ホテルニュージャパン火災を覚えていますか?20~30代の人はそういう火災があったことを聞いたことがあるだけ。40代の人もほぼ知らないという人も多いと思います。
今回は、大規模火災であり、多数の被害者を出したホテルニュージャパン火災の概要や被害者、原因、社長の対応、跡地などをまとめました。
この記事の目次
ホテルニュージャパン火災とは
ホテルニュージャパン火災とは、1982年に東京都千代田区永田町のホテルニュージャパンで起こった大規模火災のことです。
・9~10階で燃え広がる
・イギリス人の寝たばこで出火
・被害者33名で戦後5番目の規模(当時)
ホテルニュージャパンとは?
ホテルニュージャパンとは、赤坂見附駅のすぐ近くにあったホテルです。地上10階地下2階の都市型多機能ホテルで、1960年にオープンしています。
ホテルニュージャパンはもともと高級レジデンスとして建築されましたが、東京オリンピックなどでの宿泊客の増加を見越して、ホテルへと用途を変えています。
ホテルニュージャパン火災の発生
出典:jiji.com
ホテルニュージャパン火災は1982年2月8日に起こりました。2月8日の午前3時24分に9階の客室から火災が発生し、瞬く間に燃え広がっています。
火災の通報はホテル内やホテル関係者からではなく、外の通りを走っていたタクシー運転手からのものでした。しかも、火災発生は午前3時24分だったにも関わらず、タクシー運転手からの火災通報は午前3時39分です。
第一報は火災発生から15分後というのは、いくら大型ホテルで携帯電話がない時代でも、従業員が気づくのが遅すぎますよね。
ホテルニュージャパン火災での必死の消火活動
タクシー運転手からの火災通報を受けて、消防庁は21台の消防車と1台の救急車を出動させます。しかし、火元である9階とその上の10階は激しく燃え広がり、要救助者が多数出ていることが判明します。
そのため、さらに多数の消防車や救急車を出動させることになりました。
・はしご車12台
・救助車8台
・救急車22台
・消防ヘリコプター2機
・消防隊等123隊
・消防職員627名
・消防団員22名
ホテルニュージャパン火災では消火活動にこれだけの人員が使われることになったんです。
ホテルニュージャパンの鎮火は9時間後
出典:youtube.com
ホテルニュージャパン火災で鎮火が確認されたのは、出火から約9時間後の12時36分です。9時間にもわたって、東京都心で火災が起こり続けたということになります。
これだけ鎮火に時間がかかったのは、やはり火災発生から消火活動開始までに時間がかかりすぎていて、消防隊が駆け付けた時にはすでに火が燃え広がっていて、消火に手間取ったことが考えられます。
ホテルニュージャパン火災の被害者
ホテルニュージャパン火災の被害者は、死者33名・負傷者34名となっていて、この死者数は当時、戦後5番目の規模の火災でした。
被害者の多くは外国人
・台湾人12名
・日本人11名
・韓国人8名
・アメリカ人1名
・イギリス1名
この日のホテルニュージャパンの宿泊客の人数は442人で、火災が広がった9階・10階の宿泊客は103人でした。9階・10階の宿泊客の約3分の1がこの火災で死亡したということになります。
9階・10階の宿泊客の多くは、韓国や台湾から札幌の雪まつりの見学に来たツアー客だったとのことです。
飛び降りて死亡した人もいた
ホテルニュージャパン火災での被害者は33名です。多くは焼死や一酸化炭素中毒で亡くなっていますが、煙から逃れるために9階・10階から飛び降りて亡くなった人もいました。
33名中13名は逃げるために飛び降りて亡くなっているんです。迫りくる炎と煙がいかにすさまじいものだったか、逃げ場がない状態だったかがわかりますね。
ビートたけしさんも危うく被害者に
実はビートたけしさんも、1982年2月8日にホテルニュージャパンに宿泊するつもりでホテルのフロントまで行っていますが、たまたま持ち合わせがなく、宿泊するのをやめ(というか、宿泊できず)に新宿へ行って、高田文夫さんにお金を借りて、新宿プリンスホテルに宿泊し、難を逃れています。
ホテルニュージャパン火災の原因
ホテルニュージャパン火災の原因は何でしょうか?これだけの被害を出したホテルニュージャパン火災は、ホテル側の責任も大きいことがわかっています。
直接的な原因は寝たばこ
ホテルニュージャパンの火災の原因は、寝タバコです。宿泊客であるイギリス人男性の寝タバコから出火して毛布に燃え広がり、火災が起こりました。
寝タバコをした男性は、寝タバコで出火した最初の時点で、出火に築き、部屋の中で消火をしてから、また眠りました。しかし、この出火はきちんと消火できておらず、その男性の毛布に燃え移り、一気に燃え広がってしまったのです。
この寝タバコをした男性も、ホテルニュージャパン火災で亡くなっています。
火災で被害が大きくなった原因はホテル側にあった
ホテルニュージャパン火災で被害者は33名と多くなってしまった原因はホテル側にあります。
・火災報知機や煙探知機が故障したままだった
・館内の非常ベルが手動式で従業員しか操作できなかった
・ホテル館内放送設備も故障したままだった
・ホテル内はY字路が多く、方向感覚がマヒしやすい造りだった
・防火扉が絨毯に挟まって閉鎖しなかった
・当直職員が9人しかいなかった
・従業員の教育ができていなかった
・ホテルの壁や天井が木製だった
これだけのホテル側の不備があり、ホテルニュージャパン火災は被害者が増えてしまったんです。
ちなみに、火災発生時に仮眠をするために9階に行った職員が、火元である938号室から煙が出ているのに気付いたのに、その時点で宿泊客の避難誘導や938号室の安全確認をしようとせず、「マスターキー」を取りに1階まで戻っているんです。
さらに、ほかの従業員も手動式非常ベルの鳴らし方を知らなかったり、避難誘導をしなかったりなど、当時ホテルニュージャパンにいた従業員はみんなお粗末な対応をしていたために、火災が大きくなり、被害者が増えてしまったということがあります。
また、再三消防当局から指摘を受けていたにも関わらず、経費削減を理由にスプリンクラーをつけていなかったり、壁や天井が木製だったり、火災報知機が故障していたりと、ホテルのハード面でも、あまりにひどい状況だったと言えるでしょう。
ホテルニュージャパン火災後は社長の横井英樹に批判集中
出典:twitter.com
ホテルニュージャパンの社長は昭和のフィクサーであり、買収王としても知られていた横井英樹氏でした。
この横井英樹氏の火災後の対応が最悪でした。社長の横井氏は、火災現場で集まった報道陣に対し、「本日は早朝よりお集まりいただきありがとうございます」、「9・10階のみで火災を止められたのは不幸中の幸いでした」などと話し、批判を集めます。
33人もの宿泊客がなくなった状況で、その火災現場で、ホテルの社長が言うべき言葉ではないですよね。
・火災原因を寝タバコのイギリス人に押し付けようとする
・経費削減のために安全対策がされていなかった
・火災当時、人命救助よりもホテル内の高級家具運び出しを指示した
・東京消防庁救助隊長を買収しようと賄賂を用意するも拒絶されて失敗
そのほかにもこれだけのことをしていて、当時はこのホテルニュージャパンの社長に批判が集まりました。インターネット・SNSがない時代でさえ、批判が集中したのなら、現代なら炎上では済まなかった状態だと思います。
この社長の横井英樹氏はホテルニュージャパン火災から11年以上経ってから、ようやく裁判が終わり、業務上過失致死傷罪で禁錮3年の実刑判決が下されました。
ラッパーのZEBRRAさんは、実はこの横井氏のお孫さんとのことですが、この火災後の対応のひどさで学校でいじめを受け、転校を余儀なくされています。
ホテルニュージャパン火災の跡地で心霊・幽霊騒ぎが相次ぐ・・・
ホテルニュージャパンは赤坂見附のすぐ近くにあり、都心の一等地にあります。ホテルニュージャパンは火災があった後に営業停止となり、廃業しています。
その後はどうなったのか?跡地の今や心霊・幽霊騒ぎについて見ていきましょう。
ホテルニュージャパンの跡地
ホテルニュージャパンは火災後すぐに営業停止命令が出て、廃業しています。保険会社の千代田生命保険が競売で売却しようとしますが、買い手がつかずに、廃墟のままとなっていました。
その後、1996年になってようやく解体され、その後はオフィスと外国人向けの高級アパートメントのプルデンシャルタワーが2002年に完成しています。
ホテルニュージャパン火災での心霊・幽霊騒ぎ
出典:twitter.com
ホテルニュージャパンの跡地では、心霊・幽霊騒ぎが後を絶たないと言われています。プルデンシャルタワーができる前から、いろいろな心霊・幽霊騒ぎがあり、心霊スポットとして有名でした。
・背中がずっしり重くなった
・6階の部屋には妊娠した女性がお腹をおさえながらじーっとこちらを見ていた
・2階の窓から女が横切るの見えた
・ホテルニュージャパン跡地に行ったら、体調が悪くなった
ホテルニュージャパンのあとのプルデンシャルタワーになってからも心霊・幽霊騒ぎはよく聞きます。また、2000年には火災後に建物の保有者となっていた千代田生命保険が経営破綻していますが、これも幽霊の仕業・呪いの1つなのではないかとも言われているほどです。
まとめ
ホテルニュージャパン火災の概要や被害者について、原因、社長の横井英樹氏、跡地と心霊・幽霊騒ぎについてまとめました。
ホテルニュージャパン火災は本当に痛ましい火災でした。私たちができることは、せめてもう同じことを繰り返さないように、防火意識を高めることかもしれません。