「ヤマギシ会」という言葉を聞いたことはありますか?聞いたことある人は、「ヤマギシ会ってヤバいんでしょ?」というイメージ、逆に「ヤマギシ会って最高のユートピアなんでしょ?」と思っているかのどちらかに分かれると思います。
ヤマギシ会とは何か?場所やヤマギシ会の芸能人や有名人、ヤマギシ会の評判と現在について説明していきます。
ヤマギシ会とは
ヤマギシ会とは、1953年に発足した農業・牧畜業を基盤とするユートピアを目指す団体のことです。正式名称は「幸福会ヤマギシ会」と言います。
山岸巳代蔵が立ち上げたヤマギシ会は、「すべての人が幸福である社会」、「全人幸福社会の実顕」を目的としています。
そして、この目的の達成のための理念がヤマギシズムです。ヤマギシズムは、次の3つが行動原理となっています。
・共有
・共活
ヤマギシ会は簡単に言うと、
という考え・行動・生活をしているということですね。
ヤマギシ会は宗教ではない
ヤマギシ会は宗教ではないか?と思われがちですが、ヤマギシ会は宗教ではありません。農業組合法人になります。そのため、ヤマギシ会を発足させた山岸巳代蔵も、神格化されているわけではないんです。
農業組合法人としてのヤマギシ会はかなり大規模で、ヤマギシ会の社会実顕地では野菜や果物、家畜が育てられていて、食品加工なども行われています。その売上高は農業組合法人トップで、最盛期にはヤマギシ会の最大の実顕地である豊里だけで140億円を超えていたそうです。
最近は農産物のネット販売なども始めています。
ヤマギシ会の芸能人・有名人6名
ヤマギシ会の芸能人や有名人をご紹介します。実は、ヤマギシ会に入会している芸能人・有名人はほとんどいないんです。
1.島田裕巳さん
出典:jnpc.or.jp
島田裕巳
宗教学者の島田裕巳さんは大学のゼミの調査でヤマギシ会を調査対象としていましたが、ヤマギシ会の理念に共鳴して、メンバーとして活動していたことがありました。ただ、ヤマギシ会で活動したのは7ヶ月と短く、窮屈さを感じて脱会しています。
ヤマギシ会の本、ただいま校正作業中、一体いつまでかかるのか⁉ pic.twitter.com/QLIIpSQwsR
— 島田裕巳@7刷決定『教養として学んでおきたい神社』マイナビ新書 (@hiromishimada) February 6, 2018
2.新島淳良さん
出典:kosho.or.jp
新島淳良
中国文学者だった新島淳良さんは、1970年代にヤマギシ会に入会しますが、1978年には一度離れます。その後またヤマギシ会に戻って広告塔のような役割を担っていきます。ヤマギシズム学園を提唱したのも新島淳良さんですね。
新島淳良さんは中国の文化大革命を全面的に礼讃していたので、ヤマギシ会に入会するのは当然のことだったのかもしれません。
3.高田かやさん
出典:amazon.co.jp
高田かやさんはヤマギシ会出身!
高田かやさんはヤマギシ会の実顕地で生まれ育った人で、19歳でヤマギシ会の村を脱出します。その当時の様子をコミックエッセイにまとめていて、「カルト村で生まれました。」、「さよなら、カルト村。」、「お金さま、いらっしゃい!」という本を出版しています。
4.松任谷由実さん
松任谷由実
歌手の松任谷由実さんは、ヤマギシ会に入会していたのではないか?という噂がインターネット上で流れています。ただ、松任谷由実さんは「天河大弁財天社」という宗教の信者であることがほぼ確実ですので、これはあくまでも噂にしか過ぎないと思います。
5.にしきのあきらさん
出典:blogos.com
にしきのあきら
歌手のにしきのあきらさんも、なぜかヤマギシ会に入会していたという噂があります。ただ、インターネット上には根拠がありませんし、にしきのあきらさんは日蓮正宗の信者と言われていますので、にしきのあきらさんがヤマギシ会というのは根も葉もない噂でしょう。
6.大仁田厚さん
出典:asagei.com
大仁田厚
大仁田厚さんも、ヤマギシ会の会員であるという噂がありますが、これは根も葉もない噂である可能性が高いです。以前は入会していた可能性も捨てきれませんが、おそらく有名になってからはヤマギシ会とは関係していないでしょう。
ヤマギシ会の場所はどこ?
ヤマギシ会は、現在全国20ヶ所で1500人の人が共同生活を営んでいます。
2.夕張
3.大潟
4.岡部
5.榛名
6.成田
7.多摩
8.飯田
9.美里
10.内部川
11.豊里
12.一志
13.春日山
14.六川
15.津木
16.紀南
17.船南
18.北条
19.観音寺
20.西海
さらに、海外にも実顕地を持っています。
2.ブラジル
3.オーストラリア
4.韓国
5.タイ
6.スイス
合計26ヶ所で1500人もの人が共同生活を送っていると考えると、かなり大きな規模であることがわかると思います。
ヤマギシ会の共同生活の実態
ヤマギシ会に入会すると、共同生活を送ることになります。また、自分の所有物は一切持たず、私有財産はありません。
簡単にヤマギシ会の共同生活の実態をご紹介します。
・衣類はもちろん、パンツも共用
・1日の行動予定を自分で決めることができない(世話係が決める)
・住民同士の結婚は調整機関が決める
・妊娠や出産も調整機関が決める
・基本的に男尊女卑
・勤勉な男性は結婚する資格を与えられるが、勤勉でないと結婚は許されない
・男性は再婚OKだが、女性は基本的にない
・1日2食
・住居に家賃はいらないがカギはない
・共同生活なので夫婦水入らずの生活はない
・子どもは年齢・性別で共同生活を送る
・教育については義務教育だけで十分という考え
これらが主なヤマギシ会の生活になります。現代の日本で一般的な生活を送っている人にとっては、ヤマギシ会の生活がいかにヤバいのかがわかると思います。
ヤマギシ会の評判や危険性は?
ヤマギシ会の評判や危険性を見ていきましょう。現代の一般社会に暮らす私たちにとっては、ヤマギシ会のことは、まったく理解できないことばかりなんです。
結婚・妊娠・出産もヤマギシ会が決めること
ヤマギシ会では、恋愛結婚はありません。調整機関が誰と誰を結婚させるかを決めるそうです。先ほども書きましたが、勤勉な男性は結婚できるけれど、勤勉でない人は結婚できない。
さらに、男性は一度離婚しても再婚できるけれど、女性の再婚はないなどがあります。
しかも、30~40歳代の男性と20代前半の女性というカップルが多く、一応制度的には拒否はできるものの、小さいころから洗脳状態にあるため、拒否することはほとんどないとのことです。
妊娠や出産も調整機関が決めるそうです。出産が許された夫婦にはコンドームが配られなくなる。また、子作りは夫婦間だけでなく、生産部の中で行われることもあるとのことで、「夫婦」という概念すらあまりないのかもしれません。
こういう結婚制度を見ると、ヤマギシ会は危険な会だと思わざるを得ません。
退会すると貧乏な状態で放り出される
ヤマギシ会は宗教ではありませんので、自分の意志で退会することはできます。ただ、簡単には退会できないのです。
なぜなら、ヤマギシ会に入会した時点で、私有財産はヤマギシ会のものになっているからです。退会したからといって、私有財産を簡単に返してもらえるわけではありません。過去には裁判を起こされているケースもあります。
ヤマギシ会を退会するということは、私有財産はなく、一般社会に数十万円だけ持たされていきなり放り出されることになるので、まともな生活をすることができません。
さらには、帳簿上ではヤマギシ会から給料が支払われている形になっています。でも、給料は「みんなもの」ですから、実際は個人には支払われていません。
給料が支払われていると、税金がかかります。特に、住民税は前年の所得から計算するので、無一文で実際は給料を支払っていないのに高額な税金を支払わなければいけないというわけなんです。
これはひどいですよね。この財産に関する評判は、ヤマギシ会は非常に悪く、危険性が高いと言えるでしょう。
子どもすら「誰のものでもない」
ヤマギシズムは「無所有」が基本です。そのため、自分が産んだ子どもですら、誰のものでもないという考え方があります。これは、洗脳されてしまうと、「そういうものだ」、「当然のことだ」と考えられるのかもしれませんが、一般的に考えると、かなりきついものですよね。
親の愛情を十分に受けられずに育つ。子どもへの愛情思う存分注ぐことができない。これは悲しいことです。また、洗脳されている時はそれで良いかもしれませんが、ヤマギシ会から脱出した時には、親子の愛情が希薄になっているということもあり得るんです。
子どもに労働をさせる
ヤマギシ会は独自のヤマギシズム学園を設立していますが、一般常識や教養は義務教育程度で十分と考えています。
そのため、中等部は週25時間、高等部は1日16時間も労働を強制されられるそうです。中学生に労働させるのは、児童労働になり、労働基準法に違反しますので、かなり危険なことです。
また、ヤマギシズム学園では、子どもは親と2ヶ月に1回しか面会できず、1つの布団に2人で寝なければいけない、1日2食しか食べられないなどの劣悪な環境で生活しなければいけません。
山岸会事件
ヤマギシ会を語る上で欠かせないことが、「山岸会事件」です。山岸会事件とは1958年に100万羽の鶏を養育するための土地を開拓するのが困難になったため、会員の知人に「ヨウアリ、スグコイ」などの電報を送り付け、監禁し、無理にヤマギシ会に参加させようとした事件です。
創始者である山岸巳代蔵にも逮捕状が出て、9ヶ月の逃亡生活の後に、ようやく逮捕されています。
体罰や食事抜きは当たり前
ヤマギシ会では、子どもへの体罰や食事抜きは当たり前であり、日常的に横行していたようです。
・「風呂に連れていかれ熱湯をかけられる」
・「竹刀で20回も殴られる」
・「部屋に呼ばれて裸にされて殴られる」
これらのような体罰があったことが日本テレビのニュースで取り上げられています。体罰については、高田かやさんの本にも書かれているので、ほぼ間違いないでしょう。
漫画やアニメ、ゲームなども禁止
ヤマギシ会の子どもたちは、漫画やアニメ、ゲームなどの娯楽は一切禁止だったそうです。電話や恋愛なども禁止だったとのこと。高田かやさんは、図書室に行くのすら禁じられていたと本の中で語っています。
脱税していた?
ヤマギシ会は1997年に国税庁の調査を受けて、本来なら支払われるべき給料が会員に支払われておらず、ヤマギシ会が保管していたことについて、「贈与」に当たるとして、200億円もの申告漏れを指摘。60億円の追徴課税を課しています。
200億円ものお金があったというだけでも、相当ヤバいですよね。
ヤマギシ会の現在
ヤマギシ会はバブル期には参画者がどんどん増え、社会にも好意的に見られていましたが、1995年のオウムのサリン事件をきっかけに、「怪しいカルト集団」という印象が強くなり、参画者はどんどん減っていきます。
1999年には2150名程度だった会員は、2001年には1700名程度にまで減少し、現在はさらに減ってきているそうです。
それでも、農事組合法人の中ではトップですし、最大のコミューンであることには変わりはありません。ただ、これだけインターネットが発達した情報社会の中では、ヤマギシ会のやり方に疑問を持ち、脱会する人は増えていくことが予想されます。
まとめ
ヤマギシ会の基礎知識や場所、芸能人・有名人、評判や危険性、現在についてまとめましたが、いかがでしたか?
ヤマギシ会のやり方は、私たちの日常生活とあまりにも違うので、「危険な団体」と思った人も少なくないと思います。ただ、偏見は持たずに、自分の目でヤマギシ会はどんな団体なのかを確かめるようにしたいですね。