官報に掲載された破産者の情報をGoogleマップに掲載し物議を醸したサイト「破産者マップ」が話題です。
この記事では破産者マップの管理人の遠藤有人さんの経歴や家族、結婚、違法性の有無、裁判や削除され消えたため閲覧できない現在と悪質な類似サイトなどについてまとめました。
この記事の目次
- 破産者マップとは官報の破産者の情報をGoogleマップ上に掲載したサイト
- 破産者マップの管理人は遠藤有人という人物でほぼ特定
- 破産者マップの管理人とされる遠藤有人の経歴① 生い立ちや学歴
- 破産者マップの管理人とされる遠藤有人の経歴② 職歴など
- 破産者マップの管理人とされる遠藤有人の経歴③ 破産者マップ開設
- 破産者マップの管理人とされる遠藤有人を破産者が訴えた裁判
- 破産者マップの管理人とされる遠藤有人の家族
- 破産者マップの管理人とされる遠藤有人の結婚
- 破産者マップは個人情報保護法などに基づいて違法という見方も
- 破産者マップは現在は削除され消えたため閲覧不可だが類似サイトが乱立
- 破産者マップの現在① 管理人の遠藤有人は新たに有料サイトを運営
- 破産者マップの現在② 「新・破産者マップ」は情報削除に手数料を要求
- まとめ
破産者マップとは官報の破産者の情報をGoogleマップ上に掲載したサイト
「破産者マップ」とは、2018年12月に開設されたウェブサイトで、官報に掲載された情報を元に自己破産した個人や企業の情報をGoogleマップ上にマッピングし、そのピンをクリックする事で破産者および破産企業の氏名や名称、住所などの情報が閲覧できるという内容でした。
2019年3月頃、この破産者マップに掲載された破産者からの苦情が殺到しネット上で炎上騒動に発展。この炎上騒動を利用し、関係のないものが管理人になりすまして削除のための手数料を騙し取る詐欺事件も発生するなどしてメディアにも取り上げられて社会問題化。
結果としてサイトは2019年3月19日に閉鎖されるに至りました。
(破産者マップからの重要なお知らせ)
— 破産者マップ (@hasanmaptokyo) March 18, 2019
この度は、多くの方にご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
下記の実施、または実施することをお知らせいたします。
1.サイトを閉鎖します。
しかし、この管理人による破産者マップ閉鎖宣言後も被害を訴える破産者が相次いだことから、破産者マップに情報を掲載された破産者や破産企業の側に立つ「破産者マップ被害対策弁護団」が結成されるに至り、その活動資金を募るためのクラウドファンディングも開始されるなど大きな動きがあり、2021年11月には管理人が提訴されて裁判へと発展しました。
また、破産者マップは閉鎖されて消えたものの、その後、「モンスターマップ」、「新・破産者マップ」、「自己破産・特別清算・再生データベース」などの類似の自己破産者検索サイトが次々と開設され、現在も海外のサーバーにて運営しつつ破産情報の削除に高額な手数料(ビットコインでの支払いのみ)を求める悪質なサイトが存在し続けています。
この一連の騒動は「破産者マップ事件」などと呼ばれています。
破産者マップの管理人は遠藤有人という人物でほぼ特定
YouTube「神奈川県人権啓発センター」に出演した遠藤有人さん(左側のメガネの男性)、右側は漫画村で逮捕された事で有名な星野ロミさん
破産者マップの管理人は「遠藤有人」という人物である事がほぼ確実とみられています。
破産者マップ事件では、2019年8月30日に破産者マップが利用していたサーバーのホスティング会社であるさくらインターネットに対してサイト運営者の情報開示を命ずる仮処分命令が裁判所から出されており、同年9月5日に住所氏名が公開されており、この人物こそが遠藤有人さんでした。
破産者マップの管理人とみられている遠藤有人さんは2022年11月にYouTubeチャンネル「神奈川県人権啓発センター」にゲスト出演しています。
この動画の内容を見ても破産者マップの管理人はこの遠藤有人さんと見て間違いないと思われます。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=t9b_yS_wdQI?si=2MTGsyErF2ioectT]
破産者マップの管理人とされる遠藤有人の経歴① 生い立ちや学歴
破産者マップの管理人とみられている遠藤有人さんの経歴についてはネット上に様々な情報が寄せられています。
こうしたネット上に広まっている遠藤有人さんの経歴情報は真偽不明な情報も含まれていますが紹介していきます。
遠藤有人さんの出身地は北海道札幌市だと言われており、生年は1970年代半ば頃ではないかとみられています。
遠藤有人さんの学歴については、「東海大学経済学部」(現在の偏差値は35〜40ほど)を卒業しており、2006年に「東海大学大学院医学研究科」の修士課程を修了し、2008年に「東京医科歯科大学大学院・医歯学総合研究科博士課程」に入学したとみられています。
その後、2013年には東京医科歯科大学に所属しており「新潟県湯沢町におけるヘルスプロモーションの展開-住民と支援者の協働による活動の10年目評価-」と題する研究論文を共同発表しているようです。その後、少なくとも2015年の時点まで東京医科大学歯科大学大学院に所属していたとみられています。
破産者マップの管理人とされる遠藤有人の経歴② 職歴など
遠藤有人さんの職業面での経歴については、2012年に医療系のコンサルタント会社の「株式会社メディヴァ」に研究職として入社したとみられており、2013年には「医療法人社団プラタナス臨床データ分析・評価室」(研究推進室)に所属していたようです。
これは株式会社メディヴァが医療法人社団プラタナスの設立支援に関わっている事から、メディヴァから出向したのではないかと推測されています。
その後、遠藤有人さんは独立し2016年、神奈川県伊勢原市に「フロネシス合同会社」を設立して代表に就任しています。
このフロネシス合同会社がどのような目的で設立された会社なのかはよくわからないのですが、ホームページによると毎月3000円の会費で何らかのコンサルティングやサポートを提供している会社のようです。
弊社は、定期的なコンサルティングや、特別なサポートを必要とされるお客様に対し、会員様向けサービス行っております。
会費は毎月3,000円(消費税込)となります。
破産者マップの管理人とされる遠藤有人の経歴③ 破産者マップ開設
出典:https://image.itmedia.co.jp/
遠藤有人さんは、2018年12月に官報に掲載された破産者や再生債務者の情報をGoogleマップ上にマッピングする形でデータベース化するWebサイト「破産者マップ」を開設しました。
遠藤有人さんは破産者マップを設立した理由について自身のTwitter(現在のX)などで、「官報の情報は図書館や大学、インターネット上で誰もが自由に知る事ができる情報であるが、官報の記載は個別的、断続的に公開されるため、それらの情報を国民が知るには利便性に欠ける。」とし、「(官報に掲載される破産者の情報の)表現方法を変える(Googleマップと関連付けて公開する事で可視性を高める)事により、破産者情報が固有として持つ本質的な価値を引き出せるのではないか」と、考えた事であるという趣旨の説明をされています。
なお、「破産者情報が固有として持つ本質的な価値」とは、管理人の遠藤有人さんが個人的に見出したという「地域の一般市民が近隣の破産者を援助できる」事を指しているという事です。
いずれにせよ、ここまででも書いたように、破産者マップに対しては抗議や批判が殺到して炎上騒動に発展し、弁護団が結成されての裁判沙汰にまで発展しました。
破産者マップの管理人とされる遠藤有人を破産者が訴えた裁判
2021年8月、破産者マップに破産者として情報を掲載された方が、それによってプライバシーと名誉を侵害されたとして破産者マップの管理人とされる遠藤有人さんに合計22万円の損害賠償を求める民事裁判を起こしています。
破産者の情報を地図上に示した無料ウェブサイト「破産者マップ」でプライバシーと名誉を侵害されたとして、氏名や住所を掲載された2人がサイト運営者に計22万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。「ネットの地図上で可視化するのは公益性がまったくない」と訴えている。24日に第一回口頭弁論があり、運営者は請求を棄却するよう求めた。
訴えられた破産者マップ管理人の遠藤有人さんは、請求棄却を求め、請求原因が間違っていると主張して裁判を争う意思を示しています。
弁護団によると、弁護士を立てていない被告は、この日おこなわれた第1回口頭弁論には出廷せず答弁書を提出。請求棄却を求めるとともに請求原因が間違っていると主張し、争う意思を示した。
破産者マップの管理人・遠藤有人さん側の主張は、官報は誰でも閲覧できる情報であり、それをインターネット上に転載して利便性を高めただけなので違法性はないというものでした。
破産者マップが、破産者の名誉を傷つけているというコメントをよく頂くのですが、誰もが自由に見ることができる状態で官報を公開してる図書館や大学も、破産者の名誉を傷つけているのでしょうか?公民の教科書に書いてないので教えてください。おねがいします。
— 破産者マップ (@hasanmaptokyo) March 18, 2019
なお、破産者マップ管理人の遠藤有人さんを訴えた原告側は当初は破産経験者2名という事でしが、後に1名増えたようで裁判では最終的に3名の破産経験者が合計33万円の損害賠償を求める形になっています。
2018年開設のサイトを巡っては、マップに掲載された自己破産経験者3人が運営者を相手に、計33万円の損害賠償請求訴訟を起こしている。
破産者マップ管理人とされる遠藤有人の認諾により裁判は突如終了
破産者マップの管理人・遠藤有人さんが同サイトに情報掲載された3人の破産経験者に損害賠償を求められた民事裁判ですが、2024年6月13日に終了した事がわかりました。
これは管理人の遠藤有人さんが「認諾」、つまり、原告側の請求を全て認める宣言をしたため、裁判を続ける理由がなくなったためでした。
原告側はこの裁判を通じて破産者マップが破産者のプライバシーや名誉を侵害しているとする裁判所の判決を得ようとしていましたが、その目的を果たす事なく裁判は終了しました。
遠藤有人さんはさっさと33万円の賠償金を支払う事で裁判を終了させ、官報に記載されている破産者などの情報を転載する事は違法だとする判例を作らせないという選択をしたのだと推測されます。
この裁判は表面上は破産者マップの管理人である遠藤有人さんの敗訴ですが、実質的に敗れたのは原告側との見方が強くなっています。
というのも、遠藤有人さんがこの裁判を認諾によって終了させた事で支払う事になった金額は損害賠償金と利子や裁判費用などを合わせても50万円程度とみられ、それに対し原告側はクラウドファンディングで181万8600円を集めて弁護団を結成している事から大赤字であり、さらに破産者マップは違法だとする裁判の判決も獲得できず、実質的な目的を達成できずに終了する事になったためです。
破産者マップの管理人とされる遠藤有人の家族
破産者マップの管理人とされる遠藤有人さんの家族に関しては何の情報も出ていません。
ネットの匿名掲示板などでは、遠藤有人さんが私立の東海大学を卒業している事や、卒業後も東海大大学院や東京医科歯科大学大学院へ進んでいる事などから、実家の親などの家族が金持ちなのではないかとの推測がされているようです。
0069 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2023/04/01(土) 12:44:26.78
アリーの世代で東海大経済学部卒、東海大の院(医学部のなんちゃら過程)、
医科歯科大の院(医学部のry)これは高学歴でも何でもなく親に金があるだけの馬鹿ですねw
これはあくまでもネットの匿名掲示板に書き込まれた推測なので、遠藤有人さんの家族については実際には何もわかっていません。
破産者マップの管理人とされる遠藤有人の結婚
破産者マップの管理人とされる遠藤有人さんが結婚しているのかもネット上で話題になっていました。
破産者マップの管理人とされる遠藤有人さんが結婚しているのかどうかは情報がなく不明ですが、こちらもネットの匿名掲示板で下のような書き込みがありました。
2021/10/27(水) 18:04:37.63ID:ZNTBzMXK0
奥様も一緒に暮らしていてご存知ないのでしょうか。
子どもさんも可哀想ですね
この書き込みが事実であれば、遠藤有人さんは結婚していて嫁がおり、子供もいるという事になりますが、匿名掲示板に書き込まれた情報であり真偽のほどはわかりません。
破産者マップは個人情報保護法などに基づいて違法という見方も
破産者マップの管理人である遠藤有人さんが訴えられた裁判は、遠藤有人さんが認諾する形で終了したため、裁判所は破産者マップが違法かどうかの判断を下していません。
裁判前には、一部の弁護士の方が破産者マップは個人情報保護法などに基づいて違法となる可能性があるとの見方を示されていました。
法律事務所エイチームの馬場貞幸弁護士は、違法となる可能性があると指摘する。
「破産者マップの件は、(1)名誉権の侵害(名誉棄損)により違法ではないか、(2)プライバシー権の侵害にあたり違法ではないか、(3)個人情報保護法に反し違法ではないか、という3点がまず問題になると考えています。
破産者マップは現在は削除され消えたため閲覧不可だが類似サイトが乱立
出典:https://goodasset-blog.com/
2018年12月に設立された「破産者マップ」ですが、批判と炎上を受けて2019年3月19日に削除(閉鎖)されて消えたため現在は閲覧は不可能です。
ただ、破産者マップが消えた後、しばらくの間は、「モンスターマップ」、「新・破産者マップ」、「自己破産・特別清算・再生データベース」などの類似の自己破産者検索サイトが乱立する事態となりました。
このうち「モンスターマップ」と「自己破産・特別清算・再生データベース」は行政機関である個人情報保護委員会が閉鎖を求める初の停止命令を出した事で閉鎖(サイト削除)に追い込まれています。
法令を公布する国の機関誌「官報」掲載の自己破産者の個人情報を、無断転載したとみられるサイトが二つあった。誰でも見ることができる状態になっており、掲載者が削除を求めると仮想通貨を要求することも。政府の個人情報保護委員会が閉鎖を求める初の停止命令を出したところ、両サイトは閉鎖。
「新・破産者マップ」についてはカナダにサーバーを置いており、管理人も特定されていない事から現在も削除されずに存在しているようです。ただ、Googleなどの主要な検索エンジンでは表示されなくなるなどの措置が取られており、URLを直接入力しない限りは閲覧できない状態になっているようです。
新・破産者マップは、情報の削除に高額の手数料支払いを求めるなど悪質であるためURLの掲載はこの記事では差し控えます。
破産者マップの現在① 管理人の遠藤有人は新たに有料サイトを運営
破産者マップの現在についてですが、管理人とされる遠藤有人さんは破産者マップが批判を受けてサイトを削除した後、新たに「破産者情報通知サービス」という会員制の有料サイトを開設し運営されています。このサイトも破産者マップと同様に官報に掲載された破産者の情報を公開するサイトとなっていますが、有料の会員サイトであるため破産者の情報を必要とする方へのサービス提供という側面がより強くなっています。
ただ、この「破産者情報通知サービス」は、2022年3月23日に行政機関である「個人情報保護委員会」より、破産者などの個人データの第三者提供を停止するように命令が出されており、現在はサービスを停止しています。
管理人の遠藤有人さんは「政治団体オープンサイエンス」を設立してこのサイトを運営する形をとっています。
遠藤有人さんが代表を務める政治団体オープンサイエンスは、2022年3月25日付で東京地裁に命令の効力停止の仮処分申し立てを行うも30日までに却下されています。
その後、政治団体オープンサイエンスは新たに個人情報保護委員会からの命令の取り消しを求める民事裁判を提訴していますが、2023年11月に東京高裁が控訴棄却し、これに対し政治団体オープンサイエンスは最高裁に上告し現在も裁判が続いている状況です。
破産者マップの現在② 「新・破産者マップ」は情報削除に手数料を要求
破産者マップが閉鎖された後に、類似の自己破産者検索サイトがいくつも設立されましたが、個人情報保護委員会の停止命令を受けてほとんどのサイトが削除されています。
ただ、カナダのサーバーを利用している「新・破産者マップ」は管理人も特定されておらず、停止命令を無視して現在も運営を続けています。
この「新・破産者マップ」は、掲載された破産者の情報の削除に手数料を要求しており、Googleマップにマッピングされたピンの内容を削除するには60000円、ピン自体を削除するには12000円という高額な手数料を求めるなどかなり悪質な運営を行っています。
なお、この手数料の支払いはビットコインでのみ受け付けています。足がつきにくいビットコインを利用する事で金の流れを追っても管理人にはたどり着けないようにしていると考えられ、新・破産者マップの管理人はかなり狡猾な人物であると推測されます。
こうした輩がいるためにビットコインが犯罪者のための通貨などといった悪いイメージがついてしまいます。実際にはビットコインは画期的な発明であり国家や中央銀行の政策の影響を受けにくい富の保存手段として今後更なる発展が期待されているため、こうした側面だけで危ないものという印象を持たないようにしましょう。
まとめ
今回は、官報に掲載された破産者の情報をGoogleマップ上にピン留めし、破産者の氏名や住所を閲覧できるようにして物議を醸したWebサイト「破産者マップ」についてまとめてみました。
破産者マップの管理人とみられているのが遠藤有人さんという人物です。遠藤有人さんの経歴については、北海道札幌市の出身で1970年代半ば頃の生まれと言われており、東海大学経済学部を卒業後に「東海大学大学院医学研究科」の修士課程、「東京医科歯科大学大学院・医歯学総合研究科博士課程」などを履修したとみられています。
また、医療系のコンサルタント会社「株式会社メディヴァ」、「医療法人社団プラタナス臨床データ分析・評価室」などに所属した後、独立して「フロネシス合同会社」を設立したという経歴を持つとされています。
遠藤有人さんの家族や結婚に関する情報はありません。匿名掲示板では実家の家族は金持ちで、結婚していて子供がいるとの情報が見られますがいずれも真偽不明となっています。
破産者マップが違法かどうかも話題になっていますが、管理人の遠藤有人さんは、誰でも閲覧できる官報に掲載された情報を転載しただけで違法性はないと主張しています。
破産者マップに情報が掲載された3名の方がクラウドファンディングで資金を募って弁護団を結成して損害賠償を求める裁判を起こしましたが、この裁判は遠藤有人さんが認諾を宣言した事で、判決が出る事なく終了しており、原告側が目指していた破産者マップが違法だとする判決を得るには至りませんでした。
破産者マップは現在は削除されて消えたため現在は閲覧できませんが、「新・破産者マップ」という類似サイト(管理人は別)が設立され現在も存在しています。このサイトは情報の削除に高額な手数料を要求しており悪質なものですが、海外にサーバーを置いていて管理人も特定されていないため野放しとなっています。