神谷力の生い立ち&死因など現在まで!父親や職業・トリカブト保険金殺人の真相まとめ

多額の保険金を掛けた上でトリカブト毒を使って妻を殺害した神谷力のその天才とも言われる犯行内容が話題になっています。

 

今回は神谷力の起こした「トリカブト保険金殺人」の概要や天才的とも言われた手口、父親や母親の自殺などの生い立ち、仕事や職業を転々とした過去、死因などについてまとめました。

神谷力は「トリカブト保険金殺人事件」の犯人

 

出典:https://twitter.com/

 

今回焦点を当てる神谷力は、1986年5月20日に発生した「トリカブト保険金殺人事件」の犯人です。

 

神谷力は、巧妙な毒殺トリックを使って妻を殺害し保険金目当ての完全犯罪を目論みますが、妻の友人の訴えかけに一部マスコミが反応し、これを不審死事件として報道し世間は騒然となります。

 

その後この事件は、当時の琉球大学助教授・大野曜吉さんの調査によって神谷力の巧妙なトリックが解明されるというミステリー小説さながらの展開となり、現在も昭和の時代の衝撃事件として度々話題にあがっています。

 

今回はそんな「トリカブト保険金殺人事件」を引き起こした犯人・神谷力について見ていきます。

 

 

 

神谷力の起こした「トリカブト保険金殺人事件」

 

出典:https://books.rakuten.co.jp/

 

1986年5月19日、神谷力は妻の元ホステスの神谷利佐子さん(当時33歳)と共に、沖縄に旅行に訪れていました。

 

その翌日の20日、神谷利佐子さんのホステス時代の友人3人がその旅行に合流しました。予定では一行は石垣島へと向かうはずでしたが、午前11時40分頃、神谷力は急用を思い出したとして、自宅の大阪へと急遽帰ってしまいます。

 

神谷利佐子さんと友人3人は予定通り、那覇空港から正午過ぎに石垣空港へと移動しますが、石垣島に到着後、ホテルにチェックインした頃に神谷利佐子さんが突然苦しみ出します。

 

神谷利佐子さんは酷い悪寒を訴え、異常な発汗や手足麻痺の症状も出たため、救急車で石垣島の八重山病院へと搬送されます。

 

しかし、神谷利佐子さんの容態は急速に悪化し、救急車内で心肺停止状態に陥り、病院に到着した直後の15時4分に死亡が確認されましたが、病院側は死因が確定でなかったため沖縄県警に連絡します。

 

沖縄県警は、妻の死の連絡を受けて急遽沖縄に駆けつけた神谷力の承諾を受けて神谷利佐子さんの遺体を行政解剖に回し、その結果、神谷利佐子さんの死因は「急性心筋梗塞」だと診断されます。

 

この時、神谷利佐子さんの解剖を担当した琉球大学医学部の助教授(当時)の大野曜吉さんは、遺体の心臓の色が綺麗すぎる事や、急死につながるような明らかな異常が遺体から発見できなかった事などを不審に思い、念のために神谷利佐子さんの血液30ccと心臓を保存しています。この行動が後に事件解決へとつながる事になります。

 

 

神谷力の行動や職業に不審を抱いた神谷梨沙子の友人らが週刊誌に連絡

 

出典:https://page.auctions.yahoo.co.jp/

 

神谷力の妻・神谷利佐子さんが突然死亡した事に、沖縄旅行に同行していた神谷利佐子さんの友人らが不審を抱きました。

 

というのも、友人らは、神谷利佐子さんが「滋養強壮剤をもらった」といって神谷力からもらった怪しげなカプセルをしばしば飲んでいたのを以前から目撃しており、また、神谷力が、ホステス時代の神谷利佐子さんと出会ってからわずか6日後にプロポーズをした事や、神谷利佐子さんに自分の職業を「公認会計士」と名乗っていたのに、公認会計士名簿に神谷力の名前が記載されていない事などにも疑惑を抱いていたのです。

 

神谷利佐子さんの友人らは、神谷力が怪しいと警察に訴えましたが取り合ってもらえず、それならばと新聞社や週刊誌などのマスコミ各社に訴えかけはじめました。

 

その中で、写真週刊誌「FOCUS」と「日刊スポーツ」が反応したのをきっかけに、マスコミ各社は不審死疑惑事件として大々的に報道しはじめる事になります。

 

これに動かされる形で警察も捜査を開始し、事件発生から5年後の1991年6月、警視庁は横領の容疑(別件逮捕)で神谷力を逮捕しました。

 

 

 

神谷力は神谷利佐子に巨額の保険金をかけていた事が発覚

 

出典:https://matome.naver.jp/

 

神谷利佐子さんの死に不審を抱いた週刊誌記者達は、神谷力さんについての取材を開始します。

 

そして、神谷利佐子さんは死亡するわずか20日前に合計4社、総額で1億8500万円という高額な受取額の生命保険に加入しており、その受取人が夫の神谷力になっている事を突き止めます。

 

当然ながら、これらの生命保険の掛け金は合計で月額18万円と高額なものでしたが、神谷力が当時営んでいた経理事務所の申告所得は3年連続で0円でした。この生命保険の件は、明らかに不審な点が多く、当然保険会社の方でも不審を抱き、神谷利佐子さんが過去に神経系の病気で通院歴があったのに申告していなかった事などを理由に保険金の支払いを保留しました。

 

この保険会社の対応に神谷力は民事訴訟を起こし保険金の支払いを求め、裁判では勝訴しています。

 

 

 

神谷力は3度結婚し、妻が3人とも不審な死を遂げている

 

 

その後、神谷力に関してさらに衝撃的な事実が発覚します。神谷力はなんと神谷利佐子さんとは3度目の結婚で、その3人の妻が全員、30代のうちに不審な死を遂げている事が判明したのです。

 

神谷力は、看護師をしていた最初の妻と1965年2月に結婚していますが、その妻は1981年7月、38歳の時に死亡しています。死因は「心筋梗塞」でした。

 

その2年後の1983年10月、神谷力は2人目の妻・山田なつ江さんと再婚しています。実は、神谷力と山田なつ江さんは、1971年頃から愛人関係にあり最初の妻が死亡するまで10年もの間不貞行為を続けていました。

 

そして、この2人目の妻・山田なつ江さんも1985年9月に死亡します。死因は「急性心不全」でした。さらに、この山田なつ江さんには1000万円の生命保険がかけられており、それを神谷力が受け取っているのです。

 

神谷力は、2人目の妻の死からわずか1ヶ月から2ヶ月後の1985年11月頃に、当時、東京池袋でクラブホステスをしていた神谷利佐子さん(旧姓工藤)との交際を開始しています。神谷力さんは紳士然とした雰囲気で神谷利佐子さんの勤めるクラブに現れると、多額の金品を贈って利佐子さんを口説き、出会ってからわずか6日後にはプロポーズしています。

 

神谷利佐子さんは、優しく紳士然とした神谷力さんに惚れ抜き、結婚を承諾。翌12月には大阪にアパートを借りて同居を開始しています。

 

そして、1986年2月13日に神谷力と神谷利佐子さんは正式に結婚。それからわずか1ヶ月後の1986年3月28日から4月5日の9日の間に、神谷力を受取人とした総額1億8500万円もの生命保険が神谷利佐子さんにかけられます。

 

それからひと月もたたない1986年5月、神谷力は慣れない大阪暮らしがかわいそうだと言って神谷利佐子さんとの沖縄旅行を企画し、利佐子さんのホステス時代の3人もその旅行に招待する計画を立てたのです。

 

そして、前述の通り5月20日、その旅先の沖縄石垣島にて神谷利佐子さんは不審な死を遂げたのです。

 

 

 

神谷力がトリカブト毒を使用した事を琉球大学助教授・大野曜吉が見破り逮捕へ

 

出典:https://twitter.com/

 

ここまで見てきたように神谷利佐子の死には不審なところが多く、旦那の神谷力の保険金殺人が疑われるのも無理からぬ事でした。

 

生命保険会社が保険金支払いを保留した事から、保険金支払いを求める訴訟を起こした神谷力でしたが、1990年に開かれた控訴審で、当時、神谷利佐子さんの行政解剖を担当した琉球大学助教授(当時)の大野曜吉さんが、証言台にあがり、神谷利佐子さんの死因はトリカブトによる中毒死の可能性が高いと証言します。

 

この予想外の展開に驚いたのか、神谷力は突然訴訟を取り下げてしまいます。

 

ちなみに「トリカブト」とは、日本では沖縄を除く全地域に自生する植物で、加工すると耳かき一杯程度の量で人を殺害できるほどの猛毒を持ちます。

 

この琉球大学助教授(当時)の大野曜吉さんは、神谷利佐子さんの遺体を解剖した時からその死因に不審を抱いており、毒物に関する文献を読み漁って利佐子さんの死因がトリカブトによる中毒死である事を突き止め、大野曜吉さんが念のために保存していた利佐子さんの血液や心臓からトリカブトに含まれる毒物が検出された事で、神谷利佐子さんの死因がトリカブト毒による中毒死だった事が確定的になったのです。

 

これを受け、警視庁は1991年6月9日に、神谷力を横領の容疑で別件逮捕。7月1日に殺人と詐欺未遂の容疑で再逮捕しています。

 

その後、過去に神谷力にトリカブトを69鉢売った事があると福島県の高島植物店の店主から警察に連絡が入り、また、過去に神谷力に猛毒を持つクサフグ1000匹を売った漁師も現れます。

 

さらに、当時神谷力が住んでいたアパートの畳からトリカブトの成分が検出されるなどし、神谷力の容疑はさらに強まっていきます。

 

神谷力は裁判で、トリカブト毒は即効性が高く、自分が沖縄を離れてから約2時間後に神谷利佐子さんは死亡しているため辻褄が合わない、したがって自分は犯人ではないと主張します。

 

しかし、再び証言台に立った大野曜吉さんが、トリカブトの毒とクサフグの毒を組み合わせる事で互いの毒性が抑制され、中毒症状が出る時間をコントロールする事が可能(拮抗作用という)だと証言し、神谷力のアリバイが崩されます。

 

そして、1994年、東京地方裁判所は神谷力に対して無期懲役の判決を下しました。神谷力はこれを不服として控訴しましたが東京高等裁判所は一審判決を支持、神谷はさらに上告しますが、2000年2月21日に最高裁判所がそれも棄却したため、神谷力への無期懲役判決が確定しました。

 

 

 

神谷力は犯行のために独学で毒薬を作り出した事から天才と言われている

 

出典:https://matome.naver.jp/

 

上でも触れたように、神谷力はトリカブトの毒とクサフグの毒を組み合わせる事で、神谷利佐子さんが死亡する時間をコントロールし、自分のアリバイを作り出そうとしました。

 

なんと、神谷力はこの犯行に使った毒薬を、外国の論文なども参考にし、大学でも使用される機材を導入してマウスを使って実験を繰り返し、独力で作り出しているのです。

 

神谷力は薬学部出身ではなく最終学歴は高卒の神谷が、こうした方法で毒薬を作り出したことは専門家も驚きを隠せず、一部から神谷は天才という声も出ています。

 

 

 

神谷力の生い立ち① 父親が大学教授の家庭に生まれるも母親が服毒自殺

 

 

ここからは神谷力の生い立ちについて見ていきます。

 

神谷力は、1939年に宮城県仙台市で生まれました。父親は東北大学の教授を務める、知的レベルの高い家庭に育った生い立ちを持っています。

 

平均よりも裕福な生い立ちを持つ神谷力でしたが、小学5年生の時に、母親が目の前で服毒自殺をするという衝撃的な経験をしています。この母親の服毒自殺が今回紹介した「トリカブト保険金殺人事件」の遠因になったと見る向きもあるようです。

 

 

 

神谷力の生い立ち② 大学受験失敗後上京し仕事を転々とする

 

 

神谷力はその後、仙台市立仙台高校を卒業して東北大学を受験しますが失敗し、上京して池袋の書店で働き始めています。

 

その後は仕事を転々としていたようで、書店についで音響機器製造会社に勤務したもののこの会社が倒産し、空調機製造販売会社に転職。1981年頃、食品会社企業を試みるもうまくいかず、1986年からは自動車部品製造会社で勤めていたようです。

 

そして、その1986年5月に神谷利佐子さんをトリカブト毒を用いて殺害してますが、その後も自動車部品製造会社に勤め続け、1988年には経理部長に出世しています。しかし、週刊誌報道などで保険金殺人の疑惑が強まったことで、1990年に同社を依願退社しているようです。

 

 

 

神谷力の死因は刑務所での病死

 

 

そんな神谷力は、無期懲役刑確定後服役していましたが、2012年11月に大阪医療刑務所で病死していた事が2013年に報じられています。

 

神谷力の死因は「病死」としか発表されておらず、詳しい死因などは不明です。享年は73歳でした。

 

 

 

まとめ

 

今回は、1986年に「トリカブト保険金殺人事件」を起こして世間を騒がせた神谷力についてまとめてみました。

 

神谷力は、3度目の結婚相手である神谷利佐子さんに1億8500万円もの生命保険をかけた上で、トリカブト毒を用いて毒殺した疑いで逮捕され、裁判の結果、無期懲役の有罪判決を受けました。

 

神谷力は3度の結婚をしましたが、その全ての嫁が不審な死を遂げており、それぞれ何らかの方法で殺害をした疑惑も持たれています。

 

神谷力は知的水準の高い家庭で生まれ育ちますが、小学5年生の時に母親が目の前で服毒自殺するという衝撃的な生い立ちを持っており、この生い立ちが妻を毒殺する事件の遠因になっているのではないかと見る向きもあります。

 

2012年11月、神谷力は服役していた大阪医療刑務所で病死しています。詳しい死因は発表されておらず、享年は73歳でした。

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