「広島LINE殺人事件」は16歳少女が、LINE上での些細な口論をきっかけに、元同級生の少女に集団リンチを加え惨殺した事件です。
今回は「広島LINE殺人事件」の詳細を振り返り、被害者・黒瀬恵利華さんや、主犯の野村美輝をはじめとする犯人らを顔写真と共に紹介し、裁判の判決、現在についてもまとめました。
この記事の目次
- 「広島LINE殺人事件」とは
- 「広島LINE殺人事件」の詳細① 事件の発端はLINEでの口論
- 「広島LINE殺人事件」の詳細② 被害者を騙して誘い出す
- 「広島LINE殺人事件」の詳細③ 車内に監禁し暴行を加える
- 「広島LINE殺人事件」の詳細④ 被害者を殺害後、灰ヶ峰に遺棄
- 「広島LINE殺人事件」の詳細⑤ 主犯・野村美輝が自首して事件発覚
- 「広島LINE殺人事件」の被害者・黒瀬恵利華
- 「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真① 野村美輝
- 「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真② 成田だいすけ
- 「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真③ 瀬戸大平
- 「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真④ 福井彩乃
- 「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真⑤ 持田竜也
- 「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真⑥ 荒当葉月と河野那奈
- 「広島LINE殺人事件」の裁判と判決
- 「広島LINE殺人事件」の現在
- まとめ
「広島LINE殺人事件」とは
「広島LINE殺人事件」は2013年6月28日、広島県広島市の高等専修学校生・黒瀬恵利華さん(事件当時16歳)が、元同級生の少女・野村美輝を含む16歳の少年少女6人と、当時21歳の無職・瀬戸大平によって集団暴行を受けて殺害され、広島県呉市の山・灰ヶ峰に遺棄された事件です。
「広島少女集団暴行殺害事件」「広島呉少女殺人事件」とも呼ばれます。
「広島LINE殺人事件」の詳細① 事件の発端はLINEでの口論
「広島LINE殺人事件」の発端となったのは、メッセージアプリ「LINE」上での、被害者・黒瀬恵利華さん(当時16歳)と、事件の主犯格の野村美輝(当時16歳)とのLINE上での口論でした。
2013年6月27日の深夜頃、野村美輝は友人らで作っていたLINEのグループチャットに、黒瀬恵利華さんを指して「都合がええやつ嫌い。からまん方がええよ」と批判的な書き込みをしました。
これに対し、黒瀬恵利華さんもLINEで言い返し、激しい口論に発展します。
裁判での供述によれば、この時、野村美輝が「殺したるけぇの」と送信し、黒瀬恵利華さんが「やってみぃや」と言い返すといった激しいやりとりもあったようです。
「広島LINE殺人事件」の詳細② 被害者を騙して誘い出す
この口論の最中に、野村美輝は黒瀬恵利華さんに対して怒りを募らせ、殺意までは抱かなかったものの、暴行してやろうと漠然と考え出したと、取り調べや裁判で供述しています。
野村美輝は黒瀬恵利華さんを呼び出そうと画策し、グループLINEの他の友人に、「今から遊ぼう」といった趣旨のメッセージを黒瀬恵利華さんい向けて送らせました。
黒瀬恵利華さんはこの誘いに乗り、6月28日の午前4時10分頃に呼び出し場所へ現れ、そこには呼び出し役の少女とその友人の少女(荒当葉月と河野那奈、2人とも当時16歳)が、瀬戸大平(当時21歳)が用意したワゴン車に乗って待っていました。
この時、野村美輝と、その彼氏の成田大介(当時16歳)、野村美輝の友人の福井彩乃(当時16歳)、福井彩乃の彼氏の持田竜也(当時16歳)、車を用意した瀬戸大平の5人は、近くの壁の影に隠れていました。
5人は、黒瀬恵利華さんがワゴン車に入ったところで一切に隠れ場所から飛び出して車に乗り込み、野村美輝はいきなり黒瀬恵利華さんの胸倉を掴み「われ言いたいこと言ってみぃや〜!」と恫喝、これに黒瀬恵利華さんは「離せや!触んな!」と抵抗しています。
なお、この時、黒瀬恵利華さんには1人「おじさん」が同行していたとされますが、このおじさんが何者かは不明で、先に待っていた荒当葉月と河野那奈によって追い払われています。
「広島LINE殺人事件」の詳細③ 車内に監禁し暴行を加える
犯人らは、黒瀬恵利華さんを車内に監禁した後、瀬戸大平の運転で車を発進させ、後部座席を倒してそこに黒瀬さんをうつ伏せ状態にしました。
すぐに黒瀬恵利華さんへの暴行が始まり、福井彩乃が馬乗りになって殴りつけ、その横で野村美輝が髪の毛を引っ張るなどして暴行、助手席に座っていた成田大介は後部座席に身を乗り出し、ライターで黒瀬さんの足を炙るなどの暴行を加えています。
途中、料金所に立ち寄った際、黒瀬恵利華さんが「助けて!」と叫んだため、顔を車の壁に打ち付け、タオルを口に巻いて喋れないようにしています。また、右のこめかみ、右耳、太ももへの根性焼き(タバコの火を押し付ける)も行われています。
また、犯人らは、途中にコンビニへと立ち寄り、カッターナイフを購入しており、また事前に「指紋がついたらやばい」という理由で軍手を用意しています。
犯人らは、車内で黒瀬恵利華さんの財布の中を調べ、現金約4万円を確認、「ばり(とても)持っとるじゃん〜!」「ガソリン代にしよう」などと盛り上がったようです。
さらに、キャッシュカードを確認し、犯人らは「暗証番号を言え」と執拗に脅迫。黒瀬恵利華さんは拒否、そこで野村美輝が「許したるけんはよ言え!」というと黒瀬さんは「ほんまに!?」とその言葉を信じ暗証番号を教えています。
しかし、番号を聞いた直後に野村美輝は「許すわけないじゃん!」と言い放っています。このやり取りを聞いていた瀬戸大平が盛り上がり「バリSじゃん!!」などと何度も言っていたそうです。
また、犯人らは黒瀬恵利華さんに犯人グループ1人1人に向かって順番に謝罪を強要すなどもしています。ここでも瀬戸大平は大喜びし「バリSじゃん!!まじウケる!」などと騒いでいたという事です。
その後も暴行は続き、犯人らは黒瀬恵利華さんの胸をはだけさせ、腹部にカッターナイフを刺すなどしています。
「広島LINE殺人事件」の詳細④ 被害者を殺害後、灰ヶ峰に遺棄
その後、車は広島県呉市にある灰ヶ峰という山に到着します。犯人らは車外に出ますが、この時、彼氏の成田だいすけが黒瀬恵利華さんの口を縛り付けていたタオルを優しく取っている場面を、野村美輝が目撃し、嫉妬から怒りを爆発させました。
野村美輝は、軍手を装着し、車外に引きずり出した黒瀬恵利華を殴りつけ始めます。この時の心境について野村美輝は「だいすけがえりかに優しくしていた腹が立った」「このままでは、えりかにだいすけを取られてしまうと思った」などと裁判で供述しています。
他のメンバーも暴行に加わり、成田だいすけと持田竜也が黒瀬さんを殴りつけ、瀬戸大平は黒瀬さんの身体を踏みつけるようにしていたようです。野村美輝はこの様子を傍で眺めており、この時、黒瀬恵利華さんの顔はまるでお岩さんのように腫れ上がっていたと供述しています。
その後、野村美輝らは黒瀬恵利華さんの首を絞めるなどし、最後には首の骨を折って「トドメを刺した」などと供述しています。最後に、成田だいすけと瀬戸大平が崖の斜面に向かって黒瀬恵利華さんを投げ捨てました。
犯人らはその後現場を後にし、帰り道で黒瀬恵利華さんから奪った現金4万4千円を山分けしています。また、7月1日には奪ったキャッシュカードからも現金2千円を引き出しています。
「広島LINE殺人事件」の詳細⑤ 主犯・野村美輝が自首して事件発覚
「広島LINE殺人事件」の発生した6月28日、黒瀬恵利華さんの家族が捜索願を警察に提出しています。
野村美輝は、その後、友人の女性に黒瀬恵利華さんを殺害した事を明かしています。「人をころしたんよ(原文ママ)」などと、軽いノリで切り出しており、相手の「何で殺したん?」との問いにも「わからん。はらたったけん」などと返信。
また、野村美輝は7月上旬頃に、再び灰ヶ峰の黒瀬恵利華さん殺害現場を訪れ、遺体を確認しています。これは友人に「生きているかもしれない」と言われて不安になって確認しに行ったとも言われています。
野村美輝は黒瀬恵利華さんの遺体の惨状(動物や虫に食い荒らされていた)に慄いたのか、自主を考え始めており、友人にそれをほのめかしています。
7月11日、野村美輝は自分の母親に黒瀬恵利華殺害を明かし、7月12日の昼、母親に連れられて広島東警察署に自首に訪れ、その後遺体が見つからなかったため、一旦自宅へと帰宅させられます。
その後、広島県警は本格的に灰ヶ峰の捜索を開始。この間に、野村美輝は恐ろしくなったのか友人に「逃げたいんだけど」「お金払うけん、誰か足おらん?」などと逃亡を企てています。
7月13日の朝、 野村美輝は実際に逃亡を図るも、母親の通報によって駆けつけた警察官に捕まって連行されます。同時17時20分頃、灰ヶ峰の斜面で黒瀬恵利華さんの遺体が発見され、7月14日の未明に野村美輝は死体遺棄容疑で逮捕されました。
当初、野村美輝は1人でやったと供述し、共犯者らについては口を閉ざしていましたが、野村美輝のライン履歴などから、すぐに共犯者が割り出され、他の6人も7月17日に死体遺棄容疑で逮捕されています。
「広島LINE殺人事件」の被害者・黒瀬恵利華
「広島ライン殺人事件」の被害者・黒瀬恵利華さんは、広島市立落合中学を卒業後、広島舟入商業高等専修学校へと進学、ここで犯人の野村美輝と同級生として知り合いました。当初は仲が良く、事件の少し前までは仲良く遊んでいたようです。
事件時は広島市安佐北区在住と報じられています。
出典:https://livedoor.blogimg.jp/
報道によれば、母と弟の3人暮らしで、弟にオムライスを使ってあげるような優しい子だったという事です。
野村美輝との間いに金銭トラブルや男性関係を巡るトラブルもあったとされますが、詳細は明らかにされていません。
「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真① 野村美輝
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「広島ライン殺人事件」の主犯格・野村美輝は、事件時広島市東区在住。元々は被害者の黒瀬恵利華さんの友人で、広島舟入商業高等専修学校の同級生でしたが、途中、野村美輝だけが中退しています。
その後、インターネットで知り合ったという彼氏の成田だいすけ、友人の福井彩乃とその彼氏の持田竜也、その持田竜也の友人で仕事仲間でもある瀬戸大平の4人と、賃貸住宅を借りて共同生活を送り、「ファミリー」と称していました。
担当の主任弁護士によれば、野村美輝は4歳の頃に母親が離婚し、その後は母親と祖母に厳しく育てられ、虐待を受ける事もあったそうです。また、小学6年生の頃に母親の交際相手から性的虐待を受けたともされますが、母親はその話に取り合わず、こうした生い立ちがその後の非行につながったとも言われています。
「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真② 成田だいすけ
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「広島LINE殺人事件」の主犯・野村美輝の彼氏が成田だいすけです。2人はインターネットで知り合い交際を始めたと見られます。
熊本県荒尾市在住と報じられていますが、事件時には広島市で野村美輝、福井彩乃、持田竜也、瀬戸大平ら「ファミリー」と共同生活を送っていました。
「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真③ 瀬戸大平
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「広島LINE殺人事件」で車の運転役を務めたのが、この瀬戸大平です。鳥取県立倉吉農業高等学校を中退した後、中央学園高等専修学校に入学しますがこれも中退しているようです。
鳥取県湯梨浜町在住と報じられていますが、同じく「ファミリー」の一員として広島市内で共同生活を送っていました。
持田竜也の友人とされ、一緒に仕事もしていたようです。「ファミリー」の中では唯一の成年ながら軽んじられ、「瀬戸タクシー」などと揶揄されて、足代わりに使われていたという事です。
「広島ライン殺人事件」の最中に、別件の強盗致傷事件が発覚し、8月28日に再逮捕されています。
「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真④ 福井彩乃
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福井彩乃は、野村美輝の友人で、親と喧嘩になって学校を中退し家出し、警察沙汰を起こした事で親に勘当されています。
その後、親から育児放棄を受けたと主張して生活保護を受給。その金を受け取りながら、年齢を偽って水商売系の仕事をし、広島市内に賃貸住宅を借りていました。
この福井彩乃の借りていた住宅が「ファミリー」の共同生活の場になっていました。
「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真⑤ 持田竜也
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福井彩乃の交際相手が、この持田竜也です。鳥取県米子市在住と報じられていますが、「ファミリー」の一員として広島市の福井彩乃の家に転がり込んでいました。プロボクサーを目指していたようです。
瀬戸大平の友人で仕事仲間で、無免許でありながらトラックを運転していたという事です。瀬戸大平と共に別件の強盗致傷事件にも関わっているとされています。
「広島ライン殺人事件」時、黒瀬恵利華さんの首をへし折ったのはこの持田竜也との供述が、他の犯人達からされています。
「広島LINE殺人事件」の犯人と顔写真⑥ 荒当葉月と河野那奈
荒当葉月と河野那奈は、黒瀬恵利華さんの呼び出し役を担当した16歳の少女で、車内での暴行に加わり、黒瀬恵利華さんから奪った現金もそれぞれ受け取っています。
ただし、車外での激しい暴行には積極的に関わったわけではなく、本人たち曰く「興味本位で犯行に加わった」という事で、裁判では少年院送致の保護処分が妥当と判断されています。
この2人の顔画像もネット検索すれば出てきますが、犯行には成り行きで加わった感があり、裁判でも保護処分とされているのでここでは公開しません。
「広島LINE殺人事件」の裁判と判決
「広島LINE殺人事件」の裁判と判決についても紹介します。
主犯とされる野村美輝の裁判では、弁護側は未成年である事や特殊な生い立ちなどから保護処分が妥当と主張しましたが、裁判所は「(育成環境は)犯行とは直接関係がない」「(保護処分は)社会的に許容できる事案とはいえない」として、懲役13年の実刑判決が下されています。
直接殺害に関与した成田だいすけには、懲役10年の実刑判決、犯行グループの中で唯一の成人だった瀬戸大平には懲役14年の実刑判決が下されています。
その他、福井彩乃と持田竜也、荒当葉月と河野那奈の4人にはそれぞれ、中等少年院への送致が決定しています。
「広島LINE殺人事件」の現在
「広島LINE殺人事件」の現在については、懲役の実刑判決が下った、野村美輝、成田だいすけ、瀬戸大平は、現在も刑務所に服しているはずです。
少年院送致が決まった、福井彩乃、持田竜也、荒当葉月、河野那奈の4人は、既に出て社会復帰しているはずですが、養子縁組などによって名前を変えて生活していると推測され、現在どのように生活しているのかは不明です。
まとめ
今回は16歳の少年少女らが、同じく16歳の少女を残虐な方法で殺害し社会を震撼させた「広島LINE殺人事件」についてまとめました。
主犯の野村美輝は、被害者の黒瀬恵利華さんとのグループLINE上での些細な口論が原因で怒りを募らせて暴行を計画。騙して呼び出した黒瀬恵利華さんを車で連れ去り、共犯の6人の少年少女(うち1人は成人)らと共に激しい暴行を加えて殺害、山に遺棄しました。
野村美輝ら主犯格3人は現在も刑務所に服していますが、同じように暴行に加わり、被害者の金銭も奪っている他の犯人4人は、既に送致された少年院が退院していると推測されています。
LINE上での口喧嘩が、凄惨なリンチ殺人事件に繋がったことは社会に大きな衝撃を与えました。何故、口喧嘩が殺人事件にまで発展してしまったのか、一体どこに本質的な問題点があるのか、もう1度事件を洗い直し、考え直してみる事も必要かも知れません。