歌舞伎町雑居ビル火災を覚えていますか?歌舞伎町雑居ビル火災は戦後5番目の被害となった大規模な火災です。
歌舞伎町雑居ビル火災の被害者や原因、犯人、被害が大きくなった原因、闇や跡地についてまとめました。
この記事の目次
歌舞伎町雑居ビル火災とは
歌舞伎町雑居ビル火災は、2001年9月1日の午前1時頃に、新宿の歌舞伎町の雑居ビル「明星56ビル」で起こった大規模な火災です。
出典:sankei.com
歌舞伎町雑居ビル火災は戦後5番目の被害を出すほどの大火災となり、深夜1時頃に出火したにも関わらず、NHKは1時50分ごろから現場からの生中継を行い、火災・消火の様子がテレビの地上波で生放送されていました。
この歌舞伎町雑居ビル火災の被害が大きくなったのは、ビルそのものにも原因があるとして、消防法が改正されるきっかけとなり、ビルの管理体制を見直すことになる火災だったんです。
歌舞伎町雑居ビル火災の被害者(犠牲者)は44人
歌舞伎町雑居ビル火災の被害者は44人にも上ります。44人が死亡し、3人が負傷しました。これは戦後5番目の規模の被害になります。
特に、雑居ビルの3階・4階の被害が大きかったことが特徴です。3階は麻雀店、4階はセクシーパブが入っていました。
4階のセクシーパブ:28名全員が死亡
44名の被害者は全員、一酸化炭素中毒で死亡しました。一酸化炭素中毒ということは、酸素不足で呼吸ができなくなり、死亡したということですね。
3階の麻雀店で無事だった3名は窓から飛び降りて逃げた従業員です。
歌舞伎町雑居ビル火災の原因
歌舞伎町雑居ビル火災の原因について説明していきます。
出火原因は不明
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歌舞伎町雑居ビルの出火場所は3階のエレベーター付近であることがわかっています。ただ、なぜ出火したのか?その原因は不明です。
3階エレベーター付近には、当然ながら火の気はありませんでした。ただ、都市ガスのガスメーターがありました。このガスメーター付近から出火していることはわかっていて、さらにガスメーターは本体とガス管が外れている状態で発見されています。
ガスメーター本体とガス管が外れている原因は火災の熱によって、接続部が溶けてしまったという説もありますが、真実の原因はわかっていません。
放火の可能性もある
歌舞伎町雑居ビル火災の原因は放火という説があり、現在ではこの放火原因説が有力となっています。
理由はやはり雑居ビルの3階エレベーター付近には火の気がないからですね。誰かが故意に火をつけたとしか考えられないということになります。また、先ほど説明した3階エレベーター付近のガスメーターは誰かがあらかじめ工具を使ってガスメーターを外していたのではないかという情報もあります。
この火災による負傷者は3人ですが、実は4人目の生存者がいた。しかしその生存者の行方は分かっていないという情報もあります。また、火災現場から立ち去る不審な人物の目撃情報もあるようです。
ただ、あくまでも放火が原因というのは推測であり、原因はわかっていないのが実情です。
歌舞伎町雑居ビル火災の犯人は?
歌舞伎町雑居ビル火災の原因は放火という説があります。放火が原因であれば、犯人がいるはずです。44人を死亡させた犯人はどんな人物なのか?
あくまで憶測の域を出るものではありませんが、歌舞伎町雑居ビル火災の犯人は3つのパターンが考えられています。
1.客の腹いせ
歌舞伎町雑居ビル火災の犯人説、1つ目は客の腹いせです。火災現場となった明星ビルには麻雀店や風俗店が入っていました。
火元となった3階には麻雀店が入っています。ということは、麻雀に負けてムシャクシャした人が衝動的に火をつけたという可能性もあります。
また、風俗店に行った客がお目当ての風俗嬢に冷たくされた、もしくは店にぼったくられたなどの理由でイライラして放火したという可能性もあります。現実的には、これが一番可能性が高いかもしれませんね。
2.暴力団の縄張り・勢力争い
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暴力団が犯人ではないかという説もあります。新宿歌舞伎町は反社会的勢力(暴力団)が多い場所です。特に、風俗店や麻雀店は暴力団が絡んでいることが多いですよね。
暴力団は常にほかの組・組織と縄張り争い・勢力争いをしているものです。火災現場となったビルやテナント店舗と関係している暴力団にダメージを負わせるために、放火して歌舞伎町雑居ビル火災を起こした可能性もあるとされています。
3.再開発関連
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歌舞伎町雑居ビル火災の犯人の3つ目は、再開発関連です。歌舞伎町に行ったことがある人ならわかると思いますが、雑居ビルが所狭しと並んでいます。
でも、歌舞伎町周辺も再開発が進んできていますよね。再開発をもくろむ企業が歌舞伎町周辺の地価を下げたり、立ち退きさせやすくするために、放火して火災を起こしたという説もあります。
ただ、これはあまりにも非現実的で、映画やドラマの世界の中で起こりそうなことなので、犯人の可能性としては一番低いですね。
歌舞伎町雑居ビル火災で被害が拡大した原因
歌舞伎町雑居ビル火災は、戦後5番目の大きな被害を出しました。
ビル自体は大規模なものではなく、しかも21世紀という時代にも関わらず、なぜ44人という多数の被害者を出したのか?
歌舞伎町雑居ビル火災はが大きな被害を出したのは、複数の原因が絡み合った結果なんです。
バックドラフト現象
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歌舞伎町雑居ビル火災ではバックドラフト現象が起こったと言われています。バックドラフト現象とは、火災で一酸化炭素が溜まった空間に窓やドアを開けて、酸素を送り込むことで、一気に爆発を起こす現象のことです。
この歌舞伎町雑居ビル火災では3階のエレベーター前で火災が発生し、一酸化炭素が溜まっていたところに、3階の麻雀店の店員が何も知らずにドアを開けてしまったことで、バックドラフト現象が起き、一気に火災が広がったということがあります。
避難誘導をしなかった
この歌舞伎町雑居ビル火災では44名が死亡し、3名が負傷しました。この負傷した3名は3階の麻雀店の店員で、窓から飛び降りて一命をとりとめています。
本来なら、店員は客の避難誘導をしなければいけないのですが、一番最初に逃げ出してしまったことで、客が避難することができず、被害者が増えたとされています。
しかし、3人の店員のうちの1人は窓から飛び降りた後に、1番最初に119番通報をして、さらにふらつきながらも「中にお客さんがいる」と言いながら、火災が起こっているビルの中に戻ろうとしたという証言もあります。しかし、火災が広がっていたようで、通行人に戻るのを止められています。
火災報知機の電源が切られていた
歌舞伎町雑居ビル火災の現場である明星ビルでは、火災報知機の電源が切られていました。だから、火災に気づくのが遅れたんです。
火災報知機の電源が切られていた理由は、誤作動することが多く、うるさかったからというもの。ただ、実際に火災が起こった時に作動していなければ、何の意味もないですよね。
避難器具がなかった
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ビルには避難器具を設置する義務がありましたが、3階には避難器具はありませんでした。4階には一応設置されていたものの、実質的にその避難器具を使えない状態になっていたんです。
だから、逃げようにも逃げることができずに、被害者が増えてしまったという事実があります。
このように避難器具がないことや火災報知機が作動しなかったということから、消防法が改正され、ビル管理者の責任はより重く設定されることとなっています。
階段にはたくさんの荷物が置かれていた
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歌舞伎町雑居ビル火災の現場の明星ビルでは、避難通路である階段に荷物が積まれていました。3階と4階の間は椅子やロッカーでふさがれている状態であり、4階の従業員や客は逃げたくても逃げられない状況だったんです。
もちろん、避難経路に荷物を置くのは違法行為です。
歌舞伎町雑居ビル火災は闇に葬られた!?
歌舞伎町雑居ビル火災は44人の被害者を出した大規模火災だったにも関わらず、それほどニュースでは報じられませんでした。確かに、火災が起こってすぐの時にはマスコミがこぞって報道しましたが、すぐに報道されなくなったんです。
その理由は、火災から10日後にアメリカの同時多発テロ事件が起こったからです。この同時多発テロに日本中が注目し、歌舞伎町雑居ビル火災は忘れ去られ、闇に葬られていったのです。
もちろん、警察・消防関係者は厳密に捜査をして、出火原因・放火犯人を追っていましたが、マスコミが報じなくなり、人々の記憶から歌舞伎町雑居ビル火災がなくなっていったことで、有力な情報が集まらなくなり、出火原因・放火犯人が判明せず、真相は闇の中になってしまった可能性は十分にありますよね。
歌舞伎町雑居ビル火災の跡地
歌舞伎町雑居ビル火災の跡地はどうなっているのでしょうか?火災後は東京消防庁からビルの使用禁止令が出されて、火災現場は保全され、無人ビルとなりました。その後、2006年に遺族との和解が成立したため、保全処分は解かれ、解体されています。
その後の跡地には、最初はオープンスペースを使って、韓国系の居酒屋さんが入っていました。
出典:ameblo.jp
その後はお店が変わったようで、「COCO Chiken & Ribs」という韓国系のフライドチキンなどがメニューにある居酒屋が入っています。
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1階建ての建物が建てられていて、店内で飲食できるほか、テイクアウトもできるお店となっています。
まとめ
歌舞伎町雑居ビル火災の被害者や原因、犯人、闇に葬られた理由、跡地の現在などをまとめましたが、いかがでしたか?
本当に怖い火災ですよね。放火が原因だとしたら、放火したことが直接的な原因であることは間違いありません。でも、火災報知機が作動しなかったり、階段にたくさんの荷物が置かれていたことなどの不十分なビル管理も原因の1つであることは間違いありません。
ビルなどに入る時には、まずは避難経路を確認しておく癖をつけておくと良いかもしれませんね。