前田亜土は森田童子の旦那でイラストレーター

独特の音楽や特徴的なカーリーヘアで有名なシンガーソングライター・森田童子さんは、「ぼくたちの失敗」がヒットしました。

今回は、その活動をマネージャーとして支え続けた前田亜土さんにフォーカスを当てます。

イラストレーターや社長業務も

前田亜土さんは、本来はイラストレーターとして活躍していましたが、いつしか森田童子さんのマネージャーとして活動。

森田童子さんと結婚すると、森田童子さんは引退し、前田亜土さんも森田童子さんの親族が重役に就いている芸能事務所「アド・プロモーション」の社長に就任しました。

芸能事務所社長と言っても、かなり小さい事務所だったことや、森田童子さんの叔父であるなかにし礼さんが実務を取り仕切っていたと見られています。

2010年に死去している

前田亜土さんは一般人ですので、生年月日や出身地、血液型などのプロフィールは公表していません。

唯一、ネット上に写真が1枚だけアップされているのですが、横を向いていて帽子を被っているため、顔立ちはハッキリとは分かりません。興味のある方は画像検索をしてみてください。

森田童子さんの父親と友人関係であったこと、森田童子さんより15歳年上であったこと、そして2010年に死去していることが判明しています。

前田亜土が結婚した嫁は森田童子

前田亜土さんの嫁は、シンガーソングライターの森田童子さん。画像を検索すると、強くかかったパーマに大きなサングラスが特徴的なルックスのモノクロ画像がヒットします。

現役時代は全く売れませんでしたが、引退した後、人気ドラマのエンディングに起用されたことで楽曲が大ヒット。

しかしその後もメディアに登場することはなかったため、森田童子さんはかなりミステリアスな女性だと言われています。

ここでは、プロフィールや経歴を振り返ってみましょう。

森田童子のプロフィール

森田童子さんは、テレビやラジオなどのメディアに登場することを嫌い、本名やプライベートを明かすことを拒んだ異色のシンガーです。

楽曲はこれまでの自身の体験ではなく、「願望のようなもの」をベースにしていたようで、どんな生活を送ってきたのか謎のベールに包まれています。

ただ、森田童子さんの学生時代は学生運動が盛んで、この学生運動の中で友人が死去したことをきっかけに歌を始めたと言われています。

西荻窪のライブハウスで活動

森田童子さんの音楽活動スタートは、1973年に遡ります。

西荻窪にあるロフトというライブハウスにデモテープを持ち込んで、「私でも歌えるでしょうか」と、ライブをさせて欲しいと頭を下げています。

地道に小さなライブを続けて、1975年10月21日に「さよならぼくのともだち」でレコードデビュー。

ただ、何枚シングルをリリースしても売れることはありませんでした。

当時は明るいロックが流行していたので、どちらかというと暗い楽曲が多い森田童子さんの曲は時代に合っていなかったのです。

マネージャーをしていた前田亜土さんも「メジャーにしようとしたが、やはりアンダーグラウンドな歌手だった」と周囲に語っていました。

少数ながら、森田童子さんの音楽観を愛するファンはいたものの、1984年に開催されたライブを最後に芸能界を引退。

その後、芸能界に顔を見せることは一切ありませんでした。

引退後にブレイク

1993年1月から放送された野島伸司さん脚本のドラマ「高校教師」のエンディング曲として、森田童子さんの「ぼくたちの失敗」が起用されたことで、CDは100万枚のセールスを記録。

これを受けて、1993年3月に森田童子さんの「ぼくたちの失敗 森田童子ベストコレクション」が発売されました。

楽曲を採用した野島伸司さんは、高校生の頃にまだ現役だった森田童子さんのライブを偶然見かけて、強い印象を持ったのだとか。

2003年にもキャストを一新した「高校教師」が制作され、2018年には映画版「高校教師」が公開されました。

これらの作品も世界観を大事にしていたからか、「ぼくたちの失敗」がメイン楽曲に選ばれています。

これだけ注目されたにも関わらず、森田童子さんは沈黙を守り続けました。

前田亜土と森田童子に子供はいる？

何人いるかは明らかではない

前田亜土さんも森田童子さんも、プライベートについては語ったことはなかったので、結婚した時期や、どんな結婚生活を送っていたのかは分かっていません。

交流のある人の証言によると、森田童子さんは専業主婦として家庭を守ることに専念していたそうです。

子供にも恵まれたことは間違いなさそうですが、人数までは分かっていません。

芸能界を引退したのが1983年ですから、それ以降に誕生しているとすると、子供の年齢は2022年現在、30代～20代ではないかと思われます。

前田亜土の家族①　嫁の叔父はなかにし礼

森田童子さんはプライベートについて一切明かしていませんでしたが、叔父は作家、作詞家として知られる、なかにし礼さんであることが後年判明しました。

なかにし礼のプロフィール

なかにし礼さんは元々は翻訳家としてシャンソンの歌詞を手掛けていましたが、新婚旅行中に偶然、撮影中の石原裕次郎さんと知り合い、友人として交流を持つようになりました。

石原裕次郎さんに勧められて、作詞を持込んだ「涙と雨にぬれて」が大ヒット。累計で1000万枚以上の売上げ、以降は作詞家として活躍することに。

作詞家以外にも小説の執筆を手掛け、1998年は『兄弟』が直木賞候補に、2000年には『ぶらぶら節』で直木賞を受賞しています。

2005年に食道がんを公表し、闘病生活に入ります。1度は克服したものの、2016年12月に再発を告白。

2020年秋に容態が悪化し、治療の甲斐なく、2020年12月23日に心筋梗塞で死去しました。享年82歳でした。

前田亜土の家族②　嫁の父親は破滅的な人物だった

森田童子さんの父親、つまり前田亜土さんの義父は中西正一さんという方で、なかにし礼さんの兄にあたります。一般人であるものの、なかにし礼さんの自叙伝『兄弟』に登場しています。

そんな義父は、何度も繰り返し結婚と離婚を繰り返す奔放な男性だったようです。

また、第二次世界大戦の特攻隊の生き残りで、戦後は鰊漁に投資して全財産を失ったり、中西礼さんが作家として得たお金を勝手に使い込むなど、周囲に迷惑をかけ続けました。

義父となかにし礼さんは兄弟揃って「アド・プロモーション」の重役に就任していた時期もありましたが、後述する「風吹ジュン誘拐事件」を起こし、経営は上手く行かなかったようです。

義父の生き様を綴った『兄弟』は、1999年3月に「兄弟～兄さん、お願いだから死んでくれ」というタイトルでドラマ化されました。

ちなみに、破滅的な父親を演じたのはビートたけしさん、なかにし礼さん役を豊川悦司さんが演じています。

前田亜土が起こした風吹ジュン誘拐事件とは？

女優の風吹ジュンさんは、若い頃に誘拐されたことがあるのをご存知でしょうか。

この事件に関わったのが「アド・プロモーション」の前田亜土さん、森田童子さんの父親である中西正一さん、なかにし礼さんの3人でした。

一体どのような事件だったのでしょうか。

事件概要

事件が起きたのは1974年9月12日のこと。当時の風吹ジュンさんは、山口百恵さんを凌ぐと言われるアイドルでした。

所属していた芸能事務所は、前田亜土さんが社長を務める「アド・プロモーション」。

風吹ジュンさんは、高い人気で事務所に多大な貢献をしているにも関わらず、給料が低いことが不満だったそう。

しかし、待遇の改善を交渉しても、事務所側の返事は「ノー」ばかりだったといいます。

ジレンマを感じた風吹ジュンさんは、新たな事務所への強引な移籍に踏み切りました。

すると事件当日、テレビの収録を終えた風吹ジュンさんのところに、3人の男性が押し掛け、風吹ジュンさんと新しい事務所の社員をさらい、品川のホテルに軟禁したのです。

その3人組こそが、なかにし礼さんと中西正一さん、前田亜土さんでした。

そして、風吹ジュンさんに「契約がまだ残っているから、移籍を思い直してほしい」と説得を試みました。

風吹ジュンさんは移籍を思い直すことを口頭で了承した上で、「明日の仕事のために衣装を自宅に取りにいきたい」と申し出ました。

そして全員で外に出たところ、待ち構えていた警察官に取り押さえられています。

事件の意外な結末

この事件は全国紙でも取り上げられましたが、風吹ジュンさんが誘拐を否定したことで収まるかに見えました。

しかし、関係者への事情聴取をする中で風吹ジュンさんの意外な一面が見えてきました。

芸能事務所の契約は以下の通りです。

元々契約していた「アド・プロモーション」から新しい事務所Bに給料アップを条件に移籍する委任状を取り交わしました。

その頃、別の事務所Cが「事務所Bは反社会的勢力との付き合いがあるから、ウチに来なさい」と提案を受けて、事務所Bとの委任を続けながら事務所Cと契約書を交わします。

つまり、3つの会社とほぼ同時進行で契約が発生していたのです。

風吹ジュンさんの損得勘定から始まった失態に注目が集まり、事件はいつしか風化。

その後、風吹ジュンさんはしばらく仕事を干された状態だったようですが、今ではそんな過去があったとは思えないほど活躍していますね。

前田亜土の死去後の現在①　嫁・森田童子も死去している

森田童子さんが引退した1984年以降は、前田亜土さんの動向が全く分かっていませんが、前田亜土さんは2010年に死去しているようです。

嫁の森田童子さんの15歳年上という情報から、おそらく73歳で亡くなったと思われます。

また、森田童子さんも現在はこの世を去っていたことが判明しています。

森田童子は享年65歳

森田童子さんの死去が判明したのは、2018年6月12日でした。日本音楽著作権協会の会報に掲載されました。死因は明らかにされていません。

関係者のコメントによると、森田童子さんは亡くなる1年くらい前から体調を崩して入退院を繰り返していたそう。

死去したのは2018年4月24日で享年は65歳でした。葬儀は家族だけでひっそりと済ませており、関係者は「公表するつもりはありませんでした」と、語っています。

このニュースが流れるとSNSでは、森田童子さんの死を悼み、悲しみのコメントが続々と寄せられました。

追悼イベントが開催された

2020年8月21日に、森田童子さんを追悼するイベント「夜想忌3 ～ぼくたちの失敗～ 森田童子三回忌」が開催されました。

元々は2020年4月開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期されていたのです。

森田童子さんに思い入れのあるアーティストが集い、思い出を語り合うという趣旨のイベントとなりました。

前田亜土の死去後の現在②　なかにし礼の『血の歌』が注目を集める

2021年12月25日に出版された、なかにし礼さんの『血の歌』が衝撃的だと注目を集めています。

なかにし礼さんが死去した後にあえて出版した理由についても紹介します。

血の歌とは？

『血の歌』が出版された2021年12月25日は、作者のなかにし礼さんの死後1年後です。

かつての大ヒット小説『兄弟』は、なかにし礼さんの目線で語られていましたが、『血の歌』は森田童子さんの父親（前田亜土さんの義父）目線で語られた家族の物語です。

作中では、なかにし礼さんと森田童子さんが叔父と姪の関係だったことが明かされており、ネットでは驚きのコメント多数寄せられるなど、話題になりました。

なぜなかにし礼の死後1年後に出版された？

『血の歌』の出版を進めたのは、なかにし礼さんの息子で音楽プロデューサーをしている中西康夫さんです。

なかにし礼さんは、出版しない没原稿は全て捨てていたため、死後公開されていない原稿で残っていたのが、『血の歌』だけだったとのこと。

捨てずに残していたということは、いつの日か出版したいという願望があったのかもしれません。

また、これまで出版していなかった理由も様々な憶測を呼んでいます。

これについては、森田童子さんが生前、なかにし礼さんの血縁者であることを明かしていなかったため、出版していいのか迷っているうちに亡くなってしまったのでは？という説もあります。

まとめ

前田亜土さんは、大ヒット曲「ぼくらの失敗」で知られる森田童子さんの旦那です。

イラストレーターを経て、時期は不明ですが、森田童子さんのマネージャーを担当。

森田童子さんと結婚したことで、森田童子さんの叔父と父親が経営に携わる芸能事務所「アド・プロモーション」の取締役社長に就任しています。

1974年には、前田亜土さんは自身の事務所の所属アイドルだった風吹ジュンさんの誘拐事件を起こしています。

ただし、事件は風吹ジュンさん側の落ち度の方に注目が集まり、その後は収束しています。

1984年に芸能界を引退した森田童子さんは、前田亜土さんとの間に誕生した子供を育てる専業主婦として生活してきたようです。

前田亜土さんは2011年に死去し、森田童子さんも2018年に死去していたことが判明しています。

2021年12月には、なかにし礼さんが生前執筆していた『血の歌』が出版され、なかにし礼さんとの関係が初めて公になりました。

すでに死去された前田亜土さんと森田童子さんですが、楽曲を含め、これからも注目を集めそうですね。