リベンジポルノ被害の事例や芸能人5選!三鷹ストーカー殺人事件・日本の法律の構成要件や刑罰・被害件数も総まとめ

三鷹ストーカー殺人事件を機に日本でもリベンジポルノが問題になり、被害に遭った芸能人もいます。


今回はリベンジポルノの基礎知識と三鷹ストーカー殺人事件、リベンジポルノ被害防止法の構成要件と刑罰リベンジポルノ被害防止法の構成要件と刑罰、被害件数や事例を紹介します。

リベンジポルノとは

 

リベンジポルノとは、復讐ポルノとも呼ばれており、別れた配偶者や交際相手が復讐目的で、裸の画像や性行為の動画などを掲示板やSNSなどのインターネット上に流出させることです。

 

インターネット上にそれらが流出すると、不特定多数の人に画像や動画を見られることになります。

 

しかも、それを誰かがダウンロードすると、投稿者やサイト管理者が画像や動画を削除したとしても、いつ・誰が再びインターネット上にそれらをアップロードするかは分かりません。

 

そのため、リベンジポルノは半永久的にインターネット上に残り続け、デジタルタトゥーになることで、被害者を永遠に苦しめ続けることになるのです。

 

 

リベンジポルノ被害防止法のきっかけとなった「三鷹ストーカー殺人事件」とは

「リベンジポルノ」という言葉が日本で広まったのは、2013年に発生した「三鷹ストーカー殺人事件」がきっかけでした。

 

この三鷹ストーカー殺人事件が起こったことで、リベンジポルノが社会問題化して、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」が制定されました。

 

「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」は、リベンジポルノ被害防止法やリベンジポルノ対策法と呼ばれる法律で、リベンジポルノをした加害者を罰する法律です。

 

ここでは、このリベンジポルノ被害防止法が制定されるきっかけとなった三鷹ストーカー殺人事件について、詳しく見ていきましょう。

 

 

三鷹ストーカー殺人事件とは?

出典:times.abema.tv

 

三鷹ストーカー殺人事件は、東京都三鷹市の住宅街で2013年10月8日に起こった殺人事件で、現役女子高生が被害者となり、めった刺しにされて殺されました。

 

2011年頃、被害者の女性と加害者男性はSNSを通じて知り合います。

 

加害者男性は、南米とのハーフ(実際はフィリピンとのハーフ)で関西の有名な私立大学生(実際はトラック運転手)と自分の経歴を偽って、被害者の女子高生と遠距離で交際を始めました。

 

2012年秋になると、被害者の女子高生は海外留学のために、加害者に別れを切り出します。そして、2013年春に女子高生は帰国します。

 

帰国した被害者女子高生に加害者は執拗に復縁を求め、被害者は渋々加害者と連絡を取るようになりました。

 

しかし、被害者は復縁するつもりはなかったため、2013年6月には携帯を着信拒否に設定し、加害者からの連絡を絶つようになりました。

 

それでも、加害者はどうしても復縁したいために、2013年9月には関西から東京に上京。ナイフを購入し、被害者に対してストーカー行為を始めます。

 

被害者はストーカーされていることに身の危険を感じ、学校や警察に相談します。

 

事件当日の10月8日も、午前中は両親と一緒に三鷹署に相談に行き、それから高校に登校。両親はその後、仕事に行っていました。

 

つまり、事件当日は被害者が高校から帰ってくるまで、自宅には誰一人いなかったことになります。その隙をついて、加害者は被害者宅に忍び込み、クローゼットの中に隠れました

 

被害者は高校から帰宅すると、三鷹署に無事自宅に着いたことを報告する電話をかけています。

 

その電話を切った後すぐ、加害者は被害者に襲い掛かります。被害者は自宅の外に逃げますが、加害者は執拗に追いかけて、11ヶ所もめった刺しにされて、死亡しました。

 

事件発生から約1時間半後の18時30分、加害者は警察官から職務質問をされて、緊急逮捕されています。

 

ストーカー被害を学校にも相談し、家族と一緒に警察にも相談していた被害者。そして警察も、自宅に帰ったら無事であることを電話させるなど、対応としては落ち度はないように見えます。

 

それでも、この三鷹ストーカー殺人事件を防ぐことはできませんでした。まさか、自宅のクローゼットに犯人が隠れているとは思わないですから。

 

 

被害者はリベンジポルノで2度殺された

出典:girlschannel.net

 

この三鷹ストーカー殺人事件では、リベンジポルノの問題にも注目が集まりました。

 

加害者は、2013年10月2~6日にアメリカの動画投稿サイトに被害者の女子高生の性的な画像や動画を投稿していたんです。

 

それから、2013年10月5~8日に掲示板に殺人をほのめかすコメントと共に、その画像や動画のURLを投稿していました。

 

そして、2013年10月8日に三鷹ストーカー殺人事件が起こり、あまりの残忍さに日本中を震撼させました。

 

そしてこの事件の報道を見た人の中に、「あれ?そういえば、ちょっと前に三鷹で殺人するみたいな投稿があったな」と、加害者が数日前に投稿した内容を思い出した人がいたんです。

 

加害者の投稿を見直したところ、URLがついている投稿を見つけ、URLの先には被害者女子高生の性的な画像・動画があったというわけです。

 

このことは一気にインターネット上で拡散され、被害者女子高生の性的な画像・動画はたくさんの人にダウンロードされてしまったのです。

 

ストーカーに無残に殺された後、恥ずかしい写真や動画を不特定多数の人に見られてダウンロードされたことについて、裁判で被害者の母親は「娘は2回殺された」と述べています。

 

家族・両親としては、娘を殺された挙句、娘の尊厳まで踏みにじられてしまい、言葉に表しようがないほどのショックを受けたことでしょう。

 

 

リベンジポルノ被害防止法の構成要件や刑罰とは

日本でのリベンジポルノ被害防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)は、前述の三鷹ストーカー殺人事件をきっかけに、2014年11月に制定されました。

 

このリベンジポルノ被害防止法が制定されたことで、日本でリベンジポルノを罰することができるようになりました。

 

 

リベンジポルノ被害防止法の構成要件

 

リベンジポルノ被害防止法の構成要件を確認しておきましょう。

 

リベンジポルノ被害防止法の正式名称は、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」です。

 

では、「私事性的画像記録」というのはどんなものなのでしょうか?

 

① 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
 (例)異性間・同性間の性交行為、手淫・口淫行為など

② 他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 (例)性器、肛門又は乳首を触る行為など

③ 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されるものであり、かつ性欲を興奮させ又は刺激するもの
 (例)全裸又は半裸の状態で扇情的なポーズをとらせているものなど

 

 

引用:リベンジポルノ等の被害を防止するために

 

この①~③の条件に当てはまる「写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」、つまり写真やデータなどが、このリベンジポルノ被害防止法の対象になるというわけですね。

 

これらの写真やデータを次のように扱った場合、リベンジポルノ被害防止法によって罰せられます。

 

1.不特定多数・多数の人に提供した、または陳列した
2.公表させる目的で第三者に提供した

 

リベンジポルノ被害防止法の構成要件は、「性的な画像・動画をたくさんの人に見せた、もしくは見せる目的で第三者に渡した場合」ということになるでしょう。

 

 

リベンジポルノ被害防止法の刑罰

 

リベンジポルノ被害防止法の刑罰について見ていきましょう。

 

公表罪
第三者が撮影対象者を特定できる方法で、私事性的画像記録(物)を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者
 ⇒ 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

 

公表目的提供罪
公表させる目的で、私事性的画像記録(物)を提供した者
 ⇒ 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

 

 

引用:リベンジポルノ等の被害を防止するために

 

これを見ると、リベンジポルノをしても、実はそれほど刑罰は重くないことがわかります。

 

被害者は恥ずかしい画像・動画をインターネット上で晒され、不特定多数の人の目に留まって辱めを受けます。

 

さらに、ダウンロードされてデジタルタトゥーとして半永久的に残り続ける可能性も高く、いつまた誰にアップロードされるかわからないという苦しみを負うことになります。

 

それなのに、3年以下の懲役または50万円以下の罰金で済むなんて、被害者の苦しみを思うと軽すぎる気がします。

 

さらに、3年以下の懲役または50万円以下の罰金は、初犯なら実刑判決にならずに執行猶予がつくことが多いですから。

 

もちろん、このリベンジポルノ被害防止法が制定されたことで、きちんと法律に従って加害者を罰することができるようになり、大きな一歩であることは間違いありません。

 

しかしやはり、被害の重さと量刑の重さの釣り合いがとれていないようにも思えます。

 

 

リベンジポルノの事例は日本で増えている…

 

リベンジポルノ被害防止法は、2014年に制定されています。しかし、この法律が制定されたからといって、リベンジポルノが減っているわけではありません。

 

スマホが普及し、さらにInstagramやTwitterなど、写真を撮ってすぐにそれを投稿できるSNSが普及したことで、リベンジポルノの被害は増えているんです。

 

2019年に警察に寄せられたリベンジポルノの被害相談は1,479件となっています。

 

これは、2018年から9.8%も増加していて、リベンジポルノ被害防止法ができてから過去最多の件数となっているんです。

 

リベンジポルノは減るどころか増えている…つまり、法律の制定だけでは無くすことはできない犯罪ということですね。

 

「自分の身は自分で守る=性的な画像・動画を撮らせない」という意識を一人ひとりが持つことが大切なのかもしれません。

 

 

リベンジポルノの被害に遭った芸能人の事例5件

リベンジポルノの被害に遭っているのは、一般人だけではありません。芸能人・有名人もリベンジポルノの被害に遭っています。

 

日本では今のところ、明らかな芸能人・有名人のリベンジポルノはありません。週刊誌に載るような芸能人のベッド写真流出などは、リベンジポルノと同じような被害とも言えますが。

 

でも、海外には芸能人・有名人がリベンジポルノの被害に遭った事例があるんです。

 

 

1.ク・ハラさんの事例

出典:bunshun.jp

 

元KARAのメンバーであるク・ハラさんは、2019年11月に自殺しています。この自殺はリベンジポルノの被害に遭ったことが関係しているかもしれないとも言われています。

 

ハラさんは、2018年夏頃からヘアデザイナーのチェ・ジョンボム氏と交際を始めます。しかし、すぐにトラブルが起こりました。

 

チェ・ジェンボム氏がハラさんから暴行を受けたと訴えたんです。

 

ただ、この暴行はハラさんからの一方的なものではなく、喧嘩状態になり、もみ合いをしていて、チェ氏からハラさんも暴行を受けたことがわかっています。

 

しかも、ハラさんはチェ氏から、スマホに自分の性的な動画を送りつけられ、これを拡散してやると脅されたんです。

 

そして、その動画を拡散しないように土下座しながら懇願しているハラさんの様子を、チェ氏は動画で撮影し、それをインターネット上にアップしました。

 

ハラさんは、チェ・ジョンボム氏を暴行、脅迫、強要、器物損壊、性暴行犯罪(性的動画撮影)で訴えていて、控訴審にまでもつれ込んでいて、自殺するまでその裁判は続いていました。

 

ハラさんは深刻なうつ病を患っていて自殺したとされていますが、うつ病を発症するほど追い込まれたのは、このリベンジポルノ騒動が関係しているとも推測されます。

 

 

2.リアーナさんの事例

出典:movie.walkerplus.com

 

世界的に人気があるシンガーソングライターのリアーナさんは、歌手のクリス・ブラウン氏と交際していました。

 

しかし、2009年のグラミー賞授賞式当日にクリス・ブラウン氏から車の中で暴行を受けます

 

そして、その影響でマレーシア公演をキャンセルする事態になり、2人は破局しました。

 

その後、リアーナさんのヌード写真がインターネット上に流出したんです。

 

このヌード写真は、リアーナさんがセルフィ―で撮ったもので、リアーナ自身が誰かに送って、その誰かがリベンジポルノとしてインターネット上に流出させたというわけですね。

 

リベンジポルノの犯人は、高確率でクリス・ブラウン氏と言われていましたが、リアーナは告訴することはありませんでした。

 

 

3.ミーシャ・バートンさんの事例

出典:afpbb.com

 

「The O.C.」のヒロインとして人気のミーシャ・バートンさんも、リベンジポルノの被害に遭っています。

 

ミーシャ・バートンさんは、ジョン・ザカリアス氏と交際していましたが、その交際中にミーシャ・バートンさんの承諾を得ずに、ジョン・ザカリアス氏は性行為をビデオ撮影していました。

 

2人が破局後、元カレのジョン・ザカリアス氏はマスコミにその動画を売り込んで、「ミーシャ・バートンのSEXビデオ発売!」と広告が出されることになりました。

 

ミーシャ・バートンさんはすぐに訴訟を起こし、2017年には勝訴を勝ち取っています。

 

 

4.ブラック・チャイナさんの事例

出典:elle.com

 

元ストリッパーで実業家のブラック・チャイナさんは、元婚約者のロブ・カーダシアン氏にInstagramやTwitterにヌード写真を流出され、さらにセックステープもTwitterに流出しました。

 

ブラック・チャイナさんのリベンジポルノは、カーダシアン家を巻き込む騒動になっています。

 

ちなみに、ロブ・カーダシアン氏の姉のキム・カーダシアンさんも以前にセックステープが流出しています。

 

 

5.コリン・ファレルさんの事例

出典:eiga.com

 

アイルランド出身の俳優コリン・ファレルさんは、2003年頃にプレイメイトのニコール・ナレインさんと交際していて、お互いに公表しないことを条件に性行為の動画を撮影していました。

 

しかし破局後の2005年、元カノのニコール・ナレインさんがこの動画をポルノ業者を通じて販売しようとしたんです。典型的なリベンジポルノですね。

 

公開と販売の差し止めを請求しましたが、2006年にインターネット上に流出してしまいました。

 

 

まとめ

リベンジポルノ被害防止法のきっかけになった三鷹ストーカー殺人事件、リベンジポルノ被害防止法の構成要件や刑罰、芸能人・有名人のリベンジポルノ事例をまとめました。

 

・リベンジポルノは性的画像・動画を本人の許可なくインターネット上に流出させること
・三鷹ストーカー殺人事件をきっかけに日本で法律が作られた
・日本でのリベンジポルノの事例は増加している
・海外の芸能人の中にはリベンジポルノの被害に遭っている人もいる

 

リベンジポルノは法律が作られてからも、事例の件数は増えています。

 

リベンジポルノの被害に遭わないためには、どんなに好きな相手でも絶対に画像・動画を撮らせない、この一言に尽きます!

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