故・沢村忠さんは1960年代後半から1970年代に活躍した伝説のキックボクサーですが、八百長の黒い噂があったのも事実です。
今回は沢村忠さんの経歴、キックボクシングの戦績や八百長疑惑、嫁や娘、今現在までの活動と死因をまとめました。
この記事の目次
沢村忠のプロフィール 【今でも伝説の男として語り継がれている】
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日本がまだキックボクシングに参入していなかった時代、名乗りを挙げた沢村忠さんは、今でも伝説として語り継がれる人気キックボクサー。
次々にKO勝ちを積み重ね、高い位置でジャンプして飛び膝蹴りを放つ姿は、まさにヒーローでした。
実は学生時代は空手の選手だったそう。まずは、沢村忠さんの経歴を振り返ってみましょう。
沢村忠のプロフィール
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沢村 忠（さわむら ただし）
本名: 白羽秀樹
生年月日: 1943年1月5日
出身地: 満州国新京
身長: 174cm
体重: 61kg
沢村忠さんは、国籍こそ日本ですが満州で誕生しました。
本名は「白羽秀樹」で、「沢村忠」という名前は俗に言うリングネームです。
沢村忠の経歴① 格闘技を始めた理由
祖父の影響で空手を始めた
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沢村忠さんの祖父は、日本の空手に当たる中国唐手（トウテ）の師範をしていました。
囲炉裏に入れる薪が無い時には、自宅の裏手の山へ行き唐手の技で木を折って薪にしたという祖父。枯れ木でない場合は樹木はかなりの強度であるため、技の威力は相当なものですね。
そんな祖父から「剛柔流空手道」を習いました。この「剛柔流空手道」というのは、4大流派と呼ばれる内の1つと言われています。
毎日の稽古はそれは厳しいもので、それに耐えるための体力と技術を習得していたとインタビューで答えています。
沢村忠の経歴② 大学生時代の戦績がすごいと話題に
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後にキックボクシング界において「キックの鬼」と呼ばれた沢村忠さんは、大学を卒業するまで空手にひたすら打ち込みました。
ストリートファイトも含め、1度たりとも負けたことが無いという、驚異の戦歴を持っています。
キックボクシングとの出会いは、その頃のことでした。
野口修に才能を見出された
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日本キックボクシングを設立した野口修
進学した大学は、日本大学芸術学部。大学3年生の時に全日本学生選手権で優勝しており、60戦無敗というまさに「無双状態」だったそう。
強さの秘訣は、瞬発力と動体視力に優れており、相手の出方を読んで攻撃をかわしながら技を仕掛けるスタイルの戦術を得意としています。
そんなスーパースターぶりを冷静な目で見つめる1人の男性の姿がありました。その名は野口修さん。キックボクシングの生みの親と呼ばれ、日本キックボクシング協会を設立した人物です。
その後、野口修さんから勧誘されてキックボクシングへ進む転機が待っていました。
沢村忠の経歴③ キックボクシングへ転向
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空手界では向かう所敵なし状態だった沢村忠さんは、野口修さんに「空手よりも、もっと凄いスポーツがある」と、キックボクシングへの転向を勧められました。
リングネームを沢村忠に変更
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更なる強者を求めて、タイのムエタイの選手達と他流試合に臨んでみると、最初に闘った相手には勝てたものの、2人目の対戦者からコテンパンに叩きのめされたそう。
試合は4ラウンドKO負けで、頭蓋骨陥没、肋骨3本の骨折という状況でリングから病院送りにされたことに唖然とした沢村忠さん。
この悔しさから本格的にキックボクシングのプレイヤーへ転向し、日本最古のキックボクシング専門ジムである「目黒ジム」に加入し、トレーニングを開始することになりました。
キックボクシングに転向した時、本名の白羽秀樹から沢村忠へと、リングネームを変更したそうです。
真空飛び蹴り編み出した
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真空飛び膝蹴りを放つ沢村忠(写真右側)
野口ボクシングジムで練習を積んだ沢村忠さんは、高くジャンプした状態で空中で蹴りを放ち、重力とひねりを利用して、膝を相手にぶつけるという「真空飛び膝蹴り」を編み出しました。
当時、キックボクシングは日本でも徐々に浸透し始めており、「サンデースポーツ」というテレビ番組内で試合を放送したところ人気が爆発。日曜夕方の時間帯視聴率トップを記録しました。
プロスポーツ大賞を受賞
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こうして超人的な強さを称えられた沢村忠さんは、1973年には「日本プロスポーツ大賞」を受賞。
この時、プロ野球界では王貞治さんが三冠を達成して国民的プロ野球選手として人気を集めていました。その王貞治さんを抑えての受賞だったこともあり、大きな話題を呼びました。
沢村忠さんは、授賞式において田中角栄総理から「よくやった」と声を掛けられ、その時の迫力が耳に残り続けていると明かしています。
ちなみに、1973年の受賞を逃した王貞治さんですが、1974年、1976年、1977年に受賞しています。
沢村忠の経歴④ 引退時の戦績が話題になった
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これまでの輝かしい活躍は日本だけではなく、世界にも知られ、有名アスリートとしての道を走り続けてきた沢村忠さんは、1976年にキックボクシングを引退しました。
241戦232勝と驚異の戦歴
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現役時代は、人気選手であるがゆえに試合数が多く、試合と試合のインターバルがかなり短い設定で無理をしていたようです。
額の傷が治らない内にリングに上がった際には、ストッキングを頭に巻いて出血しないように対策を取るなど、かなりの無理をしていたのです。
沢村忠さんによると「試合が終わると私はいつもミイラでした。手も、脛も腹さえ腫れあがりジーンズを履くことができませんでした」と、試合後のに満身創痍ぶりを明かしています。
こういった日々が続いたからか、沢村忠さんは1975年頃から故障や怪我で悩まされることに。そして1976年にひっそりと引退しています。
選手時代の成績は、241戦232勝5敗4分。勝率96%という驚愕の戦歴になります。
さらに232勝の内訳は、228試合がKO勝ちというすさまじいものでした。
ジムに引退を切り出せなかった
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これだけの功績を持っている沢村忠さんであれば、大々的に引退セレモニーなどの企画があってもおかしくありません。
静かに選手生活から幕を引いた理由の1つに、加入していた目黒ジムの経営状況が芳しくなかったことから、引退を切り出せなかったということがあります。
広告塔の役割も担っていたため、引退したことが世に知れたらさらに経営状況が悪化するだろうと考えてなかなか切り出せなかったそう。
沢村忠さんは、スーパースターに上り詰めても、キックボクシング界で闘う環境を用意してくれた恩義を忘れることができなかったようですね。
沢村忠に八百長疑惑が浮上した理由
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沢村忠さんは、現役中の戦歴が241戦232勝という超人的なデータであることから、あまりにも強すぎて、いつしか「八百長疑惑」が浮上するようになりました。
確かに超人的な勝率ですし、それが理由で噂が出てしまったのか、はたまた何かの証拠があったのでしょうか。
沢村忠さんと八百長疑惑の試合の真相について追及してみました。
対戦相手した相手との圧倒的な実力差
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当時の日本はキックボクシングの歴史が浅く、選手層の差が大きかったことから、どうしても第一人者の沢村忠さんと対戦相手との実力差が圧倒的で勝利しやすかった、と言われています。
そういった相手に対しても真剣勝負を挑むため、結果として沢村忠さんの派手なKO試合になることから、あたかも八百長のように見えてしまうのかもしれません。
噂を払拭するためにタイへ
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この八百長に関する噂は沢村忠さん本人の耳に入っていたのでしょうか。自ら、当時のムエタイチャンピオンに試合を申し込むためにタイへ渡りました。
バンコクの空港に降り立つと、一斉にフラッシュが炊かれていたので、「有名人と同じ便に乗り合わせたのかな」と呑気に考えていましたが、そうではありませんでした。
タイでは、チャンピオンに異国の挑戦者が乗り込んで来るらしいと大変な騒ぎだったそう。
試合は、1968年9月13日にルンピニースタジアムにて開催されました。対戦相手は、ライト級チャンピオンの「ポンチャイ・チャイスリア」さん。
スタジアムには1万５千人の観客で埋め尽くされ、大きな話題を呼んだそう。
試合結果は引き分けであったものの、タイチャンピオンとの互角に渡り合えるという実力を見せつけたと、世界中にニュースとして取り上げられています。
沢村忠には謎の失踪疑惑もあった…
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沢村忠さんは、引退後に失踪したと噂で持ち切りになりました。
引退したとは言え、突如スーパースターがプッツリと姿を消したのであれば大事になりそうです。真相について紹介します。
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一時期、沢村忠さんには「引退後、後遺症により精神病院に隔離」「死亡した」という説が流れたことに対して、「目黒ジム」の会長である藤本勲さんは、真実ではないとハッキリと否定。
藤本勲さんによると、沢村忠さんの活躍を見て育った若本達によって作られたデマではないかと考えているそう。
なんと沢村忠さん本人が、偶然入った居酒屋で隣にいた客が沢村忠さん失踪の理由について推測を語っているのを耳にしたのだとか。客もまさか本人が隣にいるとは思わなかったでしょう。
どの道、失踪というのはデマだったという結論になります。
沢村忠をモデルにした作品① キックの鬼
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沢村忠さんは、キックボクシング界の伝説と呼ばれたスーパースターであることから、題材として漫画やアニメ、キャラクターなど作品が誕生しています。
まずは、「キックの鬼」というタイトルの漫画について見ていきましょう。
アニメ化もされている
雑誌「少年画報」に1969年から2年間に渡り掲載された「キックの鬼」は、梶原一騎さん原作の少年漫画。
沢村忠さんの半生を描いた作品で、人気を博したことでアニメ化もされています。
アニメ化の企画段階では、沢村忠さんに本人役として出演を交渉したものの、試合に明け暮れる日々を送っていたため断念したエピソードもあります。
沢村忠をモデルにした作品② ポケモンにも登場
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沢村忠をモデルにしたサワムラー
沢村忠さんの引退からかなりの年月が経過しましたが、子供に大人気のアニメ「ポケットモンスター」にも沢村忠さんをモチーフにしたキャラが登場しています。
キックが得意なサワムラー
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サワムラーは、「キックの鬼」という異名を持つ茶色い楕円形のボディを持つキャラクター。
足が腕よりも発達して、最大2倍の長さまで足を延ばすことが可能です。
得意技は「メガトンキック」「とびひざげり」などで、沢村忠さんの往年の技を彷彿とさせる設定です。
沢村忠は結婚している？嫁の噂や子供について
嫁はおらず子供がいる
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沢村忠さんには結婚歴がありませんが、過去に大門節子さんという女性と婚約していました。
大門節子さんは、当時有名な銀座のホステス。沢村忠さんが打ち上げでクラブに訪れた際に意気投合したそう。
どのような理由で婚約破棄をしたのかは明かされていませんが、沢村忠さんとの間に子供を宿した状態で別れています。
ちなみに、大門節子さんは俳優の梅宮辰夫さんとの結婚歴があり、スピード離婚したことでも有名です。
娘は元アイドルの白羽玲子
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大門節子さんとの間に生まれた娘・白羽玲子さんが成長し、アイドル活動を始めた際には、大きな話題を呼びました。
白羽玲子さんは1978年7月16日生まれで、アイドルグループ「桜っ子クラブさくら組」に所属していました。
その後、ソロとして歌手活動を行い、2005年にリリースした楽曲「ラブレター」が、テレビ朝日で放送されたドラマ「特命係長 只野仁」のエンディングテーマとして起用されています。
今は引退している
時期は不明ですが、白羽玲子さんは芸能界からは引退していることが判明しています。
その後の消息が途切れており、今は42歳になった白羽玲子さんは一般人として生活していると思われます。
沢村忠の現在① 自動車修理販売業の会社を経営
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沢村忠さんの現在の様子について見ていきましょう。2020年10月現在77歳になりました。
現役引退後はほぼテレビなど表舞台から姿を消していることから、今の様子についての情報が少ない状況ですが、自動車修理販売業の経営者として活動していることが判明しています。
経営の仕事を行いつつ、仕事の合間を縫って子供向けの空手教室を開いています。
現役時代は、キックボクサーとして有名になりましたが、格闘技の原点に立ち返っているようです。
沢村忠の現在② 目黒ジムは閉鎖した
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2020年1月、日本最古のキックボクシングジムであり、沢村忠さんを輩出した老舗ジムとして知られる「目黒ジム」は、54年間の歴史に幕を閉じました。
さらに2020年5月、沢村忠さんと共にキックボクシングを盛り上げた「目黒ジム」の会長を務めた藤本勲さんが、闘病生活の末に逝去したことが発表されています。
現役時代は階級が異なるため直接対決することはありませんでしたが、同じ時期に黄金期を作り上げた藤本勲さん。
沢村忠さんはどのような気持ちで訃報を受取ったのでしょうか。
沢村忠の現在③ 肺がんで死去
沢村忠さんは、2021年3月26日午後4時18分に千葉県内の病院で家族や近親者にみとられて死去しています。
葬儀は2021年3月30日に親族と近親者だけで行われ、千葉・市川市内の斎場でだびに付された。ひつぎには背中に般若の顔が描かれたガウンなど「キックの鬼」らしく、現役時代の愛用品が納められました。
沢村忠さんは2020年夏に血たんが出るなど体調を崩し、検査したところ、4～6センチ大の腫瘍が見つかったそうです。しかし、がんが骨まで転移していたため、手術は選択せず、放射線などの治療を行い、回復に努めてきたようですが、治療からすぐに亡くなってしまいました。
そして、死因は肺がんと発表されています。
3月26日に「キックの鬼」の異名を持つ伝説のキックボクサー・沢村忠さんが、千葉県内の病院で亡くなっていたことが明らかになった（享年78）。判明したのは3月31日、死因は肺がんだった。
まとめ
出典：https://www.suruga-ya.jp/
沢村忠さんは、キックボクサーとして前人未到の勝率96%という輝かし記録を残し、日本のキックボクシングの発展に大いに貢献した第一人者として知られています。
5歳から祖父に空手を習い、学生時代は60戦無敗という戦歴を誇りました。
その身体能力の高さからキックボクシングに転向を勧められて、1964年にキックボクシングデビューを飾りました。
驚異的な強さや、人間離れした戦歴に対して八百長疑惑が浮上したこともありましたが、自らタイのチャンピオンに試合を挑み、潔白を証明しています。
キックボクシング引退後は、自動車修販売業を営みながら子供向けの空手教室を開催しています。
しかし、2021年3月に亡くなっていたことがわかりました。ご冥福をお祈りいたします。
