合法薬物で医療機関で用いられる薬の中にも依存性が高く、危険な薬の1つに「デパス」があります。
今回はデパスの効果や副作用、依存性の高さと離脱症状、後遺症や死亡リスク、デパスを服用していた芸能人や有名人をまとめました。
この記事の目次
デパスとは
デパスとは、エチゾラムを主成分とする抗不安薬・睡眠導入剤です。ベンゾジアゼピン受容体に作用して、不安や緊張を和らげる作用があります。
デパスは日本で開発された薬で、日本やインドなどで医薬品として使用されています。
デパスというのは「商品名」であり、田辺三菱製薬の子会社である吉富薬品が製造しています。このほかに、ジェネリックとして同じ成分・作用を持つ薬はたくさん販売されています。
このデパスは精神科や整形外科で幅広く処方されていましたが、依存性が高く、乱用を招くという報告が相次ぎました。
これにより、現在は医薬品として処方されることはあるものの、以前ほど「気軽に処方」、「とりあえずデパス」ということはなくなりました。
また、2016年にはデパスは「麻薬及び向精神薬取締法」で向精神薬に指定され、個人輸入は禁止され、規制が厳しくなっています。
デパスの効果とは
デパスの効果を確認しておきましょう。デパスは抗不安薬・睡眠導入剤に分類される薬です。
・気持ちを落ち着かせる
・筋肉の緊張をとる
このような効果があるため、次のような疾患・症状がある時に処方されます。
・統合失調症の睡眠障害
・頚椎症や腰痛症、筋収縮性頭痛の筋肉の緊張緩和
デパスは比較的簡単に、そしてすぐに不安や緊張を緩和し、筋肉の緊張を緩和してくれるため、精神科・心療内科・整形外科などではよく処方されていた薬です。
デパスの副作用とは
デパスは主に次のような副作用が現れます。
・ふらつき
・めまい
・頭痛
・ボーっとする
・注意力や集中力の低下
・頭が重く感じる
・フラフラする
・だるい
・脱力感
- また、稀に次のような重篤な副作用が出ることもあります。
・眼瞼痙攣(まぶたの痙攣)
・呼吸抑制
・悪性症候群(発熱や強度の筋緊張、嚥下困難、頻脈など)
・横紋筋融解症(筋肉痛、脱力感、血液検査の異常など)
・間質性肺炎(発熱や咳、呼吸困難)
ただ、ここまでの副作用は稀です。
デパスは依存性がやばいと話題に
デパスは2016年に向精神薬に指定され、規制が厳しくなりました。なぜ、ここまで規制が厳しくなったのでしょうか?それは、デパスは依存性が高いからです。
デパスを飲むと、気持ちが落ち着いて、不安がなくなり、リラックスすることができます。
だから、精神科や心療内科ではとりあえずデパスを処方することが多かったんです。特に、デパスはほかの抗不安薬よりも効果が高い薬です。
しかし、デパスの効果は長く続きません。デパスの血中濃度は服用後3時間で最高に達し、作用は6時間程度で消えてしまいます。
デパスの効果は高い、でもすぐにその効果はなくなってしまう…。だから、依存が形成されやすいんです。
効果がすぐになくなるからまたデパスを飲む。さらに離脱症状が現れやすいから、またデパスを飲む。そして、耐性がつくからデパスを飲む量が増える。
この悪循環のスパイラルに陥って、デパスの高い依存性に心身ともに侵されていくことになるのです。
デパスは身体的な依存と精神的な依存の両方が形成されます。
精神的依存:デパスなしでは不安になる、デパスがないと生きていけないと思う
デパスの離脱症状とは
デパスは離脱症状がやばいです。依存性が高く、ずっとデパスを飲んでいると、服用をやめた途端に離脱症状が現れます。
デパスの離脱症状には、次のようなものがあります。
・抑うつ
・眠れない
・緊張感が増す
・パニック障害
・頭痛
・吐き気
・筋肉痛
・震え
・けいれん
・触覚や痛みへの感覚が過敏になる
・発汗
・集中できない
・記憶力が低下する
・幻覚
・てんかん発作
・せん妄
デパスは離脱症状により、自傷行為や自殺などに及ぶこともあるので、非常に危険です。
通院できなくてデパスがなくなっていく無理死ぬ死にたい限界まで耐えて離脱と不安で死にそうになって1粒飲んでまた限界まで耐えるを繰り返してる何やってんだろうなあ早く死にたい
— 宇津井 (@i_idsqi) January 30, 2021
原因が分からない(検査結果待ち含む)不調の時はいつもお前が出てくるよね、デパス。
— おおい (@_pizzaco) January 30, 2021
飲んでもいいけど、私は離脱症状が辛かったからちょっと抵抗あるんだよね。
デパスの後遺症は認知症
デパスは長年服用していると、後遺症が出てくることがあります。その後遺症とは認知症です。
デパスを飲み続けていると、将来的に認知症になるリスクが上がるという報告があるんです。
デパスに依存して飲み続けると、離脱症状に苦しむだけでなく、脳の神経細胞が破壊されて正常な日常生活が送れなくなるというわけですね。
デパス中毒での直接的な死亡例は少ないものの…
デパスに依存し、デパス中毒になることが原因で直接的に死亡することは多くありません。デパスを大量服用しても、死に至るケースはほとんどないのです。
以前に10倍量を誤投与し、植物状態になった事例はありましたが、それ以外の事例はほぼありません。
しかし、だからと言ってデパスが安全というわけではありません。
・デパスの離脱症状で自傷行為をする
デパス服用の芸能人・有名人5名
デパス服用の芸能人・有名人を紹介します。
ここで紹介する芸能人や有名人は、処方されたデパスを服用していたというだけで、デパスを乱用していたわけではありません。そこは誤解しないようにしてください。
上原さくらさん
出典:bunshun.jp
上原さくら
生年月日:1977年3月31日
出身:神奈川県厚木市
身長:161cm
所属:オフィス南
血液型:A型
活動:タレント、
タレントの上原さくらさんは、一時的にかなり精神的に不安定になっていて、2013年には精神病院の閉鎖病棟に入院していたこともありました。
青山光司さんと離婚して、所属事務所の「ホリプロ」を退社した後、2015年から東海大学文学部に入学して勉学に励むようになってから、メンタル的な病状は好転したようです。
それでも、2015年ごろはデパスなどの抗不安薬が手放せなかったことをブログで告白しています。
まだ当時はパニック発作が出たりするので、外出時は不安も多く、デパスやらワイパックスやらソラナックスやらリーゼやらを飲まないといられませんでした。(1度に全種類ではありませんが)
お守り代わりに、デパスなどの薬をポーチやお財布に入れて持ち歩いていたとのこと。
現在でもデパスを飲んでいるかは不明ですが、写真などで見る限り、現在はデパスを飲んでいた頃に比べると、かなり元気そうですね。
上原さくらさんのような有名人がこのような体験をハッキリと語ってくれると、励まされる人は多いはずです。
北川悦吏子さん
出典:asahi.com
北川悦吏子
生年月日:1961年12月24日
出身:岐阜県美濃加茂市
血液型:B型
活動:脚本家
『あすなろ白書』『愛していると言ってくれ』『ロングバケーション』『半分、青い』『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』など、数々の名作ドラマを生み出した北川悦吏子さん。
デパスの服用を堂々と公表しています。
デパスはいつ飲んでも平気と思いますよ。今聞かれましたので答えてます。歯医者で寝ちゃうかどうかですが、寝ちゃても大丈夫では?リラックスしていいと思います。なんか、電話相談室ならず、ツイッター相談室みたい(笑)。1日3錠までって、お医者さんが言ってましたよ。
— 北川悦吏子 (@halu1224) April 21, 2010
ブログでは、デパスについて次のように語っています。
「デパス」のことを書いたのは
飲んでる人が、引け目を感じなくてもいいように。
大々的に書いてみた。
昔、ドラマで書いたら、サクッと切られてしまったことがあって
安定剤を飲む、とかいうシーンは御法度なのか…と私なりに思ったから。
でも、今日、直していたホンには、書いたよ。デパスという固有名詞は出してないけど。
繰り返しますが、デパスは処方薬です。だから、用法用量を守って飲んでいれば、悪いことではありません。
北川さんはデパスに救われたこともあったようです。だから、「デパス=悪」ではありません。
北川さんはブログで「デパス=悪」ではないと言いたかったのかもしれませんね。
山口岩男さん
出典:twitter.com
山口岩男
生年月日:1963年9月21日
出身:山形県天童市
活動:ミュージシャン、ウクレレ奏者
ギタリスト・ウクレレ奏者である山口岩男さんは、自身のオリジナルアルバムを発表する以外にも、森山直太朗さんやケツメイシ、原田真二さんなどのサポートメンバーを務めています。
そんな山口岩男さんは、2001年に弟さんが急死したことをきっかけに、パニック障害と診断され、合計35種類の精神安定剤を12年間にわたって飲み続け、精神薬依存症に苦しみました。
この時の体験談は2018年にテレビ東京の「じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告~」で詳しく話しています。
番組の中で、「即効性が高くリラックス効果がある抗不安剤を何年も飲み続けた」と語っています。
ブログでも次のように語っていますので、山口岩男さんがデパスを飲んでいたことはほぼ間違いないでしょう。
デパスは軽い薬と言って出されることが多いですが、とんでもない!一番断薬しにくい薬のひとつです。長く飲むといろんな弊害が出て来ます。
・ギターの演奏に支障が出た
・2年間で車の事故を7件も起こした
デパスに依存すると、いかに恐ろしい症状が出るのかが良く分かりますね。
そんな山口岩男さんはアルコール依存症も一緒に発症していて、闘病の様子を『「うつ病」が僕のアイデンティティだった~薬物依存というドロ沼からの生還』という本にまとめています。
現在はかなり健康的な生活を送っているようです。
猪瀬直樹さん
猪瀬直樹
生年月日:1946年11月20日
出身:長野県飯山市
血液型:AB型
活動:元政治家、作家
元東京都知事で作家の猪瀬直樹さんは、デパスの服用についてTwitterでつぶやいています。
睡眠について。ジョギングを1㎞でもやると歩くだけより深く眠れます。酒も1杯でもよいから呑むとまったく呑まないより深く眠れます。周囲にバカがいていらいらしたら迷わず精神安定剤(デパス)を1錠か氷で頭冷やせば深く眠れます。以上迷わずやればそれだけ眠る時間が確保されます。終り。
— 猪瀬直樹/inosenaoki (@inosenaoki) October 2, 2012
睡眠について。睡眠は深さ×長さですから、ふだんは短くてもまず深く、借金返しのときには深く長く。急ぐときは安定剤(デパス)が効きます(個人差が大きいので要注意、用法は医師の処方箋で)。ハルシオンなどの睡眠薬は避けましょう、効き目が強く長いのでパッと眼が醒めません。
— 猪瀬直樹/inosenaoki (@inosenaoki) October 2, 2012
「用法は医師の処方箋で」と書いているので何の問題もありませんが、猪瀬直樹さんは眠れない時には迷わずデパスを飲んでいるようです。
浜崎あゆみさん
出典:bunshun.jp
浜崎あゆみ
生年月日:1978年10月2日
出身:福岡県福岡市
身長:158cm
所属:エイベックス・マネジメント
血液型:A型
活動:歌手
浜崎あゆみさんは、2008年1月に左耳の聴覚が失われていることを告白しました。
そのころに週刊誌のFLASHで、浜崎あゆみさんのデパス処方が報じられていました。そして、デパスの服用によって、内耳性突発難聴になったのではないか?と噂されたのです。
ただ、浜崎あゆみさんがデパスを服用していたとしても、その副作用で突発性難聴を患うというのは、ちょっと考えにくいですね。
デパス服用の可能性がある芸能人・有名人6名
次は、デパス服用の可能性がある芸能人・有名人を紹介します。
デパスを服用していたとは公表されていないものの、うつ病やパニック障害などで精神安定剤を飲んでいた方々です。
デパスはちょっと前まではうつ病やパニック障害で処方されやすい薬でしたから、デパスを服用していた可能性は高いです。
石田明さん
石田明
生年月日:1980年2月20日
出身:大阪府大阪市
身長:173cm
所属:吉本興業
血液型:B型
活動:お笑いタレント
NON STYLEの石田明さんはコンビを結成してすぐのころに、仕事のストレスでうつ病を発症しました。
病院を受診したところ、睡眠薬や精神安定剤、抗うつ剤を処方されたとのことです。一時は腰に薬をぶら下げて歩いていたこともあったんだとか。
処方された精神安定剤はデパスだった可能性がありますね。
梶原雄太さん
梶原雄太
生年月日:1980年8月7日
出身:大阪府大阪市
身長:163cm
所属:吉本興業
血液型:B型
活動:Youtuber、お笑いタレント
キングコングの梶原雄太さんは、2003年にストレスからの心身症を発症して、一度失踪し、仕事3ヶ月間休んでいます。
この時、梶原さんは精神安定剤を飲んでいたようです。これは、相方の西野亮廣さんがブログで告白しています。
あれだけ毎日一緒に遊んでいた友達が、怯え、震えている。精神安定剤を飲んでいるらしい。とてもコンビ活動の再開は期待できなかった。
デパスかどうかはわかりませんが、梶原さんの症状を見る限り、精神安定剤がデパスだった可能性はあります。
吉澤ひとみさん
出典:zakzak.co.jp
吉澤ひとみ
生年月日:1985年4月12日
出身:埼玉県入間郡三芳町
身長:164cm
所属:元ジェイピールーム
血液型:O型
活動:元タレント
元モーニング娘の吉澤ひとみさんは、飲酒ひき逃げ事件で逮捕された時に、実は精神安定剤を日ごろから服用していたことが報じられました。
育児で悩みを抱え、精神的に不安定だったためとのことです。そして、拘留中も夫が精神安定剤を差し入れしていたとのこと。
デパスかどうかは不明ですが、デパスを服用して飲酒すると、デパスの効果もアルコールの酔いも強くなります。
もしかしたら、吉澤ひとみさんの飲酒ひき逃げ事件はそのような背景があったのかもしれません。
丸岡いずみさん
丸岡いずみ
生年月日:1971年8月6日
出身:徳島県美馬市
所属:ホリプロ
血液型:O型
活動:フリーアナウンサー、タレント
「news every.」のキャスターをしていた丸岡いずみさんは、東日本大震災の報道をきっかけにうつ病を発症しました。
丸岡さんは最初は薬を拒否したそうですが、薬を飲むようになってから徐々に回復したそう。
抗うつ薬以外に抗不安薬を飲んでいたと思われますので、丸岡いずみさんもデパスを飲んでいたかもしれません。
桂ざこばさん
出典:mainichi.jp
桂ざこば
生年月日:1947年9月21日
出身:大阪府大阪市
所属:米朝事務所
活動:タレント、落語家
桂ざこばさんは、34歳のころにうつ病を発症しています。そして、精神安定剤を飲むようになりました。
この時、どんな薬を飲んでいたのかは不明ですが、うつとの戦いは十何年にも及んだとのことですので、デパスを飲んでいた可能性はありますね。
華原朋美さん
出典:crank-in.net
華原朋美
生年月日:1974年8月17日
出身:千葉県浦安市
身長:156cm
所属:フリー
血液型:O型
活動:歌手
歌手の華原朋美さんは、2009年に急性薬物中毒で救急搬送されたことがありました。この時、精神安定剤をたくさん持っていたと言われています。
翌年の2010年にもタクシーの中で意識が朦朧となり、救急搬送され、閉鎖病棟に入院していたこともあります。
このことから、華原朋美さんはデパスを服用していた可能性は高いと思われます。もちろん、デパス以外にもいろいろな精神安定剤を服用していたのでしょう。
デパスのまとめ
デパスの症状や副作用、依存性の高さ、離脱症状、後遺症や死亡リスク、デパスを服用していた芸能人・有名人をまとめました。
デパスは医師の処方通りに用法用量を守って服用すれば、危険な薬とは言えません。
でも、依存性が高いため、乱用すると非常に危険な薬です。安易な気持ちでデパスを乱用するのは絶対にやめましょう。