昭和の時代を代表する漫画家の1人、松本零士さんの妻として知られる人気少女漫画家の牧美也子さんが話題です。
この記事では牧美也子さんの若い頃の作品の紹介や、旦那さんの松本零士さんとの馴れ初めや結婚、子供の有無、現在の活動などについてまとめました。
この記事の目次
牧美也子のプロフィール
牧美也子のプロフィール
生年月日:1935年7月29日
出身地 :兵庫県神戸市
牧美也子さんは1960年代から活躍する少女漫画家で、1974年の日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した「緋紋の女」(原作は池田悦子さん)、1988年の小学館漫画賞に輝いた「源氏物語」、テレビドラマ化もされた「悪女聖書」(原作は池田悦子さん)などの代表作が有名です。
また、「銀河鉄道999」、「宇宙戦艦ヤマト」などの数々の大ヒットSF作品で知られる漫画家の松本零士さんの妻としても知られています。
牧美也子さんは、大阪府立高津高校を卒業後に銀行に就職しています。銀行では良い先輩や同僚に恵まれてとても楽しかったそうなのですが、神戸で卸問屋を営んでいた実家が人手不足になり、泣く泣く銀行を辞めて実家を手伝う事になったそうです。
この頃に、牧美也子さんは漫画表現に興味を持つようになり、実家の仕事のかたわら作品を描いては出版社に送るようになり1957年に「母恋ワルツ」で漫画家としてデビューし、仕事の依頼も受けるようになります。
そして、20代前半で上京して本格的に漫画家として活動をはじめ、「りぼん」や「マーガレット」などの少女向け週刊漫画誌を中心に数々の作品を発表。その後、1960年代に入ってからは、さらに上の年齢層向けのレディース誌でも活躍し、当時は女性向けの漫画としては前衛的であった官能的な作品の先駆者となりました。
若い頃は、当時の10代〜20代の女性を中心に支持を集め、タカラの着せ替え人形「リカちゃん」のデザイン監修にも携わっています。
今回はそんな牧美也子さんの若い頃の代表作品や、旦那さんの松本零士さんとの馴れ初めや結婚などについて紹介していきます。
牧美也子と松本零士の馴れ初めと結婚
数々の大ヒット作品、名作を生み出した牧美也子さんですが、昭和の時代を代表する漫画家である松本零士さんの妻としても知られています。
牧美也子さんと松本零士さんは1962年に結婚されています。1961年に結婚したという説や、1963年に結婚したという説もあるのですが、笠原博さんの著作「松本零士マンガの魅力 – 松本零士大いに語る」に1962年に結婚と書かれているので、こちらが正しい情報である可能性が高いようです。
牧美也子さんと松本零士さんとの馴れ初めについては、「鉄腕アトム」、「火の鳥」などで知られる漫画界のレジェンドである手塚治虫さんの自宅で出会った事が明かされています。
松本零士さんは18歳の頃から手塚治虫さんのアシスタントを務めていたので、漫画家同士の繋がりが馴れ初めとなったようです。
また、松本零士さんは2016年に「徹子の部屋」に出演した際に牧美也子さんとの馴れ初めについて、「家が近かったので会う回数が多かった」とも話されていました。
牧美也子さんと松本零士さんは漫画界でもオシドリ夫婦として有名で、「わたしのエル」、「心よ海をゆけ」、「銀のキノコ」などの共作の漫画作品も多くあります。
2015年から2017年にかけては、展覧会「松本零士×牧美也子 夫婦コラボ展」が、広島や神戸など夫婦ゆかりの地域で開催され大きな話題を呼びました。
牧美也子と松本零士の子供
牧美也子さんと松本零士さんの子供については、これまでに1度も情報が明かされた事はなく存在の有無も含めて不明です。
ただ、牧美也子さんと松本零士さんは、昔から何頭もトラジマ柄の猫を飼われていて、代々「ミーくん」という名前をつけて本当の子供のように愛情を注がれています。この事から牧美也子さんと松本零士さんの間には子供はおらず、この愛猫のミーくんが子供のような存在なのかも知れません。
ちなみに、夫婦が子供のように可愛がられているこの猫は松本零士さんの猫漫画「トラジマのミーめ」で主人公として描かれているので、ファンの間ではよく知られた存在です。
松本零士さんの公式Twitterはこの猫のミーくんがつぶやいているという設定になっているのですが、このアカウントでは牧美也子さんと松本零士さんの若い頃の貴重な画像も紹介されていました。
書庫でパパとママを発見!
— ミーくん@零時社/松本零士 (@leijisha) March 7, 2020
1968年3月だって。
1代目のミーくん様もいるニャ。#松本零士 #零時社 #猫のいる生活 pic.twitter.com/4Vpn5pmzHX
牧美也子の若い頃の作品① 母恋ワルツ
牧美也子さんの漫画家としてのデビュー作品が1957年に発表されたこの「母恋ワルツ」です。
「バレエ漫画」の先駆けともいわれている作品で、生き別れた母娘の物語を軸にバレエ要素が絡められた王道的なストーリーです。
名作として知られていますが、残念ながら現在のまでに新装版などは発行されておらず、当時の単行本はファンの間ではプレミアがついて高値で取引されています。
牧美也子の若い頃の作品② 母恋真珠
出典:https://matsuzakiakemi.up.seesaa.net/
牧美也子さんのデビュー第2作目が「母恋真珠」という作品で、こちらも1957年に発表されています。
母親と小さな島で暮らす主人公の千秋と生き別れになった双子の妹の千春との数奇な運命を描いた当時流行していた双子モノの作品です。こちらも単行本は貴重で高値で取引されています。
牧美也子の若い頃の作品③ マキの口笛
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牧美也子さんの若い頃の代表作がこの長編「マキの口笛」で、1960年から1963年まで「りぼん」で連載されていました。
主人公のマキは、銀行に勤めるゆうこおねえさんと2人で暮らしています。そんなマキは日本を代表する女優の谷みゆきに憧れています。
そんなある日、マキはこの谷みゆきが自分の実の母親である事を知ります。実は、マキの外交官だった父親は、マキがまだ幼い頃に交通事故で亡くなっており、マキ自身もよちよち歩きだった幼い頃に車道に飛び出してしまって車に轢かれそうになり、当時バレリーナだった母親のみゆきはそれをかばって怪我を負って踊れなくなり、バレエの道を諦めて女優になっていたのでした。
そして、そんな母・みゆきは白血病に冒されてしまい、死ぬ前にマキにママに呼ばれたいと願い、再開を果たします。
みゆきは、残り少ない命を使って、必死にマキにバレエのレッスンをします。母の想いに応えようと頑張るマキの姿を見て、みゆきは娘が自分の果たせなかったバレリーナの夢を叶えてくれると確信し、静かに息を引き取りました。
という王道ストーリーの「マキの口笛」は、少女漫画として王道なストーリーと、バレリーナの世界を本格的に描いた長編作品として、現在も伝説的作品として知られています。
この作品は2006年に完全復刻版が発売されています。
牧美也子の若い頃の作品④ りぼんのワルツ
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「りぼんのワルツ」は、1963年に「りぼん」で発表された作品で、赤ちゃんの取り違え疑惑をテーマにした重い内容の作品です。
美麗なイラストによって登場人物の心理描写が緻密に描かれており、また回想シーンを駆使して時系列を逆転させる手法など、牧美也子さんの作家としての高い技術がふんだんに盛り込まれた作品となっています。
牧美也子の若い頃の作品⑤ 緋紋の女
「緋紋の女」は、週刊誌「女性セブン」で、1972年に連載された大人向けの作品です。
原作は数々のヒット作で知られる池田悦子さんで、牧美也子さんとはこの作品で初めてコンビを組んでいます。
幕末から明治の時代を舞台に、己の血筋や勤王の志士への愛から、彼との子供を連れて身を引く主人公の生き様を描いた内容の濃い作品で、1974年の日本漫画家協会賞の優秀賞に輝いています。
牧美也子の若い頃の作品⑥ 星座の女
「星座の女」は、1973年から1974年にかけて、女性向け週刊誌「女性自身」で連載された作品です。
それぞれの星座の女性を主人公に、同じ出発点でも生まれ持った星からその後の人生が大きく変わっていく様を緻密に描いたオムニバス作品集です。
牧美也子さんはこの作品で、モントリオール国際コミックサロンコンテストで第1位に輝いています。
牧美也子の若い頃の作品⑦ 源氏物語
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牧美也子さんの「源氏物語」は、1988年から1990年にかけて「ビッグフォアレディ」で連載され、「桐壺」から「藤裏葉」までを美麗な筆致で描いた大作です。
牧美也子さんはこの作品で1988年の小学館漫画賞を受賞されています。
この牧美也子さんの源氏物語は、2002年にディアゴスティーニから刊行された「週刊 ビジュアル源氏物語」に毎週付録掲載され、この時に読んでこの作品にハマったという方も多かったようです。
牧美也子の若い頃の作品⑧ 悪女聖書
牧美也子さんの代表作の1つとして知られる「悪女聖書(あくじょ・ばいぶる)」は、週刊誌「女性自身」で、1984年から1987年にかけて連載された作品で、単行本全27巻におよぶ大長編の大作です。こちらの作品も原作は池田悦子さんが担当されています。
この作品は、主人公の父親である栄一と継母である文江の結婚式から始まり、その結婚式の最中に栄一の子供を妊娠していた女(結婚を理由に栄一に捨てられた)が自殺。その遺体から作品の主人公である根津業子が生まれ落ちるという衝撃的なシーンからスタートします。
主人公は、栄一と文江の子供として育てられる事になりますが、業を背負った子供として疎まれて「業子(読みは”なりこ”)」と名付けられ、使用人のような酷い扱いを受けます。
悲惨な環境で育った業子は、どんな手を使っても幸せになりたいという思いを強めるようになり、生まれ持った美貌と策謀を武器に欲望を満たし、また自分を陥れようとする人々への復讐に執念を燃やします。
かなりドロドロとした作品なのですが、圧倒的な展開に引き込まれてしまいます。
1988年には高樹沙耶さん主演でテレビドラマ化もされています。
また、続編として「悪女聖書PART2」、「悪女聖書II」、「新世紀悪女聖書」が発表されていますが、これらは本編とは直接のつながりのない別の世界線を描いた作品となっています。
牧美也子の現在
牧美也子さんは2022年の誕生日で87歳を迎えます。
ご高齢という事もあってか現在は漫画家としての活動はあまり多くはないようですが、元気にされているようです。
現在は、東京都練馬区の西武鉄道大泉学園駅から車で10分ほどの場所にある制作スタジオ兼自宅である「零時社」に夫婦で住われているそうです。
2022年4月に、2人と同世代の大物漫画家である藤子不二雄Aさんが亡くなられた時には、牧美也子さんと松本零士さんが連名でコメントを発表されていました。
友であり、同志であり、先輩である、
— ミーくん@零時社/松本零士 (@leijisha) April 7, 2022
藤子不二雄(A)先生ご逝去の訃報に接し、
驚き、悲しんでいます。
昭和から平成、そして令和へと、
同じ時代を(A)先生と過ごせたことは
奇跡以外の何ものでもありません。
心よりご冥福をお祈りいたします。
松本零士 牧美也子
まとめ
今回は、松本零士さんの妻で「緋紋の女」、「悪女聖書」、「源氏物語」などの数々の代表作品で知られる漫画家の牧美也子さんについてまとめてみました。
牧美也子さんは若い頃は銀行員を経て漫画家になった経歴を持ち「りぼん」や「マーガレット」などの少女漫画誌から、大人女性向けのレディース誌、女性向け週刊誌などでも幅広く作品を発表し、数々の漫画賞を受賞されています。
旦那さんの松本零士さんとの馴れ初めについては、手塚治虫さんの仕事場で知り合い、お互いの家が近かった事から親しくなって1962年に結婚されています。
牧美也子さんと松本零士さんの間に子供がいるのかは明かされておらず不明ですが、夫婦は若い頃からトラジマ柄の猫を子供同然に可愛がられているので、夫婦の間の子供はいない可能性が高いようです。
現在については、2022年の誕生日で87歳という高齢もあってか、新たな作品発表などの大きな動きはしばらくはないようですが、元気にされているようです。