シンガーソングライターで役者としても活躍する中村中はトランスジェンダーを公表しており、性別や手術の有無も注目を集めています。
今回は中村中について、経歴や性別、性別適合手術の有無、昔の恋愛や結婚、現在をまとめました。
中村中のプロフィール
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名前:中村 中(なかむら あたる)
生年月日:1985年6月28日
出身地:東京都墨田区
若者の心に刺さる音楽を生み出すシンガーソングライターであり、役者としても活動する中村中。
デビュー時にトランスジェンダーであることをカミングアウトし、現在までに若者の感情やLGBTの問題に寄り添う作品や音楽を発表してきました。
子供の頃から音楽に触れてきた中村中は、15歳の頃から作詞作曲を始め、中学3年生の時に路上ライブを行うストリートミュージシャンとして音楽活動を開始しました。
2004年に「第5回かつしかバンドフェスティバル」でグランプリを受賞し、その後ヤマハ音楽振興会主催の「TEENS’ MUSIC FESTIVAL 2004」の全国大会に出場します。
これがきっかけで、ヤマハの発掘育成システム「ヤマハ・ミュージッククエスト」と契約することになります。
楽曲制作やライブハウスでのライブを続ける中、2006年6月28日、自身の21歳の誕生日にavex traxからデビューが決まり、シングル「汚れた下着」でメジャーデビューを果たしました。
中村中最大のヒット曲は2006年9月6日発売の「友達の詩」で、オリコンチャート9位を記録しています。
この曲は、ドラマ「私が私であるために」で中村中が役者としてドラマ初出演となり、その記念シングルとして発売されました。
2007年には第58回NHK紅白歌合戦に出場、独特な美しさや魅力を持ったシンガーソングライター・役者として、老若男女問わず人気を広げていきました。
2010年4月1日、「ヤマハ・ミュージックコミュニケーションズ」に移籍し、移籍第1弾となるアルバム「少年少女」は「第52回日本レコード大賞」の優秀アルバム賞を受賞しています。
シンガーソングライターのイメージが強い中村中ですが、デビュー当初から役者としても活動しています。
2006年8月に舞台「Radiogenic リーディング・スペクタクル 優雅な秘密」でディーバ役として出演して以降、中島みゆき主催の「夜会」にも抜擢されるなど数々の舞台に立ってきました。
2006年10月に放送された日本テレビ系列「私が私であるために」は、性同一性障害をテーマに扱った作品です。
中村中を含めて性同一性障害を抱える役者が3名出演し、それぞれが性同一性障害の役を演じたことで話題となりました。
2014年1月、事務所をテイチクエンタテインメントに移籍しています。
現在までに11枚のシングル、9枚のアルバムを発売、AAAや中孝介などに楽曲提供し、槇原敬之やGO!GO!7188などのトリビュートアルバムに参加するなど、精力的に活動しています。
中村中の性別は?性同一性障害をカミングアウトしている
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2006年9月11日、公式サイトを通じて戸籍上は男性、精神上女性であることを公表した中村中。
自身が性同一性障害であり、戸籍上の性別は男性であるものの、心の性別は女性であることを明かしました。
男性の身体で生まれましたが、自分が女性であることに気付いたのは幼稚園の頃だったといいます。
シンガーソングライターとしてデビューしたのが2006年6月、性同一性障害のカミングアウトがその3ヶ月後なので、デビュー当初からトランスジェンダーであることは公表していました。
カミングアウトした翌月の2006年10月、日本テレビ系列で放送されたドラマ「私が私であるために」で、自身と同じ性同一性障害を抱える役柄でドラマに初出演しています。
中村中はこの時の事を回想し、「元々シンガーソングライターとしてデビューして、芝居をやるつもりはなかった」と語っています。
しかし、役者としてのオファー後に考え方が変わったようです。
自分の生まれ方や性別との向き合い方から「別の人間になりたかった」という想いがあり、そういった部分を見られてオファーされているのではと感じるようになったといいます。
そして「別人になりたかった私は芝居に向いてるんじゃないか」と考え、芝居に挑戦する気持ちになったと語っています。
最初は「なぜ自分にオファーが来るんだろう」と思うほど芝居が苦手だったようですが、今では中村中にしか出せないオーラや魅力を武器に、多くの作品に出演するまでになりました。
音楽や芝居など幅広く挑戦する中村中に、「どれがメインですか?」という質問が浴びせられる時もあるようですが、中村中は「全部好き」と答え、全ての活動に本気で向き合っています。
2007年の年末には「第58回NHK紅白歌合戦」に、戸籍上の性別が男性であるソロシンガーとしては紅白史上初めて紅組で出場を果たしました。
紅白歌手となり、知名度も支持も格段にアップした中村中。ここまで来るのに、葛藤が無かったわけではありません。
あるインタビューで、「人生に影響を与えた本」というテーマに筒井康隆の「聖痕」を挙げています。
この作品は、あまりの美貌ゆえに5歳の時に性器を切り取られた少年が、どんな人生を送っていくのかを描いた物語です。
性器を切り取られても尚、美しく健やかに成長し、周囲の人々の欲望を惹きつけるものの、煩悩の救い主となり、キリストのように全てを赦していく少年…。
その様子が明るく描かれる物語に、中村中は一気に引き込まれたといいます。
「セクシュアルマイノリティーの部分に自分が反応したのかどうかは分からない」と言いつつも、「とにかく読まずにはいられなかった」と語っています。
役者としても活躍する中村中は、この作品が舞台化されることがあったら是非自分が主人公を演じたいと思うほど、心に響いた作品だと語りました。
また、ある国会議員が「LGBTは生産性がない」と発言し物議を呼んだことは記憶に新しいかと思いますが、中村中はこれに対し、
「時代遅れなことを言っているな、と思って一瞬聞き流そうとしたんですけど、今悩みの渦中にいる人や、今の学生たちが聞いたらどう思うだろう?」
「私は生きる価値がないんだ、って絶望するかもしれない。これには腹が立った」
と明かしています。
そして彼らに伝えたい、寄り添いたいという気持ちや、「シンガーソングライターは今この時代を歌うもの」という信念から、ヒップホップテイストの「裏通りの恋人たち」が誕生しました。
性的マイノリティーを歌ったこの曲は、中村中と同じように自身の性別に悩みを持つ人にこそ聴いてもらいたい1曲です。
中村中の昔の恋愛遍歴・結婚の有無
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中村中は現在、結婚はしていません。
現在も戸籍上の性別は男ですので、日本国内において同性結婚は法的に認められていないため、中村中は日本では法的な結婚はできないことになっています。
理想の恋愛についてどういう恋をしたいというのは無いようですが、「将来の目標であったり、芯が通っていたり、自分をしっかり持っている人に惹かれます」と語っています。
ルックスは全く気にしないようで、外見よりも内面に惹かれることが多いようです。
テリー伊藤との対談では、昔から現在までの恋愛遍歴について語っています。
これまでの恋愛について聞かれた中村中は、「楽ではなかった」と切り出し、「だから集中力が強かったというか、音楽に打ち込むのに余計なパワーを使わないで済んだ」と答えました。
中村中が初めて人を好きになったのは、小学校高学年の頃、相手は同じ学校の男の子でした。
トランスジェンダーである中村中は学生時代、好きな人ができても愛を打ち明けることはせずに過ごしていたようです。好意を伝えて友情が壊れるのが一番怖かったと語っています。
そんな中村中も、19歳の時に恋人ができました。デビューする前に参加した音楽の大会で出会った広島の男性で、1年ほど付き合っていたようです。
しかし遠距離恋愛だったこともあり、その後破局を迎えてしまいました。
昔は報われない悲しい恋も経験してきた中村中ですが、大人になった今は「人間関係をわきまえながら、恋愛しています」と語っています。
恋愛の経験が作品の深みに繋がることもあるでしょう。日本では現在同性同士の結婚はまだまだハードルが高いですが、いつかLGBTの人々も自由に結婚ができる世界が来るといいですね。
中村中は性別適合手術をしている?
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中村中が性同一性障害を自覚したのは幼稚園の頃。昔から性別の違いに苦しみ、葛藤を抱えながら思春期を過ごしてきました。
それでも中村中には音楽の才能があり、その道で自分らしく生きることを選んで、デビュー後に性同一性障害であることをカミングアウトしています。
中村中は昔から音楽に触れて成長してきました。
10歳の時に参加した合唱コンクールで、中村中は懸命に歌っていたものの、やる気のない同級生を見て一緒に歌う気をなくし、ピアノの伴奏者になることを選びました。
合唱コンクールで伴奏するために独学でピアノを修得したのが、中村中の音楽の始まりです。
その後、10代の初めに変声期が訪れ、声変わりの違和感から歌うことに苦痛を感じるようになったそう。
そこで、歌以外の音楽、ドラムなどの楽器演奏にのめり込むようになり、さらに作詞作曲を始めるようになりました。
中学校の吹奏楽部やバンド活動で様々な楽器に触れ、中学校卒業頃にストリートミュージシャンとして路上ライブをするようになります。
中村中は昔、自分の好きな音楽に熱中することで自分の性別から目を背けていたといいます。
10代最後の頃には、自分の性についての悩みを音楽にぶつけて発散していました。
手術はしている?
声変わりに違和感を覚え、歌うことを避ける思春期を過ごしてきた中村中ですが、今では多くの人々を魅了する歌声を持っています。
声帯を変える手術については、そういった手術があることを知らなかったようです。
しかし、もし知っていたとしても「この声でデビューしていますし、この声を愛しているので」と語っていることから、声帯手術は受ける気が無かったと思われます。
また、性同一性障害を抱える人が受ける「性別適合手術」もありますが、中村中がこの手術を受けているかは実際のところ不明です。
ただ、中村中は「たとえ女性になりたいと考えても、手術をして体を変えたとしても、理想の完全体にはなれないんです。だから、そこにこだわらないんです」と答えたことがあります。
この考え方ならば、性別適合手術は受けていない可能性も考えられます。
中村中の現在
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中村中は現在もシンガーソングライター、役者として活動しています。
2019年3月には、東京芸術劇場シアターウエストで青蛾館創立35周年記念公演「毛皮のマリー」が上演され、美少女・紋白役を務めました。
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2020年1月15日には、ニューアルバム「未熟もの」を発売。
昨年出演した舞台での経験から生まれた曲や、亡き友人に贈るレクイエムを含む全10曲収録のアルバムです。
このアルバムのリリースに合わせて、コンサートの全国ツアーも開催されました。
出典:https://prtimes.jp/
ツアータイトル「中村中 アコースティックツアー阿漕な旅2020 -何回言ったらわかるの-」は、2020年1月25日の栃木公演を皮切りに、2月29日の宮城最終公演まで全国を回りました。
さらに東京では、バンド編成によるコンサートも決定。
コンサートタイトル「中村中 LIVE2020 僕らは半人前」が、2020年6月27日に日本橋三井ホールで開催されます。
時代の移り変わりと共に、その時代を歌ってきた中村中。
音楽、芝居、そして芸術とも呼べる生き方に触れられる舞台作品やコンサートは、ファンならずとも1度はこの目で見てみたいですね。
まとめ
歌手・役者であり、トランスジェンダーである中村中についてまとめました。
今後も多くの素晴らしい作品を生み出していく中村中から、目が離せません!