上申書殺人事件の犯人・三上静男と後藤良次の生い立ち&家族とその後!裁判と判決・アンビリバボーや映画化も総まとめ

連続殺人事件「上申殺人事件」は、犯人の後藤良次と三上静男の関係が話題です。

 

今回は事件の被害者や記者のスクープ、犯人の生い立ちや家族(結婚した嫁や子供)、裁判と判決、アンビリーバボーや映画化などその後と現在を紹介します。

この記事の目次

「上申書殺人事件」とは

 

「上申書殺人事件」とは、1999年11月から茨城県で立て続けに発生した、石岡焼却事件」「北茨城市生き埋め事件」「日立市ウォッカ事件」 の3つの事件の総称です。

 

この3つの事件を起こした犯人は暴力団組長だった後藤良次で、後藤良次が「先生」と呼び慕っていた不動産ブローカーの三上静男が裏で暗躍していました。

別の事件で死刑判決を受けた後藤良次が、3つの事件の首謀者が三上静男であることを月刊誌『新潮45』の記者である宮本太一氏に打ち明け、事件が発覚しました。

 

その後、後藤良次は茨城県警に対して上申書を提出したことで、三上静男は逮捕されています。

 

なお、上記3件の事件は後藤良次が上申書を出して発覚したことから、まとめて「上申書殺人事件」と呼ばれています。

 

 

「上申書殺人事件」の事件詳細と被害者① 「石岡市焼却事件」

上申書殺人事件

出典:https://stat.ameba.jp/

 

1999年11月中旬に、三上静男と金銭トラブルになっていた推定60代の男性を、後藤良次はネクタイで首を絞めて殺害します。

 

その後、男性の遺体を茨城県石岡市にある関係会社まで運び、敷地内の焼却場で廃材と一緒に焼きました。

 

遺体が焼かれて残っていないため、被害者の身元確認が困難となり、犯人不明のまま処理されています。

 

この男性を殺害したことにより、三上静男は数億円単位の金を手に入れていました。

 

 

「上申書殺人事件」の事件詳細と被害者② 「北茨城市生き埋め事件」

出典:https://pixabay.com/

 

1999年11月下旬頃、三上静男が目をつけていた埼玉県大宮市(現さいたま市)の資産家男性(当時70代)を、後藤良次は水戸市にある駐車場で拉致して連れ去りました。

 

そして、北茨城市の三上静男の所有地まで運び、穴を掘って生き埋めにしました。

 

被害男性の身元は事件発覚当時に特定されていましたが、後藤良次が後に提出した上申書と住民票移動や土地登記の移動なども裏付けになり、身元が確定しています。

 

しかし事件後、三上静男が証拠隠滅のために被害者の遺体を掘り起こして別の土地に移したため、遺体は発見されずじまいでした。

 

この事件により、三上静男は約7000万円を手に入れていました。

 

 

「上申書殺人事件」の事件詳細と被害者③ 「日立市ウォッカ事件」

出典:https://pixabay.com/

 

2000年7月中旬頃に、三上静男に借金をしていた茨城県阿見町のカーテン店経営者(当時67歳)を、後藤良次は日立市内の事務所等に軟禁します。

 

この被害者は糖尿病と肝硬変を患っており、これを利用して多量のアルコールを1か月間飲ませ続けました。

 

さらに、同年8月中旬に被害者を三上静男の家に移して高濃度のウォッカを飲ませ、急性アルコール中毒で殺害しました。

 

その後、遺体を茨城県西北部に位置する七会村(現城里町)下赤沢にある山中の林道に運んで遺棄しています。

 

同年8月15日に遺体が発見されましたが、証拠不十分により警察は事件性が無いと処理したため、亡くなった男性の家族は生命保険会社2社から約1億円の生命保険金を受け取りました。

 

家族も三上静男と共謀していたことが判明

 

カーテン店経営者だった男性の家族は、男性を疎ましく思っており、持病で亡くなることで手に入る保険金をあてにしていました。

 

被害者男性は殺害される直前、病院から一時退院して家族の元へ帰っていましたが、家族の気持ちを知っていた三上静男は、保険金殺人の話を家族に持ちかけ、家族もそれに同意したのです。

 

そして後藤良次を使って男性をアルコール漬けにして殺害した後、保険金を手にした家族は、あらかじめ三上静男との約束通り、三上静男と金を分配しました。

 

 

「上申書殺人事件」の犯人・後藤良次の生い立ち

後藤良次は手の付けられない不良だった

 

「上申書殺人事件」の実行犯として複数の人を殺めた後藤良次は、14歳の頃から窃盗や殺人の罪で少年院に送られていた生粋の悪党でした。

 

少年院を出所して16歳で暴力団員となり、17歳と19歳の頃に再び罪を犯して少年院に入れられています。

 

20歳になると後藤良次は特別少年院職員とのトラブルの末に暴行を働いて、少年刑務所に送致されました。

 

そして22才の頃、当時所属していた暴力団組織が解体してしまったため、その翌年23歳の頃に稲川会系の小田組に入りました。

 

組内で頭角を現した後藤良次は、28歳で「後良会」を結成し組長になっています。

 

そんな後藤良次は31歳の頃、対立していた組織の組長を殺害し、その後出頭して自首しましたが、証拠不十分により処分保留となり釈放されました。

 

また、35歳で暴力事件を起こして逮捕され刑務所送りとなり、39歳で仮出所したものの、すぐに駐車違反取り締まり中の警察に公務執行妨害を働いて、逮捕される前に水戸に逃げました。

 

そしてこの後に、「上申書殺人事件」を起こすことになります。

 

「上申書殺人事件」の犯人・後藤良次の家族(結婚した嫁や子供)

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後藤良次はどうしようもない悪党として生きてきましたが、内縁の妻がおり、離れて暮らす家族のために毎月仕送りをしていたようです。

 

こうしたことから、人情は人並みにあったとみられています。

 

後藤良次は「後良会」が解散してしまった後に三上静男と知り合い、色々と教えてもらって可愛がられることとなりました。

 

この頃から内縁の妻への仕送りが毎月80万円から100万円に増えており、それは後藤良次が三上静男の手先として悪どい商売に加担していたためだと見られています。

 

 

「上申書殺人事件」の犯人・三上静男の生い立ち

上申書殺人事件

出典:https://stat.ameba.jp/

 

三上静男は幼少期から残虐性を秘めていた

 

三上静男の生い立ちについてはあまり明かされていませんが、幼少期から鳥など小動物を殺して楽しむなど、残虐性が早くから芽生えていたようです。

 

シリアルキラーはこうした特徴があると言われており、三上静男にもそうしたサイコパス的な気質がありました。

 

三上静男は徹底したサディスティックな性格で、拉致した被害者を丸坊主にしたり、体にマジックで落書きするなど、人が苦しんでいるのを楽しんでいました。

 

また、何よりも金を集めることに執着しており、そのためであれば人を殺すことも厭わず、後藤良次が可愛がっていた舎弟を自殺に追い込むなど、まさに鬼畜というにふさわしい男でした。

 

三上静男の周囲からの評価

 

三上静男は、不動産ブローカーとして同業者間では一目置かれる存在だったようです。

 

三上静男は堅気の人間を気取りながら、暴力団との密接に関わり、暴力団の後ろ盾を得ていました。

 

そして、金集めのために自分で直接手を下さずに暴力団員を使うなど、金を汚い方法で集めることに関しては天才的で、腹黒さにおいて右に出る者はいませんでした。 

 

「上申書殺人事件」が起きた背景には、三上静男が尋常ではないほど金に執着して人の命を軽んじた結果であり、この男は同業者内で「闇の錬金術師」と異名を取るほどの拝金主義者でした。

 

 

「上申書殺人事件」の犯人・後藤良次と三上静男の関係とは?

 

後藤良次は若い頃から暴力団事務所に出入りしており、堅気の世界において不動産業で成功していた三上静男は色々教えてくれる存在でした。

 

三上静男は裏社会にどっぷり浸かっていて、あくどい経営方法で不動産業を営んでおり、後藤良次は三上静男を慕いながら出世し、暴力団組長にまで上り詰めました。 

 

そんな2人の間には完全な主従関係があり、後藤良次は三上静男を「先生」と呼び、絶対的に従ったことで一連の殺人事件が発生してしまいました。

 

 

首謀者は三上静男・実行犯は後藤良次

 

「石岡焼却事件」「北茨城市生き埋め事件」「日立市ウォッカ事件」の一連の連続殺人事件では、後藤良次が実行犯を務め、三上静男は首謀者でした。

 

後藤良次は三上静男に言われるまま殺人を代行し、言われるまま死体の処理まで行うことで報酬を受け取る約束をしていました。 

 

「上申書殺人事件」後に起きた「宇都宮監禁殺人事件」で、後藤良次が逮捕された後、三上静男が後藤良次を裏切ったことで主従関係が崩れ、一連の事件が明るみになっていきます。

 

 

「上申書殺人事件」が発覚したきっかけ① 「宇都宮監禁殺人事件」で後藤良次に死刑判決

上申書殺人事件

出典:https://livedoor.sp.blogimg.jp/

 

「宇都宮監禁殺人事件」の詳細

2000年7月30日、後藤良次は仲間である小野寺宣之と共謀して、「メンツを潰された」と言いがかりをつけて、人材斡旋業をしていた斎藤正二さんをリンチします。

 

そして、ぐったりして動かなくなった斎藤正二さんの手足を縛って那珂川に放り込み、殺害しました。

 

続いて翌月20日、後藤良次は4人の舎弟を連れて宇都宮市にあった元自動車販売業の小堀展史さんの自宅マンションを襲撃し、部屋の中にいた小堀展史さんを含む男女4人を縛り上げました。 

 

後藤良次は殺害するために女性1人に多量の覚醒剤を打ち、その女性が重度の中毒反応を起こして間もなく死亡しています。

 

後藤良次らは、抵抗できない状態になった残る3人をハサミでメッタ刺しにした後、部屋に灯油をまいて放火し、被害者の乗用車を奪って逃走しました。

 

ハサミでメッタ刺しにされながらも1人が自力で縄を解いて消火活動を行ったことで、3人それぞれ重軽傷を負ったものの一命は取り留めています。 

 

後藤良次は死刑判決を受けた

 

「宇都宮監禁殺人事件」で逮捕された後藤良次は、2件の殺人と1件の遺体遺棄の罪が適用され、裁判により死刑判決を受けました。

 

後藤良次の弁護側は「被告は覚醒剤を使用していて神経こう弱状態にあった」として死刑回避を主張し控訴しましたが、「自己中心的で短絡的な犯行は暴力団特有のもの」と棄却されました。

 

弁護側は上告しましたがこれも棄却され、2007年9月に後藤良次の死刑が確定しました。

 

 

「上申書殺人事件」が発覚したきっかけ② 三上静男が後藤良次との約束を破る

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後藤良次が「宇都宮監禁殺人事件」を起こす際に、首謀者である三上静男から多額の報酬をもらう約束をしていました。

 

しかし、後藤良次が逮捕されたことで、三上静男は報酬の支払いを拒否

 

さらに、後藤良次は逮捕前、可愛がっていた舎弟の世話を三上静男に頼んでいたものの、舎弟は後藤良次の収監後に自殺し、三上静男はその舎弟の財産を勝手に処分していました。

 

これらの行為に裏切られたと激怒した後藤良次は、 三上静男を告発することを決意したのです。

 

後藤良次は長年三上静男を「先生」呼び慕っていましたが、一連の裏切り行為で信頼が怒りに変わり、後の裁判では「三上」と呼び捨てており、2人の間の主従関係は完全に崩壊しました。

 

 

「上申書殺人事件」が発覚したきっかけ③ 「新潮45」の記者・宮本太一が事件をスクープ

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「上申書殺人」をスクープすることになった『新潮45』の記者である宮本太一さんは、この事件の立役者だと言えるでしょう。

 

元々『新潮45』は事件を追うような週刊誌ではなく、女性のヌード写真をメインで扱うことが多い風俗誌のような媒体でした。

 

そんなある時、宮本太一さんに、東京拘置所に勾留されていた知り合いから連絡が入り、面会を求められました。

 

宮本太一さんがその人物と面会すると、「後藤良次という死刑囚が『隠している余罪について明かしたい』と話している」と相談を持ちかけられたそうです。

 

これを面白いと感じた宮本太一さんは、後藤良次と面会することを決意し、事件の真相を追い始めました。

 

宮本太一さんが後藤良次と面会して得た情報を元に調査を進めると、これまで未解決だった事件や事故として処理されていた事件の真相が次々と明らかになっていきました。

 

そして、宮本太一さんが調査した記事が『新潮45』で特集を組まれ、「石岡焼却事件」「北茨城市生き埋め事件」「日立市ウォッカ事件」がこの世に知られることになったのです。

 

 

「上申書殺人事件」が発覚したきっかけ④ 後藤良次が上申書を提出

 

後藤良次は舎弟4人と共謀して、三上静男からの報酬目当てで女性1人を殺害、男性3人に重軽傷を負わせた「宇都宮監禁殺人事件」の裁判で死刑判決が言い渡され、死刑囚となりました。 

 

高等裁判所により上告棄却が出た後、後藤良次は茨城県警に対して「宇都宮監禁殺人事件」とは別の3件の殺人事件に関して上申書を提出

 

茨城県警はその上申書の裏付けを行うために、捜査を開始しました。

 

これにより、病死として処理していた「日立市ウォッカ事件」が後藤良次による殺人であったこと、黒幕として三上静男が関わっていたことが明らかとなりました。

 

 

「上申書殺人事件」で「日立市ウォッカ事件」だけが唯一立件された理由とは?

上申書殺人事件

出典:https://stat.ameba.jp/

 

後藤良次が上申書の提出により事件を告白したことで、犯人不明のままだった「石岡焼却事件」「北茨城市生き埋め事件」「日立市ウォッカ事件」の3つの事件が明らかとなりました。

 

しかし、この中で立件できたのは「日立市ウォッカ事件」のみで、他の2つの事件は証拠不十分により不起訴処分となりました。

 

実は、被害者の遺体が発見されたのは「日立市ウォッカ事件」のみで、立件するための証拠を集めることができたのです。

 

「石岡市焼却事件」は、後藤良次も被害者男性の名字しか知らず、被害者の遺体は焼却処分されて消失していたため、男性の身元特定ができず、立件できませんでした。

 

「北茨城市生き埋め事件」は、被害者の身元は特定できたものの、遺体が遺棄されたはずの三上静男の所有地で遺体が発見できませんでした。

 

実は、三上静男は逮捕されることを恐れて証拠隠滅を図り、自分の所有地内に埋めていた被害者男性の遺体を後藤良次には知らせずに掘り起こして、別の場所に遺棄していたのです。

 

さらに、被害者に身寄りがなかったことから、警察も捜査を断念せざるを得ず、立件までに至りませんでした。

 

このように、事件が明るみなった時も有利に進められるように、三上静男は用意周到にことごとく証拠隠滅を図っていました。

 

このため、三上静男の描いた謀略により、「上申書殺人事件」では少なくとも3名の犠牲者が出ているにもかかわらず、1件しか立件できないという結末になったのです。

 

 

「上申書殺人事件」の犯人・三上静男の判決

 

「上申書殺人事件」の首謀者である三上静男は、殺人容疑で逮捕、起訴されました。

 

三上静男は逮捕された直後も、平然と「全くのシロです」と容疑を否認してのけました。

 

そればかりか、裁判での質疑応答において、裁判官を攪乱するために意味不明な発言を繰り返したり、のらりくらりとした態度をとっていたりしたため、裁判は難航しました。

 

また、まるで息を吐くように嘘を並べ立てて周囲を辟易とさせ、その陰で弁護士と全面対決をする姿勢を見せていました。 

 

 「裁判では三上の“おとぼけ発言”が目立った。殺人に問われている立場でありながら『かわいそうな人は見てられません! 困った人間をかわいそうと思う』と、涙ながらに大声で訴えたり、『暴力団は好きじゃないんですぅ!』と声高に訴えたり。しかし、三上の家には常日頃から暴力団の人間が出入りしていたそうです。また後藤は控訴審で『計画に則り実行したが、約束された金銭を受け取っていません。被害者の家族からの依頼も受けたわけですから』と、報酬が支払われなかった事をいまだに恨みに思っているようです」(同)

 

引用:リアルライブ – 傍聴記者が語る 映画『凶悪』のモデルになった「上申書殺人事件」裁判“生現場”

 

こうした何としても死刑回避をしようとする三上静男の権謀術数にはまり、3件中1件のみの立件しかできないという結果になりました。

 

そして結局、三上静男に死刑判決を下すことはできず、無期懲役となっています。

 

なお、首謀者の三上静男と実行犯である後藤良次の再逮捕に加えて、上申書により発覚した事件に関与した関係者にも逮捕状が出て、次々と逮捕者が出ました。

 

 

「上申書殺人事件」の犯人・後藤良次の判決

出典:https://pixabay.com/

 

後藤良次は「宇都宮監禁殺人事件」によってすでに死刑が確定していましたが、上申書の提出により自らも「上申書事件」で起訴されました。

 

そして、「日立市ウォッカ事件」で懲役20年の刑が下っています。

 

ただ、日本の制度では死刑判決を超える刑はないため、あくまで「日立市ウォッカ事件」の罪の重さを示す数字であり、後藤良次の死刑判決に影響はありませんでした。

 

後藤良次は上申書を提出して、事件の黒幕に三上静男がいると情報提供を行うことで司法取引をして、死刑判決の取り消しや先延ばしを狙ったのでは?と言われています。

 

しかし、後藤良次の罪はあまりに重すぎたため、司法取引が行われることはありませんでした。

 

後藤良次は判決に不満を抱いていた

 

後藤良次は「先生」と長年慕っていた三上静男に体よく利用された挙句、裏切られ、自分だけが死刑執行を待つ身になったことに不満を抱いていました。

 

また、三上静男に惑わされて罪もない人々の命を多く奪ってしまったことを、死刑判決後に悔やんでいたといいます。

 

 

「上申書殺人事件」は被害者家族にも懲役刑が下っている

出典:https://pixabay.com/

 

立件できた「日立市ウォッカ事件」では、被害者男性の家族3人も三上静男が提案した保険金殺人に加担した罪で、被害者遺族でありながら逮捕、起訴されています。

 

家族3人はそれぞれ懲役13~15年が言い渡されました。

 

また、保険金が振り込まれた銀行口座も不正開設していたことが明らかになり、家族は詐欺罪でも有罪判決を受けています。

 

この家族3人は借金を返すことだけに目がくらみ、三上静男の悪魔の囁きに乗ってしまいましたが、そのつけは10年以上刑務所に服役しなければならないという現実でした。

 

なお、殺人事件を仲介した工務店の男もいましたが、その男は逮捕される前に交通事故で事故死しています。

 

 

「上申書殺人事件」の犯人・後藤良次と三上静男の違い

上申書殺人事件

出典:https://i0.wp.com/

 

ここまで紹介してきた中ですでにお分かりいただけたと思いますが、後藤良次と三上静男は全くタイプの違う悪党でした。

 

後藤良次は自分の組の舎弟を大切にしたり、内縁の妻に欠かさず仕送りをするなど、情に厚い面がありました。

 

また、逮捕され死刑が確定した後には、刑務所の中で罪もない人々を殺害したことを後悔する良心が残っていました。 

 

そのため、後藤良次は、少年期から精神が著しく歪み始めた反社会性障害、いわゆるソシオパスだと思われます。

 

それに対して、三上静男は被害者をいたぶることを心から楽しんだり、自分が逃れるために徹底的に証拠隠滅をしました。

 

なた、裁判では善人を装ったり、のらりくらりと「おとぼけ発言」を繰り返したりして裁判を翻弄するなど、まったく反省の色がなく、どこまで行っても生粋の悪党でしかありませんでした。

 

このことから、三上静男は先天的に善悪の区別ができない、冷酷なサイコパスタイプだったと言われています。

 

 

「上申書殺人事件」のその後① 「アンビリーバボー」でも特集される

出典:https://www.amazon.co.jp/

 

2009年に文庫化され、10万部を超えるベストセラーとなった『凶悪 ある死刑囚の告発』は、「上申書殺人事件」を元にしたノンフィクションベストセラー小説です。

 

そして2011年10月、フジテレビ系バラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」で、「上申書殺人事件」の特集が組まれ、紹介されました。

 

「上申書殺人事件」は月日が経ってもその衝撃度は高く、注目を集めました。

 

 

「上申書殺人事件」のその後② 映画化されている

「上申書殺人事件」が元となった映画『凶悪』

 

2013年に公開された日本映画「凶悪(きょうあく)」は、前述の小説『凶悪 ある死刑囚の告発』を原作とした社会派サスペンス・エンターテインメント映画です。

 

後藤良次役をピエール瀧さん、三上静男役をリリー・フランキーさん、記者の宮本太一さん役を山田孝之さんが務めました。

 

この映画は「上申書殺人事件」を元に、ここまで紹介してきた内容をそのまま描いているドキュメント映画で、俳優たちの迫真の演技が高い評価を得ています。

 

スクープ雑誌「明潮24」に東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤から手紙が届く。記者の藤井は上司から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、3件の殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知ると、取り憑かれたように取材に没頭して行く。

 

引用:Wikipedia – 凶悪(映画)

 

この映画で記者の宮本太一さん役を務めた俳優の山田孝之さんは、以下のようにインタビューで答えています。

 

山田は、「一番しんどかったのはどの辺?」という白石監督の質問に対して、「精神的には大体きつかったです」と心情を吐露。「(撮影は物語の順番通りではなく、最初に)撮ったのが最後のカットのシーンで、じゃあ(さかのぼって)次のシーンの段取りに行くというときに、“その間に家でああいうことがあって、外でこういうことがあって、そして気持ち的にはこういう変化があって……”と、“今”と整理しなきゃいけない。また、それに当たって姿勢や髪のウエット感、(目の)クマの深さとか、一個一個整理するのが大変でしたね」と、名演技者らしい苦労を明かしている。

 

引用:映画.com – 「凶悪」オーディオコメンタリーで、原作者らが当時の裏話を濃密に語る

 

山田孝之さんは役にのめり込むことで有名な俳優ですから、「上申書殺人事件」のように人間関係が複雑で、多くの人の命が奪われるストーリーは、本当に演じていて辛かったことでしょう。

 

 

「上申書殺人事件」の現在

後藤良次は内縁の妻と縁を切っている

 

一連の「上申書殺人事件」と「宇都宮監禁殺人事件」で死刑囚となった後藤良次は、死刑判決後にそれまで内縁関係だった女性とは縁を切っています。

 

これは、死刑が執行された後に身元引受人にならずに済むよう、内縁の妻に迷惑をかけないようにという配慮でした。

 

また、自分に面会に来ると取材が殺到する可能性があることから、後藤良次は内縁の妻に対して面会にも来ないように忠告していました。

 

後藤良次は獄中で、「自分のどうしようもない人生に巻き込みたくなかった」と語っています。

 

それでも内縁の妻は後藤良次に差し入れを持って面会に来ていましたが、後藤良次は徹底して「他の女から差し入れが有るからいい」と拒否しているそうです。

 

もちろん、「他の女」はおらず、舎弟からの差し入れのみのようで、こうしたエピソードからも後藤良次の情に厚い面が顔を覗かせています。

 

もっと早く、三上静男と出会う前に後藤良次がそれまでの人生を反省して生き直していたら、今でも内縁の妻や家族とも幸せに暮らせていたことでしょう。

 

多くの人を傷つけ、命を奪った後藤良次は決して許されず、死刑判決も妥当と言わざるを得ませんが、三上静男に人生を狂わされた被害者の1人と言えるかもしれません。

 

 

まとめ

 

1999年から発生した「上申殺人事件」は、実行犯の後藤良次が別件で逮捕され、三上静男が黒幕だと獄中から暴露して話題になった凶悪な連続殺人事件です。

 

この「上申殺人事件」は、三上静男に裏切られた後藤良次が上申書を警察に提出しなければ、永遠に裁かれなかった事件でした。

 

しかし、悪知恵とあくどいことには天才的だった三上静男は逮捕前に証拠隠滅をしており、指示したのは明らかなのに、「日立市ウォッカ事件」以外では不起訴になっています。

 

また、殺人まではいかなくても、それまでの三上静男が暴力団を使ってやってきた犯罪はまだまだ眠っている可能性もあります。

 

三上静男が獄中できちんと反省し、被害者に謝罪する気持ちが少しでも芽生えてくれることを祈るばかりです。 

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