2009年に新潟市内の路上でタクシー運転手がめった刺しにされて殺害された「新潟市タクシー運転手強盗殺人事件」ですが、現在も未解決のままです。
今回は事件の概要や詳細、犯人の特徴と被害者の噂、事件の真相と現在をまとめました。
この記事の目次
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件とは
出典:npa.go.jp
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件
発生日時:2009年11月1日
発生場所:新潟県新潟市東区空港西一丁目の路上
被害者:阿部次男(当時63歳)
容疑:殺人
犯人:不明
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件とは、2009年11月1日に新潟市内の路上でタクシー運転手が首を刺されて殺害された事件です。
発見された時には被害者は既に死亡していて、売上金(25,000円)と釣銭が入ったセカンドバッグ、被害者の私用の財布がなくなっていました。
犯人はその場から逃走し、足取りは掴めておらず、逮捕には至っていません。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の詳細
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の詳細を見ていきましょう。
新潟市の路上で死亡しているところを発見
出典:streetviewsansakunew.seesaa.net
2009年11月2日午前1時20分頃、新潟市東区空港西1の路上に駐車中だったタクシーで、三洋タクシーの運転手・阿部次男さん(当時63歳)が血まみれで死亡しているのが発見されました。
三洋タクシーの同僚が見つけ、110番通報しました。
タクシーの料金メーターは約2,000円で止まっていて、そのタクシーの状況を示す「タリフ」は支払いになっていました。
首に刺し傷があったことから新潟県警は殺人事件と断定して、捜査本部を設置し、108人体制で捜査を進めることになりました。
遺体の状況
被害者の阿部次男さんは、タクシーの運転席で座席の背もたれにもたれかかるような姿勢で死亡していました。
左耳の下には約5cmの深さの傷があり、これが致命傷になって出血性ショックで亡くなっています。
このほか、左頬や首などにも多数の刺し傷があり、上半身は血まみれで、車内は血の海になっていました。
この被害者の傷から、凶器は幅3cm以下の鋭利な刃物であることが分かっていますが、実際の凶器は見つかっていません。
被害者の事件当日の足取り
出典:iza.ne.jp
事件当日の2009年11月1日、被害者・阿部さんの勤務予定は7時~23時でした。
その日の夜、阿部さんは新潟駅南口のタクシー乗り場で客待ちをしていて、22時40分ごろに客を乗せて、新潟空港方面に向かいます。
そして、阿部さんが遺体となって発見された新潟市東区空港西一丁目の路上で、ハザードランプが点滅した状態でタクシーが停まっているのを23時30分ごろに近所の住民が目撃しています。
この時点では、既に被害者の阿部さんは殺害されていたものと思われます。
遺体を発見した同僚は、阿部さんのタクシーが23時ごろから1時間近く「支払い」状態が続いていたことを不審に思い、阿部さんのタクシーをGPSで探して現場を訪れ、遺体を発見しました。
新潟駅から現場まではタクシーで20分の距離です。
ここから11月1日23時ごろに、被害者の阿部さんは乗客に襲われて殺害されたと見て間違いないでしょう。
捜査は難航
出典:sankei.com
新潟県警は108人体制で犯人の行方を追います。当初は「土地勘のある者の犯行だ」と見て、現場付近や近くの住宅地で検問や聞き込みを行いましたが、有力な情報は得られませんでした。
被害者の阿部さんは血まみれで、シートの下も血の海になっているほど出血していたことから、犯人は返り血を浴びている可能性が高いとされていました。
しかし、周囲は暗かったなどの理由もあり、犯人に関する目撃証言は出てきませんでした。
現場近くの牛街道中央公園では、中身の現金が抜き取られた被害者のセカンドバッグが捨てられているなどの物証がみつかりました。
しかし当日は雨が降っていて、足跡の採取ができない状態で、また物証も泥まみれになってしまいました。
警察は膨大な防犯カメラの映像から犯人を割り出して、その映像を公開しますが、それでも犯人が誰なのかを特定するには至っていません。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の犯人の特徴
警察は駅前ロータリー等の防犯カメラの映像から、被害者が最後に乗せた乗客、すなわち犯人と思われる男を割り出して、映像を公開しました。
映像から分析された犯人の特徴は次の通りです。
- ・年齢:10代後半〜20代前半くらい
- ・身長:165センチ前後
- ・体格:痩せ型
- ・服:黒っぽい上着に白色の2本線が入った黒っぽいジャージーズボンを着ていた
- ・靴:サンダル履き
- ・所持品:黒色の手提げバック、ビニール傘
防犯カメラの映像ですので、犯人の顔は明確には判別できませんが、犯人の雰囲気はある程度分かります。
しかし、この映像を公開したにも関わらず、犯人は見つかることはありませんでした。
また、後部座席からナイフで運転席を襲い、被害者の傷は左側に集中していたことから、犯人は左利きの可能性が高いです。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の謎
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件は犯人が捕まっておらず、謎が多い事件です。
この事件の謎を追っていきましょう。
物取りの犯行か?
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件では、タクシーの売上金と釣銭が入ったセカンドバッグと被害者の私用の財布がなくなっていました。
セカンドバッグに入っていた売上金は25,000円ほどです。これとあわせて、釣銭とプライベートの財布が盗まれていたことになります。
おそらく全部合わせても10万円はないでしょう。5万円あれば御の字だったと思います。たった5万円のために殺人を犯すでしょうか?
しかも、被害者の遺体状況を見ると、犯人は明確な殺意を持っていたと推測できます。強盗目的なら、殺害する必要はありませんよね。
ということは、この犯行は強盗目的ではなかった可能性が高いです。
殺害したついでに、もしくは犯行目的を強盗に見せかけるために、セカンドバッグと財布を盗んだのかもしれません。
計画的な犯行なのか?
物取りの犯行ではないとすると、怨恨が考えられます。
怨恨による殺人をタクシー内で行ったとすれば、計画的な犯行ということになります。
計画的に被害者の阿部さんのタクシーに乗って殺害するのは可能なのでしょうか?不自然なような気もします。
なぜあの現場なのか?
最後の謎は現場です。阿部さんのタクシーが停まっていた現場は、大通りからは1本入った道路ですが、スーパーに隣接する場所です。
23時と言えども人通りは全くないというわけではありません。実際、阿部さんのタクシーがハザードランプをつけて停まっているところを、近所の住民が目撃しています。
もし計画的な犯行で、犯行を目撃されるのを避けるなら、もっと適した場所は新潟市内にたくさんあります。
また、阿部さんのタクシーは路肩に停まっていましたが、タクシーの左側には60cmの植え込みがありました。
つまり、後部座席の左側からはドアを開けることができない場所だったんです。
ということは、「支払い」状態ながらも、乗客を降ろすためにその場所に駐車したわけではなかったと考えられます。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の被害者が狙われた理由
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の被害者は、タクシー運転手の阿部次男さんです。
阿部次男さんは、営業成績もよく、周りからも慕われる人柄で、お客さんからもウケが良かったと言われています。
しかし、被害者はタクシー運転手をしながらも高利貸しをしていたという噂もあります。
事件当日の11月1日は、高利貸しの集金日で、売上金以外も多額の現金を所持していたそうです。
また、奥さんはスナックを経営していて、その客が犯人なのでは?という噂もありました。
ただ、これらはあくまでも噂です。
タクシー会社の上司によると、「奥さん名義で貸店舗が2店舗あったけれど、そこの家賃が滞納していた。その滞納していた家賃を回収していたことはあった」というだけのようです。
また、タクシー運転手として優秀で売上も多かったため、嫉妬されたことはあったかもしれません。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の真相
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の真相を考察していきます。
ただの物取りに襲われた
被害者の阿部次男さんが殺害されたのは、ただの物取り目的だった可能性もあります。
金額は小さいので物取り目的とは考えにくいですが、タクシー強盗は年間50件近く起こっています。
最初からタクシー強盗のつもりで犯人はタクシーに乗り、何らかの拍子に阿部次男さんを殺害してしまったのかもしれません。
ただ、やっぱりたった数万円のために、殺人を犯すなんて考えにくくはあります。
被害者に恨みを持つ者の犯行
では、被害者の阿部さんに恨みを持つ者の犯行でしょうか?
犯人と思われる最後の乗客の映像を見ると、フラフラとロータリーを歩いているように見えます。つまり、阿部さんのタクシーを探しているようには見えないんです。
ただ、阿部さんが本当に高利貸しをしていたら、阿部さんを逆恨みしていた人がいる可能性はあります。
また、阿部さんが優秀なタクシー運転手だったことに嫉妬した人もいるかもしれません。
客とトラブルが起こった
事件の真相として、一番可能性はあるのは、客とのトラブルではないでしょうか。
偶然、阿部さんのタクシーに犯人が乗車します。そして、何気ない車内での会話などから、客と被害者の阿部さんは口論になった、もしくは客が一方的に怒り出したかもしれません。
カッとなった犯人は護身用などで持っていたナイフで阿部さんをめった刺しにして殺害し、犯行のついでにお金を奪ってそこから逃走した可能性があります。
発見された際、タクシーは高さ20cmの歩道に左の前輪だけ乗り上げた形で停められており、さらに植え込みがある場所に停まっていて、「支払い」状態でした。
上京から見るに、「もういい、ここで降りる!すぐに停めろ!」と客が怒り出して、阿部さんはその場で急停車した、そしてそこで首を切りつけられたと考えるのが一番自然でしょう。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の現在
新潟市タクシー運転手殺人事件は、捜査特別報奨金対象事件に指定され、有力な情報提供に対して300万円の懸賞金がかけられています。
それでも、まだ犯人につながる有力な情報は得られていません。
現在は捜査規模は縮小されているものの、まだ阿部さんの命日には駅やショッピングモールで情報提供を求めるビラを配るなどの活動も行われています。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件のまとめ
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の概要と詳細、犯人の特徴や事件の謎、被害者の噂と事件の真相、事件後の現在をまとめました。
新潟市タクシー運転手強盗殺人事件の概要を見ると、タクシー運転手は危険な仕事であることが分かります。
現在はドライブレコーダーがつけられていますが、当時のタクシーにはついていませんでした。
早く犯人が見つかることを祈るばかりです。