危険ドラッグが世の中に蔓延しています。危険ドラッグは一部では「安全なもの」、「合法だから大丈夫」と思われていますが、それは間違いです。危険ドラッグによる死亡事件・死亡事故が多発しているのが現実なんです。
今回は、危険ドラッグの種類や症状、後遺症や怖い症例、危険ドラッグによる死亡事故・事件をまとめました。危険ドラッグに興味がある人は、危険ドラッグに手を出す前に、まずはこれを読んでください。
この記事の目次
危険ドラッグの定義とは
危険ドラッグとは、法律で規制されていないドラッグ(麻薬・薬物)を指します。合法ドラッグや脱法ドラッグと呼ばれることもあります。
覚せい剤や大麻、コカイン、ヘロイン、LSD、MDMAなどは、以前から法律で禁止されていました。でも、世の中にはこれ以外にも違法薬物と同じような症状・効果があるドラッグ(薬物)がたくさんあります。
それらの似たようなドラッグをすべて法律で取り締まるのは難しい状況であり、法律で規制されていないけれど、違法薬物と同じような効果があるドラッグを危険ドラッグ(合法ドラッグ・脱法ハーブ)と呼ぶようになったんです。
危険ドラッグはいたちごっこ
危険ドラッグは完全に取り締まることは不可能に近く、いたちごっこのような状態になっています。
なぜなら、規制された薬物とは異なるけれど、似たような構造や作用を持つドラッグが次々に作られているからです。だから、1つの危険ドラッグを規制しても、すぐに似たような危険ドラッグが生み出されるというわけですね。
日本では2013年に指定薬物を包括指定するという新しい薬事法の運用によって、似た構造の薬物を一括で規制していくことになりましたが、それでも全部を取り締まるのは難しい状況です。
ただ、摂取目的で販売したと判断される場合は「無承認・無許可医薬品」の販売として、薬事法違反での取り締まりの対象になりますが、この解釈は非常に曖昧でアバウトなので、取り締まりできないものが多いという実情があります。
危険ドラッグの種類
危険ドラッグの種類とそれぞれの症状を見ていきましょう。
1.試薬系
出典:wnyc.org
危険ドラッグの種類の1つ目は、試薬系です。デザイナーズドラッグやケミカルドラッグと呼ばれるもので、覚せい剤と似たような構造を持つものが多いです。覚せい剤の化学構造をちょっとだけ変えたものですね。
覚せい剤のデザイナーズドラッグ以外にも、MDMAや5Meo-トリプタミンのデザイナーズドラッグも作られています。フォクシーやミプティなどがこれに当たります。
2.芳香剤・アロマ系
危険ドラッグの種類の2つ目は、芳香剤・アロマ系です。アロマオイルと称して売られていることが多く、揮発させて気化したものを吸い込むタイプのドラッグになります。
3.お香系
危険ドラッグの3種類目は、お香系です。ナチュラル系ドラッグとも呼ばれ、日本では2002年に規制されたマジックマッシュルームも、これに入ります。このお香系の危険ドラッグは、植物や植物の加工品なので、「観賞用」や「お香」として販売されていることも少なくありません。
4.医薬品
医薬品も危険ドラッグの種類の1つになることがあります。睡眠薬などはきちんと医師に処方してもらい、正しい用量・用法で服用すれば、治療の助けとなるものです。医薬品自体は合法ですが、ポイントは正しい目的で正しく使うことがポイントです。
しかし、間違った使い方、つまり危険ドラッグとして使う人もいるのは事実です。
睡眠導入剤や鎮痛薬、その他市販薬などは、正しい使い方をしないと、危険ドラッグになることがあるんです。
危険ドラッグの症状や後遺症とヤバイ症例
危険ドラッグは、「合法ドラッグ」・「脱法ハーブ」と呼ばれることもありますので、「法律違反にならないなら、安全だよね」と思うかもしれません。
でも、ハッキリ言えば、危険ドラッグは間違いなく危険です。しかも、何が入っているかわからない粗悪品が多いです。だから、誤解を恐れずに言うと、麻薬や違法ドラッグよりも危険性は高いこともあるんです。
危険ドラッグがいかにヤバくて危険かは、症状や後遺症、ヤバい症例を見ればわかると思います。
危険ドラッグの症状
出典:fukushihoken.metro.tokyo.jp
危険ドラッグはどんな成分がどのくらい入っているかわからないんです。そのため、摂取した時にどのような症状が出るかは、摂取してみないとわからないというのが現実です。
ただ、わかっていることは脳や中枢神経に作用して非常に危険であるということです。
・幻覚や幻聴
・疲労感や倦怠感
・集中力の低下
・錯乱
・妄想
・意識障害
これらの症状が出てくることが多いです。さらに、最悪の場合、死に至ることもあります。
危険ドラッグの後遺症
危険ドラッグは後遺症を残すこともあります。具体的な後遺症とは、依存症になってしまうことです。
出典:fukushihoken.metro.tokyo.jp
危険ドラッグの後遺症で依存症になると、その危険ドラッグがないといられなくなり、体も心もどんどんボロボロになってしまいます。
危険ドラッグは脳に作用するものです。そして、脳細胞は一度壊れると元に戻りませんから、嘔吐や倦怠感、集中力の低下、幻覚・幻聴などの後遺症に一生苦しむことになる可能性もあるんです。
危険ドラッグの怖い症例
危険ドラッグの怖い症例をご紹介します。これを見ると、危険ドラッグが本当にヤバいことがわかると思います。まずは死亡の症例からです。
- ・自宅室内で、座った姿勢のまま死亡
- ・自宅で、血だらけになって死亡
- ・自宅やホテル室内等で、ベッドや床に横たわって死亡
次に、危険ドラッグによる奇行を見てみましょう。
・「電磁波が飛んでいる」と大声で叫びながらパンツ一枚で路上を走り回る
・神のお告げがあったと言い出す
・漫画喫茶で下半身裸の状態で、「床の隙間から男が入ってきた」と助けを求める
・「足にダニが入ってきた」と叫び出す
・「時計とエアコンが殺すと言っている」と助けを求める
・壁の中で人が死んでいると言って、壁にドライバーを突き刺す
・全裸で住居侵入をする
・全裸でコンビニに行く
・親から身体に異物を入れられたと思い、包丁で自分の腹を切り腸を引っ張り出して、全裸で外を走り回る
・ 3階から飛び降りて、下半身裸になり付近の塀を壊し自分の大便を食べる
危険ドラッグの事件や死亡事故① 池袋危険ドラッグ吸引RV暴走死亡事故
池袋危険ドラッグ吸引RV暴走死亡事故
発生日時:2014年6月24日
場所:池袋西口の路上
概要:RV車が暴走し1人死亡、6人がケガをした
2014年6月24日に池袋西口の路上で、RV車が暴走して、路上にいた歩行者を次々とはね、1人が死亡し、6人がケガをした事故がありました。
この犯人である運転者は脱法ハーブ(危険ドラッグ)を摂取した後に運転し、意識もうろうとした状態で事故を起こしたことがわかっています。
この事故で脱法ドラッグ(脱法ハーブ)という言葉から、危険ドラッグという名前に変わり、危険ドラッグの取り締まりが強化されることになりました。
危険ドラッグの事件や死亡事故② 香川県女子児童死亡事故
香川県女子児童死亡事故
発生日時:2014年1月29日
場所:香川県善通寺市の路上
概要:危険ドラッグを吸った運転手に小学5年生がはねられて死亡
2014年1月29日に、香川県善通寺市の県道で下校中の小学5年生の女子が軽自動車にはねられて死亡する事故がありました。
運転者は軽自動車を運転して郵便局に行き、危険ドラッグを受け取ります。そして、車内で危険ドラッグを吸引し、運転していると、意識がもうろうとし、体が硬直して、車が暴走し、女子児童をはねて死亡させてしまいました。
この運転手は懲役12年の実刑判決が下っています。
危険ドラッグの事件や死亡事故③ 愛知県女子高校生死亡事故
愛知県女子高校生死亡事故
発生日時:2012年10月10日
場所:愛知県春日井市の路上
概要:脱法ハーブを吸った運転手が運転するライトバンに女子高生がはねられて死亡
2012年10月10日の朝に、脱法ハーブ(危険ドラッグ)を吸った後にライトバンを運転した運転手が、女子高校生をはねた事故がありました。女子高校生は脳挫傷で同日の夜に死亡しています。
危険ドラッグを摂取することで「脳みそがクラクラする」ことは理解した上で、危険ドラッグ吸引後に運転をしていたことから、悪質であると判断され、懲役11年の実刑判決となっています。
危険ドラッグの事件や死亡事故④ 長野県危険ドラッグ暴走死亡事故
出典:twitter.com
長野県危険ドラッグ暴走死亡事故
発生日時:2014年5月14日
場所:長野県中野市
概要:危険ドラッグを使って無免許運転をして、3人を死傷させた事件
2014年5月14日に危険ドラッグを使った後に無免許で車を運転した19歳の少年は、時速126キロを超えるスピードで対向車線を逆走して車に次々と衝突し、1名が死亡、2名がケガをした事故がありました。
運転者の少年は懲役13年の実刑判決となっています。死亡した男性は3週間前に入籍し、4か月後に挙式を上げる予定だったとのことです。
危険ドラッグの事件や死亡事故⑤ 相模原障害者施設殺傷事件
出典:twitter.com
相模原障害者施設殺傷事件
発生日時:2016年7月26日
場所:知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」
概要:刃物を持った犯人が障害者施設に侵入し、19人を刺殺し、26人に重軽傷を負わせた事件
2016年7月26日に神奈川県の知的障害者福祉施設の津久井やまゆり園にに犯人の植松聖が刃物を持って侵入し、施設入所者や職員を次々に襲い、19人が死亡し、26人がケガをした事件がありました。これだけの被害者が出た事件は戦後ありませんでした。
この犯人の植松聖はやまゆり園で働いていましたが、「重度の障害者は安楽死させるべきだ」という考えを持っていたため、2016年2月19日に精神科の病院に緊急措置入院しています。
しかし、3月2日には退院して、犯行に及んだのですが、この措置入院の前後に危険ドラッグを使っていたことがわかっています。
危険ドラッグの事件や死亡事故⑥ しぇしぇしぇ危険ドラッグ死傷事件
出典:twitter.com
しぇしぇしぇ危険ドラッグ死傷事件
発生日時:2014年12月3日
場所:東京都世田谷区のマンション
概要:危険ドラッグを使った男が隣人の女性を刺して大けがを負わせた事件
「しぇしぇしぇのしぇー」という供述をした男を覚えていますか?2014年12月3日の午前7時ごろに「マンションの隣人に刺された」という110番通報があり、警察官が現場に駆け付けると、通報した女性が頭や顔にけがを負っていました。そして、隣人の田中勝彦容疑者を現行犯逮捕しています。
この田中容疑者は危険ドラッグを使っていて、逮捕後の尿検査では指定薬物が検出されています。逮捕された時にはダブルピースをして不気味な笑顔を浮かべていたり、警察での取り調べでは、「しぇしぇしぇのしぇー」など意味不明の供述を繰り返しているとのことです。
こんな隣人にいきなり刺されるなんて、怖すぎですよね。
危険ドラッグの事件や死亡事故⑦ 吉祥寺女性刺殺事件
吉祥寺女性刺殺事件
発生日時:2013年2月28日
場所:東京の吉祥寺の路上
概要:女性が少年2人に背後から刺されて死亡
2013年に吉祥寺の路上で22歳の女性が少年2人に襲われ、背後から刺されて死亡する事件がありました。財布を奪われています。
犯人の少年(日本国籍の少年とルーマニア国籍の少年)2人は、奪った財布に入っていたキャッシュカードを使ってATMで現金を引き出そうとしましたが、失敗し、数日後には逮捕されています。
この2人の少年は無期懲役となっていますが、2人の少年の所持品からは危険ドラッグが見つかったそうです。
危険ドラッグの事件や死亡事故⑧ 練馬区小学校侵入事件
出典:tok2.com
練馬区小学校侵入事件
発生日時:2012年10月22日
場所:東京都練馬区の高松小学校
概要:危険ドラッグを使った男が小学校に侵入し、児童を追いかけまわしてけがを負わせる
危険ドラッグ関係の死亡事故や事件、次は練馬区小学校侵入事件です。2012年10月22日の午前中に上半身裸の男が小学校に侵入し、校庭にいた児童を追いかけまわすという事件がありました。
脱法ハーブ(危険ドラッグ)を吸った後、スーパーで大暴れをして警察に通報したため、小学校に逃げ込んだとのことです。いくら大けがをしなかったとしても、上半身裸の男に追い掛け回され、覆いかぶされたと児童の恐怖は想像を絶するものだったと思います。
まとめ
危険ドラッグの種類や症状、後遺症、怖い事例、死亡事故や事件などをまとめましたが、いかがでしたか?
危険ドラッグは安全ではありません。合法ドラッグや脱法ハーブと呼ばれることもあるので、気軽に使えると思うかもしれませんが、危険な症状が出ますし、死亡することもあるんです。
幻覚や幻聴などの症状が出ると、殺人や傷害事件を起こすこともあります。危険ドラッグを使うことで、人を殺してしまう可能性があるんです。
そうならないためにも、危険ドラッグは絶対に手を出してはいけません。