貯水槽で女性が遺体で発見されたエリサ・ラム事件ですが、エレベーターの映像や現場が話題です。
今回はエリサ・ラム事件の概要や謎、エレベーター映像と事件現場のセシル・ホテル、真相と犯人、なんJで人気の理由と現在をまとめました。
この記事の目次
エリサ・ラム事件とは
エリサ・ラム事件とは、アメリカのロサンゼルスで2013年2月19日、香港系カナダ人の大学生であるエリサ・ラムさんがホテルの屋上にある貯水槽内で遺体となって発見された事件です。
エリサ・ラムが行方不明に
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事件の被害者であるエリサ・ラムさんは香港系カナダ人です。
エリサ・ラムさんはコロンビアブリティッシュ大学の学生で、両親は香港からの移民であり、カナダのバンクーバー近郊で飲食店を営んでいました。
エリサ・ラムさんは事件当時、バスや鉄道を使ってアメリカを旅行していて、ロサンゼルスには2013年1月26日に到着し、1月28日にセシル・ホテルにチェックインしています。
エリサ・ラムさんは旅行中には毎日両親に連絡をしていましたが、その定期連絡は1月31日で途絶えました。
これを心配した両親は、ロサンゼルスに来て捜索願を出します。
警察は警察犬などを使って捜索しましたが、エリサ・ラムさんの行方は1月31日を最後に分からなくなってしまったのです。
セシル・ホテルで水の苦情
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エリサ・ラムさんが行方不明になって約3週間後、セシル・ホテルの宿泊客から次のようなクレームが複数入りました。
・水の色が黒い
・異常な味がした
これらのクレームにより、ホテルの従業員は、2月19日に屋上の貯水タンクを調べることになったんです。
遺体を発見
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宿泊客からのクレームで貯水槽を調べることになったセシル・ホテルの従業員は、貯水槽の中に遺体のようなものがあるのを発見します。
警察に通報し、警察は貯水槽の中から遺体を回収しようとしますが、貯水槽の蓋が小さすぎて、遺体回収のための器具が入らなかったため、貯水槽を切断して遺体を回収しました。
司法解剖の結果、遺体は1月末から行方不明になっているエリサ・ラムさんであることが判明したのです。
遺体の状況
エリサ・ラムさんは貯水槽の中から遺体となって発見されました。
遺体の状況は次の通りです。
・外傷やレイプの痕は見られなかった
・処方薬は血液中から検出されたが、違法薬物は検出されなかった
・アルコール分はごく微量のみ検出された
・全裸の状態だった
・服は貯水槽に浮いていた
・腕時計やホテルの部屋の鍵は遺体と一緒に発見された
エリサ・ラムさんの遺体は腐敗していて、全身が緑に変色していたとのことです。
また、検案書によると、肛門部には皮下にうっ血が見られ、さらに直腸が脱出していたそう。
これらの状態は性的暴行を受けた痕かとも言われましたが、腐敗したことによる現象の可能性もあるようです。
エリサ・ラム事件のセシル・ホテルのエレベーター動画が怖いと話題に
エリサ・ラム事件の最大の謎は、セシル・ホテル内のエレベーターの監視カメラの動画です。
この監視カメラの動画は、彼女が行方不明になった約1週間後の2月5日に公開されました。
この動画はあまりにも奇妙で、エリサ・ラムさんの動きに不可思議な点が多々あるので、インターネット上で大きな話題になりました。
エリサ・ラムさんは赤いパーカーに黒のショートパンツというラフな服装で、1人でこのエレベーターに乗ってきます。
そして、エレベーター内に隠れるようなそぶりを見せたり、外の廊下の様子をうかがうような仕草を見せたりして、エレベーターの外と中を行ったり来たりします。
エレベーターの外では、何かを手探りで探すかのような奇妙な手の動きも見せています。
結局、彼女はエレベーターから出ていってしまい、エレベーターのドアは閉まって動き出しました。
この映像でのエリサ・ラムさんは、まるで誰かから追われていて、隠れようとしているような動きを見せています。でも、映像の中では誰も何も映っていないのです。
一体この時エリサ・ラムさんは何をして、何を見て、どうしようとしたのでしょうか?
エリサ・ラム事件で残る謎
エリサ・ラム事件には、たくさんの謎があります。
一番の謎は、前述のエレベーター映像ですが、実はそれ以外にも謎がたくさんあるんです。
ここからは、エリサ・ラム事件の謎を1つずつ見ていきましょう。
どうやって屋上に行った?
エリサ・ラムさんはセシル・ホテルの屋上にある貯水槽の中で見つかりました。
でも、屋上のドアにはセキリュティがかかっていて、パスコードを入力しないと解錠できない状態でした。
つまり、普通のルートでは屋上に入ることはできないんです。
そしてパスコードを知っていたのは、ホテルの従業員のみです。
避難通路は鍵が開いていたので、避難通路から屋上に行くことはできますが、普通は避難通路から行こうとは思いませんよね。
また、避難通路の鍵が開いているのをエリサ・ラムさんは知らなかったはずです。
貯水槽の蓋は重い
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屋上の貯水槽には蓋がついていますが、その蓋はかなりの重さで、女性1人で開けるのはなかなか難しい重さということです。
蓋をずらすことは可能だとしても、そんなに重い蓋をわざわざずらす意味が分かりません。
どうやって、そして誰がその蓋をずらしたのでしょうか?
警察犬は反応せず
失踪したことが分かった直後、エリサ・ラムさんのご両親はロサンゼルスに来て、警察に失踪届を出しています。
そして、ロサンゼルスの警察は警察犬を使って、エリサ・ラムさんを捜索しています。
この時、エリサ・ラムさんが失踪してからそれほど時間は経っていなかったはずです。そして、警察犬は屋上もくまなく捜索しました。
でも、この時は警察犬は全く反応しなかったとのことです。
貯水槽の中にエリサ・ラムさんの遺体があったはずだし、エリサ・ラムさんは屋上にいたはずなのに、なぜ警察犬は反応しなかったのでしょうか?
まさか、警察犬が捜索した時にはまだエリサ・ラムさんは生きていて、貯水槽の中にはいなかったのでしょうか。
どうやって貯水槽にのぼったのか?
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屋上にある貯水槽は直径1.2mで高さは2.4mの大きさです。貯水槽を覗く時には、従業員は毎回梯子を使っていたとのことです。
そんな2.4mもある貯水槽にエリサ・ラムさんはどうやってのぼったのでしょうか?
現場には、梯子はなかったようですので、何者かが梯子をしまった可能性はあります。
全裸の理由
エリサ・ラムさんが貯水槽内で発見された時、遺体は全裸でした。そして、洋服は貯水槽内に浮かんでいたとのことです。
エリサ・ラムさんが行方不明になったのは1月末のこと。いくら温暖なロサンゼルスだとしても、さすがに全裸で水の中に入るのは寒いはずです。
それなのになぜ、エリサ・ラムさんは全裸で発見されたのでしょうか?
結核検査の名前
実は、ホテルから数ブロックだけ離れた場所で、エリサ・ラムさんが行方不明になった直後に結核が流行した場合に備えて、結核感染診断法試験が行われていました。
これは生物兵器に備えた試験だったと言います。その試験の名前が「エリサ・ラム」だったんです。
これはあくまでも偶然とのことですが、本当に偶然なのでしょうか?なんとなく、陰謀論的なものを考えずにはいられません。
半年後にブログが更新
エリサ・ラムさんは2013年2月19日に遺体が発見されています。亡くなったのは、腐敗の状況から見ても、おそらく行方不明になった直後と思われます。
しかし、亡くなった半年後になぜか彼女のブログが更新されたのです。
なぜ、そして誰がブログを更新したのかは分かっていません。
携帯電話はどこに?
エリサ・ラム事件では、被害者のエリサ・ラムさんの携帯電話は見つかっていません。
遺体の周辺からも、ホテルの部屋からも発見されていないのです。
事件の犯人が携帯電話を持ち去ったのか?もしくは、ただの物取りの被害に遭っただけなのかは不明です。
ただ、スマホがないのはとても不思議ですし、事件と何らかの関係がありそうですよね。
エリサ・ラム事件の被害者には精神疾患があった
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エリサ・ラムさんは精神疾患を患っていました。
双極性障害(躁うつ病)とうつ病をと診断されていたようで、抗うつ薬や躁うつ病の治療薬を処方され、服用していました。
家族によると、希死念慮に駆られたり、自殺をしようとしたことはなかったとのことですが、一部情報ではエリサ・ラムさんはこれまでに短期間失踪したこともあったようです。
また、2012年には病気が再発して、大学の授業が受けられなくなったことや大学院への進学を諦めなければいけないことに悩んでいたという情報もあります。
そして、2013年1月28日にチェックインしたセシル・ホテルでは、ドミトリーの部屋に宿泊していましたが、彼女の言動に苦情が入り、彼女は2日後には個室に移ることになりました。
つまり、同部屋の宿泊者への迷惑行為・奇行があったということですね。
さらに、エリサ・ラムさんの司法解剖では、精神疾患の処方薬が血中から検出されていたものの、処方通りに服用していたとは思えないほどごく微量でした。
エリサ・ラム事件の現場のセシル・ホテルがやばい理由
出典:cnn.co.jp
エリサ・ラム事件の現場はセシル・ホテルです。
実は、このセシル・ホテルは過去にもいろいろあって、「いわくつき」のホテルなんです。
セシル・ホテルは1920年代にビジネスホテルとして開業しましたが、1930年代の世界恐慌で経営が傾き、それ以降はあまり芳しい経営状況ではありませんでした。
1964年の殺人事件
1964年にセシル・ホテルの客室で、ゴールディー・オズグッドという女性が強姦殺害された事件が起こりました。
この殺人事件の犯人は捕まっておらず、未解決のままとなっています。
連続殺人犯が宿泊
最低でも9件の殺人を犯したオーストリアの連続殺人犯ジャック・ウンターベガーは、犯行を行っていた時期に、このセシル・ホテルに宿泊しています。
また、13人を殺害し、「ナイト・ストーカー」や「峡谷の侵入者」と呼ばれた連続殺人犯のリチャード・ラミレスも犯行当時、セシル・ホテルに宿泊していました。
自殺者も
セシル・ホテルは宿泊者が自殺したこともあります。
少なくとも3人の自殺者を出していて、そのうちの1人はホテルから飛び降りた際、ホテルの前を歩いていた人に衝突し、その歩行者は亡くなるという事故も起こしています。
過去にこれだけのことがあり、さらにエリサ・ラム事件が起こったのですから、セシル・ホテルはいわくつきの場所と断言して良いでしょう。
エリサ・ラム事件の真相 【不慮の事故だった…?】
不可解なことが多いエリサ・ラム事件ですが、真相は不慮の事故による溺死と結論付けられています。
どうやら、双極性障害でしかもきちんと薬を服用していなかったために、エリサ・ラムは事件当時、誰かに追いかけられるなどの幻覚・妄想の症状が出ていたと見られています。
そして、そのような中で貯水槽に自ら飛び込んで溺死してしまったというのが真相のようです。
当初、貯水槽の蓋は完全に閉まっていたとされていましたが、その後の発表では蓋はずらされていたと修正されています。
蓋が閉まっていたなら他殺の可能性が高いですが、蓋がズレたままであれば、不慮の事故の可能性もあるというわけです。
さらに、幻覚や妄想があったから、あのようなエレベーターでの奇行をしていたということのようですね。
もちろん、事件の真相が「不慮の事故」だったからと言って、全部に説明がつくわけではありません。屋上への経路や貯水槽への上り方など不明な点も残っています。
ただ、あのエレベーターの映像がある以上、この「不慮の事故」以外に事件の真相として説明のつくものがないんです。
エリサ・ラム事件がなんJで人気な理由
エリサ・ラム事件は5ちゃんねるのなんJ(なんでも実況ジュピター)でも人気の事件です。
なんJでは未解決事件のスレが立ちますが、そのスレの中で「エリサ・ラム事件」は怖い事件・真相を知りたい事件として、真っ先に名前が挙がります。
エリサ・ラム事件が人気の理由は、やっぱりあのエレベーターの映像ですよね。
エレベーターでのエリサ・ラムさんの不可思議な動きは、どうやっても説明のつくものではありませんし、この事件の不気味さを物語っています。
なんJでは、「未解決だけどなんとなく説明がつく事件」よりも、「全く説明がつかない謎が多い事件」の方が人気なので、エリサ・ラム事件はなんJでかなり人気なんです。
エリサ・ラム事件は「仄暗い水の底から」と酷似している?
出典:amazon.co.jp
エリサ・ラム事件は、ホテルの屋上の貯水槽の中から被害者の遺体が見つかりましたが、日本で映画化された「仄暗い水の底から」に状況が酷似していると話題になったんです。
映画「仄暗い水の底から」は、鈴木光司の同名の短編集の中の「浮遊する水」を映画化したものです。
この映画は、エレベーターがきちんと作動しなかったり、水道の味が変になったりなど、奇怪な出来事があり、最終的には行方不明の少女が建物の貯水槽から見つかるというホラー映画です。
確かに、エリサ・ラム事件と似ていますよね。
映画「仄暗い水の底から」は日本では2002年に公開されていますが、アメリカでは2005年に「ダーク・ウォーター」というタイトルでリメイクされています。
アメリカでも、エリサ・ラム事件が報じられた時には、「ダーク・ウォーターに似ている!」とインターネットを中心に話題になりました。
エリサ・ラム事件では犯人扱いでネットリンチも起きている
エリサ・ラム事件では、インターネット上で犯人扱いされ、大炎上して誹謗中傷を受けた人物がいました。
その人物とは、メキシコ人のミュージシャン「モービット」です。
メタル・ミュージシャンのモービットは、セシル・ホテルに宿泊していた時の動画をYouTubeにアップしました。
たったそれだけのことで、アメリカはもちろん、世界中のYouTuberからエリサ・ラム事件の犯人として疑いをかけられたのです。
ブラックメタルという彼の音楽性がそれに拍車をかけました。
モービットがセシル・ホテルに宿泊したのは、エリサ・ラム事件の1年前のことです。そして、事件当時はメキシコにいて、それは彼のパスポートが証明しています。
それなのに、ただセシル・ホテルの動画をアップしただけで犯人扱いされ、大炎上しました。
それを受けて、モービットは疑惑を晴らし、身の潔白を主張する動画をアップしますが、アカウントが通報されて、GoogleアカウントやFacebookアカウントは凍結されてしまいます。
そして、大炎上は続き、モービットは自殺未遂まで起こしました。
エリサ・ラム事件は恐ろしいネットリンチが行われ、1つの無実の人物を自殺未遂に追い込んだのです。
エリサ・ラム事件の現在
出典:netflix.com
エリサ・ラム事件は現在、「不慮の事故による溺死」と結論付けられていますので、捜査は終了しています。
しかし、まだ現在も謎は謎を呼び、みんなが納得できる解決には至っていません。
そこで、2021年になって、ネットフリックスが「事件現場から: セシルホテル失踪事件」という4回にわたるドキュメンタリーを作り、公開しました。
このネットフリックスの「事件現場から: セシルホテル失踪事件」はかなり好評です。
しかし、目新しい情報は出てきておらず、ドキュメンタリー内での事件の真相も「不慮の事故」とされています。
ただ、このネットフリックスのドキュメンタリーによって、再びエリサ・ラム事件が注目されています。
エリサ・ラム事件のまとめ
エリサ・ラム事件の概要やエレベーターの映像、残る多くの謎、現場のセシル・ホテル、事件の犯人や真相、ネットリンチと現在をまとめましたが、いかがでしたか?
エリサ・ラム事件は不慮の事故という結論が出ています。
それでも、やっぱり事件の真相は他にあるのではないか?違う真相があるのではないか?と思ってしまいますよね。
エリサ・ラムさんが亡くなっている以上、エレベーターでのあの奇妙な動きの真相は、永遠に解明されることはないと思います。
本当に双極性障害と薬でのコントロールができていないことで、あのようになるのか?そして貯水タンクに全裸で飛び込んでしまうのか?気になって仕方がありません。