韓国で起こった華城連続殺人事件を知っていますか?これは韓国の三大未解決事件とも言われる事件でしたが、思わぬ真相が待っていたんです。
今回は華城連続殺人事件の詳細な内容や真相、真犯人などについてまとめました。この事件は事件自体もとても恐ろしいものですが、その後の捜査過程や真犯人の発見なども恐ろしいんです。
この記事の目次
華城連続殺人事件の概要
出典:bbc.com
華城連続殺人事件とは、韓国の京畿道華城郡(現在の華城市))で10名の女性が強姦殺害された連続殺人事件です。
・被害者:10代~70代の女性
・事件の概要:強姦されて殺害された
この事件は1986年~1991年にかけて起こった事件で、2006年4月2日に公訴時効が成立し、未解決事件となっています。
2003年にはこの事件をモチーフとした「殺人の追憶」という映画が韓国で公開され、2004年には日本でも公開されています。
華城連続殺人事件の詳細な内容
1986年から1991年にかけて10人の女性が強姦殺害された華城連続殺人事件の詳細な内容を見ていきましょう。
事件1:71歳女性
第1の事件は、1986年9月14日に起こりました。71歳の女性が農村の牧草地で、下半身だけ裸にされた状態で、絞殺されているのが発見されています。
事件2:25歳女性
第2の事件は、1986年10月20日に起こっています。第1の事件から約1ヶ月後ですね。25歳の女性が行方不明になり、3日後の10月23日に小さな用水路の中で女性が裸の状態で死亡しているのが発見されました。
この女性は強姦された形跡があり、胸を刺されて死亡しています。首にはストッキングが巻かれていました。遺体の周辺には犯人のものと思われる牛乳パック、タバコの吸殻、毛髪が落ちており、そこから犯人の血液型はB型であると判定されました。
事件3:24歳女性
第3の事件は1986年12月12日に起こります。自宅まであと100mという地点で24歳の女性が犯人に襲われました。
遺体が発見されたのは、それから4ヶ月以上経った1987年4月23日のことです。堤防の下で砂袋に入れられ、腐乱した状態で発見されました。
発見された遺体は、ガードルとストッキングが口に押し込まれ、両手は後ろで縛られ、パンツが顔にかぶせられ、さらにストッキングで首を絞められて殺害されたことがわかっています。
事件4:23歳女性
第4の事件は1986年12月14日に起こります。第3の事件からたった2日後のことでした。23歳の女性が行方不明になります。
その約1週間後の12月21日に遺体が発見されます。第3の事件と同じようにストッキングで両手を後ろで縛られていました。また、事件当日は雨が降っていて、被害者は傘を持っていましたが、その傘で被害者は陰部を何度も刺されていました。
この時点ではまだ華城市周辺で恐ろしい連続殺人事件が起こっているとは、認識されていなかったようです。
事件5:18歳女性
第5の事件は1987年1月10日に起こっています。18歳の女子高生が被害者でした。両手はブラジャーで縛られ、絞殺された状態で発見されています。
この遺体発見現場からは、犯人のものと思われるB型の精液と血液が検出されています。
事件6:30歳女性
1987年5月2日に第6の事件は起こっています。雨が降っていた事件当日、被害者の30歳の女性は、傘を持って夫を迎えに出ている時に犯人に襲われています。
遺体からは精液が検出されていますが、血液型は特定できませんでした。
事件7:52歳女性
1988年9月7日に52歳の女性が強姦殺害されます。革紐で両手を縛られ、さらに靴下やハンカチが口に押し込まれた状態で絞殺されています。
この事件では犯人と思われる男性がバスの運転手に目撃されています。
事件8:14歳女性
1988年9月16日に、14歳の女性が自宅で眠っているところを襲われ殺害される事件が起こりました。
事件9:14歳女性
第9の事件は14歳の女性が被害者となりました。
1990年11月15日に、14歳の中学生が学校帰りに殺害され、翌日にストッキングで両手を縛られた状態で発見されました。
上半身は裸にされていて、被害者の陰部にはボールペンやスプーン、フォークなどが挿入されていて、犯人のものと思われるB型の精液と白髪が発見されました。
事件10:69歳女性
1991年4月3日に第10の事件が起こります。69歳の女性が帰宅途中に犯人に襲われ、山の中に拉致されます。絞殺され、膣内には靴下が押し込まれていました。
華城連続殺人事件の犯人像
華城連続殺人事件は、現場に残された遺留物や足跡、その他から次のような人物が犯人であると発表されていました。
・身長は165~170cm、痩せ型
- ・靴のサイズは24.5cm
- ・年齢は25~27歳(1986年時点、1960年代頃の生まれ)
- ・低い声
- ・切れ長、つり目。鼻筋が通っている
- ・スポーツ刈が伸びたような髪形
- ・血液型はB型
- ・犯行は被害者の遺留品を使用する
- ・白髪混じり
- ・整備工、もしくは機械や金属を10年以上扱っている
・手がとても柔らかい
この犯人と思われる男性を探すべく、韓国警察は大規模な捜査を行います。
- ・容疑者及び捜査対象者:約21000人
- ・DNA鑑定:570名
- ・毛髪鑑定:180名
- ・指紋鑑定:40116名
警察はなんと167万人を動員して、約21000人もの人を容疑者(捜査対象)として捜査をしました。
しかし、華城連続殺人事件の犯人は捕まりませんでした。
華城連続殺人事件の真相
この10人の女性が強姦殺害された華城連続殺人事件は、捜査が難航し、なかなか犯人が捕まりませんでした。
第8の事件は犯人が逮捕されていますが、それ以外の事件は犯人が捕まらず、次々と時効を迎えます。2006年4月2日には最後の第10の事件が時効を迎え、捜査は終了。事件は未解決となりました。
しかし、2019年に急転直下で真犯人が判明します。10件の殺害現場では犯人のものと思われる精液や毛髪、血液などが採取されていました。その残された精液や毛髪、血液などから最新技術でDNA検査をしたところ、なんとそのDNAと一致する男がわかったんです。
華城連続殺人事件の現場から採取されたDNAと一致するDNAを持っていたのは、刑務所に収監中の50代の男性「イ・チュンジェ」でした。
このイ・チュンジェは、最初はこの華城連続殺人事件について否認していましたが、DNAが一致したことを告げられると、自分の犯行であることを認めたんです。
しかも、このイ・チュンジェは華城連続殺人事件の10件の犯行だけでなく、華城連続殺人事件を含めて14件の殺人と30件あまりの強姦事件について自白しました。つまり、華城連続殺人事件以外にも4件の殺人事件を犯し、さらに20人もの女性を強姦したということですね。
華城連続殺人事件の犯人
華城連続殺人事件の真犯人であるイ・チュンジェは、華城連続殺人事件の犯行を自白した時は釜山の刑務所に収監されていました。
イ・チュンジェは1994年1月に、当時20歳の妻の妹を性的暴行して殺害して遺棄した事件で逮捕され、無期懲役になり収監中だったのです。
強姦殺害という意味では、華城連続殺人事件と共通点が非常に多いですし、1994年に逮捕されていて、それ以降は連続殺人事件が起こっていないことを考えても、イ・チュンジェが犯人であることは間違いないでしょう。
華城連続殺人事件の第1、第2、第3、第6事件の場所は、イ・チュンジェの通勤経路と一致することが確認されています。さらに、第5、第7、第9の事件もそこから近い場所で行われています。第9の事件の場所は、イ・チュンジェの自宅からたった2kmしか離れていない場所で起こっています。
イ・チュンジェは二面性を持っていた?
イ・チュンジェは二面性を持っていたと言われています。普段は静かで内気な性格をしていますが、暴力的な一面も持っていました。
妻には下血するほどの暴力をふるいう、さらに2歳の息子にはあざができるほど殴っていて、妻は警察にDVを相談していたこともあったようです。
しかし、近所の人の評判はよく、弟はイ・チュンジェは静かな性格であり、粗暴な様子は見たことがないと証言しています。
釜山刑務所でも模範囚であり、収監されてから20年以上問題行動を起こしたことはなかったということです。
だからこそ、14件の殺害事件を起こし、30人以上の女性を強姦したというのはとても恐ろしい事実ですよね。
華城連続殺人事件の真犯人のイ・チュンジェは時効のため罪に問えず・・・
出典:m.chosun.com
最新技術で、イ・チュンジェのDNAと華城連続殺人事件の犯人のDNAが一致することがわかり、イ・チュンジェの自白もあって、華城連続殺人事件はイ・チュンジェの犯行であることがわかっています。
でも、華城連続殺人事件はすべて時効を迎えています。また、華城連続殺人事件以外にイ・チュンジェが自白した4件の殺人事件も、時効なんです。イ・チュンジェが自白した4件の殺人事件はこちらです。
・1989年7月7日 9歳女児の強姦殺人
・1991年 1月21日 17歳女性の強姦殺人
・1992年 6月24日 29歳女性の強姦殺人
こちらも時効を迎えていますので、イ・チュンジェがいくら自白をしても、14件の殺人事件で罪に問うことはできないのです。
ただ、イ・チュンジェは妻の妹を強姦殺害した事件で無期懲役の判決が出ていて、刑務所に収監されています。
韓国では法律上は死刑制度はあるものの、1998年以降は事実上凍結されていて、執行されていません。
そのため、イ・チュンジェはたとえこの14件の強姦殺人で裁かれて、死刑宣告をされても、事実上は無期懲役の状態になりますので、結局は無期懲役の現在の状態と変わらないということになります。
しかし、いくら現在の状態と変わらないと言っても、罪に問われないというのは、遺族をはじめ、関係者は納得がいかないですよね。
華城連続殺人事件の問題点
華城連続殺人事件は、時効を迎えて、事件から約30年経ってから、ようやく真犯人が判明した事件でした。ただ、真犯人がわかった時には時効なので、法律で裁くことができないという何とも後味の悪い結末が待っていました。
そして、華城連続殺人事件はただ単に「犯人はわかったけれど、罪に問えない後味が悪い事件」という事件ではありません。いろいろな問題点があり、韓国警察の捜査に批判が集まるようになったんです。
ずさんな捜査で犯人を取り逃がした
華城連続殺人事件はたくさんの捜査員が動員され、必死の捜査が行われたはずでした。でも、実際に行われた捜査は本当にずさんなものだったんです。
みなさん、覚えているでしょうか?事件現場から採取された精液や血液から、犯人の血液型はB型と特定されたことを。でも、真犯人のイ・チュンジェの血液型はO型でした。
そもそもの鑑定が間違っていたということになります。なぜ、犯人の血液型がB型と特定されたかについては、韓国の報道によると「わからない」そうです。
捜査関係者は、当時血液型を明らかにしたことがなく、なぜB型とされていることわからないと発言しています。また、当時の捜査でB型と結論根拠があったわけではなく、単純にB型と推定した程度だったという情報もあります。
つまり、なんとな~く「犯人の原因はB型らしいよ」という情報だけが独り歩きし、警察もそれを否定することなく、次第に「犯人の血液型はB型である」となってしまったんです。
実は、真犯人のイ・チュンジェは当時、捜査線上にあがっていて、取り調べを受けていたようですが、血液型が違うということで、容疑者からは外れていたということがありました。
もし、当時「血液型はB型である」という情報が独り歩きしていなければ、時効前に犯人のイ・チュンジェを逮捕できていたかもしれません。
8件目は冤罪の可能性が大きい
出典:m.khan.co.kr
華城連続殺人事件は10件の強姦殺人ですが、第8の事件だけ犯人が逮捕されています。第8の事件は、1988年に犯人とされる男が逮捕され、無期懲役の判決が下っています。この犯人とされる男は模範囚であったために、刑期が20年に減刑され、2009年に出所しました。
しかし、この第8の事件も、イ・チュンジェは自分の犯行であることを認めています。そして、この犯人として逮捕された男は、収監中にテレビのドキュメンタリーの取材で、殺人はもちろん、強姦についても否定しています。
また、取り調べの時には拷問されたこともあったようで、警察による虚偽の自白だったのではないかと言われています。
このことを考えると、第8の事件は冤罪である可能性が高く、犯人とされた男性の弁護士は、再審請求の手続きを行っています。
もしかしたら、近い将来、この男性は無実であり、冤罪であったという判決が下るかもしれません。
捜査で濡れ衣を着せられ自殺者も
出典:ujnews.co.kr
この華城連続殺人事件では、21000人余りの男性が捜査線上に浮かび、容疑をかけられました。そして、無実にもかかわらず容疑をかけられたことを苦にして自殺した人も続出したんです。
・第9の事件の容疑者とされた38歳男性が電車に飛び込んで自殺
・第10の事件の容疑者とされた32歳の男性が飛び降り自殺
このほか、16歳の少年が現場検証中に手錠をかけられた状態で逃走し、転んで頭部外傷で脳死となり死亡したこともあります。さらに、捜査関係者の中にも自殺した人がいました。
このようにこの華城連続殺人事件では、たくさんの人が自殺したり亡くなったりしているんです。この華城連続殺人事件は世間の注目を集めた事件であり、自分は全く事件に関係ないのに、その容疑者とされたことで、絶望する気持ちはわかります。特に、韓国の警察は自白をとるために、拷問のようなことをするようですから。
韓国警察のずさんな捜査のために、事件の被害者だけではなく、そのほかにもたくさんの犠牲者を出してしまったというのは、悲劇以外の何物でもありません。
まとめ
華城連続殺人事件の詳細な内容や事件の真相、犯人についてまとめましたが、いかがでしたか?
韓国での10件にも及ぶ女性の強姦殺人というとても恐ろしい事件です。
真犯人がようやくわかったのに、逮捕できない・裁判できない・罪に問われないというのは、何とも言えない気持ちにさせられます。