「千葉少女墓石撲殺事件」は偽装結婚した妻である石橋裕子さんを犯人の石橋広宣が殺害した事件ですが、動機や判決も注目を集めています。
今回は事件の犯人と被害者の関係や動機、殺害の経緯や現場、犯人の判決や現在をまとめました。
この記事の目次
千葉少女墓石撲殺事件とは
「千葉少女墓石撲殺事件」とは、2003年10月1日の午前7時10分頃、千葉市若葉区の墓地駐車場で、当時16歳だった少女の遺体が発見された殺人事件です。
現場付近をジョギングしていた男性が、少女の遺体を発見したことで事件が発覚しました。
少女は頭部を鈍器で殴られた上、火をつけられ燃やされていたことから、遺体の損傷は激しい状況でした。
千葉県警は、若葉区千城台西で運転手をしていた、少女の夫で当時22歳の男を逮捕しました。
その他、共犯として当時18歳の高校3年生の男子生徒など4人も合わせて逮捕されています。
千葉少女墓石撲殺事件の被害者は当時16歳の少女・石橋裕子さん
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前述のように、少女の頭部は鈍器で破壊されて遺体は燃やされていたことから、遺体の損傷はひどいものでした。
ただ、身につけていたアクセサリーや、わずかに残っていた右手の指紋などから、 千葉市若葉区千城台在住の石橋裕子さん(当時16歳)だと判明しました。
事件当時、テレビでの報道で石橋裕子さんの制服姿が流れ、とても明るい笑顔を見せているごく普通の女子生徒のように見えました。
石橋裕子さんは幼い頃から活発な性格で、中学時代にはハンドボール部に所属していました。
しかし、部活を引退した3年生の秋頃から生活態度が豹変し、不良グループと付き合うようになっていたとされています。
千葉少女墓石撲殺事件の犯人は被害者の夫・石橋広宣
「千葉少女墓石撲殺事件」の犯人は、石橋広宣(当時22歳)です。
”石橋”の苗字は石橋裕子さんと偽装結婚したことによるものですが、石橋裕子さんの家族は婚姻関係を結んでいた事実を事件が起きるまで知らなかったようです。
石橋広宣は当時、消費者金融から300万円ほどの借金を抱えており、石橋裕子さんと偽装結婚して苗字を変えることで、借金を踏み倒す戸籍ロンダリングをしていました。
石橋広宣は石橋裕子さんと結婚する以前にも、別の女性と偽装結婚して借金を踏み倒すなど、常習犯でした。
千葉少女墓石撲殺事件の詳細と犯人・石橋広宣の殺害動機
石橋裕子さんは石橋広宣と偽装結婚した
石橋裕子さん私立高校に進学しましたが、1年生の10月頃に突然自主退学をして、その後カラオケ店でアルバイトを始めました。
石橋裕子さんはアルバイト代が安いことに不満を感じ、水商売をして稼ごうと考えましたが、当時16歳の未成年だったことから、そうしたお店で雇用されることは不可能でした。
仲間だった石橋広宣はこれに目をつけて、自分と偽装結婚をして民法上の成人になれば水商売でも働けると、石橋裕子さんに持ちかけました。
実際はたとえ結婚しても成人扱いはされないのですが、それを知らない石橋裕子さんはまんまと口車に乗ってしまい、2003年7月に偽装結婚をしてしまいました。
そして石橋裕子さんは、違法なキャバクラで働き始めました。
石橋裕子さんは偽装結婚を通報しようとした
石橋広宣は結婚してあげたことの見返りとして、石橋裕子さんに上納金を要求します。
石橋裕子さんは初めのうちはこの要求に応じていましたが、次第に金銭トラブルに発展していきました。
そして、石橋裕子さんは偽装結婚したことを警察にバラすと石橋広宣を脅すようになります。
以前に事件起こして執行猶予中だった石橋広宣は、警察沙汰を起こすことは刑務所行きを意味していました。
石橋裕子さんの態度にキレた石橋広宣は、石橋裕子さんの殺害を決めます。
そして、当時未成年だった仲間4人にも、過去に共犯で起こしていた窃盗事件を石橋裕子さんにバラされると嘘をつき、犯行に加担させたのです。
石橋裕子さんは石橋広宣らに殺害される
2003年10月1日午前3時過ぎ頃、石橋広宣は仲間4人と地元近くの駐車場内で石橋裕子さんをリンチした上で、重さ70kgの墓石用の石材を顔の上に落として殺害しました。
そして、石橋裕子さんの遺体にライターオイルを十数本分かけて火を放ち、その場から逃げています。
ジョギングをしていた男性が石橋裕子さんの遺体を発見した時は、下半身が炭化していましたが、まだ火がついていたようです。
殺害時の詳しい状況を以下に引用します。
「ひろ、助けて…ひろ…」
午前3時過ぎ。
暗闇の墓地に、か細い声だけが聞こえていた。
最後の力を振り絞って命乞いをする少女の傍らで、5人の男が地面に横たわるその少女を見下ろしていた。
「しぶといな。」
誰かがそうつぶやいた。
男たちは、その場にあった墓石用の石材をつかむと、少女の頭部にめがけて投げ始めた。
ひとつ、ふたつ・・・
そして、重さ60キロにもなる大きな石材を二人がかりで持ち上げると、そのまま少女の頭部に落とした。
静かになった少女に、わざわざ万引きしに行ったライター用のオイルを大量にふりかけ、そのまま火をつけた。燃え上がる火の中に、返り血を浴びた服や、少女の持ち物も次々に投げ入れた。
火の勢いは衰えず、少女の躰を焼き続けた。
石橋広宣が逮捕される
事件発覚後、石橋広宣は自ら警察に情報提供するなどして、身の潔白を証明するような行動をしています。
そして、マスコミの取材が殺到すると、まるで被害者のような口調で受け答えをしていました。
しかしそのコメントは違和感があり、インタビューを見た全国の視聴者の誰もが、犯人は石橋広宣ではないかと疑いの目を向けるものでした。
ほどなくして、警察は石橋広宣が石橋裕子さんと偽装結婚をしていた事実を把握。
さらに、近所のスーパーやコンビニなどで、石橋広宣らが大量にライターオイルを購入または万引きしていた様子が防犯カメラに映っていたことから一斉逮捕となりました。
石橋広宣は逮捕当初、犯行を否定していましたが、仲間の少年らが自供を始めたことから観念して犯行を認めました。
千葉少女墓石撲殺事件の犯人・石橋広宣の判決
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2005年2月23日、石橋広宣の判決公判が千葉地裁で開かれました。
・暴行は想像を絶する残虐さ
・自己中心的で幼稚極まりなく、動機に酌むべき点は無い
・確定的殺意に基づく極めて残虐な犯行で、矯正は不可能
上記の3点の理由から、求刑通り無期懲役となりました。
その後、一旦は控訴するものの、石橋広宣側が控訴を取り下げたことから刑が確定しました。
また、犯行に加わった仲間の少年らのうち、3人に殺害と遺体損壊の罪により5年から10年の不定期刑、残り1人に3年から7年の不定期刑の処分が下りました。
千葉少女墓石撲殺事件が起きた現場
石橋広宣が起こした「千葉少女墓石撲殺事件」の殺害現場は、現在は千城台はニュータウンとして開発が進んでいますが、その一方で裏手の方にはとても古い市営住宅団地が広がっています。
石橋広宣はこうした貧困家庭の出身であり、この辺りの住民はガラの悪い者が多いといいます。
また、義務教育が当たり前の現代でありながら、漢字を読めないような不良たちが集まっており、治安の悪い地域として知られているようです。
事件の当事者たちは全員、市営住宅の出身者だった。石橋さんの働いていた風俗店も千城台にあった。次に偽装結婚する予定だったという別の16歳の少女を取材した。彼女もやはり、市営住宅出身者だった。彼女に事件をコピーした記事を見せた際、「漢字、読めないから」と言われて強い衝撃を受けた。主犯の夫と族仲間だったという不良3人にも取材したが、やはり漢字が読めず、全員が無免許と自慢げに語っていた。「21世紀の日本で、こんなことがあり得るのか…」。それが当時の印象だった。
引用:【“貧困”無間地獄の現場】(05) 2003年『千葉少女墓石撲殺事件』の舞台――不良だらけの荒れた街が老人だけの枯れた街に
日本で最も劣悪な部類に入る環境で育った石橋広宣らは、まともな道徳観念は一切持っておらず、石橋裕子さんを殺害したことも全く反省の色を見せていなかったと言われています。
千葉少女墓石撲殺事件の犯人・石橋広宣の現在
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石橋広宣がどこの刑務所に収監されているのかは明かされていませんが、無期懲役のため現在も服役中だと思われます。
ただし、共犯の少年たちは、3人が5年から10年、遺体損壊に加わらなかった1人が3年半から7年の不定期刑とされているため、現在は4人とも出所しています。
まとめ
戸籍ロンダリング目的で偽装結婚して妻となった石橋裕子さんを、夫である石橋広宣が殺害した「千葉少女墓石撲殺事件」についてまとめてきました。
石橋広宣が刑務所内で更生するとすれば、多くの読書をして常識や知識を身につけることで実現するかもしれません。
終身刑ではないので、模範囚になればいつかは出所する可能性もありますが、石橋広宣には少しでも真っ当な道徳観をきちんと体に刻んでから出てきて欲しいものです。
最後に、石橋裕子さんのご冥福をお祈り申し上げます。