ネット史上最大の画像流出事件と言われている「ケツ毛バーガー事件」。当時はネット掲示板2ちゃんねるや人気SNSであった“mixi”で、お祭り騒ぎに発展し、なんとmixiの株価を大暴落させるまでに……
今回はそんな「ケツ毛バーガー事件」の詳細や事件のその後、そして被害者の現在についてまとめました。
この記事の目次
「ケツ毛バーガー事件」とは~ネット史上最大の流出事件とも言われている
出典:https://www.jalan.net/
いわゆる「ケツ毛バーガー事件」とは、2006年10月に起こったコンピュータウイルスによるデータ流出事件の通称です。そのあまりの痛ましさから、当時ネット上を中心に大変な騒ぎになりました。
また、この事件を深刻化させる一因となった、当時人気のソーシャル・ネットワーキングサービス“mixi”のシステムや対応に批判が集まった結果、株価の暴落にも繋がり、遂には一般紙でも大きく報道されることになりました。
「ケツ毛バーガー事件」の概要~ネットに卑猥な写真が流出した経緯
ネット史上最大の流出事件と言われている「ケツ毛バーガー事件」は、当時、三洋電機に勤務していたエリート男性社員が、ファイル共有ソフト「Share(シェア)」の使用により、暴露ウイルスの一つ“キンタマウイルス”に感染したことに端を発します。
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この男性社員は、ウイルスに感染したことに気付かないまま、パソコンの使用を続けていたことから、このパソコン内に保存されていた三洋電機の内部資料やプライベート写真、個人情報などがネット上に流出することに……
さらに悲惨なことに、流出したデータの中には、当時交際していた徳島県警少年課に勤める女性の卑猥な画像や動画などとともに、本名などお互いの個人情報も含まれていたのです。
それに加えて、当時人気のあったソーシャル・ネットワーキングサービス“mixi”に、二人が実名で登録していることが判明し、身元まで知れ渡る結果となってしまいました。
他人には見せられないプライベートが画像というだけでも、一部のネット住民には恰好の拡散ネタなのですが、その画像に個人情報までヒモ付いてしまったこと。さらに、被害女性が徳島県警の少年課補導員というお堅い職業についていたことや、男性が一流企業の社員だったことも、さらに拡散を促進する結果になったのかも知れませんね。
「ケツ毛バーガー事件」の名前の由来
では、なぜこのプライベート画像流出事件が、「ケツ毛バーガー事件」などというヘンテコな名前で呼ばれるようになったのかと言うと、流出した画像の一枚が、お尻の間に陰毛が挟まっているように見えたことから名付けられたようです。
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ただ、このネーミングの面白さが、さらなる拡散を呼ぶことになり、また、現在でも多くの人々の記憶に残り続けている要因になっていると言えるのではないでしょうか。
実際、事件が起きて10年以上も経過しているにもかかわらず、いまだにこの事件を話題にする人も少なくないようです。
例の炎上でふと、昔ケツ毛バーガー事件ってのがあったなあと思い出した
— 涼 (@kingleo303) 2018年2月7日
ネットに画像が流出するって 怖い事なのね
10年以上経過しても、検索すれば事件の概要と画像が出てきちゃうんだもんね
こわいこわい
定期的に掘り起こされてしまうせいで風化されないケツ毛バーガー事件
— 小岩井 (@uncbroblizrd) 2018年1月26日
「ケツ毛バーガー事件」の被害者・村岡万由子さんと彼氏の詳細
この「ケツ毛バーガー事件」の被害者は次の二人です。さらに言えば、この二人のご家族も相当な精神的苦痛を受けられているはずですので、立派な被害者と言えると思うのですが、ひとまずここでは置いておくことにします。
ケツ毛バーガー事件の被害者① 村岡万由子さん
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まずは、他人には決してみせられないプライベートな画像が、ケツ毛バーガー事件によってネット上に広く流出してしまった本人である、村岡万由子さんが何と言っても一番の被害者だと言えますね。
村岡万由子さんは、大阪府堺市の出身ですが、事件当時は徳島県警の少年課補導員として勤務されていました。
流出した写真は、交際相手である男性の趣味で撮影されたものと言われており、噂によると写真だけでなく動画まで流出してしまったようです。
ちなみに、写真や動画の中にはカメラ目線のものがあることから、男性による隠し撮りなどではなく、村岡万由子さんの同意の下で撮影されたものであると考えられています。
また、この流出によって、村岡万由子さんの具体的な経歴まで広く知られることになりました。検索すれば簡単に出てくるので、ここではご本人の名誉のために、あえて引用することは控えます。
しかし、経歴を見てみると、大学では心理学を、さらに大学院では教育学を学び、卒業後は徳島県警の少年課補導員として地域の少年達の非行防止や保護のために尽力されていた様子がうかがえるんですよね。
事件後は、やはり補導員を辞められたようで、その悔しさはいかばかりだったことでしょう。
ケツ毛バーガー事件の被害者② 白鯛素久さん
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暴露ウイルスによって、会社の内部資料やプライベート画像、個人情報などをネット上に流出させられてしまった、三洋電機の男性社員は、白鯛素久さんという方です。
そもそも三洋電機では、業務上の内部資料を自宅で使用する場合は、その都度上司に許可を取ることが義務づけられていたそうです。にもかかわらず、白鯛素久さんは許可を取らずに自宅に資料を持ち帰ることが常態化していたようです。
これによって、村岡万由子さんとのプライベート画像や動画のみならず、三洋電機の社員名簿や内部資料なども流出したことから、ケツ毛バーガー事件後、三洋電機では白鯛素久さんに厳正な処分が下されたようです。ただ、具体的な処分については明らかになっていません。
もっとも、社則をやぶって大切な社内の情報を流出させたわけですから、厳正な処分をされて当然であり、三洋電機の技術部で働く技術者だったわけですから、当然、ファイル共有ソフト「Share」を使うことによるリスクは十分にわかっていたはずです。
その意味では自業自得。しかも、それによって大切な彼女を絶望のどん底に突き落としたわけですから、同情の余地は極めて少ないと言えますね。
ちょうどファイル共有ソフト「Share(シェア)」の話題が出てたの、ケツ毛バーガー事件をひきおこすきっかけとなった「Share」について、簡単に説明しておくことにしましょう。
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そもそも、なぜ白鯛素久さんがパソコンの中に保存していたプライベートな画像や社内資料など、大切なファイルがネット上に流出してしまったのか?
それは、白鯛素久さんがこのファイル共有ソフト「Share」を使用していたことが原因でした。この「Share」は、パソコンの中の特定のフォルダを、ネットで繋がった他者のパソコンと共有するソフトなんですよね。
で、このフォルダの中には、共有するファイルをキャッシュという形で断片化したファイルが格納されており、実際の共有は、このキャッシュによってなされています。
と、わかったようなわからないような説明になってしまいましたが、要するに、「Share」を起動している間(正確には「Share」がネットに接続している間)は、パソコンの中の特定のフォルダが、ネット上に公開された状態になるわけです。
そして、それは同じ「Share」を起動している他者のパソコンから、クリック一つでそのファイルをダウンロードすることが可能になることを意味しています。
暴露ウイルスが画像を流出させる仕組み
ただ、それだけではファイルの流出などありえません。「Share」が共有しているパソコン内の特定のフォルダ内に、キャッシュという断片化した形で保存されていない限り、他のパソコンからはダウンロードできないからです。
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そこで登場するのが、暴露ウイルスなのです。そのウイルスに感染すると、パソコン内に保存されているファイルを手当たり次第に、その「Share」が共有しているフォルダ内にコピーされてしまうんですよね。しかも、ファイル共有に適したキャッシュという形で……
白鯛素久さんは、暴露ウイルスとしてはお馴染みの“キンタマウイルス”に感染したことに気付かず、そして、彼女のプライベートな画像や社内の内部資料、個人情報など重要なファイルが根こそぎ、共有フォルダにコピーされていることを知らずに、「Share」を起動し、ネットに接続してしまったわけです。
ちなみに、この暴露ウイルスは、当時蔓延していた「Share」や「Winny」などの著作権違反を助長するファイル共有ソフトに反対して、あるハッカーが開発したものとされています。
他にもあった!ファイル共有ソフトによる画像流出事件
「ケツ毛バーガー事件」はネット史上最大のネット史上最大の流出事件と言われていますが、その大きな原因はファイル共有ソフトにあり、どのようなメカニズムで情報の流出が起きたのかがおわかりいただけたかと思います。
出典:https://internet.watch.impress.co.jp/
しかし、実は、「ケツ毛バーガー事件」のようにファイル共有ソフトがきっかけとなって、流出事件に発展した例はこれまでにもあったんですよね。
大阪国税局職員イッチー流出事件
「ケツ毛バーガー事件」よりも少し前の2005年3月に、イッチーこと市○憲克さんが起こした事件で、ファイル共有ソフト「Winny」による流出事件の中でも、一、二を争うほど話題になった流出事件です。
出典:http://virus.sakuracre.com/
この流出事件も「Winny」によって暴露ウイルス「欄検眼段」に感染したことから、パソコン内に保存されていた、複数の女性と関係中の大量の画像を流出させてしまいました。
しかも、流出したファイルには、個人を特定できる情報が数多く含まれていたために、本人や女性の氏名、年齢、出身高校、出身大学、現在の職場などが明るみに出たのですが……なんとイッチーが大阪国税局職員であることが判明!大阪国税局職員と言えば誰もが羨むエリートです。一気にお祭り騒ぎへと発展することになりました。
チンコルド監督事件
チンコルド監督事件とは、東海理化社員だった加藤監督が、「Share」と同じファイル共有ソフト「winny」の使用により暴露ウイルスに感染。それによって彼女との行為を記録した動画や写真などがネット上に流出してしまった事件です。
撮影に使われたカメラの機種まで特定されており、流出した動画や画像のクオリティーが非常に高かったことから、2ちゃんねる屈指のお祭り騒ぎへと発展しました。
「ケツ毛バーガー事件」とmixiとの関連について
「ケツ毛バーガー事件」とソーシャル・ネットワーキングサービス“mixi”との関連について見た時、キーポイントとなってくるのが亞問というハンドルネームの人物です。
出典:http://comwee.net/
この亞問は、被害女性である村岡万由子さんが参加していた、mixi内における出身高校のコミュニティに潜入し、村岡万由子さんの情報が流出した旨を書き込みしたとされています。
更に、この「ケツ毛バーガー事件」は、ネット掲示板である2ちゃんねるなどでも、まさにお祭り騒ぎとなっており、これに調子づいた亞問は、自らコミュニティを立ち上げ、流出画像を貼り続けていたそうです。
そんな亞問に対してmixiは強硬手段に出ました。亞問のアカウントを強制削除したのです。このことに逆ギレした亞問は、2ちゃんねる上でmixiを潰す宣言をしました。
しかし、亞問が新しいアカウントを作成し、再びコミュを作成する前には、既に、亞問を非難するアンチコミュが出来上がっており、アンチ亞問のホームページまで完成していたことがわかると、とたんに亞問の活動は沈静化したとされています。
出典:https://gigazine.net/
ただ、それはあくまで“表だって活動しなくなった”だけで、その後もmixi内で“荒らし”と呼ばれる行為が頻発するようになりました。もしかすると、亞問がそれに関わっていたのかも知れませんが、今回の件に便乗した他の者の仕業だったのかも知れません。
対応に苦慮したmixiの運営は、なんと怪しいアカウントを一斉削除するという暴挙に出たのです。有無を言わさず削除されたアカウントの中には、健全なユーザーのアカウントも含まれていたらしく、それは当然大きな問題になり、この運営によるアカウント削除騒動は、マスコミでも大きく取り上げられたほどです。
「ケツ毛バーガー事件」のその後~村岡万由子さんや関係者の現在
最大の被害者である村岡万由子さんの現在は?
「ケツ毛バーガー事件」によってご自身の卑猥な写真が流出したことにより、致命的とも言える社会的ダメージを受けた村岡万由子さんは、やはり事件後まもなく、徳島県警の少年課補導員の職を辞されています。
一時、マスコミなどでは、村岡万由子さんがその後自殺を図ったとの報道もあったようですが、2009年には出身地である大阪に帰郷し、ある小学校のスクールカウンセラーをやっていたという情報がありました。
出典:http://blog-imgs-32.fc2.com/
その後の足取りはハッキリしていないようです。一部には介護職員として元気に働いているとの噂もあったようですが、2014年には、どこから流出したのか、笑顔でピースサインをする村岡万由子さんの写真も公開されていました。
実はこの記事でも、その写真を引用しようか迷ったのですが、やはり公開されているのはご本人の本意ではないと想像できましたので、ここでの引用は控えることにしました。気になった方は検索してみてください。
交際相手の白鯛素久さんの現在は?
「ケツ毛バーガー事件」の元となった、交際相手である白鯛素久さんのその後については、実はハッキリとしていないようです。そもそも「白鯛」という苗字が珍しい苗字であるため、苗字を変えるために養子縁組をしただとか、結婚して婿養子に入ったなどという説がありますが、どれも確かなものはないようです。
また、彼女との大切な写真を流出させてしまった責任を取って、村岡万由子さんに結婚を申し込んだものの、彼女がそれを拒んだという噂までまことしやかに流れていますが、どれも信憑性に欠けるものばかりでした。
「ケツ毛バーガー事件」をひっかきまわした亞問のその後は?
亞問とは、「ケツ毛バーガー事件」でmixiや2ちゃんねるを騒がせた人のハンドルネームです。ある意味、この事件により流出した画像の拡散を助長した、一番の張本人でもあるわけです。
mixiでの大暴れが落ち着いた後は、特にこれといった進展はありませんでしたが、2012年3月10日、その亞問とおぼしき人物が京都で逮捕されたという事件がありました。
つまり、「ケツ毛バーガー事件」から実に約6年の歳月を経て、別件で逮捕されたわけですね。その逮捕を報じた記事を引用してみましょう。
ウィニー経由でわいせつ画像 「弐萬ちゃんねる」2人逮捕 京都府警
ファイル共有ソフト「ウィニー」から流出したわいせつ画像を集めたインターネットサイト「弐萬ちゃんねる」を運営したとして、京都府警は9日、わいせつ電磁的記録媒体陳列容疑で逮捕状を取っていた通信販売会社「東洋商事」(横浜市青葉区)社長、織茂由弦(ゆずる)容疑者(35)=横浜市都筑区北山田=と、元従業員の男1人を逮捕した。いずれも容疑を認めている。
府警によると、サイトでは平成21年3月以降、約350人の氏名などの個人情報やわいせつ画像・動画計約3万点を公開。アダルトグッズなども販売し、約7700万円の売り上げがあったという。
引用:デジタル鬼畜、「亜門」こと織茂由弦容疑者逮捕 ( 事件 ) – blazeブログ – Yahoo!ブログ https://blogs.yahoo.co.jp/
このニュースを引用しいてる記事によると、この織茂由弦という男こそ、6年前に起きた「ケツ毛バーガー事件」で、mixiや2ちゃんねるを騒がせ、事件の拡散を煽った“亞問”その人だったそうです。
さらに、この記事は次のように述べています。
主犯格の亜門は捕まりましたが、事件当時被害者が泣き寝入りしてしまったためにこの男の尻馬に乗って暴動を拡大させた暴徒たちは未だ逮捕されること無く、平然と生活を続けているのです。
悪が裁かれること無く平然としているこの現実に強い怒りと失望を覚えています。せめて、主犯格の織茂由弦が厳罰に処されてくれることを心から願います。
やはり、この記述からすると、「ケツ毛バーガー事件」のお祭り騒ぎに乗じて、亞問の過激な言動に荷担して、暴動を煽っていた人も少なくなかったようですね。
特に2ちゃんねるなど、お互いの顔が見えないネットの世界ではありがちなことなのですが、被害者の気持ちを思うとやりきれません。
「ケツ毛バーガー事件」を題材にした漫画も公開されています
なんと、この「ケツ毛バーガー事件」の内容をマンガ化したものが、現在も公開されていました。ほんの12ページ程度の漫画なので読んでみましたが、ところどころ作者の推測で表現されている部分も見られるものの、事件の概要を割と忠実に再現されているようでした。
出典:http://blog-imgs-32.fc2.com/
ただ、縮小した白黒画像とは言え、実際に流出した画像が何枚か使用されているようなので、この記事からはリンクをはることはやめておくことにしました。興味のある方は検索してみてください。
10年以上経った現在でも、いまだにネット上に画像が残っているという現実
今回、この「ケツ毛バーガー事件」を調べてみて、最も強く感じたことは、事件から10年以上も経過した現在でも、ちょっとインターネットで調べてみると、様々な画像が残っていることの恐ろしさでした。
もちろん顔や局部にモザイクが賭けられてあるものも多いのですが、画像によっては流出したままの状態の画像も少なくありませんでした。
このように、ネット上に一旦拡散した画像は、どれほど時間が経っても、また、どれほど削除依頼などの対策を施したとしても、消し去ることはできないと考えるべきだと言えますね。
まとめ
・被害者の女性は仕事を辞めざるを得ず、人生が狂ってしまった。
・一度流出したデータは今でもネットで拡散していて削除ができない。
いかがでしたでしょうか。
ネット史上最大の流出事件と言われる「ケツ毛バーガー事件」の詳細やその後、被害者の現在についてまとめました。
この「ケツ毛バーガー事件」によって、個人情報はもとより、他人には決してみせられないご自身の卑猥な画像が、インターネット上に拡散してしまった村岡万由子さん。
大学では心理学を、さらに大学院では教育学を学び、卒業後は地域の少年達の非行防止や保護のために尽くすべく、希望に燃えて徳島県警の少年課補導員となられた矢先の流出事件だったんですよね。
ご本人の心痛は想像を絶するものがありますが、そのご家族が受けた苦痛も計り知れません。
全ては当時の彼氏であった白鯛素久さんの軽率な行動から始まったわけですが、じゃあ、ファイル管理を徹底しましょう!パソコンのセキュリティには最新の注意を払いましょう!などと甘っちょろい言葉で結ぶつもりなど毛頭ありません。
どんなに愛する人からせがまれても、絶対に流出してダメージを受けるような写真は撮らせてはいけないのです。インターネットは非常に便利なツールではありますが、一度拡散してしまったものは、絶対に消し去ることはできないということを、肝に銘じておかなければなりません。