いている姿が確認できます。
つまり、殺害を企てるような時間はなかったとみられ、殺意がなかった上での傷害致死が妥当だとみなされました。
ただあまりにも刑が軽すぎたことから、ネット上では、森翔馬が精神鑑定の結果、知的障害が見られたから減刑されたのでは?とも憶測を呼びましたが、そうした事実はありません。
2019年12月に判決を言い渡されてから、2021年12月で丸2年です。まだ5年ほどは刑務所の中にいると思われます。
一方稲岡和彦は、ダンボールを運んだだけで死体が入っているとは思わなかった、と言い訳をしましたが、2019年6月2日、神戸地裁で懲役1年6か月・執行猶予3年の判決が下されました。
執行猶予がついているので、稲岡和彦はこの事件では収監されていません。
森翔馬の影響下から離れ、稲岡和彦には真っ当な人生を歩んでほしいものです。
え?何この判決…
— (≠ヵゝレ\ナょょσナょヵゝ (@vGwqBKQAVLYhVEW) December 11, 2019
人を殺して 懲役7年?
殺した後、衣装ケースに入れてダムに遺棄したのに知的障害?#森翔馬
加古川ダム女性遺棄事件の現在 【被害者・小西優香さんの家族がコメント】
出典:https://pixabay.com/
被害者・小西優香さんはキャバクラ嬢だったいう職業柄、遊んでいて、家族を顧みなかったのでは?というイメージで見られがちです。
実際、事件にまつわるTwitterでは、「同情の余地なし」とか「遊んでたんだろう」など心無い言葉も散見されます。
しかし、そんなイメージを覆すような、家族思いのエピソードが小西優香さんにはあるんです。
実家のある三重県松坂市に月に数回帰省して近況を報告していたようで、家族の存在を支えにしていたことがうかがえます。
また、歯科衛生士になるために自分で学費を稼いでいたとも言われており、家族の負担にならないように努めていたようです。(ただし専門学校は中退)
そんな家族思いの娘だった小西優香さんが殺害されたことで、家族は深く傷ついたことでしょう。
事件後、母親のコメントを弁護士が発表しています。
娘が事件の被害者であるとの知らせを警察から受けて以来、私たち家族の生活は一変してしまいました。私自身この数日間が現実なのか悪い夢なのか、区別ができないような気持ちでいます。本日ようやく、娘の葬儀を無事に終えることができ、少しほっとしておりますが、私たち家族は今、明るく行動的だった娘を想い、深い悲しみの中にあり、未だ心を整理することができておりません。
犯人の森翔馬にはたった懲役7年という刑が下ったことで、家族の傷はさらに深まった可能性があります。
まとめ
スカウトマンの森翔馬が、キャバクラ嬢の小西優香さんを殺害・死体をダム湖に遺棄した「加古川ダム女性遺棄事件」について、被害者と犯人2人の生い立ちや関係、判決をまとめました。
夜の街では毎日のように何かしらの事件が起きていると思いますが、森翔馬のような常人の神経から逸脱した危険人物が存在していると思うと、本当に恐ろしいです。
たとえ前科が無くても、森翔馬は以前から手が付けられない危険性が周囲の人間に知られていたはずです。
未来ある若い女性の未来を奪っておいて、それでもたった7年で出所してくるとなると、再犯の可能性は捨てきれません。
今後同様の事件が起こらないよう、キャバクラ嬢の身の安全を第一に、店側には徹底した対策を取ってほしいものです。