嘱託殺人事件の事例9つ!意味・罪の重さや量刑・事件の背景やその後の判決も徹底解説【2020最新版】

耐えがたい苦痛を精神的もしくは肉体的に抱える人が死を望む場合でも、それを手助けすることは現在の日本では嘱託殺人という罪に問われます。

 

今回は嘱託殺人の意味、罪の重さと量刑、嘱託殺人事件の事例9つをまとめました。

嘱託殺人の意味とは

 

 

嘱託殺人とは、被害者から「私を殺してください」と頼まれて、それを実行することです。

 

つまり、加害者(犯人)は自分の意志で殺人を犯したわけではなく、被害者に頼まれたから殺人をしたということです。

 

第三者に「あの人を殺してください」と頼まれた場合は、嘱託殺人にはなりません。あくまで、被害者自身に殺害を依頼されてそれを実行した場合のみ、嘱託殺人が成立します。

 

 

嘱託殺人の罪の重さや量刑とは

 

 

嘱託殺人を犯した場合、もちろん罪に問われますが、嘱託殺人は殺人とは違い、嘱託殺人罪が成立します。

 

嘱託殺人を犯すと、量刑は次のようになります。

 

・6ヶ月以上7年以下の懲役又は禁錮

 

殺人罪は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」になりますので、嘱託殺人の罪の重さは殺人に比べて軽いことがわかります。嘱託殺人罪は殺人罪の減刑類型になるのです。

 

嘱託殺人の罪の重さが殺人よりも軽いのは、「被害者の同意」があるからです。

 

被害者自ら「私を殺してくれ」と頼んでいることから、被害者は殺人に同意しているため、殺人よりも違法性は低い、だから一般的な殺人事件よりも罪は軽くなるのです。

 

 

嘱託殺人事件の事例① ALS嘱託殺人事件

 

ALS嘱託殺人事件

発生日時:2019年11月30日

被害者:林優里さん

犯人:大久保愉一、山本直樹

判決・量刑:2020年時点で未定

 

2020年7月30日、医師免許を持つ大久保愉一と山本直樹が嘱託殺人の容疑で逮捕されました。

 

被害者の林優里さんはALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されていて、SNSなどで安楽死を望んでいることを訴えていました

 

そして、SNSを通じて知り合ったのが大久保愉一です。

 

被害者と犯人2人は連絡を取り合い、2019年11月30日に犯人2人は被害者の家を訪れ、胃ろうから鎮静剤を投与しました。

 

犯人2人は被害者宅から退室し、その後に訪れたヘルパーが自宅で亡くなっている林さんを発見しました。

 

犯行から半年以上経った2020年7月30日、犯人2人は逮捕されますが、逮捕のニュースが報道された当時は、「安楽死だった。医師による尊厳死が実行されただけ」と言われていました。

 

しかし、事件の詳細が明らかになるにつれて、犯人2人は医師免許は持っているものの、被害者の主治医ではなく、ただの嘱託殺人だったことがわかりました。

 

Twitterでのやり取りは50回以上に及び、しかも被害者は嘱託殺人の報酬として犯人の銀行口座に130万円を振り込んでいました。

 

2020年8月13日に犯人2人は起訴されていますので、裁判・判決はこれからになります。

 

 

嘱託殺人事件の事例② 名古屋安楽死事件(山内事件)

 

名古屋安楽死事件(山内事件)

発生日時:昭和36年

被害者:犯人の父親

犯人:被害者の息子

判決・量刑:懲役1年執行猶予3年

 

名古屋安楽死事件は昭和36年に起こった嘱託殺人事件で、それ以降の嘱託殺人・安楽死事件に大きな影響を与えた事件でもあります。

 

犯人の父親は脳出血を2回起こして、半身不随の状態でした。全身が拘縮し、体を少しでも動かすと激痛が走るようになっており、「苦しい、殺してほしい」と家族に訴えていました。

 

父親が苦しむ様子を見ていた息子は最後の親孝行だと、母親が父親に飲ませる牛乳の中に有機リン殺虫剤を入れ、母親はそれを知らずに毒入りの牛乳を父親に飲ませて、父親は死亡しました。

 

事件が起こった時点で、医師からは「父親はあと7日間、長くても10日間の命だろう」と言われていました。

 

この裁判で安楽死の6要件が示されています。

 

1.不治の病に冒され死期が目前に迫っていること
2.苦痛が見るに忍びない程度に甚だしいこと
3.専ら死苦の緩和の目的でなされたこと
4.病者の意識がなお明瞭であって意思を表明できる場合には、本人の真摯な嘱託又は承諾のあること
5.原則として医師の手によるべきだが医師により得ないと首肯するに足る特別の事情の認められること
6.方法が倫理的にも妥当なものであること

 

この6要件が示されたことで、その後の日本の安楽死について大きな影響を与えました。

 

 

嘱託殺人事件の事例③ 東海大学安楽死事件

 

東海大学安楽死事件

発生日時:1991年4月13日

被害者:末期のがん患者

犯人:東海大学医学部付属病院の医師(助手)

判決・量刑:懲役2年執行猶予2年

 

東海大学医学部付属病院に入院していた末期のがん患者は、がん告知をされておらず、昏睡状態になっていました。

 

その患者の家族は治療の中止を強く希望し、医師はその希望を尊重して、通常の2倍量の鎮痛剤・抗精神病薬を投与しています。

 

しかし、それでも患者の苦しそうな状態は続き、家族から「今日中に家につれて帰りたい」と頼まれます。

 

「今日中に家につれて帰りたい」とは、「元気になって連れて帰る・外泊する」という意味ではなく、「遺体になって家に帰る」という意味です。

 

そこで、医師は塩酸ベラパミル製剤を通常の2倍量投与しましたが、それでも容態に変化はなく、最後は塩化カリウムを投与して死亡させました

 

これは患者自身の要望ではなく、患者の家族からの頼みだったため、嘱託殺人ではなく、殺人として起訴されましたが、情状酌量により減刑され、懲役2年執行猶予2年の判決となりました。

 

 

嘱託殺人事件の事例④ 三重・高3女子嘱託殺人事件

 

出典:twitter.com

三重・高3女子嘱託殺人事件

発生日時:2015年9月28日

被害者:高3女子・波田泉有さん

犯人:被害者の同級生男子

判決・量刑:少年院送致

 

2015年9月28日、高校3年生の波田泉有さんは同級生の高校3年生男子に殺害されました。

 

事件当日の朝、犯人の男子高校生は自宅から包丁を持ち出し、カバンの中に入れて登校します。

 

そして、下校時に被害者と犯人は一緒に伊勢市内の虎尾山に登り、その頂上で犯人は被害者に頼まれる形で、仰向けになった被害者の左胸を包丁で一突きし、殺害しました。

 

被害者には抵抗した形跡がなく、また被害者は以前から自殺願望を周囲に伝えていて、自傷行為もしていたことから、嘱託殺人として起訴されることになりました。

 

犯人は被害者の自殺を主張していましたが、嘱託殺人容疑で家裁送致された後、少年院に送致されることになりました。

 

 

嘱託殺人事件の事例⑤ 池袋SNS嘱託殺人事件

 

池袋SNS嘱託殺人事件

発生日時:2019年9月12日

被害者:36歳の無職の女性

犯人:22歳の男子大学生

判決・量刑:懲役5年

 

2019年9月12日、東京の池袋にあるラブホテルの一室で、犯人の22歳の男子大学生が36歳の無職の女性の首を絞めて殺害しました。

 

犯人は教員採用試験に落ちて自暴自棄になっていて、SNSで自殺願望がある人の投稿を見て、「殺してあげましょうか」とダイレクトメッセージを送っていました。

 

このような形で知り合った被害者と犯人は、SNSを通じて殺害の方法や場所を相談し、9月12日の犯行に至ったのです。犯人と被害者は当日初めて会っています。

 

被害者は以前から持病に苦しんでいて、自殺願望がありました。

 

この嘱託殺人は、遺体を入れるための布団圧縮袋を用意するなど計画性が高かったため、嘱託殺人の中でも最も重い事例であると裁判で判断され、懲役5年の実刑判決が言い渡されました。

 

 

嘱託殺人事件の事例⑥ 広島・妻嘱託殺人事件

 

広島・妻嘱託殺人事件

発生日時:2019年9月3~4日

被害者:72歳の妻

犯人:71歳のタクシー運転手

判決・量刑:懲役3年執行猶予5年

 

2019年9月3日から4日にかけて、中国自動車道の安佐サービスエリアで駐車していた車の中で、夫のタクシー運転手が妻をネクタイで首を絞めて殺害しました。

 

9月3日に親戚から2人の捜索願が出され、警察が行方を捜していたところ、9月4日に安佐サービスエリアに駐車している車の中で2人を発見、近くの料金所で妻の死亡が確認されました。

 

妻は脳梗塞で半身不随になり、日頃から「この先真っ暗だ」「殺しんさい」と言うようになっていたそうです。

 

そして9月3日、車で外出した際にカバンからネクタイを取り出して、命令口調で夫に「殺せ」と何度も詰め寄ったため、夫は妻を殺害しました。

 

裁判では、検察側は懲役4年を求刑しましたが、懲役3年執行猶予5年の判決が言い渡されています。

 

 

嘱託殺人事件の事例⑦ 大阪市元交際相手嘱託殺人事件

 

出典:youtube.com

大阪市元交際相手嘱託殺人事件

発生日時:2010年12月18日~19日

被害者:21歳の女性

犯人:被害者の元交際相手の29歳男性

判決・量刑:懲役5年6ヶ月

 

2017年10月に大阪市阿倍野区内のマンションのベランダで、下着だけを身に着けた女性の白骨死体が発見されました。

 

このマンションに住んでいたのは犯人の男性であり、白骨遺体の女性は犯人の元交際相手の女性であることがわかりました。

 

犯人の男性はずっとこの部屋を借りていましたが、家賃を滞納していたため、家賃保証会社の社員が部屋に入ったところ、白骨化した遺体を発見しました。

 

2010年12月頃に被害者の女性は殺害されていて、それから約7年間にもわたり、殺害現場のマンションのベランダに放置されていたことになります。

 

その間、犯人の男性はその部屋に住み続けており、遺体と同居していたことになります。

 

さらに、2015年には犯人の男性は結婚していて、殺害現場となったマンションの部屋で新婚生活を始めていました。

 

ベランダに遺体が放置されたままになっていましたが、犯人の男性は妻には「ベランダは下水の臭いがするから、ベランダのドアを開けるな」と言っていたそうです。

 

新婚生活を殺害現場で始める犯人もちょっと考えられないですが、下水の臭いがするからと言われて、妻が1回もベランダに出ないのもちょっと考えにくいですね。

 

しかも新婚生活は2人きりではなく、「元カノ」の遺体と一緒というカオス具合です。

 

この殺人は被害者が犯人に頼んだことで行われたものだ、と犯人は主張しています。

 

「オレはあゆみの希望通りにしただけ。あゆみが望むことなら何でもしてやりたいと思っていた。オレも後追い自殺するつもりだったが、死にきれなかった。遺体は風呂場に置いていたが、臭いが気になるようになったため、毛布で巻いてベランダに移した」

 

引用:元恋人の白骨死体と7年間同居した男@大阪市阿倍野区 | リアルライブ

 

被害者の女性は犯人に対して、「殺して」と言っていたようです。

 

そして、犯人は後追い自殺、つまり心中するつもりだったけれど、死にきれず、7年間も遺体と同居しながら、新婚生活を送っていたようです。

 

裁判では次のように断定されました。

 

目の前で遺書を作成されるなど、被害者から『殺してほしい』と言われたのを本心だと誤信した可能性がある

 

引用:元恋人の白骨死体と7年間同居した男@大阪市阿倍野区 | リアルライブ

 

おそらく、被害者女性は本当に犯人に「殺して」と言ったのでしょう。

 

しかし、被害者の女性は本当に死ぬつもりはなかった、いわゆる「メンヘラ&かまってちゃん」だった可能性があります。

 

「殺して」ということで自分に注目してほしかった、自分を心配して欲しかっただけなのに、犯人の勘違いで殺されてしまったようです。

 

この嘱託殺人事件は、2019年に懲役5年6ヶ月の実刑判決が言い渡されました。

 

 

嘱託殺人事件の事例⑧ 福島母子承諾・嘱託殺人事件

 

出典:asahi.com

福島母子承諾・嘱託殺人事件

発生日時:2020年1月21日~22日

被害者:吉川美奈子さんと3人の子供

犯人:被害者の交際相手の緑川雅孝

判決・量刑:懲役8年

 

2020年1月21日の夜から22日の未明にかけて、犯人の緑川雅孝は、福島県いわき市内にある水石山公園の駐車場に駐車した車の中で犯行に及んでいます。

 

被害者は、交際相手だった吉川美奈子さん(当時43歳)と長男の歩夢さん(15歳)、長女・次女の茅乃さん・海音さん(13歳)の4人で、それぞれの首を包丁で刺して殺害しました。

 

犯人と被害者4人はアパートの隣同士の関係でしたが、実質は家族のように同居生活をしていました。

 

被害者の吉川美奈子さんは住宅リフォーム会社を経営していましたが、経営に行き詰まり、借金が600万円にまで膨れ上がっていたようで、子供たちとの心中を考えるようになりました。

 

そして、自分たちの殺害を交際相手の犯人に依頼し、犯人に殺されたというわけです。

 

13~15歳の子供たちも、殺されることに同意していたとのことですが、裁判では裁判長からこのように指摘されています。

 

名島亨卓裁判長は判決理由で「子どもたちが積極的に死を望んでいたとは到底認められない。短絡的な犯行で、4人の命を奪った結果は重大だ」と指摘。「子どもたちが父のように慕っていた被告から心中を持ちかけられた絶望感は無視できない

 

引用:福島の母子4人刺殺で懲役8年 承諾・嘱託殺人で判決  :日本経済新聞

 

確かに、13~15歳の子供たちが母親と父親のような存在だった犯人に死ぬように誘われる、むしろ死ぬことを強要されたら「NO」とは言いにくいですよね。

 

犯人は、2020年8月に懲役8年の実刑判決を言い渡されています。

 

 

嘱託殺人事件の事例⑨ 千葉市交際女性嘱託殺人事件

 

千葉市交際女性嘱託殺人事件

発生日時:2017年12月9日

被害者:平山麗蘭さん

犯人:交際相手の川崎圭介

判決・量刑:懲役3年6ヶ月

 

2017年12月9日に千葉市稲毛区のマンションの一室で、そのマンションの住人の平山麗蘭さんが遺体となって発見されました。犯人は交際相手の川崎圭介です。

 

2人は交際していましたが、一緒に自殺することを話し合うようになったそうです。

 

そして練炭を用意しましたが、被害者の女性から「最後は圭介君の手で終わらせてほしい」とお願いされたため、犯人が被害者の首を絞めて殺しています。

 

実は犯人は結婚していて被害者とは不倫関係でしたが、自分が結婚していることは被害者には隠していました。

 

また、犯行後はバンドのメンバーと年末公演の打ち合わせをしたり、妻に連絡を取ったりするなど、自殺を考えていたとは思えない行動をしていました。

 

そのため、本当に嘱託殺人だったのか?犯人は被害者と自殺するつもりがあったのか?などが 裁判の量刑のポイントになりました。

 

検察側は嘱託殺人ではなく、殺人罪を適用するように求めましたが、嘱託殺人罪が適用され、懲役3年6ヶ月の判決が言い渡されています。

 

 

まとめ

嘱託殺人の意味や量刑・罪の重さ、嘱託殺人事件の事例をまとめましたが、いかがでしたか?

 

想像以上に嘱託殺人事件は起こっているんですね。

 

・嘱託殺人とは被害者に殺すように頼まれて殺害すること
・嘱託殺人罪の量刑は殺人罪よりも軽い
・嘱託殺人事件は意外とたくさん起こっている
 
日本の法律では安楽死が認められていませんので、どんな事情があるにせよ、嘱託殺人は罪に問われるのです。

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