1956年(昭和31年)に東京都杉並区でトランクケースに詰められた男性の腐乱死体が発見されました。
今回は「品川トランク詰殺人事件」の被害者、犯人の動機、事件の経緯や殺害方法など詳細、裁判や判決、現在を紹介します。
品川トランク詰殺人事件とは
1956年7月17日、杉並区にあるアパートに運んだトランクケースの中に死体らしきものが入っている、と東京都品川区にある運送店の運転手が、大井警察署に通報しました。
警察官が捜索したところ、トランクケースの中から男性の腐乱死体が発見されました。
調べたところ、男性のシャツにはネームが入っており、失踪していた当時60歳の男性であることが判明しました。
この男性は、同年6月28日に会社の銀行口座から80万円を引き出した後、行方が分からなくなっており、会社からは横領を疑われていました。
品川トランク詰殺人事件の被害者
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「品川トランク詰殺人事件」の被害者である当時60歳の男性は、機械工業会社に会計係として勤務していた人物です。
会社の銀行口座から81万5540円を引き出した後に行方不明となっていたため、会社が警察に通報し、指名手配されていました。
品川トランク詰殺人事件の犯人
「品川トランク詰殺人事件」の犯人の名前は明らかにされていませんので、この記事ではAと記載します。
事件当時31歳のAは 千葉県の出身で、結婚し妻と3人の子供がいましたが、酒場で女給をしていた当時23歳のBと不倫をして、子供ができたことからBと夫婦同然の生活をしていました。
そんなAは、元の職場で顔見知りだった被害者男性が会社のお金を引き出したことを知り、被害者男性の殺害を思いついたのです。
品川トランク詰殺人事件の詳細
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1956年7月17日夜、東京都品川区にある運送店のドライバーが、請け負ったトランクケースから腐敗臭がすることから不審に思い、大井警察署に通報しました。
翌日に捜査本部の警察官がトランクが配送されたアパートを捜査したところ、住人は不在だったものの、腐敗した遺体が詰め込まれたトランクケースが見つかりました。
この遺体の男性のシャツのネームから、機械工業会社から81万5540円を引き出して失踪していた、指名手配中の当時60歳の会計係だと判明します。
そして、このアパートを偽名で借りていた被害者男性の元同僚であるAと、その愛人のBの行方が分からなくなっていたため、2人は指名手配されました。
犯人はお金が無く犯行に及んだ
AとBはお金がなく生活が苦しかったことから、 事件の2ヶ月ほど前に勤めていた会社のお金30万円を使いこんでおり、これがバレて解雇されていました。
そこで、被害者男性を殺害してお金を手に入れることを画策します。
1956年6月28日、2人はお金を引き出してきた被害者男性に青酸カリを仕込んだ寿司を食べさせて殺害し、その死体をトランクケースに入れてBの自宅の押入れに隠しました。
そして子供を知人に預けると、2人は手にしたお金で旅行に出かけています。
17日後に旅行から帰ってきた2人は 、押入れに入れていたトランクケースから腐敗臭が漂っていることに気づき、運送屋に頼んでトランクケースを引っ越し先の借家アパートに運びました。
請け負った運送屋のドライバーがトランクケースの腐敗臭に気づいて警察に通報したため、借家の契約書などから2人の身元がバレて、AとBは指名手配されます。
2人は青森から鹿児島まで逃避行を続けましたが、76日後には所持金を使い果たし、大阪に潜伏しているところを逮捕されました。
品川トランク詰殺人事件の犯人の判決
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1957年6月18日、東京地方裁判所で品川トランク詰殺人事件の裁判が開かれ、Aは死刑、Bは懲役15年が言い渡されました。
2人は控訴しましたが、東京高等裁判所は1959年9月18日に控訴を棄却し、刑が確定しました。
その後、Aは死刑が執行されるまで刑務所内で怯えていたと言われていますが、いつ死刑が執行されたのか、最期の様子はどうだったのかなどは伝えられていません。
品川トランク詰殺人事件の現在
トランク詰殺人事件は現在も複数発生している
この「品川トランク詰殺人事件」以外にも、現在までにトランクケースに遺体が入れられる猟奇的殺人事件は数多く発生しています。
2016年6月28日には、前日6月27日にトランクケースの中から女性の遺体が見つかりました。
27日午後1時半ごろ、東京都品川区の京浜運河で、黒いスーツケースが浮いているのを航行中の船に乗っていた男性が見つけた。警視庁の警備艇が回収したところ、中から女性の遺体が見つかった。
東京湾岸署によると女性は30~40代くらい。ピンク色のキャミソールと水色のハーフパンツ姿で髪は茶褐色だという。目立った外傷はなく、腰を曲げて両ヒザを折った状態で横50センチ、幅30センチ、高さ70センチのスーツケースに入れられていた。
スーツケースに遺体といえば昨年、東京駅のコインロッカーからスーツケースに入った身元不明の高齢女性の遺体が見つかった。2010年には石川県金沢市で頭部のない30代女性の全裸遺体がやはりスーツケースから発見されている。この事件は後に韓国人デリヘルで働いていた被害者の客の男が出頭している。
トランク詰殺人事件の犯人像
トランクケースに遺体を入れる犯行手口は、遺体ごと持ち運ぶのにとても力がいるため、男性に多いと言われています。
しかし、「品川トランク詰殺人事件」のように放置すると腐敗臭で気づかれたり、海やダムなどに沈めても時間の経過とともに腐敗ガスが発生して浮いてきたりと、発見されやすいようです。
スーツケースに遺体を入れることを選ぶ犯人は、短絡的なタイプが多いのかもしれません。
トランク詰殺人事件の犯人の動機
「品川トランク詰殺人事件」のように男女が絡んだ殺人事件は、痴情のもつれか金銭トラブルがほとんどと言われています。
また、こうした事件に関与する女性は普通の主婦ではなく、水商売系の女性が多いようです。
不特定多数を相手にすることで交友関係も広く、金を持っている人間と知り合う機会も少なくないため、今回のように愛人の男と結託して事件を起こす可能性が高まるのかもしれません。
まとめ
1956年7月17日に発生した、金銭の事情から被害者男性を殺害し金を奪い取った「品川トランク詰殺人事件」についてまとめてきました。
この事件の2人は被害者男性から81万円のお金を得た後に、死体を部屋に隠したまま17日間も旅行に行くなど深く考えていない面が見られ、目先のことだけを考えて生きていたのでしょう。
殺害された男性も会社のお金を横領していた事件起こしていたことで自業自得という面もあり、この事件の一番の被害者はAの妻と3人の子供だと言えるでしょう。