小脳梗塞を知っていますか?小脳梗塞は脳の中の小脳の血管が詰まる病気です。小脳梗塞は、脳梗塞の中では頻度が高くありませんし、予後は比較的良好な病気とされています。
今回は小脳梗塞の基礎知識や小脳梗塞を発症した芸能人、症状や原因、後遺症などをまとめました。
小脳梗塞とは
小脳梗塞とは、脳の中の小脳の血管が詰まってしまう病気です。脳は大脳や中脳、小脳、橋、脳幹などの部位に分けることができます。
脳の中の小脳を通る部位の血管が詰まると、そこから血流が遮断されてしまいます。血流がなくなると、血流がなくなった部位の小脳の細胞に酸素や栄養素が届かなくなるので、脳細胞に障害が起きて、様々な症状が出てきます。
小脳梗塞は脳梗塞全体の4%程度しか症例数がないので、非常に珍しい脳梗塞であると言えるでしょう。
小脳の部位と働き
小脳は首のすぐ上の後頭部に位置するカリフラワーのような形をした器官になります。小脳は知覚と運動機能を統合して、平衡・筋緊張・随意運動などの調節を図っている部位です。
簡単に言うと、小脳は次のような働きがあります。
・体のバランスを調整する
ということは、小脳梗塞が起こると、これらのことに障害が出る可能性があるということです。
ただ、小脳の機能はこれだけではないと考えられています。アルツハイマー型認知症の人は、大脳が委縮していますが、小脳は通常時よりも活発に動いていることがわかっています。
これは、大脳の失われた機能を小脳が補完しているのではないかと考えられているんです。大脳の脳細胞は約140億個であるのに対し、小脳の脳細胞は約1000億個あるということを考えると、これはあながち間違いではないと思えてきますね。
小脳梗塞の芸能人は桜井和寿さん
出典:bitoukun.com
桜井和寿
生年月日:1970年3月8日
出身:東京都練馬区
身長:172cm
所属:エンジン
活動:ミュージシャン
小脳梗塞になった芸能人と言えば、Mr. Childrenの桜井和寿さんですよね。桜井和寿さんは2002年7月7日に体調不良を訴え、HEY!HEY!HEY!の収録をキャンセルします。そして、そのまま検査入院し、7月22日に小脳梗塞と診断されました。
診断後の経過は良好だったようで、診断から4日後の7月26日は退院されています。ただ、7月17日から10月までのホールツアーと11月~12月のアリーナツアーは全部キャンセルとなりました。
退院後は自宅療養されて、活動休止から1年4か月後に音楽活動を再開されています。発症から約20年経つ今でも、精力的に音楽活動を続けられています。
ミスチルの桜井さんが小脳梗塞を起こしたのは、若干32歳の時でした。32歳で若いのに、脳梗塞を起こすの!?と驚いた人も多かったのではないでしょうか。
小脳梗塞になった桜井和寿さん以外の芸能人3名
小脳梗塞になった芸能人をご紹介します。桜井和寿さん以外にも、小脳梗塞を患った芸能人はいるんです。あまり人数は多くありませんが、小脳梗塞になったことがある芸能人を見ていきましょう。
1.天龍源一郎さん
出典:asagei.com
天龍源一郎
生年月日:1950年2月2日
出身:福山県勝山市
身長:189cm
所属:MILLENNIUM PRO
活動:元力士、元プロレスラー
天龍源一郎さんは、2019年に小脳梗塞を発症しています。2019年4月ごろから2回も自宅で体調不良を訴えたために、検査入院をしたところ、小脳梗塞を発症していたとのことです。
3度の入退院を繰り返し、2019年9月時点では、症状が落ち着き、経過は良好とのことです。
この小脳梗塞を発表された後、天龍さん独特の嗄れ声や滑舌の悪さなどと小脳梗塞が関係あるのではないか?と噂がありましたが、ホームページで次のように否定されています。
近年の天龍の滑舌やしゃがれ声に対して皆様方にお気遣いを頂く事になるのではないかと、本人が一番に懸念しております。
しかしながら、こちらに関しましては病状と関係は御座いませんので、今後とも、お茶の間の皆様にはハスキーボイス=天龍源一郎で、遠慮なさらずに大いに笑い、お楽しみいただけましたらそれが何より本人の望みでもあり、その笑顔がまた大きな力となると考えております。
2.林家こん平さん
出典:twitter.com
林家こん平
生年月日:1943年3月12日
出身:新潟県長岡市
所属:落語協会
血液型:A型
活動:落語家
落語家であり、笑点メンバーでもあった林家こん平は難病である多発性硬化症などを患っていましたが、2019年4月には小脳梗塞を発症し入院していたことがわかっています。
もともと予定していたMRI検査を受けたところ、小脳梗塞を発症していたことが分かったそうで、ご自身の自覚症状はなく、検査直前に発症したのではないかとのことです。
大事には至らずに、現在は経過観察中だそうです。
3.伊奈かっぺいさん
伊奈かっぺい
生年月日:1947年4月16日
出身:青森県弘前市
所属:有限会社おふぃす・ぐう
活動:タレント
東北地方を中心に活動しているタレントの伊奈かっぺいさんは、2003年に小脳梗塞を発症しています。病気療養のため、一時的にレギュラー番組を離れましたが、発症後は重篤な状態ではなく、1ヶ月後には芸能活動を再開しています。
小脳梗塞の症状
小脳梗塞になると、小脳の脳細胞に障害が起こります。小脳の機能は、体をスムーズに動かしたり、体のバランスを調節したりすることでしたよね。
そのため、小脳梗塞を発症すると、そのような機能が上手く働かなくなり、次のような症状が出るんです。
・頭痛
・吐き気
・嘔吐
・歩くときにふらつく
・うまく立てない
・ものをうまくつかめない
・眼球が勝手に動く(眼振)
・ろれつが回らない
林家こん平さんのようにほんの小さな梗塞だと、ほとんど自覚症状がないこともありますが、多くの場合は、突然めまいと嘔吐の症状が出ます。
そのほか手足やほかの部位をスムーズに動かせない、体のバランスが取れないためにいろいろな症状が出てくることもあります。
どのような症状がどのくらいの重症度なのかは、小脳の中でもどの部位で梗塞が起こるかによって変わってきます。
小脳梗塞の原因
小脳梗塞の原因は、小脳の血管が詰まることです。血の塊が血管に詰まることが多いですね。心臓の病気の1つである心房細動があると、血栓ができやすくなるので、小脳梗塞を起こすリスクは上がります。
また、脊椎の中を通る椎骨動脈の左右どちらかが生まれつき細くなっていると、小脳梗塞が起こりやすくなりますし、交通事故などでケガをすることでも、血管が詰まって小脳梗塞が起こることがあります。
つまり、小脳梗塞は一般的な脳梗塞に比べて、若い人でも発症する可能性があるということです。Mr. Childrenの桜井和寿さんは、32歳で小脳梗塞を発症しています。
そして、小脳梗塞に限らず、脳梗塞と切っても切れないものが生活習慣病です。生活習慣病で動脈硬化が進行すると、血管が細くなり、脳梗塞を起こしやすくなります。さらに、血液がドロドロにならないためにも、水分を多めに取っておくことも大切です。
もちろん、生まれつきやケガなどの原因で小脳梗塞が起こることはありますが、生活習慣病との関係も深く、生活習慣病が小脳梗塞に直結することを忘れてはいけません。
小脳梗塞の後遺症
小脳梗塞の場合、小脳は命に直結する機能を持っていないので、ほかの脳梗塞に比べると経過は良好とされています。後遺症なく、元気に社会復帰することも珍しくありません。Mr. Childrenの桜井和寿さんも後遺症なく、精力的に音楽活動を続けています。
ただ、全員が後遺症なく復帰できるわけではありません。小脳梗塞の部位が大きくて、髄液循環を障害すると水頭症を起こします。そうすると、脳幹部分を圧迫するようになるんです。
脳幹は呼吸をつかさどる生命の中枢部位ですから、小脳梗塞を起こして、脳幹を圧迫すると、命を落とすことになります。
また、脳細胞は不可逆的であり、一度壊死すると再生することはありません。そのため、すぐに適切な治療を受けることができなければ、歩くときにふらついて障害が残ったり、ろれつが回らなかったりなどの後遺症が残ってしまうこともあります。
まとめ
小脳梗塞の基礎知識や小脳梗塞を発症した芸能人、症状や原因、後遺症などについてまとめましたが、いかがでしたか?
小脳梗塞は脳梗塞全体の4%しかないので、非常に珍しい脳梗塞になります。脳梗塞の中では後遺症が残りにくく、経過は良いとはいっても、すぐに治療を受けないと後遺症が残ってしまいますので、もし少しでも「あれ?」と思う症状が出たら、早めに病院を受診しましょう。
早期の脳梗塞ではMRIでないと診断できません。そのため、MRI設備がある病院を受診するようにしてくださいね。