内田マイクは、大手ハウスメーカー「積水ハウス」が55億円もの大金を詐取された地面師事件の首謀者として注目されている男です。
今回は謎に包まれた内田マイクの生い立ちや経歴、本名などをはじめ、逮捕の経緯や裁判での判決、現在の様子などについてまとめました。
この記事の目次
内田マイクは積水ハウスから55億円をだまし取った大物地面師
内田マイクは、大手ハウスメーカー・積水ハウスが55億円を騙し取られた事件の首謀者だと見られている大物地面師です。
この「地面師」とは、ある土地の偽の所有者を仕立て上げ、虚偽の土地売却を不動産会社などに持ちかけてその代金を騙し取る手口を使う詐欺師で、内田マイクはその地面師詐欺集団をまとめる大ボスだと言われています。
この内田マイクについては未だ謎が多いのですが、今回はこの内田マイクについて判明している事実をまとめていきます。
内田マイクが首謀者とされる「積水ハウス地面師事件」とは
内田マイクが首謀者とされる「積水ハウス地面師事件」は、2017年に発覚した地面師事件です。積水ハウスが55億円もの土地購入代金を騙し取られたという告訴状を警視庁に提出した事で公になりました。
土地の購入代金をだまし取られたとして、積水ハウスは15日、詐欺容疑で警視庁に告訴状を提出した。被害額は55億円に上るとみられる。他人になりすまして無断で土地を売買する「地面師」にだまされた可能性があり、警視庁は告訴状を受理し、実態解明を進める。
この「積水ハウス地面師事件」で詐欺に利用されたのは、品川区西五反田にある旅館「海喜館」の跡地が建つ約約2千平方メートルほどの土地で、五反田駅から徒歩数分という最上級の一等地でした。
詐欺に利用された西五反田の土地
内田マイクらが率いる地面師集団は、当時入院中だったこの土地の所有者(高齢の女性で後に死亡)の情報を入手すると、羽毛田(はけた)正美という当時64歳の女をその土地所有者になりすまさせ、必要な書類などを精巧に偽造し、積水ハウスに土地の売却を持ちかけました。
この「海喜館」跡地の建つ西五反田の土地は、都内の不動産関係者なら喉から手が出るほど欲しい一等地で、積水ハウス側はこの話に飛びつき、あっという間に契約をまとめて購入代金を支払いました。
しかし、積水ハウスがこの土地の移転登記をするため法務省に申請を出したところ、所有者(実際には内田マイクら詐欺集団が仕立てた偽者)から提出された書類が全て偽造である事が判明。
所有者側とは連絡がつかなくなり、まんまと55億円もの金を騙し取られたのでした。その後、この事件に関係して17名が逮捕され10名が起訴されています。
内田マイクは積水ハウス事件発生時、別の詐欺事件で服役中だった
この事件を主導した主犯格として、内田マイクのほか、カミンスカス操(元々の姓は小山でれっきとした日本人)という男が逮捕されており、この男が犯行の実際の指揮をとったと見られています。
実は、内田マイクは積水ハウス事件当時、2012年頃に起こした別の地面師事件で逮捕され、網走刑務所で服役中でした。内田マイクは仮釈放中にこの積水ハウス事件の計画を立案し、その計画通りにカミンスカス操らが犯行を実行したというのがこの事件の筋書きだとされます。
内田マイクの生い立ちや経歴は?
内田マイクの生い立ちや経歴についても注目が集まっていますが、大物詐欺師らしくその生い立ちや経歴についてはほとんどが謎に包まれており、情報をたどっていっても必ずどこかで経歴を追えなくなってしまいます。
内田マイクの正確な生年月日も不明ですが、年齢は2020年3月の判決裁判の時点で66歳と公表されています。
他に内田マイクについて判明している経歴は、元々は六本木のクラブで黒服で、不動産屋の地上げを手伝いはじめたのをきっかけに土地に関する仕事を覚えて、地面師詐欺をはじめたという事です。
地面師詐欺をはじめてからの内田マイクは日本最大の地面師集団と言われる「池袋グループ」のボスに成り上がり「地面師のドン」の異名でも呼ばれています。
また、内田マイクは「株式会社モバード」という会社を経営している事も明らかになっています。この会社に関する記録をたどったところ、内田マイクは以前「高橋マイク」を本名としていた事などもわかりましたが、どういった経緯で改名する事になったのかなどは不明です。
内田マイクの外見については、裁判に姿を見せた内田マイクが、身長180cmの長身でがっしりした体躯などと表現されています。
身長180cmほどの長身で、がっしりした体軀の被告人は、丸坊主に近い白髪交じりの短髪に黒縁メガネをかけ、黒いジャケットに赤いチェックのシャツ。一見すると、ラグビーの監督のようないでたちだ。その正体はかつて「池袋グループ」と呼ばれた集団を率い、いまや日本の地面師の頂点に立つと評判の大物詐欺師である。
内田マイクは「南青山倶楽部」というゴルフコンペを主催していた
出典:https://www.dailyshincho.jp/
内田マイクは「南青山倶楽部」というゴルフコンペを主催していたとの情報も出ています。
関係者によれば、内田マイクの主催するコンペはお土産付きで、後日に参加者一人一人に、それぞれのプレーを撮った写真をまとめた冊子までプレゼントしてくれるというかなり豪華な内容だったそうです。
メンバーの大半は地面師と、彼らがよく通う高級クラブのホステス。「南青山倶楽部」などともっともらしい名前をつけており、主催したのは内田だ。彼らは時折、こうした集まりを持ち、情報交換をしているのだという。「とにかく贅沢なコンペでもちろんお土産つき。終わったあとに一人一人のプレーを写真に撮ったものを冊子にしてプレゼントしてくれるのです。マイク主催のゴルフコンペは3カ月に1回ぐらいありました」
また、内田マイクは運転手付きの白のアルフォードに乗って六本木や銀座の高級クラブによく飲みに現れていたという事で、詐欺で稼いだ金で豪遊する生活を送っていたようです。
内田マイクの妻について
内田マイクの妻は六本木で大きなクラブを経営していたとの情報も出ています。
前述の内田マイクが代表取締役を務める会社「株式会社モバード」の取締役に内田久美子という人物がおり、これが内田マイクの妻ではないかと見られています。
内田マイクの本名とは?
「内田マイク」という名前については、ハーフかそれとも仕事上名乗っている名前なのか?といった疑問も浮上してきますが、どうやらこの「内田マイク」はれっきとした本名だという事です。
しかし、別の日本名も持っているという事で、どういった経緯で「内田マイク」を名乗るようになったのかなどについては明らかにされていません。
“マイク”は本名ですが、別に日本名も持っています。
内田マイクは詐欺師という事もあって、その時々に応じて様々な名前を使い分けているようです。
過去に内田マイクが関わる土地売買に関わったというある不動産業者の男性は、内田マイクとみられる男から名刺を渡されており、そこには「内田英吾」という名前が記載されていたという事です。
この「内田英吾」も内田マイクが使っている日本名の一つだと見られます。内田マイクはおそらくこの他にも様々な名前を使い分けていると考えられます。
内田マイクは網走刑務所服役中に再逮捕
出典:https://www.dailyshincho.jp/
前述の通り、内田マイクは「積水ハウス地面師事件」の首謀者として逮捕された時には、別の地面師事件を起こして逮捕され、網走刑務所に服役中でした。
内田マイクはこの事件の仮釈放中に「積水ハウス地面師事件」で利用された西五反田の土地の情報を得て、計画を立てたと言われていますが、網走刑務所の中からもなんらかの方法で仲間らに指示を出していたと見られています。
内田マイクの「積水ハウス事件」への関与の疑いが強まった事で、2018年11月14日に内田の身柄は網走から東京の拘置施設へと移され、同月20日に「偽造有印私文書行使」の疑いで警視庁に逮捕されています。
内田マイクの現在① 懲役12年の実刑判決を受ける
出典:https://moment.nikkan-gendai.com/
2020年2月、内田マイクは、東京都渋谷区で2016年12月に起きた別の地面師詐欺事件にも関わっているとして「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」の容疑で再逮捕されています。
その翌月に開かれた「積水ハウス地面師事件」での判決裁判では、「極めて巧妙で悪質」として、内田マイクに懲役12年(求刑は懲役15年)の判決が下されました。
なお、この裁判で内田マイクは、「詐欺の計画は知らなかった」などと無実を主張していましたが、「信用できない」として退けられています。
内田マイクはこの一審判決を不服として控訴しましたが、2021年1月の控訴審判決でも懲役12年の一審判決が支持され、弁護側の控訴は棄却されました。
内田マイクの現在②「地面師たち」のハリソン山中のモデルに
出典:https://eiga.com/
2024年7月から、新庄耕さんの小説「地面師たち」を原作とした同名のドラマがNetflixで配信され、大ヒットを記録しました。
「地面師たち」は「積水ハウス地面師詐欺事件」をベースにしたクライムサスペンスで、ドラマ版では俳優の綾野剛さんと豊川悦司さんがダブル主演を務めています。
ドラマ版で豊川悦司さんが演じる大物不動産詐欺師グループのリーダー・ハリソン山中は、内田マイクをモデルにしていると言われています。
実際の積水ハウス事件では、主犯の内田マイク受刑者が計画を立て、事件を主導していたとして懲役12年の実刑判決を受けている。ドラマ『地面師たち』のなかでは、内田受刑者がモデルと思しき登場人物『ハリソン山中』を豊川悦司さんが演じています
実刑判決を受け服役中の内田マイクですが、ドラマ「地面師たち」のヒットにより、再び注目を集めることとなりました。
まとめ
今回は、積水ハウスが55億円もの大金を詐取された「積水ハウス地面師事件」の主犯格として逮捕された内田マイクについてまとめてみました。
内田マイクは、地面師集団「池袋グループ」のボスだとされますが、その経歴や生い立ちについてはほとんどが謎に包まれています。
積水ハウスの事件以外にも内田マイクは多くの地面師詐欺事件に関与しているものとみられています。
内田マイクは「積水ハウス地面師事件」において懲役12年の判決を受け現在は服役中の身となっていますが、ネットフリックスのドラマ「地面師たち」の主人公のモデルになったとみられており、再びその名前が話題にあがるようになりました。