2000年にネットでブームとなった都市伝説「杉沢村伝説」が話題です。
この記事では杉沢村伝説のオリジナルの内容、嘘の部分と本当の部分やアンビリバボーの特集、「北野誠のおまえら行くな。」で明らかにされた真実、杉沢村伝説をモチーフにして製作された映画などについてまとめました。
この記事の目次
杉沢村伝説はインターネットで話題になった都市伝説
「杉沢村伝説」は1990年代の後半から2000年代にかけてインターネット上で話題になった都市伝説です。
現在も最も有名な都市伝説の1つとしてよく知られていて、ホラー映画やホラーゲームのモチーフになったりと人気があります。
今回はこの杉沢村都市伝説についてまとめていきます。
杉沢村伝説の内容① 発端は発狂した若者が村人全員を惨殺した事件
まず最初に、改めて都市伝説・杉沢村伝説の内容を見ていきます。
かつて、青森県の八甲田山系の裾野に「杉沢村」と呼ばれる小さな集落がありました。
ところがある日のこと、村の1人の若者が突然発狂し、住民全員を手斧で惨殺し、最後には自分自身も自殺し、住人が1人もいなくなってしまい村は壊滅します。
当時の青森県の行政はあまりの事件の凄惨さにこの事実を隠蔽する事を決め、杉沢村の公式記録を全て消して存在自体を抹消。杉沢村は地図の上からも消されて、近付く者もなくなり村の跡はそのまま打ち捨てられて廃墟と化しました。
ただ、地元の住人らの間では、杉沢村の惨劇は噂話として語り継がれました。
杉沢村伝説の内容② 迷い込んだ若者グループが怪異に遭遇
そして月日は流れ、その事件から数十年後、ある3人の若い男女が青森県の山中をドライブの最中に道に迷い、道沿いに古ぼけた鳥居がある小さな空き地にたどり着きます。鳥居の下には髑髏のような形をした大きな岩がありました。
これを見た若者のうち1人が、「鳥居の下に髑髏岩があるのが杉沢村の入り口」という噂話を思い出し、男2人は好奇心からこの先を探検してみようと言い出します。
女は「怖いからやめよう」と嫌がりましたが、男2人に連れ出される形で車から降ろされ、3人は鳥居をくぐってその先へと歩き始めました。
杉林に囲まれた細い道を100メートルほど行ったところで不意に視界が開け、3人は4軒の廃屋が立ち並ぶ広場へと辿り着きます。3人が廃屋の1つに足を踏み入れてみると、中の壁に乾いた血のような跡が大量に残されているのを見つけます。
男2人がそれを見て背筋を寒くしていると、突然女が「絶対に何かおかしい、人の気配がする」と叫び出しました。その言葉に弾かれるように3人は屋外へと逃げ出すと、確かに周囲に大勢の人が取り囲んでいるような気配を感じます。
パニックになった3人は車を停めた方向へと走り出しますが、歩いてきた道は100メートルほどの一本道だったはずなのに何故かどこまで走っても杉林の中から抜け出す事ができません。
どれくらい走ったか、女はようやく車を停めていた場所へと辿り着きますが、一緒に逃げていたはずの男2人の姿は消えていました。
幸いな事に車のキーは差したままだっため、女は助けを呼びに行こうと運転席へと乗り込みますが、いくらキーを回しても何故かエンジンがかかりません。女が半泣きになりながら必死にキーを回していると、突然「ドンドンドン」と激しい音が響きました。女が驚いて顔を上げると、車の周囲を大勢の何者かが取り囲み、車中の窓を真っ赤に血の染まった手で激しく叩いていました。女はここで恐怖のあまり気を失います。
翌朝、山道を車で通りかかった近くの地元住人が、血の手形が無数についた車の中で呆然となっている女を発見します。女は恐怖のあまり一夜にして頭髪が真っ白になっていたそうです。
女はこの住人によって病院に運ばれた後、一連の出来事を話しますが、その後、突然病院から姿を消してそのまま行方不明になっています。杉沢村で消えた2人もそのまま見つかっておらず、その後、この3人の姿を見た者はいません。
以上が、1990年の終わり頃にインターネットで語られた杉沢村伝説のオリジナルの内容です。
杉沢村伝説は「奇跡体験!アンビリバボー」で取り上げられ全国的に有名に
この杉沢村伝説はインターネットの匿名掲示板や個人の都市伝説サイトなどで話題になりました。
当時はインターネットは今ほど一般的なメディアではなかったため、杉沢村伝説は一部のオカルトマニアの間だけで話題になっていたのですが、これに目をつけたフジテレビのバラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」が特集を組み、杉沢村を探すという企画を数回にわたって展開したため一躍全国的に有名になりました。
アンビリバボーでは実際に杉沢村を発見する事はできずに、「杉沢村は時空の狭間に存在しており、現れたり消えたりしている」との結論でこの特集シリーズは終了しています。
このアンビリバボーの放送をきっかけに杉沢村伝説がブームになり、実際に杉沢村を探しに行ったり、実際にたどり着いたとしてネットにその情報を書き込むなどの遊びが流行しました。
このアンビリバボーが放送された同時期には、オカルト雑誌や実話系雑誌などでも杉沢村伝説についての特集がよく組まれ、派生的な噂として、「杉沢村の入り口には『この先に立ち入る者は命の保証はない』と書かれた看板が立っている」、「村は今も存在し廃墟は悪霊の住処となっている」といった内容も生まれています。
杉沢村伝説の内容自体は嘘の可能性が高い
杉沢村伝説自体は、あくまでもネットで生まれた都市伝説であり、そのオリジナルで語られたエピソードの内容などは嘘の作り話である可能性が高いです。
ただ、内容の全てが嘘というわけではなく、青森県に「杉沢村」のモデルとなったとみられる過去に本当にあった村が記録に残っています。
また、血生臭い事件の内容自体は嘘ですが、モデルとなったとみられる事件は存在します。次の見出しから杉沢村伝説のモデルとなったと言われている本当にあった事件について紹介します。
杉沢村伝説は本当にあった事件がモデルになったと言われている
都市伝説・杉沢村伝説で語られた事件のモデルにされたとみられる、本当にあった事件を紹介していきます。
杉沢村伝説のモデルとされる本当にあった事件① 津山事件
1938年5月に岡山県津山市の貝尾、坂元という集落で発生した「津山事件」が、杉沢村伝説のモデルになったのではないかと言われています。
津山事件は、貝尾集落に住む当時21歳だった都井睦雄が、結核を理由に集落内で冷たくされた事を恨みに思い、散弾銃や日本刀などを使って住民を次々と襲い、一晩のうちに30名を殺害した後に自殺した事件です。
事件のモチーフが似ているため、杉沢村伝説のモデルになったのではないかと言われています。
杉沢村伝説のモデルとされる本当にあった事件② 青森県新和村一家7人殺害事件
1953年12月12日に、青森県中津軽郡(現在の弘前市)にあった新和村小友地区で発生した「青森県新和村一家7人殺害事件」も杉沢村伝説のモデルになった事件だと言われています。
青森県新和村一家7人殺害事件は、当時24歳のリンゴ農家の三男が、実家を襲撃して猟銃で父親や長兄ら一家7人を惨殺した事件です。
青森県の村落で発生した1人が多数を殺害した事件という共通点から、杉沢村伝説のモデルにされたのではないかと言われています。
杉沢村伝説のモデルとなった村は本当にあるが過疎により消滅
杉沢村伝説のモデルとなった村は過去に青森県にあった本当の村である可能性が高いようです。
杉沢村のモデルになった村はかつて八甲田山系の麓にあった「小杉」という集落だとされています。この小杉集落に行く事を当時の地元の人が「杉さ行く」と言っていたのがなまって「杉沢」となったという説や、単純に杉林の裏に沢が流れていたので「杉沢村」という通称で呼ばれたとする説があります。
この小杉という集落は、交通の不便な僻地にあったため、次第に住人が出て行って過疎化し、昭和43年頃に最後の住人が転出して消滅しています。
この小杉集落があった場所の入り口には確かに鳥居が残っており、髑髏岩と思しき大岩も実在しています。
なので、杉沢村が実在するというのは本当なのですが、大量殺人事件があったという都市伝説の内容自体は嘘だと言えます。
杉沢村伝説の真実を「北野誠のおまえら行くな。」が解明
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都市伝説・杉沢村伝説の杉沢村の場所(小杉集落の廃墟)はアンビリバボーでは発見できませんでしたが、オカルトファンの間で人気の高い、エンタメーテレのホラー番組「北野誠のおまえら行くな。」で、タレントの北野誠さんが、杉沢村の場所とその真実を解明しています。
北野誠さんらは、車で杉沢村があると噂される場所を捜索したところ、あっさりと鳥居を発見します。というのも、近年その場所は開発が進んで山林が切り開かれて整備されており、道から丸見えの状態になっていたのです。偶然そこで山菜採りをしていた女性に取材もし、「ここには昔村があった」、「過去には廃屋もあった」との証言も得ています。
「北野誠のおまえら行くな。」で明かされた杉沢村の真実
また、この「おまえら行くな」の放送回では、杉沢村のモデルになった村の隣村に住んでいたというお婆さんから、青森県在住のオカルト好きの男性が子供の頃に聞いたという杉沢村伝説の真実が語られています。
戦争中、その村に住むある既婚者の若い男性が徴兵されて戦争に行ったが、その後、戦死したという知らせが村に届きます。その後、残された嫁と義父(男性の父)が男女の関係を持ってしまいます。
ところが、戦死したと知らされていた男性は実は生存しており、その後に村に帰ってきます。義父はせっかく関係を持った若い嫁を失いたくなかっため邪魔になった実の息子である男性を殺害。それに気がついた嫁までも殺害した挙句、騒ぎに気がついた村人を次々と殺害したそうです。この事件が杉沢村の真実ではないかという事でした。
これは、実際に青森県に子供の頃から住んでいた男性が、当時を知るおばあさんから聞いた話で、さらにこの男性はこの事件の当時の裁判記録も実際に確認しているという事でかなり信憑性が高いようです。
「北野誠のおまえら行くな。」はヤラセを一切行わない事を売りにしているので、この男性が作り話をしていなければ、これが杉沢村の真実としてかなり有力なのではないかと思います。
この放送回はAmazonプライムビデオなどで視聴可能です。
杉沢村伝説をテーマにした映画「杉沢村都市伝説 劇場版」
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杉沢村は何度か映画やドラマ仕立ての映像作品のモチーフにされています。
2014年に公開された映画「杉沢村都市伝説 劇場版」は、乃木坂46(当時)のメンバー・伊東寧々さんが主演して話題になりました。
この映画「杉沢村都市伝説 劇場版」は、杉沢村を調査する動画を撮りに行ったまま行方不明になった兄を妹が創作するという内容のホラー映画ですが、実際の杉沢村伝説とはほとんど関係がなく、都市伝説のファンにはあまりオススメできないです。
映画自体のクオリティについてもあまり良い評価は受けておらず、伊東寧々さんのファン以外には観る価値なしと酷評されています。
まとめ
今回は、1990年代から2000年代にかけてネットで話題になった都市伝説「杉沢村伝説」についてまとめてみました。
杉沢村伝説は、50年ほど前に青森県の山間部にあったある小さな村の若者が発狂し、手斧で全ての村民を殺害した後自殺をして村が壊滅。青森県の行政がその事件ごと村の存在を隠蔽して廃墟化した。その後、現代の若者がこの杉沢村の廃墟に迷い込み、亡霊に襲われて行方不明になるというのが大まかな内容です。
杉沢村伝説は2000年にアンビリバボーで特集された事で全国的なブームになり、実際に杉沢村を探して調査するものが続出しました。杉沢村伝説の真実としては、実際にモデルになった「小杉」という本物の集落が確認されているものの、殺人事件自体は嘘の可能性が高いようです。
また、本当にあった過去の事件「津山事件」や「青森県新和村一家7人殺害事件」をモチーフとして創作されたという説も有力です。
現在も杉沢村伝説はオカルトファンの間では人気があり、映画化されるなど話題になっています。